Karl Bartos “Off The Record”

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今回は、1975年〜1990年の期間、あのKraftwerkのメンバーであったKarl Bartosのソロ名義でのセカンド・アルバム”Off The Record”を紹介しましょう(彼は、最初、Electric Musicと言う名義でも活動しており、最初にセルフタイトルをアルバムも出していますので、それを加えると、サード・アルバムとも言えます)。先ず、簡単に、彼のバイオグラフィーを書いておきます。本名Karlheinz Bartosで、1952年5月に独のMarktschellenbergで生まれています。大学生の時(1965年〜1975年)には、The Jokersのドラマーとして活動していますが、その時には、Carlos Bartosと名乗っていました。この後、1975年〜1990年まで、電子音楽グループKraftwerkのメンバーとして、Wolfgang Flürと共に活動していますが、この時期のKraftwerkは最も安定しており、創作活動も充実しています。Bartosは、元々、AutobahnのUSツアー要員として誘われたのですが、Karlhainzと言う本名は、ネオン管で作るには長過ぎるし、費用も掛かるとRalf Hütterに指摘されたので、ステージ名としてKarl Bartosとなりました。Kraftwerkでは、パーカッションを担当していましたが、アルバム”Man-Machine”, “Computer World”, “Electric Café”では作曲にも関わっており、特に後者では1曲、リードVoも担当しています。しかしながら、Bartosは、バンドの創設者Ralf HütterとFlorian Schneiderが、完璧主義に益々拍車が掛かり、バンドとしての活動が極端に遅くなり、それに対して不満が噴出したことから、1990年8月にバンドを脱退しています。それで、Bartosは、Elektric Musicを立ち上げ、1993年にKraftwerk風アルバム”Esperanto”を、1998年にはよりギターポップ的なアルバム”Electric Music”をリリースします。この2枚の間にも、1996年には、Bernard SumnerとJohnny Marrとのコラボを行い、Electronic名義で、アルバム”Raise the Pressure”を、またOMDのAndy McCluskeyと共作して、”Esperanto”とOMDのアルバム”Universal”にそれぞれ名を連ねています。また、スウェーデンのバンドMobile Homesのアルバムもプロデュースしたりして、余りにギターポップだったこともあり、一時期、シンセポップ・ファンを落胆させましたが、このアルバムは商業的には成功しています。その後、彼は、2003年に、Karl Bartos名義で、シンセポップ・アルバム”Communication”をリリースします。2007年には、グラフィック・アーティストJean Giraudに関するドキュメンタリー”Moebius Redux – A Life in Pictures”の音楽を担当しています。そうして、彼は、2008年初頭に、オーディオ・ヴィジュアル展Crosstalkの第1版をオーブンすることを自身のHPで宣言し、21本の映像、リミックス、カバーから成るプログラムを開催し、スウェーデン、ベルギー、蘭、独、英や日本からの素材をマッシュアップしています。2011年3月には、iPhoneのアプリとして、Mini-Composerを出しています。2013年3月5日に、本作品でもあるセカンド・アルバム”Off The Record”をリリースします。その前に、シングルカットされた”Atomium"を2月1日に1000枚限定で世界同時にリリースしています。2020年9月には、彼の公式ニュースレターが、新たなプロジェクトを進行していると公表しましたが、パンデミックの為、それは公開されませんでした。2021年5月12日に、Kraftwerkはロックの殿堂入りを果たし、Schneider, Hütter, Flürと共に、Bartosも賞されています。
 
 ここら辺が、Karl Bartosの経歴ですが、本作品”Off The Record”は、元々、CD作品としてリリースされており、その一部は本作品のようにLPフォーマットでもリリースされています。本作品は両面共6曲ずつ収録されています。それでは、各曲をご紹介していきましょう。
★A1 “Atomium” (3:16)は、7拍子と言う変拍子ですが、全然違和感の無い打ち込みシンセポップに仕上がっています。奇跡!
★A2 “Nachtfahrt” (3:30)は、バックはもろKraftwerk調なのですが、ほぼ生のVoが入ることで、より親しみ易いシンセポップになっています。メロとサブメロの掛け合いも良い塩梅です。
★A3 “International Velvet” (4:37)は、変調Vo(ここでの「変調Vo」はヴォコーダーを通したVoです)も入った寛ぎのシンセポップで、メロディもテンポも優しい。Kraftwerkよりもずっと人間味に溢れています。
★A4 “Without A Trace Of Emotion” (3:28)は、ノリの良い陽キャな曲で、この曲では生声で歌っており、ロックすら感じます。途中で7拍子のフレーズや変調Voも入ってくるのも良いアクセント!
★A5 “The Binary Code” (1:41)は、パルス状の電子音の波から成るインスト曲で、頭の中に沁みます!
★A6 “Musica Ex Machina” (5:15)も、ダンスチューンのようなリズムに合わせて、変調Voで歌っており、バックのシンセ音も絶妙なミックスと音色で良きかな。最後の転調もグー!
★B1 “The Tuning Of The World” (3:33)は、優しいメロディと変調Voによるシンセポップで、人間味溢れた曲調がKraftwerkとは違い、言わばシンセ弾き語り!
★B2 “Instant Bayreuth” (3:36)は、スローで簡素なリズムに、通奏低音と単音のシンセによるメロディが心に沁みるインスト曲です。
★B3 “Vox Humana” (2:56)は、人間臭いリズムと人声サンプリング、それにピロピロしたSE的シンセが絡む、何かが言いたいような曲で、途中途中でテンポが変わります。
★B4 “Rhythmus” (4:16)は、その表題通り、強靭な打ち込みリズムを強調した曲で、変調ロボットVoと生Voとを使い分けており、そこら辺に秀逸さを感じます。
★B5 “Silence” (0:06)は、ポリシンセの2フレーズだけのSE的小曲です。電子音楽のNapalm Death?
★B6 “Hausmusik” (3:29)は、陽キャなメロディのシンセポップで、軽く変調したVoと軽やかなシンセのメロディもツボを押さえていますね。
 
 と言う訳で、Karl Bartosの”Off The Record”を聴いてみましたが、Kraftwerkに似た部分もあるのですが、多分見ている方向が真逆で、打ち込みによるシンセポップながら、非常に人間臭いものを感じました。そこら辺も意識しているのかも知れませんが、大きな違いだと思います。根本にはバピネス指向ではありますが、所々に批判精神も感じられ、そう言う意味では、一聴の価値ありと思いますので、本作品を是非聴いて欲しいですね❗️

A6 “Musica Ex Machina” (MV)
https://youtu.be/msAFXe4PEVU?si=e7dF7yd5FmouGqzv

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_klyXA2OKwTf5C0xO5fdbpzYSRfIQzrcdc&si=me56ZwJowKJ1PmiY

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