Endops yanagisawai

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こちらはエンドプス・ヤナギサワイ (Endops yanagisawai)、世界的に見ても少ないペルム紀中期の希少な三葉虫です。同時代の他の種同様、プトエトゥス目 (Proetida) であります。

属名のEndopsの由来について、『最後』の時期の三葉虫だから、『End-』と勘違いされる事もありますが、違います。精力的に北上や、福島県高倉山、新潟県青海などの化石の研究などにも関わった古生物学者、故 遠藤隆次博士 (1892-1969) の遠藤 (Endo) から取った名であります。元々は遠藤博士により、パラディン・ヤナギサワイ (Paladin yanagisawai) と付けられていたようです。由来としては間違っていますが、それでも、たまたまとはいえ、最後を連想させるEndopsという名がついた事に不思議な運命を感じます。

石炭紀より数の少ないペルム紀の三葉虫として希少なものですが、かの原発事故の影響もあり、採取は今後完全不可のようです。そんな訳で、二つの意味で貴重であります。この標本は頭部と尾部、一部ですが胸部も見えております。

綱レベルで見れば、カンブリア紀から約3億年近くも命脈を保った三葉虫という偉大な種も、ついにはペルム紀には滅び去ってしまいました。そんな希少な『最期/最後』の種が日本で産出する事に、コレクターとしては喜びを覚えます。

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    Trilobites

    2020/06/08

    世界の三葉虫を収集してもペルム紀の三葉虫がいかに貴重なのか実感しますよね。日本の産地は、元々鉱脈が小さいのと、採掘による荒廃や産状変化、保護を経て短期間で採取できなくなるので、その時期に行けた者しか所有していないと状況ですね。多くは昭和の中後期に開拓された産地でしたが、日本のアマチュアの探求力は凄いなと感じます。

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    • 日本のアマチュアは本当にすごいなあと思います。人によっては、アマチュアと言いつつも、その分野の学位を持っていないだけで、論文投稿される方もいて、プロかプロ一歩手前の方も多いですしね。化石はマイナーな分野であるものの、日本は比較的、とりわけ恐竜好きが多く、化石好きも(絶対数としては少ないですが、他国との相対的に)多めな気がします。例えば、中国などは言うまでもなく化石大国ですが、研究者以外の一般人は、化石や恐竜に対する熱を持った方はそう多くないようで、日本の状況をうらやましく思っているようですね。

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