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Die Zwei “U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.!”
名前の通り、Die Zwei (ディー・ツヴァイ; 「ザ・2」の意)と言うデュオを知っていますか? 捻くれ者の多い1980年代初頭のNDW界にあって、最も「謎」な存在である彼等は、Gerd Scheuerpflug (Vo; ゲルド・シャウアフルク), Udo Scheuerpflug (Tenor Vo; ウド・シャウアフルク)から成る(多分、兄弟)デュオです。しかも、彼等のファースト・シングル”Einsamkeit Hat Viele Namen” / “Wir Bleiben Hier”は、ベルリンの捻くれ音楽をリリースしていたZensorから出ており、内容は、オーストリアの人気歌手の曲のカバーを、恐ろしい位、爽やかなアカペラのみと言う「訳が分からない」盤として有名です。今回は、そんな彼等Die Zweiの唯一のアルバム“U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.! (このタイトルとジャケの印象も強烈!)“をご紹介します。しが、今回は、ヘルプメンバーとして、Lisaweta Prokofjewna (Vo), Günther Linke (Boys Vo), Imke Nagel (Flute), Norbert Nagel (Sax, Clarinet), Roland Nörpel (Trombone), Josef Romeis (Trumpet, Trombone, French Horn), Hubert Hohmann (Tuba), Marc Klein (Synth, Programming), Frieder Butzmann (Synth, Vocoder), Evert Fraterman (Drs)が参加しています。特に、異彩Frieder Butzmannが参加して、レーベルも英国Cherry Red Records傘下のEast West Trading Companyから出しているのに、驚かされます。それで、このタイトルとアメフトのジャケですよ!いくら何でも理解不能です。Die Zweiについて調べてみたのですが、彼等のバイオグラフィーは殆ど分かりませんでした(すまん!)。ただ、Neuendettelsau(ノイエンデテルザウ)出身で、1980年代初頭だけ活動していており、本アルバム以前には、先述のファースト・シングルも含めてシングル3枚だけをZensorからリリースしています。と言う訳で、この正体不明のアカペラ兄弟デュオが、多数のコラボレーターと共に作り上げた唯一のアルバム“U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.!“に収録されている各曲を紹介していきたいとおもいます。
★A1 “The Harry Lime Theme” (2:58)は、美声のメインVoとそのバックに女性コーラスによるリズミカルなアカペラから成る曲で、時に挿入されるダミ声の一言にちょっとした悪意を感じます。最後に子供の声も使っています。
★A2 “45 Boys On The Beach Part 1” (2:57)は、男女混成によるドゥーワップ風の曲ですが、メインの男性Voには「ロックンロールの息吹」を感じます。声だけなんですが、非常にリズミカルですが、途中には伸びやかなパートもあります。
★A3 “Skyliner” (2:54)は、A2に連続して、マラカス?のリズムに合わせて、口笛とシンセらしき伴奏にメインの男性の美声Voが想いもたっぷりに歌っている曲で、バックにはコーラスの伴奏も。Voのポルタメントを掛けた歌い方がまた欧州的で伊達です。
★A4 “45 Boys On The Beach Part 2” (2:29)もBeach Boys風の曲を全て声でやっているようなアカペラ曲で、女性の歓声や甘いメイン男性Voが全くもって米国風です。
★A5 “Miss Fit” (4:01)も、男性の声のみでリズムを作り、そこにオペラチック?キャバレーな?な女性Voが乗る曲です。ここまで来ると、美声過ぎて、気持ちが悪くなる位です。
★A6 “We Wait For The Moment / Connecticut” (3:33)は、シンセの発射音と通信音で始まり、バックでシンセのパルス音と男性コーラスがずっと流れており、途中からアメリカンな古き良き時代を想起させられるような曲調になったりして、構成もしっかりしています。
★B1 “Cha Cha” (4:07)では、ホーン類やDrsの伴奏に合わせて、メインの美声男性Voが想いもたっぷりに歌っています。それを支えるサブVoも良いアクセントになつており、全体の雰囲気はちゃんとチャチャチャのリズムになっており、スパニッシュ風です、
★B2 “Grapsch!” (5:17)では、シンセのリズムとドラムマシン(?)とファンキーなBに合わせて、男性Voが、トランペットやタンテのスクラッチに合わせてリズミカルかつラップ調に歌っています。細かい細工が施されており、飽きません。この曲がアルバムを代表しているようで、シングルカットもされています。
★B3 “Wanted: The Tyrell Corp.” (5:38)は、重積する声の倍音のイントロから始まり、ダンサブルなDrsとBと流暢なシンセに、女性コーラスとヴォコーダーVo(サンプリングも含む)との掛け合いから成る曲で、間奏ではスクラッチやPercの導入/ソロ等も聴取できます。
★B4 “River Of No Return” (3:13)は、シンセの懐かしい調べと女性コーラスの織りなす伴奏に、呟くような男性Voが入ってくる曲で、日本の「夕焼け小焼け」のような歌です。
正直に言って、ロック・リスナーさん全員にお勧め出来るアルバムではないです。特にA面はクラシックのテノール風の男性Voが混成合唱団のようにアカペラで爽やかに歌いまくっており、これはかなり好き嫌いが分かれるだろうなと容易に予想できます。その好き嫌いと言うのは、声質やポルタメントをかけたような歌い方によるものが大きいだろうなとは思います。ただ、ほぼ声だけでここまで、多彩な音楽が出来るのには驚きますし、元々、コアな音楽を扱うことで有名なZensorがDie Zweiの作品をリリースしていたことを考えると、Die Zweiは只者ではないことも容易に理解できます。また、B面でのドラム等のバックの演奏を混えての曲も、何と言うか、テノール歌手が「ラップ調に歌っている」と言うとか「チャチャチャ風に歌っている」と言った怪しさ満点の曲が揃っていますので、よほど許容量が大きいリスナーさんでないと楽しめないかもしれないなとも思えます。しかしながら、曲のアレンジには、所々に細かい「変な」細工が施してあり、彼等が単に「クラシック出身者がロックしてみました」のではなく、そのフェイク感も含めて、自分らの確かな声楽的能力の上で、確信犯的かつ意図的にこのような「ヘンテコ」な音楽を作り出したのは間違い無いと思います。そして、アルバム・タイトルにあるように、一種の「米国的なもの」をワザと取り扱っているコンセプト・アルバムでもあり、そこら辺の目の付け所も、当時のNDW界にあって異質な感じもします(多くのNDWアーティスト/グループは米国音楽を避ける方向に動いていました)。そんなDie Zweiですが、もし興味があって、本作品を受け入れることが出来るリスナーさんは、相当NDW愛が強い人なのだと思います!! 取り敢えず、Let’s Try!
A1 “The Harry Lime Theme” (2:58)
https://youtu.be/l3oB-OwtRqg?si=HOh1Nub-L9vF6AWd
A2 “45 Boys On The Beach Part 1” (2:57)
https://youtu.be/AuWGtSPU6Oo?si=ecaZPoaCjwgGn4sZ
A3 “Skyliner” (2:54)
https://youtu.be/52uRBEum7gs?si=_N4BYEGz-Q3-8Krp
A4 “45 Boys On The Beach Part 2” (2:29)
https://youtu.be/vP4cnYhqMh8?si=lkuBVxbP1WZXRxhJ
B1 “Cha Cha” (4:07)
https://youtu.be/WIW4E6YIuco?si=okZNSFH8KdIYhvEN
B2 “Grapsch!” (5:17)
https://youtu.be/_H8UwR_6fRI?si=2EcBA7CqKUiB732t
B3 “Wanted: The Tyrell Corp.” (5:38)
https://youtu.be/qC8aO6z3HO0?si=6sM3eXguoX_JiqAI
B4 “River Of No Return” (3:13)
https://youtu.be/B_y60dTjjj4?si=ItdrOczDjGcpUWE9
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