Fischer-Z “Going Deaf For A Living”

0

このバンドは、以前にファースト・アルバム”Word Salad”を紹介していますが、この作品は当時のテクノ・ポップな作品として非常に優れており、当時は愛聴していました。しかしながら、本作品でもあるセカンド・アルバム”Going Deaf For A Living”では、Kbdが抜けて、レゲエになったとの噂が流れていたので、当時は手を出しませんでした。随分後になって、偶々、中古レコード屋で餌箱を漁っていた時に見つけて、何の気無しに買ったと言う経緯があります。それで、気が付いたのですが、KbdのSteve Skolnikはまだ在籍していますし、ファーストよりはテクノ色は薄らいたものの、ニューウェーブとしてはまだまだ全然イケましたので、良く聴いていました。Fischer-Zのバイオグラフィーについては、前回、ここら辺までは書いてありますので、1回目の解散までを極簡単に書いておきます。元々は、1977年に、John WattsがStephen Skolnikと共に結成したのが始まりで、最初のライブは英国パンククラブで行われたそうです。そして、1979年に、ファースト・アルバム”Word Salad”をUnited Artists Recordsより出しており、The BuzzcocksとThe Stranglersと同時リリースだったとか。それで、シングルカットされた”Remember Russia”をBBCのRadio 1のDJJohn Peelが何度も何度も放送したこともあって、TV番組The Old Grey Whistle Testにも出演し、欧州でも人気が出ました。そして、セカンド・シングル”The Worker”に至っては、1979年にTV番組Top of the Popsにも出演しています。そうして、本作品でもあるセカンド・アルバム”Going Deaf For A Living”をリリースします。Wattsは、突拍子の無いポップ・ソングが、世界的な政治的テーマを捉えることが出来ることを可能であると考え、次のシングル”So Long”を1980年に出していますが、これが、新しく導入されたMTVでも取り上げられています。その為、翌年1981年に、最も商業的に成功したサード・アルバム”Red Skies Over Paradise”をリリース、2枚のシングル”Marliese"と"Berlin"も、このアルバムに収録されています。これらのアルバムのヒットから、1980年〜1981年の期間に、英国、北米、欧州で、200回ものライブをこなしていますが、Wattsは、このメンツでは、当初のパンクな理想からどんどん離れていってしまうと考えて、1982年にバンドを解散します。その後、Wattsはソロ活動などにしていましたが、1987年に、Wattsは、メンツを全く替えて、Fischer-Zを再開します。アルバムもコンスタントに出して、現在も活動中です。ただし、2004年に、25周年記念アルバム” Fischer-Z Highlights 1979-2004”の制作過程で、Garden Party DVDの撮影の為、オリジナルメンバーで、1回だけ再結成したことがあります。

 と言うのが、Fischer-Zの大体の経歴なのですが、本作品では、まだKbdのSteve Skolnikも在籍していますが、ファーストのような如何にもテクノポップなイメージとは随分異なりますね。因みに、本作品でのメンバーは、John Watts (Vo, G), David Graham (B), Steve Skolnik (Kbd), Steve Liddle (Drs)のオリジナルメンバーです。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。
★A1 “Room Service” (3:42)は、ややレゲエ調の曲ですが、Wattsは、珍しくファルセットでは歌っていません。サビの所はカッコ良いですが、柔らかいトーンのシンセが使われています。
★A2 “So Long” (5:00)は、最もヒットした曲で、Wattsはファルセットで歌っており、シンセもナチュラルなフレーズを奏でており、タイトなリズム隊はダンサブルなビートを叩き出しています。
★A3 “Crazy Girl” (4:28)は、メロディアスなBが特徴的な曲で、洗練されたパワーポップと言った感じです。シンセは間奏のみですが、如何にもSkolnikなフレーズです。
★A4 “No Right” (2:38)は、激し目のパンキッシュな曲ですが、Fischer-Zっぽいアレンジが施されていますし、シンセやGソロなんかも聴取できます。
★A5 “Going Deaf For A Living” (3:31)は、表題曲で、ドタドタした性急なビートに軽快なフレーズで、WattsのファルセットVoも良く映えています。また、泣きのポリシンセやコーラスワークも絶妙です。
★B1 “Pick Up / Slip Up” (2:37)も、パンキッシュなノリの曲ですが、ファルセットVoと分厚いKbdが曲を異化しています。サビのレゲエ調のアレンジも秀逸!
★B2 “Crank” (3:07)も、性急なビートがバリバリのパワーポップですが、途中の戯けたようなシンセがこの曲のキモですね。カッコ良いです!
★B3 “Haters” (4:07)は、一転、レゲエ調の落ち着いた雰囲気の曲となっていますが、Wattsは抑制的に歌っています。ファーストの”Remember Russia”風のシンセが泣かせます。因みに、GXがやっているノイズバンドThe Hatersとは無関係です(当たり前か)。
★B4 “Four Minutes In Durham” (4:05)は、陽キャなアレンジが冴えるパワーポップな曲で、Wattsはそれ程ファルセットでは歌っていません。リズム隊がタイトで心地良く、シンセも独特のアレンジ/使い方です。
★B5 “Limbo” (2:15)も、性急で激し目の曲で、もう何を歌っているのかも良く分からない程ですが、シンセが結構、活躍しています。Bもタイトでカッコ良いです。

 本作品は、ファースト・アルバムに比べると、それ程テクノポップな感じはしませんが、得意のレゲエ調アレンジやWattsのファルセットVoも聴けますし、シンセも効果的に使われていますので、よりパワーポップな印象を受けますね。なので、ファーストを期待すると、ちょっと落胆するかも知れませんが、意外とFischer-Zの本質を現出している作品かも知れません。また、リズム隊のタイトな録音が素晴らしく、そこら辺も聴き所と思います。パワーポップとしてのFischer-Zを聴いてみて下さい❗️

A2 “So Long” (MV)
https://youtu.be/Ejy7L64lFWM?si=NccNN2Qk6dXSQ01X

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nZ23etMlABVnWv_KOSdHPjyJihSc13dUs&si=szDl0XwOfBtboX9l

#Fischer-Z #GoingDeafForALiving #UnitedArtistsRecords #2ndAlbum #NewWave #PowerPop #Keyboards #JohnWatts #DavidGraham #SteveSkolnik #SteveLiddle

Default
  • File

    4AD

    2024/02/26 - 編集済み

    確かにテクノポップ風でしたね
    たぶん渋谷陽一のラジオで聴いて面白そうだと思いました。

    返信する
    • File

      Dr K2

      2024/02/27

      ファーストはもっとテクノポップ風です。

      返信する