Kas Product “Black & Noir (Mutant Experimental Synth Punk From France 1980-83)”

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今回、ご紹介するのは、仏ナンシーのシンセ・パンク・デュオKas Productです。1980年に、Spatsz (Electronics, Drum Machine; 本名Daniel Favre)とMona Soyoc (Vo, G, Piano)によって結成されたエレクトロ・パンク・デュオで、KasProduct結成以前には、Spatszは精神病院で働いており、Mona Soyocはジャズバンドに在籍していました。彼等の音楽は、ミニマル・エレクトロニクスとヴォーカルと言うスタイルで、”Kaleidoscope”時代のSiouxsie & the Banshees, Suicide, Soft Cellに近く、よくSoyocのヴォーカルは、Siouxieと比較されています。彼等は、最初の頃は、自身のレーベルPunk Recordsからシングルを数枚出していましたが、1981年頃にRCAと契約して、広く知られるようになります。彼等のファースト・アルバム”Try Out (1981年作)”とセカンド・アルバム”By Pass (1983年作)”は、その後も評価が高く、ボーナス・トラックを付けて、何度も再発されており、そのボーナス・トラックを中心にコンパイルしたのが、本作品となっています。当時の音楽記者は、彼等の音楽を「熱狂したり冷徹になったりするキーボード、不意に急降下する破壊的なギター、突き刺すようなエレクトロニック・リズムに囲まれ、又はその上に広がる、心に残る狂気のボーカル」と評しています。その後、彼等は1990年まで活動し、その後、休止していますが、2005年に復活しています。しかしながら、Spatszが2019年2月1日に61歳の若さで他界した為、Kas Productは、そこで終わっています。
 以上が、Kas Productのバイオグラフィーになりますが、彼等は、2000年代以降のミニマル・ウェーブ/コールド・ウェーブで、再評価されており、そこそこ有名であったと認識しています。先述のようにボーナス・トラックを中心にしたセルフ・コンピレーションなので、既に聴いたことのあるリスナーさんもいらっしゃるかもしれませんね。また、この作品は、Soul Jazz RecordsのPunk 45シリーズの一貫としてリリースされています。(*はファースト・アルバムのボーナス・トラックで、^は、セカンド・アルバムのボーナス・トラックです。)それでは、各曲について紹介していきましょう。

★A1 “Mind” (2:43)*は、ミニマルなリズムにGのリフと簡素なシンセのリフが乗り、そこにやや捨て鉢なVoが入り込む曲です。
★A2 “Black & Noir” (1:49)は、雲のような波状のシンセの中で、ひたすらリフを刻むGとSoyocのVoから成る曲で、ドラムマシンは不使用。
★A3 “Seven” (3:52)*は、ダウンテンポから始まり、段々と早くなり、怠そうなVoとGのリフと不明瞭なシンセ音から成る曲で、不吉な雰囲気がぷんぷんします。
★A4 “Take Me Tonight” (3:58)では、凄くカッコ良いシーケンスとリズムマシンに、GとぶっきらぼうなVoの組合せが、ちょっとだけSuicideっぽいですが、完全ミニマルではないです。間奏のGもカッコ良い!
★A5 “In Need” (3:10)*は、DR-55のリズムに、Gによる構築とSoyocの自在なVoが乗り、シンセのリフも聴取できます。後半にはシーケンスも入ってきます。
★B1 “Malena” (2:42)*は、チープなリズムマシンDR-55を使いながらも、ムーディな雰囲気の曲で、シンセが唸っています。途中から更に盛り上がります。
★B2 “Crash” (3:04)^は、リズムマシンと同期したシーケンスに、GとエモーショナルなVoがどんどん曲を盛り上げていきます。シーケンスは複雑ですが、手弾き?
★B3 “Mezzo” (1:54)では、強靭なリズムと複雑なGのリフ、それにKbdとSynth-Bが華を添え、Soyocが歌い上げます。
★B4 “Electric” (3:12)では、単調なリズムマシンに、Synth-Bとカッコ良いGのリフが乗り、更にエモーショナルなVoが曲を感情的に纏めています。
★B5 “Party” (2:28)^は、スローなSynth-Bと呟くようなVoで始まり、段々とハイハットやスネア等が入ってくる電子シャンソン?な曲です。
★B6 “Doctor Insane” (0:25)*は、男性Voのループと電子音から成る小曲です。

 以外と、Gとかも多用されており、曲構成も、それ程ミニマルではないですね。逆にシンセやシーケンサーも余り使われていない感じで、これも意外でした。以前にどこかのコンピレーションで聴いた時には、もっとミニマルな印象でしたが、もっと複雑な曲構成を成していますし、また、SoyocのVoももっとエモーショナルになっている印象で、成る程、Siouxsieと比較されるのも分かる感じです。なので、シンセ・ウェーブを期待するよりも、ニューウェーブ的な音楽を期待した方がシックリきそうです。皆さんもそこら辺に気をつけて聴いてみて下さい!

A4 “Take Me Tonight” (3:58)
https://youtu.be/yDZ5eqTvafk?si=hOuYD35wSeg0P257

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=PL61D7C93788B158A1&si=zZr242dANIy_ycLI

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