John Cage Realized By Aaron Dilloway With Rose Actor-Engel, Twig Harper, C. Lavender, Quintron, Robert Turman, John Wiese “Rozart Mix”

0

このアルバムを買ったキッカケは、多分、現代音楽界の奇才John Cageと名前と、ノイズ関係で元Wolf Eyesのメンバーでもあり、来日ライブでの凄まじさに驚いたAaron Dillowayの名前がジャケに一緒に載っていたことと、その曲名が”Rozart Mix”と言う、余り聞き慣れないタイトルだったことから、面白そうと感じて購入したのだと思います(うろ覚えです)。それで、この作品の内容紹介の前に、先ず、”Rozart Mix”とは何か?どう言う経緯で、Aaron Dillowayが関わるようになったのか?を解説してからにしたいと思います。
 先ず、この”Rozart Mix”と言う曲なのですが、これは、生前John Cageが、同国の音楽家/作曲家Alvin Lucier (アルヴィン・ルシエ; 米ニューハンプシャー州生まれで、2つの音大で音楽理論と作曲を学んだ後、John Cageによるパフォーマンスに参加、様々な電気テクノロジーを用いた実験音楽やサウンド・インスタレーションを実践してきていた)の為に書いた曲で、滅多に演奏されることはなく、今回、Wave Formと、John Cageの生涯と作品に関する情報をアーカイブする団体John Cage Trustが、この曲の演奏をAaron Dillowayに打診し、それを受けて実現に至った希少な演奏の記録が本アルバムと言うことになります。ヘルプとして、Rose Actor-Engel, Twig Harper, C. Lavender, Quintron, Robert Turman, John Wieseが参加しており、一軒家の中の複数階に12台のオープンリール・テープ・プレイヤーを設置し、6時間に渡り、5〜175カ所の継ぎ目で繋ぎ合わされた88のテープループを再生するという、途轍もないスケールで演奏が行われたとのこと。それで、本作品の内容についてですが、A面は、NY州Red HookのBard CollegeにあるJohn Cage Trustにて、2021年10月23日に行われた演奏のライブ録音であり、一方、B面はオハイオ州OberlinのTarker Millsにて、2021年8月2日に行われた演奏から、一部のループ音を抜粋したものからなっています。これらの準備をしている、或いは演奏している様子を捉えたLPサイズの12頁のブックレットも美しく、また現場の様子(参加者の皆さん、オープンリールのテープの断片だらけになっています)も分かり、想像も逞しくなるようです。と言うことも踏まえて、異例の再演となった記録でもある本作品をご紹介していきましょう。

◼️side A
★A “Rozart Mix” (16:00)は、正に、多量のループ音によるオープン・リールのオーケストレーションで、様々な音(多くは具体音や会話、古い音楽の演奏等)の断片が次から次へと立ち現れては入れ替わっていき、聴く者の脳味噌を掻き回すかのようです。流石、ループ・マスターAaron Dillowayの下での名演です!
◼️Variations Of Single Rozart Tape
★B1 “Full Mix (Undisturbed)”(2:17)も、テープループから成る曲なのですが、ややゆったりした印象です。また、B面は単一の”Rozart Tape”の変奏曲と題されており、恐らく、回転速度を変えて録音されたりしたオープンリールテープをバラバラにして、逆回転にしたりして繋がり合わせて作ったテープループをそのまま再生しているのではないでしょうか? また、Undisturbedとの記載もあることから、何もミックス時に手を加えていないのではないと思われます。
B1-B6と6曲ありますが、必ずしもその曲間は明確ではありません。
★B2 “Flip 1 Stereo” (2:17)
★B3 “Flip 2 Stereo” (2:17)
正直、B2, B3は良く分かりませんでした。
★B4 “Left Mono” (2:17)は、左チャンネルの音のみがモノラルで再生されており、ヘッドフォンで聴くと、何だか気持ち悪いです。
★B5 “Right Mono” (2:17)は、右チャンネルの音のみがモノラルで再生されています。
★B6 “L/R Hard Stereo” (2:17)は、左モノラルと右モノラル別々に再生されており、一聴、「擬似ステレオ風」になっています。

 テープループを使うアーティストは、そこそこいる(特に、米国)と思いますが、Aaron Dillowayに依頼したのは、正解でしたね。彼は、元々、オープン・リールやテープ・エコーを使った音作りを得意としており、何よりもそのテープ・ループの使い方を更に拡張していますので、正に、John Cageの”Rozart”の再演にはぴったりだったのではないでしょうか? その他のヘルプ/競演者のアーティストもJohn Wieseを始め、それなりに名の通った方々ですし、何よりテープループを作っている作業が楽しそうで、こちらも参加したくなります。そんな和気あいあいとした現場から、まるでノイズのようなループの連打と絡みが放出されるとは、なんて素敵なことでしょう!特に、A面は面白いですので、アナログなテープループを使った音楽に興味のある方は必聴ですね(因みに、後で気付いたらのですが、B面の各曲は、全て2:17に統一されています)!

B1 “Full Mix (Undisturbed)”
https://youtu.be/cj1QbJZAvpo?si=S5O5ez6vex25dgCb

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_khQPiNwHBVPIui5mi1vPBjqRNsyP6kBxk&si=wiTeCNQZwc7TO3YT

#JohnCage #Realization #AaronDilloway #RozartMix #HansonRecords #Experimental #ModernClassic #RarelyPlay #Composition #ForAlvinLucier #88TapeLoops #12OpenReelTapePlayers #InAHouse #JohnCageTrust #TarkerMills #LiveRecordings #Excerption #ColorBooklet #Helps #RoseActor-Engel #TwigHarper #C.Lavender #Quintron #RobertTurman #JohnWiese

Default