Redlichia mansuyi

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中国の関山生物群 (Guanshan biota) のレドリキア・マンスィ (Redlichia mansuyi) の標本です。

関山生物群は時代的には、最古の澄江より新しく、バージェスよりは古い層が中心となっており、おおよそCambrian series2のstage4に当たります。澄江や他の中国のカンブリア系の産地と並び、軟体保存にも優れた、代表的なラガシュテッテであります。

いかにも、標準的レドリキアといった形態をしております。サイズは60mmと中々の大型。尾部を欠いていますが、本来は軸葉から後方に一本の長い棘が伸びる種です。同産地の似た種に、レドリキア・マイ (Redlichia mai) などと言う種もいるようですが、どこがどう違うのか私は理解していません。

数年前までは、比較的容易に入手可能だったように記憶しておりますが、現在はこのサイズのものはかなり少なくなっています。わずか数年でこの有様かと、隔世の感があります。当時の感覚でレア度は星2としていますが、今や星3あたりが妥当なのかもしれません。

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  • 1. 魅惑の三葉虫 2020年01月25日 21:31
    澄江はまだ三葉虫の比率は低く種類も少ないのですが、関山まで来るとたった数千年で三葉虫も大きく発展しているのがよくわかり興味深いですよね。ご存じの通り外骨格がしっかり残っている標本は軟体部は残っていることがが少ないので、色々な保存状態のが欲しくなり、私の場合R.mansuyiは3つの標本を保有していたりします。澄江系では軟体部付きの標本が最も入手しやすかった産地だと思いますので、私の様に軟体部付き大好きなコレクターには堪らない産地です。
    2. orm 2020年01月26日 01:07
    >魅惑の三葉虫さん
    以前伺った際に、軟体部と外骨格の保存の条件が違い得る為、軟体部と外骨格が同時に綺麗に残る事がまずないのではないか、とのような事をおっしゃっていたと思います。当時はそもそも中国産を数見ていなかったので、もうひとつピンとこなかったのですが、その後多くの標本を見た今なら、あの時のお言葉がよくわかります。同一種でも、何標本か確保したくなるお気持ちも今は良くわかりますね。澄江系では、市場に出回る標本数と軟体保存の割合が、おっしゃるように一番多いと思います。まさに今が旬、今が最後のチャンスといった産地ですよね。
    3. endo 2021年04月08日 15:35
    昔、子供時代に見た三葉虫化石の写真には「満州産」と記載されたものがよくありました。遼東半島は日本の勢力下で満鉄調査部あたりで鉱山開発の目的もあって満州の地質は詳しく調べていましたからね。その中で三葉虫にも突き当たったのだと思います。こちらも満州産三葉虫化石を目当てにして、「蝙蝠石」で知られる三葉虫の破片の化石は入手できたのですが、本命であった満州産のレドリキアはいまだに見つからず、四川省産のものを飾っています。今やこれすら見かけなくなっているような気がします。古い写真では
    見ますが、旧満州産のレドリキアは幻の化石ですね。

    4. trilo orm 2021年04月10日 08:53
    >endoさん
    旧満州産のレドリキアといえば、既にご存知かも知れませんが、博物館以外の個人であれば、こちらでよくコメント頂いている魅惑の三葉虫さんが確か所有しておられますね。登録が必要ですが、muuseoというサイトで公開されておられます。
    https://muuseo.com/trilobites/items/98

    改めて拝見すると、遼寧省の大連周辺で1939年採取との事で、そんな厳しい時期の産出だという事に驚いた記憶があります。しかし鉱山開発の副産物と考えれば、なるほど納得がいきますね。

    私も入手可能なそれは見かけた事はなく、確かに幻の化石だと感じます。
    5. endo 2023年03月03日 23:21
    今でこそ国立科学博物館には見事な三葉虫標本が数多く展示されていますが、乏しい時代がありました。展示ケースの中を接写しましたが、ラベルにはレドリキア遼寧省三十里堡とありました。三葉虫本体は4cmほどしかなく地味なものでした。それでも同じ標本がいくつかの書物の写真にも使われていました。博物館も日本の経済発展を反映してゴージャスになったようです。件の標本は人目につかない保管庫に移されたのかもしれません。
    6. trilo orm 2023年03月08日 18:51
    >>endoさん
    コメント頂いていいる事に気づかず、返事が遅れてしまいました。
    科博で表に出ている三様虫群は、日本が元気だった1970-80年代に集められたものなのか、モロッコ系統の三様虫はクリーニングが粗野だなとおもう一方で、他の地域の三様虫は今やめったに見かけない種などが多くて、見ごたえがあるなと思います。
    他方、私が三様虫に執心し始めたここ10年程度は、最近の博物館リニューアルを経ても、三様虫コーナーは変わる気配がないですね。endoさんが仰るようなバックヤード標本が数あるのならば、出し惜しみせずに全て見せてほしいなと感じますね。

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