He Said “Take Care”

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He Saidと言うバンド(?)/ユニット(?)を知っている方はどの位いるだろうか?実は、私も、頭の隅に、そのことを置いていて、売りに出されているのを見て、何とか急いで購入したと思います。He Saidと言うのは、英国WireのベーシストGraham Lewisのソロの時に使う名義なのです。1980年代と言えば、Wireが解散して、Graham LewisとBruce C. GirbertがDomeを結成して、その前衛性に皆が驚かされていた時期でもあります。その一方で、Lewisはソロで、He Saidとして、ファースト・シングル”Only One I”を1985年10月にMute Recordsよりリリースしましたが、そのデビュー・アルバム”Hail”は、それから12ヶ月後にやっとリリースされます。”Hail”のサウンドは、Wireよりもずっとエレクトロニックで、その時期のポストパンクや実験音楽系ロックの流れに沿っていました。その後、1986年4月にシングル”Pump”を、同年9月にシングル”Pale Feet”を出しています。そうして1989年2月に、本作品でもあるセカンド・アルバム”Take Care”をリリースし、1988年7月に”Could You?”がシングルカットされていますが、このシングルが、今のところ、He Saidの最後の作品となっています。
 以上が、He Saidの略歴となります。本作品では、シンセを多用したちょっと実験的なポップ・ミュージックが収録されています。本作品には、Graham Lewis (Vo, Noises)の他に、John Fryer (Drs, Noise [A1, A3-B3, B5], Noises [B4]), Keith Le Blanc (Drs, Kbd [A2]), Ruby James (Back-Vo [B2]), Lorenza Johnson (Back-Vo [B2]), Shirley Lewis (Back-Vo [B2])が、ゲストで参加しています。特に、John Fryerは、Lewisと共にプロデュースまで行っています。それで、内容としては、A面3曲/B面5曲となっています。と言う訳で、本作品の各曲をご紹介していきましょう。

★A1 “Watch-Take-Care” (8:30)は、太いSynth-BとシンプルなDrsに合わせて、Lewisの叙情的なVoが乗る曲で、Domeで使っているようなSE音や独自のGノイズ音が切り込んできます。
★A2 “A.B.C. Dicks Love” (5:25)も、比較的明るい曲調で、部分的にはラップも混ざっている曲です。リズムマシンやヴァイオリン風シンセ?やシンセPercも使っているようです。
★A3 “Could You?” (5:45)は、ドラマチックに始まり、Lewisのピアノと弾き語りへと続き、やがてDrsとBと分厚いストリング・シンセも乗ってくる曲で、ピアノが良い味を出しています。最後の反復は良いですねー。
★B1 “Tongue Ties” (6:09)は、水音とキックを同期させたリズムで始まり、Synth-Bと簡素な上物シンセに合わせて、Lewis独特の語るようなVoからサビでの歌い上げるVoも聴取出来る曲で、間奏のシンセは甘い香りがします。
★B2 “Not A Soul” (5:20)では、突撃するようなDrsから始まり、四つ打ちキックで、語り口Voと女性コーラスのとアンサンブルに変わるのもバッチリです。間奏のシンセやコーラスワークも効果的ですが、ちょっと英国ポップス調な気も。
★B3 “Halfway House” (5:25)は、ぎごちない硬いリズムに、柔らかで太いSynth-Bと独特のカッティングするGと優雅なシンセから成るインスト曲で、想像力を掻き立てます。
★B4 “Get Out Of That Rain” (3:13)では、空間を活かしたイントロで始まり、やがてシンセによる交響楽のような分厚い音も出てきますが、また元に戻ります。そして、大円団へ。ドラムレスの曲です。
★B5 “Hole In The Sky” (2:28)は、激しいリズム隊に、特異なカッティングのGとLewisらしからぬ叫び声のようなVoを披露している曲で、最後のノイズ的要素も弾けています。

 しかしながら、Graham Lewisの曲って、シンプルでツボを押さえているのですが、どうしようもなく「Wire節」と言う感じの細かい部分が仄かに残っているんですよね。勿論、Vo以外で。アレンジとか音色の癖みたいなものなんですが、それが琴線に触れる方もいるでしょうし、気に入らない方もいるとは思いますが、ここでは、特にB面で、インスト曲2曲とB5での叫び声なんかは、Lewisの新境地で、一聴に値すると思われますので、一回は聴いてみて下さい!

https://youtu.be/Mp7Cn9_9Ts4?si=iJ5itEr6cubtTx8d

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