Olenoides vali

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ユタ州のマージャム累層 (Marjum fm) より産出する、オレノイデス・バリ (Olenoides vali) です。

オレノイデスの中でも、全体的に長い棘を持つ事が特徴的で、頬棘、尾部の対の棘及び、額環 (Occipital ring) や第8胸節の中軸から伸びる棘は、長くて目立ちます。

各所の標本を見るに、マージャム累層産とされるものと、マージャム下層のウィーラー累層産とされるものがあって混乱するのですが、ウィーラー累層の上部110m近辺層 (本種の産出層) を、マージャムに分類するかどうかで判断が分かれるようです。公式にはウィーラーが正しいようですが、差し当たり、入手時記載の累層のままとしております。

また、この標本は、元々、オレノイデス・ルークシ (Olenoides rooksi) の名で入手しましたが、コメント頂いた方々のご協力により、現状はやはりバリであると思い直し、この名で登録しております。

実際本種は、棘の長さにかなりのバリエーションがあり、ルークシは特に尾棘の長い種に非公式に適応されます。ルークシは現在のところ、裸名 (nomen nodum) の範疇ですが、将来的には、亜種〜新種として記載される可能性はあるようです。

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  • 1. 魅惑の三葉虫 2019年08月22日 22:10
    個人的には、O.valiだと思います。そもそも見た目で差が無いので、O.vali=O.rooksiだとも思います。 [Systematics, Paleobiology, and Taphonomy of Some Exceptionally Preserved Trilobites from Cambrian Lagerstätten of Utah]も[Exceptional Cambrian Fossils from Utah]も見比べてみましたが、同じ標本がそれぞれの本で違う学名で書かれていたりしますしね。種類を分けているとしたら、Upper Wheeler FormationとMarjum Formationで種類を分けているか、背中の棘の長さ比率が少し異なる事から種類を分けている可能性はあるかもしれませんが。私のO.valiもIMFから購入したものですが、同じ産地、購入元でも見解が分かれてるんですね。
    2. コード991 2019年08月22日 22:59
    おおっ!!オレノイデスじゃないですか!
    しかも超超レア種!
    素晴らしく最高の保存状態ですね☆
    私も購入を検討していましたがウン十万になると二の足を踏んでしまいました(笑)でもorm様に渡って一安心です♪ネットの画像上ですが、これでいつでも色々な角度から見ることができます。

    Olenoides vali というと平均 4~5 cmのものが多いイメージがあります。大きさだけで考えると O. vali とは同定しにくい。とは言いつつ O. vali も O. rooksi は各トゲの比率も頭部や尾部の比率もほぼ一緒。胸部だけは遠目に見たとき O. vali のほうが若干狭いように感じます。でもやっぱり酷似箇所が非常に多いので双方は同じと考えるほうが無難かと思います。
    3. trilo orm 2019年08月23日 17:52
    >>魅惑の三葉虫さん
    やはり、O. valiにしかみえませんよね。最初は背中や、尾棘の長さが、ルークシの方が長いのではないか?とかも考えたのですが、記載論文の写真など参照にする限り、どうも別にそんな事もなさそうです。
    ただ、Wheeler FormationとMarjum Formationで分けているというのは、あるかもしれませんね。

    大御所も鑑定に関わったというとちょっと尻込みしますが、弘法も筆のあやまりという事もありますし、バリ=ルークシでよい気が益々してきました。
    ありがとうございます‼︎
    4. trilo orm 2019年08月23日 18:11
    >>コード991さん
    コード991さんも同じ種だと、やはり思われますか。魅惑の三葉虫さんと、3人同意見ならもうこの種は、O. vali(=rooksi)で決定でいいんじゃないか?という気がしてきます。記載的には、O.valiの方が正確ですし、そのうちしれっと表題をO.valiに変更するかもしれません…笑

    オレノイデスはずっと憧れでありましたので、手に入れられてひと息つけました。あとは、記事でも書いた通り、いつかスパーブスが欲しいなぁという欲望があります。ただ、いつかと言わずIMFで捕食痕ありの、巨大なスパーブスが出ておりましたね。また、その内オークションに出るでしょう。誰も買う気配がなければ、いっそ手に入れてしまおうかとも思いましたが、相当勇気が要る価格ですね。
    誰か公開して下さるような方が、買いませんかね!?
    コード991さん、なんならお一ついかがですか?笑。
    5. コード991 2019年08月23日 18:36
    そうですね~♪おひとつ買っちゃいましょうかね?いやいやw流石に家庭崩壊→破産しちゃいます(笑)

    そういえば先ほど O. superbus が IMF より出品されましたね!価格はやはりそれ相応はしますが。ただ私もスーパーバス(スーパーブス)はいつかは入手してみたいものであります。
    いっそのこと部分化石でも入手できれば私は満足です(^^)
    6. trilo orm 2019年08月23日 20:35
    >>コード991さん
    家庭崩壊はまずいですね。家庭無くして三葉虫あり、では流石にいたたまれませんね 笑

    先程ヤフオクをみたら、タイミングが良いのか悪いのか、確かに早速出品されておりましたね。消費税だけで、それなりの標本が買えるレベルですし、悩ましいものです。
    これは好みの問題でしょうが、オレノイデスに関しては、捕食痕なしバージョンの方が私は好きですので、捕食痕無しだったら、堪らず手を出していたかもしれません。この標本については、ウォッチしつつ、悩みつつ、もう少し様子を見守ろうかと思います。
    7. 巣穴 2020年02月27日 11:08
    この記事で気になったので、マイコレ見直してみたのですが、Dan Cooperさんから買った標本は、やはりO.vali(そしてO.valiと記載されていました)でした。 ただ、Enrico Boninoさんから買った(そして以前ヤフオクで売ってしまった)尾板がO.rooksiと記載されたものでした。この両者は明らかに異なるもので、rooksiの尾棘はvaliよりも長く、3倍くらいあり、明らかに別種と見えました。で、今回のイタリア語の改訂版でそのあたりがどう書かれているかを確認すると、尾棘が長いものも短めのものも、O.vali ROBISON&BABCOCK 2011となっていたのでした・・・余計??です。
    8. trilo orm 2020年02月28日 00:41
    >>巣穴さん
    情報有難うございます。
    そのヤフオクで売却済みの、O.rooksiは印象的だったので覚えています。確かボラスピデラがセットになっていた標本ですよね⁉︎
    あの標本の尾板をみた際には、確かに、こんな長い尾棘を持つオレノイデスは見た事がないなと感じました。感じは似ているものの、O.valiとは異質な印象を受けました。

    記事で言及した論文では、rooksiは新種命名の基準を満たしきらなかったとの事でしたが、その論文の写真(記事中の論文写真)のオレノイデスの尾棘も、valiとするには、ちょっと長過ぎるように見えます。Bonino氏も新種と認めざるを得ないような、valiに似つつも確かに異なる新種〜亜種の一群がいるんじゃないかな、とやはり思います。今後、覆って記載され得るかもしれませんね。

    一方、この私の標本に関しては、巷でrooksiと呼ばれる標本のような尾棘の長さがある訳でもなく、やっぱりO.valiでいいのかなと考えています。
    9. 巣穴 2020年03月08日 23:53
    Enrico Bonninoさんからの返事です。そのままコピペしますね。

    I agree with you that the morphology of the Olenoides visible at page 255 seems differents. The Olenoides rooksi is a nomen nudum, and now belong to the genus Olenoides vali, as described in Robison & Babcock 2015 (https://bioone.org/journals/paleontological-contributions/volume-2011/issue-5/PC.1808.8543/Systematics-Paleobiology-and-Taphonomy-of-Some-Exceptionally-Preserved-Trilobites-from/10.17161/PC.1808.8543.full). Also if bit different, following Robison, we are in presence of a kind of subspecie or may be will described as a new specie in future.
    10. trilo orm 2020年03月09日 15:41
    >>巣穴さん
    なるほど、nomen nudum=裸名という言い回しがあるんですね。勉強になりました。
    やはり現時点では、O.rooksiは正式でなくvaliのみが承認されていて、亜種として扱うか、あるいは、ひょっとすると将来的にはrooksiとして記載される事もあり得るかもしれないとBonino氏も考えてらっしゃるんですね。
    貴重な情報を、有難う御座いました。ちょっとすっきりしました。

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