Tolerance “Anonym”

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最近、話題のVanity Recordsから、唯一2枚のアルバムを出した、阿木譲氏お気に入りのユニットToleranceの登場です。最近、復刻されていますが、私のはオリジナルです。このユニットは、基本、丹下順子氏のソロユニットですが、吉川マサミ氏がギターで参加しています(と言うことは、デュオなのか?)。プロデュースは阿木譲氏。丹下氐はヴォイス(と言うか、ポエトリー・リーディングに近い)、ピアノ、シンセを担当しています。不協和音ながらリリカルなピアノの戦慄と時に通奏低音のような、または脈拍や心拍数を思い起こさせるリズムを刻むようなシンセの電子音、それに切り込む吉川氏のフリーキーなギターノイズ、そして淡々と呟くようなヴォイス。完璧です。一つの異世界が現出します。歌詞が聞き取れないのですが、恐らく私的な感情の発露ではなかったかと想像します。しかし、淡々と呟くヴォイスがそれすらも無効化する世界を作り上げており、彼女の才能に嫉妬すら覚えます。Tolerance の細かいバイオグラフィーは不明ですが、丹下氏は当時は、東京の医学系の大学生だったようです。内行性の音楽ですが、レコードに刻まれた瞬間から、そのベクトルは反転して、聴く者を彼女の世界へと導き出してくれます。本作品は1979年10月にリリースされましたが、当初、パンクがその起爆剤の効果を失いつつある状況で、宅録と言う新たな方法論を用いて、音楽界に切り込んだ名作だと思います。因みにジャケ写は、写真集「東京綺譚」を刊行した神谷俊美氏によるモノで、タイトルの「匿名」性にマッチしています。また、Nurse With Woundの通称”Nurse List”にも取り上げられるように、メジャーに回収されない同時代性をも持っていると思われ、それをレコード化した阿木譲氏のチョイスも達観したものと思われます。そんなアルバムですが、今はボックスセットでも聴くことができるので、是非とも聴いてみてください。

A1 “Two Owls” (3:31)
A2 “I Wanna Be A Homicide” (2:44)
A3 “Osteo-Tomy” (3:45)
A4 “JUIN-Irénée” (4:31)
A5 “Anonym” (5:21)
B1 “Laughiñ In The Shadows” (4:53)
B2 “Through The Glass” (5:09)
B3 “Tecno-Room” (2:49)
B4 “Voyage Au Bout De La Nuit” (6:43)

A5 “Anonym” (5:21)
https://youtu.be/mfo5ZBQPD4Q?si=364H75dBMuUsQF1a

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=PLsa-4zQUwJLR2jel2zzSXjx2O1RWibFvY&si=kWuhKBr8FPaEqh1h

#Tolerance #Anonym #VanityRecords #Experimental #Abstract #JunkoTange #SoloUnit #Guest #MasamiYoshikawa #Produce #YuzuruAgi

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    Dr K2

    2022/04/06 - 編集済み

    私もCDボックスは買いましたが、いつの間にかオリジナルを買っていたみたいですw

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