Grey Factor “1979-1980 A.D. (Complete Studio Recordings)”

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Grey Factorって言っても分からない人の方が多いのではないでしょうか?実は私も知りませんでした。それで某DUの通販で購入したのですが、Discogsにも何にも書いてありません出したので、少し調べました。
 1978年に、米国LAで、Jeff Jacquin, Joey Cevetello, Jon Pospisil, Paul Fontanaの4人は、ミニマルなシンセを基本にしたバンドの元になるバンドらしきものを結成します。それで、取り敢えず、ヴィンテージな電子機材で、今から必要になるであろう機材を使って、最初のEP “The Perils of Popularity”をEldorado Recordingスタジオで、まだ若いエンジニアのDave Jerdenと一緒に録音しました。Jerdenは、後にThe Talking Heads and Byrne/Enoと一緒に仕事をするようになります。このEPはカセットにダビングされて、LAで有名なライブハウス、Madame Wong’s, The Hong Kong Café, The Masqueで彼等がライブした際に、20数回に渡って配られています。観客の”Too cool to care”と言う反応は瞬く間に口コミで広がり、皆んなが彼等の動向に注意を払ってました。1980年に、Paul Fontanaが脱退し、代わりにAnne BurnsとJoeyの兄弟のJohn Cevetelloが加入し、セカンドEP “The Feel Of Passion”を録音します。このEPでは、ドラムマシンとシンセを先ずセットアップして、それからGとBを録音し、最後に女性VoとSaxを入れると言うやり方で作られています。この手のバンドとしては画期的ではあったのですが、より内部の対立を浮き彫りにしたライブをケーブルTV番組New Wave Theaterで演奏していますが、それに対して、メンバーはもう止めようと言う意見で一致して、バンドは解散しています。
 以上がGrey Factorの略歴ですが、まぁ、LAのアート・ダメージ電子音楽シーンの先駆者であったようで、40年以上霧の中の伝説として語られてきました。今回のセルフ・コンピレーション・アルバムは、彼等が出した伝説のEP2枚を合わせたものであり、新録はしていません。16頁のブックレット付きとも書いてありますが、私が購入したモノの中には含まれていませんでした(ちょっと確認不足でしたね)。それでは、本作品について前振りを紹介しておきます、A面は、彼等のファーストEP”The Perils of Popularity”の収録曲と1979年4月にEldoradoスタジオで録音された曲から成り、B面は、セカンドEP”The Feel of Passion”収録曲と、1980年1月にスタジオ9で録音・ミックスされた曲からなっています。

◼️The Perils Of Popularity
★A1 “You're So Cool”(5:35)は、太いSynth-Bのシーケンスとドラムマシンにシンセのリフ/メロディが絡んできて、そこに不明瞭なシューゲイザーっぽいVoが乗る、所謂「典型的シンセウェーブ」な曲です。
★A2 “All In A Day's Work” (2:43)は、いきなりVoとドラムマシンとシーケンスで始まる曲ですが、間奏もシンセでしか出来ないポルタメントを掛けた音を入れています。
★A3 “Guerrilla Warfare” (3:37)は、フェイドインしてくるシンセ持続音とキックにVoが乗る曲で、その持続音にエフェクトが掛けられているようです。盛り上がりではVoは叫び声になります。
★A4 “Joyful Sounds” (3:48)では、正回転のドラムマシンに逆回転のドラムマシンを同期させ、そこに簡素なシンセのリフとベースを入れ、抑圧したVoを乗せている曲で、シリアスな雰囲気です。
★A5 “Above The Gun” (3:34)は、ニュースの声で始まり、ノリの良いドラムマシンとSynth-Bとシンセのリフで突っ走る曲で、切羽詰まったVoが印象的です。途中で転調しますが、バックのSE的シンセ音も凄いです。
★A6 “4 Hours In A Metal Box” (3:18)は、複数のズレた声のループから成る曲で、その背後に不気味な電子ドローンが流れており、時に金属質な音も聞こえます。

◼️The Feel Of Passion
★B1 “No Emotion Needed” (3:18)は、単調なドラムマシンとミニマルなBラインに、Percのような音が絡み付き、それに焦っているようなVoが乗る曲で、ここではSynth-BではなくBかな?
★B2 “Inhibitions Run Wild” (3:57)は、スローテンポのマシンにBと持続音シンセとGの簡素なリフから成る曲で、Voも緩急を付けていてかなり泣けます。男女のコーラスとか間奏のSaxなんかも良いスパイスです。
★B3 “Looking For The Hotel” (3:11)は、ダンサブルなリズムマシンにシンセの持続音と男女のVoから成るウキウキしそうな曲で、BなんかもSynth-Bでは無いのも嬉しいですね。
★B4 “Shoot It Down” (4:50)は、やや複雑でスローなドラムマシンに、GとBで曲の骨組みを作り、時にSE的シンセが入ってくる曲で、雰囲気一杯のVoが歌い上げています。

 A面は割とシンセウェーブな面が強調されていますが、B面では、ドラムマシンを使ったニューウェーブと言うかポストパンクな面が強調されていると思いました。どちらが良い悪いではないのですが、好みの問題ですね。しかしながら、40数年前の音源が今になって発掘され、かつその出来映えも良いと言うのは凄いことだと思いますよ!なので、シンセウェーブ好きな人もニューウェーブ好きな人も是非聴いてみて下さい!

A3 “Guerrilla Warfare” (3:37)
https://youtu.be/X2CD0wvNVtw?si=pjTxImp1ngLPk4u8

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=PLNXcBtf0QNBDzvc4_F-QY_gZ0WLvg38dz&si=7LGWpNXcnF-YSGMY

[BandcampのURLも貼っておきます]
https://greyfactor.bandcamp.com/album/grey-factor-1979-1980-a-d-complete-studio-recordings

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