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Einstuerzende Neubauten “Haus Der Luege”
やっと手に入れました。Einstürzende Neubautenの5枚目のスタジオ録音作品”Haus Der Luege (正式にはHaus Der Lüge [ハウズ・デァ・リューゲ]「嘘の館」の意」)”!! メンバーは黄金期のAlexander Hacke (Die Hacke), Blixa Bargeld (Das Bargeld), F.M. Einheit (Die Einheit), Mark Chung (Der Chung), N.U. Unruh (Die Unruh)で、ゲストVoとして、KMDFMのNainz Raymond WattsがA1とA4に、Gareth JonesがA3に参加しています。なお、クレジットでは、名前を物質名詞としてそれぞれに冠詞を付けています。また、B1は、3部構成から成る組曲形態を取っているのも特徴ですね。そんなEinstrüzende Neubautenのスタジオ・アルバム”Haus Der Luege”を聴いてみましょう。この辺りのアルバムから、現在のE. Neubautenのやや大人びた雰囲気と言うか、音楽的に円熟したような曲調が多くなっていきますね。初っ端のA1から、ポエトリー・リーディングとメタル・ノイズの往来から成り、連続して、単調なシーケンスにキックとBlixaの引き攣るVoがタイトル通りの「燃料の燃える」が如くです。バックの荒んだ音も素晴らしいです。A面はそれぞれが、B面もそれぞれが連続して収録されています。A3の憂鬱にして優雅な舞踏曲のようなリズムも良いです。B面もB1の組曲形式では、フィールド録音を使ったり、唐突にリズミックな曲調に移行したりと工夫が凝らされています。B3もピアノを使ったダイナミックな曲で締めています。また、ヘッドフォンで聴くと良く分かるのですが、ミキシングがかなり凝っており、こんなガラクタを使いながらも/使っているからこそ、「音を録音する」と言う行為に細心の注意を払っているのだと思います。なので、Blixaのカリスマ性云々よりも、ミックスを担当しているJohn Cafferyの技が光ってますね。勿論、バンドの音作り自体も良いのですが!!後、びっしりとした細かい文字や大小のフォントを用いたタイポグラフィーも強烈です! A1 “Prolog” (2:08) A2 “Feurio!” (5:26) A3 “Ein Stuhl In Der Hoelle” (2:10 ) A4 “Haus Der Luege” A5 “Epilog” (4:30) B1 “Fiat Lux” (12:24) B1a “Fiat Lux” B1b “Maifestspiele” B1c “Hirnlego” B2 “Schwindel” (3:58) B3 “Der Kuss” (3:39) https://youtu.be/nY4LLQo20-c?si=euXVGxbBlxoAXZCM [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kNF2znPizI_4oF2uS62jTz5y_k6nPjh1c&si=2aXap1R3jUOYJKpJ #EinstürzendeNeubauten #HausDerLuege #SomeBizarre #UK盤 #5thStudioAlbum #ExperimentalRock #Industrial #MetalPercussions #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #DieHacke #AlexanderHacke #DasBargeld #BlixaBargeld #DieEinheit #F.M.Einheit #DerChung #MarkChung #DieUnruh #N.U.Unruh #GuestVocals #NainzRaymondWatts #GarethJones #Mixing #JohnCaffery
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Some Bizarre ¥3800Dr K2
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Die Krupps “The Machineries Of Joy (Part I & Part II)”
独逸の鋼鉄王Die Kruppsの遍歴を少し書いておきます。Die KruppsがThe Krupps名義で英国進出した1985年のアルバム”Enter The Arena”で、バンドは一旦活動停止となります。その後、1980年代半ばから、Jürgen Englerは、自身のレーベルAtom-Hを運営し始め、そのレーベルでは主にスラッシュ・メタルやハードコア・パンクを扱っており、そのようなバンドに加わって、Englerも歌っており、その経験が、1990年代のDie Kruppsの音楽性に影響しています。一方、Ralf Dörperは、1989年に、英国のEBMバンドNitzer Ebbとコラボして、Die Kruppsの古い曲を新ヴァージョンとしてリメイクし始めます。それが、本作品でもある”The Machineries Of Joy”で、元曲は、1980年代初頭にEnglerと共作した”Wahre Arbeit, Wahre Lohn”です。この新ヴァージョンは、ビルボードのレコードチャートを席巻し、EnglerとDörperが前面に立ってDie Kruppsの復活・再評価に繋がります。同年、Die Kruppsは、Nitzer Ebbとのコラボを通して、欧州にEBMを広く流布するキーバンドになります。そうして、1992年になると、ヘビメタからの影響をより強く受けるようになり、そのようなギタリストを起用し始めます。そうして、出来たアルバムが”I”であり、EP”Tribute To Metallica”で、後者は特にMetallicaのカバー曲で構成されています。このメタルとEBMの融合は、よりインダストリアル感を増し、この領域のパイオニアになります。その後、Deep Purpleの”Machine Head”に影響を受けたアルバム”II - The Final Option”を1993年に、更により実験的になったアルバム”III - Odyssey Of The Mind”を1995年に、更に更に、よりヘビーなグルーヴメタルの影響を受けたアルバム”Paradise Now (非公式には”IV”とも呼ばれています)”を1997年にリリースし、一旦、バンドは解散します。続きはまた、次の機会に。 それで、この”The Machineries Of Joy”は色んなミックスやリミックスがあって同じようなジャケて違ったりとかありますので、購入の際は、よく確認して下さい。それで、この”The Machineries Of Joy”シリーズでは、勿論、共作のEnglerとDörperはプロデュース等には関わっていますが、Rüdiger Esch (B)やVoや演奏でもNitzer Ebbも参加しています。そして、Die Krupps側のミックスでは、Düsseldorfで、エンジニアにPeter Krickを起用して、Nitzer Ebb側のミックスでは、Londonで、エンジニアにPaul Kendallを起用して行っています。と言う訳で、A面がDie Krupps側、B面がNitzer Ebb側と思ってもらって良いと思います。それでは、彼等の復活の起点となった本作品の各曲を紹介していきましょう。 ★A “The Machineries Of Joy (Wahre Arbeit Mix)” (6:10)は、大胆な打ち込みに、たっぷりのシンセとEnglerのセクシーにして力強いVoからなるヴァージョンに仕上がっています。 ★B1 “The Machineries Of Joy (True Work Mix)” (6:08)は、仰々しいシンセのイントロと、シュタロファンののイントロから雪崩れ込むヴァージョンで、やはりシーケンスは使っていますが、EnglerのVoはより汗っぽい感じになっています。間奏でのシンセのリフとシュタロファンの絡みが聴き処です! ★B2 “The Machineries Of Joy (Machines)”では、最初とサビで、サンプリングされたEnglerのVoが使われ、太いシーケンスだけで進むヴァージョンで、打楽器やドラムマシンは使われていません。 中々、面白い企画だと思います。単なるリメイクだけではなくて、Nitzer Ebbとのコラボで、古い曲をブラッシュアップすることで、曲そのものが生き返りますね。ある意味、このようなEBM的曲調が、Die Kruppsそのものと思われているかもしれませんね。その前後にもDie Kruppsの音楽は多様にありますから。それにしても、Dörperの才能が開花した企画だと思います。今回は、ここら辺の企画モノを連続で紹介していきますので、続きも要チェックです! A “The Machineries Of Joy (Wahre Arbeit Mix)” https://youtu.be/K0-2flWS8eY?si=efNEus1VXDh6R1V6 B1 “The Machineries Of Joy (True Work Mix)” https://youtu.be/JJwu0FTtGOI?si=TIkq4y7QZR0OmdPd [オマケ:“The Machineries Of Joy (MV)”] https://youtu.be/a7ElWK_Tgmg?si=VYC1yP8H0x6dZmJF #DieKrupps #TheMachineriesOfJoy #Mute #BCMRecords #EBM #ElectronicBodyMusic #Remake #Remix #WahrArbeitWahrLon #Collaboration #1989年 #第二期DieKrupps #再評価 #JürgenEngler #RalfDörper #RüdgerEsch #NitzerEbb #WahrArbeitMix #TrueWorkMix #Machines
Electronic Body Music Mute 500円Dr K2
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Die Zwei “U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.!”
名前の通り、Die Zwei (ディー・ツヴァイ; 「ザ・2」の意)と言うデュオを知っていますか? 捻くれ者の多い1980年代初頭のNDW界にあって、最も「謎」な存在である彼等は、Gerd Scheuerpflug (Vo; ゲルド・シャウアフルク), Udo Scheuerpflug (Tenor Vo; ウド・シャウアフルク)から成る(多分、兄弟)デュオです。しかも、彼等のファースト・シングル”Einsamkeit Hat Viele Namen” / “Wir Bleiben Hier”は、ベルリンの捻くれ音楽をリリースしていたZensorから出ており、内容は、オーストリアの人気歌手の曲のカバーを、恐ろしい位、爽やかなアカペラのみと言う「訳が分からない」盤として有名です。今回は、そんな彼等Die Zweiの唯一のアルバム“U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.! (このタイトルとジャケの印象も強烈!)“をご紹介します。しが、今回は、ヘルプメンバーとして、Lisaweta Prokofjewna (Vo), Günther Linke (Boys Vo), Imke Nagel (Flute), Norbert Nagel (Sax, Clarinet), Roland Nörpel (Trombone), Josef Romeis (Trumpet, Trombone, French Horn), Hubert Hohmann (Tuba), Marc Klein (Synth, Programming), Frieder Butzmann (Synth, Vocoder), Evert Fraterman (Drs)が参加しています。特に、異彩Frieder Butzmannが参加して、レーベルも英国Cherry Red Records傘下のEast West Trading Companyから出しているのに、驚かされます。それで、このタイトルとアメフトのジャケですよ!いくら何でも理解不能です。Die Zweiについて調べてみたのですが、彼等のバイオグラフィーは殆ど分かりませんでした(すまん!)。ただ、Neuendettelsau(ノイエンデテルザウ)出身で、1980年代初頭だけ活動していており、本アルバム以前には、先述のファースト・シングルも含めてシングル3枚だけをZensorからリリースしています。と言う訳で、この正体不明のアカペラ兄弟デュオが、多数のコラボレーターと共に作り上げた唯一のアルバム“U.S.A.! U.S.A.! U.S.A.!“に収録されている各曲を紹介していきたいとおもいます。 ★A1 “The Harry Lime Theme” (2:58)は、美声のメインVoとそのバックに女性コーラスによるリズミカルなアカペラから成る曲で、時に挿入されるダミ声の一言にちょっとした悪意を感じます。最後に子供の声も使っています。 ★A2 “45 Boys On The Beach Part 1” (2:57)は、男女混成によるドゥーワップ風の曲ですが、メインの男性Voには「ロックンロールの息吹」を感じます。声だけなんですが、非常にリズミカルですが、途中には伸びやかなパートもあります。 ★A3 “Skyliner” (2:54)は、A2に連続して、マラカス?のリズムに合わせて、口笛とシンセらしき伴奏にメインの男性の美声Voが想いもたっぷりに歌っている曲で、バックにはコーラスの伴奏も。Voのポルタメントを掛けた歌い方がまた欧州的で伊達です。 ★A4 “45 Boys On The Beach Part 2” (2:29)もBeach Boys風の曲を全て声でやっているようなアカペラ曲で、女性の歓声や甘いメイン男性Voが全くもって米国風です。 ★A5 “Miss Fit” (4:01)も、男性の声のみでリズムを作り、そこにオペラチック?キャバレーな?な女性Voが乗る曲です。ここまで来ると、美声過ぎて、気持ちが悪くなる位です。 ★A6 “We Wait For The Moment / Connecticut” (3:33)は、シンセの発射音と通信音で始まり、バックでシンセのパルス音と男性コーラスがずっと流れており、途中からアメリカンな古き良き時代を想起させられるような曲調になったりして、構成もしっかりしています。 ★B1 “Cha Cha” (4:07)では、ホーン類やDrsの伴奏に合わせて、メインの美声男性Voが想いもたっぷりに歌っています。それを支えるサブVoも良いアクセントになつており、全体の雰囲気はちゃんとチャチャチャのリズムになっており、スパニッシュ風です、 ★B2 “Grapsch!” (5:17)では、シンセのリズムとドラムマシン(?)とファンキーなBに合わせて、男性Voが、トランペットやタンテのスクラッチに合わせてリズミカルかつラップ調に歌っています。細かい細工が施されており、飽きません。この曲がアルバムを代表しているようで、シングルカットもされています。 ★B3 “Wanted: The Tyrell Corp.” (5:38)は、重積する声の倍音のイントロから始まり、ダンサブルなDrsとBと流暢なシンセに、女性コーラスとヴォコーダーVo(サンプリングも含む)との掛け合いから成る曲で、間奏ではスクラッチやPercの導入/ソロ等も聴取できます。 ★B4 “River Of No Return” (3:13)は、シンセの懐かしい調べと女性コーラスの織りなす伴奏に、呟くような男性Voが入ってくる曲で、日本の「夕焼け小焼け」のような歌です。 正直に言って、ロック・リスナーさん全員にお勧め出来るアルバムではないです。特にA面はクラシックのテノール風の男性Voが混成合唱団のようにアカペラで爽やかに歌いまくっており、これはかなり好き嫌いが分かれるだろうなと容易に予想できます。その好き嫌いと言うのは、声質やポルタメントをかけたような歌い方によるものが大きいだろうなとは思います。ただ、ほぼ声だけでここまで、多彩な音楽が出来るのには驚きますし、元々、コアな音楽を扱うことで有名なZensorがDie Zweiの作品をリリースしていたことを考えると、Die Zweiは只者ではないことも容易に理解できます。また、B面でのドラム等のバックの演奏を混えての曲も、何と言うか、テノール歌手が「ラップ調に歌っている」と言うとか「チャチャチャ風に歌っている」と言った怪しさ満点の曲が揃っていますので、よほど許容量が大きいリスナーさんでないと楽しめないかもしれないなとも思えます。しかしながら、曲のアレンジには、所々に細かい「変な」細工が施してあり、彼等が単に「クラシック出身者がロックしてみました」のではなく、そのフェイク感も含めて、自分らの確かな声楽的能力の上で、確信犯的かつ意図的にこのような「ヘンテコ」な音楽を作り出したのは間違い無いと思います。そして、アルバム・タイトルにあるように、一種の「米国的なもの」をワザと取り扱っているコンセプト・アルバムでもあり、そこら辺の目の付け所も、当時のNDW界にあって異質な感じもします(多くのNDWアーティスト/グループは米国音楽を避ける方向に動いていました)。そんなDie Zweiですが、もし興味があって、本作品を受け入れることが出来るリスナーさんは、相当NDW愛が強い人なのだと思います!! 取り敢えず、Let’s Try! A1 “The Harry Lime Theme” (2:58) https://youtu.be/l3oB-OwtRqg?si=HOh1Nub-L9vF6AWd A2 “45 Boys On The Beach Part 1” (2:57) https://youtu.be/AuWGtSPU6Oo?si=ecaZPoaCjwgGn4sZ A3 “Skyliner” (2:54) https://youtu.be/52uRBEum7gs?si=_N4BYEGz-Q3-8Krp A4 “45 Boys On The Beach Part 2” (2:29) https://youtu.be/vP4cnYhqMh8?si=lkuBVxbP1WZXRxhJ B1 “Cha Cha” (4:07) https://youtu.be/WIW4E6YIuco?si=okZNSFH8KdIYhvEN B2 “Grapsch!” (5:17) https://youtu.be/_H8UwR_6fRI?si=2EcBA7CqKUiB732t B3 “Wanted: The Tyrell Corp.” (5:38) https://youtu.be/qC8aO6z3HO0?si=6sM3eXguoX_JiqAI B4 “River Of No Return” (3:13) https://youtu.be/B_y60dTjjj4?si=ItdrOczDjGcpUWE9 #DieZwei #U.S.A.!U.S.A.!U.S.A.! #EastWestTradingCompany #CherryRedRecords #Zensor #FirstAndLastAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Experimental #ACappella #TenorVocal #Chorus #AmericanPopMusic #Electro #Leftfield #GerdScheuerpflug #UdoScheuerpflug #Collaborators #LisawetaProkofjewna #GüntherLinke #ImkeNagel #NorbertNagel #RolandNörpel #JosefRomeis #HubertHohmann #MarcKlein #FriederButzmann #EvertFraterman
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Chorus / Leftfield East West Trading Company / Cherry Red Records ¥2000Dr K2
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Holger Hiller “As Is”
やっと入手しました。Holger Hillerのソロとしてのサード・アルバム”As Is”です!クリア盤で、透明ビニールに直接プリントされたバックに盤が収められていると言う、ちょっと凝った装丁になっています。Hillerのバイオグラフィーについては既に書いてありますので、そちらをご参照して下さい。今回は、Holger Hiller (Sampler, Edit, Produce)の他、Russell Haswell (Edit), Stefan Van Campenhout (Drs, Perc), Mimi Izumi Kobayashi (Programming), Karl Bonnie (Arrangement)がゲスト参加しています。内容的には、A面7曲/B面5曲が収録されています。それでは、各曲について、ご紹介していきましょう。 ★A1 “Königinnen” (3:50)では、Van Campenhoutのダイナミックなリズムに、チェンバロ音や電子音、何かを叩く音等のサンプリング音が同期されており、そこに呟くようなHillerのVoが乗ります。前作のような明確なメロディの断片も無いです。最後は持続音で終わります ★A2 “Sing Songs” (2:13)は、竹を叩く音や男性合奏や部族の歓声等、様々なサンプリング音を見事に同期させ、ダイナミックなDrsが入ってくる曲で、かなり抽象的な感触です。 ★A3 “Bacillus Culture” (4:34)は、何処かのBのフレーズをサンプリングして反復させ、Drsと同期させたさせた曲で、Hillerが囁くVoでメロディアスに歌います。この曲が最もポップと言うか「音楽的」ですね。間奏では自身の声もサンプリングしてコラージュしている? ★A4 “Sur La Tête” (1:08)は、男女其々の声や合唱、キャッシャー等の様々な音をサンプリングして、同期させている小曲です。 ★A5 “Neighbours” (3:21)も、ベル音や何かの具体音をサンプリングして、リズミックにプログラミングして一定のパタンを作ることで「音楽」として成立させ、そこにHillerのVoを乗せています。 ★A6 “Abacus” (3:08)は、木製の摩擦音、女性の声や会話のサンプリングをリズミックに同期させて、歌でも楽器でも無い音として曲を作っており、プログラミングの妙で聴かせています。 ★A7 “Gut Und Böse” (4:28)では、キックやPercを使っており、電子音や具体音(水を注ぐ音等)をサンプリングして同期させ、「音楽」として再構築しています。また、Hillerは消え入るようなVoも披露しています。 ★B1 “You” (4:13)は、ピアノやダブルB或いはバックの電子持続音(これらもサンプリング?)、そして途中でのヴァイオリンの音もサンプリングし、とてもジャズVoには思えない無調Voから成る似非ジャズな曲です。。 ★B2 “Mosaik” (3:12)は、カエルの鳴き声?やヴァイオリンやバネの音、その他の正体不明な具体音をサンプリングしまくって、題名通りまるでモザイクのように、一定のリズムのパズルにはめ込んだ曲で、HillerのVoも入っていますが、スパッと切った音片がシャープです。 ★B3 “Egg” (3:15)は、四つ打ちキックとハイハットのリズムに、他の歌やら何らかのメロディやら机/金物を叩いた音等もサンプリングしたインスト曲で、シャープなプログラミングが冴えていますね。 ★B4 “Trojan Ponies” (1:46)も、それこそ色んな具体音のサンプリングを同期させて、更に割とハッキリしたVoを乗せることで、メタ・ソングとして成立させています。 ★B5 “Cuts Both Ways” (4:02)は、ノリの良いBラインとDrsに、何かを叩いた音やドアの軋み音、キャッシャーの音等々、様々な具体音で上物を構成していますが、ビートがあるとかろうじてポップの範疇に留まりますね。最後はクチャクチャした音のコラージュで締めています。 前作”Oben Im Eck”では、交響楽の大胆なサンプリングを多用して、既にメロディがあるものを使っての曲が目立ったのですが、今回は、寧ろ、何かを叩いたり、鳴き声や生活音等の具体音を使った、極めて抽象的な曲作りを行っており、これを「現代音楽」の世界ではなくて、ポップミュージックのジャンルに落とし込んでいる所が、Hillerの凄いところですね。嘗て、ピンク・フロイドがやろうとして断念した方法論を、サンプラーを使って見事にやり遂げています。かなり抽象的な音楽ですが、ピンク・フロイドのファンの方にも聴いて欲しいです!勿論、Holger Hillerファンにも!!後、Izumi Kobayashiとコンビを組んだことで、サンプリングした音をプログラミングさせて、同期させることで、一定のパタンをリズムに転換しているところも、Holger Hillerの特徴だと思います。 A5 “Neighbours” (3:21 https://youtu.be/1BK80l1akSw?si=3WcPEqfu1gKlgYuS [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mtWZYHZELKarQpR7CbHejnMkkzOem0Z6I&si=q-H27TqjY9xM7BGB #HolgerHiller #AsIs #MuteRecords #ThirdAlbum #ClearVinyl #PrintedTransluscentPackage #ExperimentalPop #Electro #Sampler #Guests #StefanVanCampenhout #MimiIzumiKobayashi #KarlBonnie #RussellHaswell
Experimental Pop / Sampling Mute Records £28.99Dr K2
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Holger Hiller “Oben Im Eck”
とうとう来ました!Holger Hillerのセカンド・ソロアルバム”Oben Im Eck (オーベン・イム・エック; 「隅っこにある」)”を今回はご紹介します。Holger Hillerのバイオグラフィーは既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品についてですが、サンプラーをメインに使った、壮大で、ちょっとだけヘンテコな音楽が詰め込まれており、ここら辺からHillerの本領発揮と言うところでしようか。この頃、彼は既にロンドンに住んでいたと思います。それで、今回は、Holger Hiller (Vo, Sampler, Programming, Mandola)の他、後にHillerの妻になるIzumi Kobayashi (Sampler, Programming, Triangle), 前作に引き続きMoritz von Oswald (Drs, Drainpipes, Xylophone)も参加していますが、ゲストにThe AssociatesのBilly MacKenzie (Vo [A1, A3, A5, B5])とKaori Kano (Vo [A4])も参加しています。そして、Mimi Izumi Kobayashi (A2, A5, B1, B5)以外の作曲はHolger Hillerが行っており、作詞は、Die Tödliche DorisのWolfgang Müllerが全曲担当しています。ミックスダウンは、Gareth Jones, Holger Hiller, Mel Jeffersonによって行われ、プロデュースはHolger Hiller自身が行っています。それと、本作品の日本盤が”Hyperprism”と言うタイトルでWaveから出ているのですが、別テイクが収録されており、内容はかなり違う印象とのことです(私は未聴なので、良くは分かりません)。入手して聴き比べてみたいですね。それで、本作品の内容としては、両面とも5曲ずつ収録されています。それでは、各曲について紹介していきましょう。 ★A1 “We Don't Write Anything On Paper Or So” (2:51)は、壮大なスケールで描いた映画音楽のような曲で、恐らく交響楽のようなオーケストラの音をサンプリングして同期させていると思いますが、所々でレジデンツ風のパートや女性Voが流れるように浮かぶ部分もあり、伊福部昭の曲を想起しました。 ★A2 “Tiny Little Cloud” (3:15)は、サンプリングされたダブルBの軽快なリズムと生楽器によるコロコロした室内楽的演奏から成る曲で、フェイクなのに本物っぽいところが凄いです! ★A3 “Whippets” (3:20)も、フェイクなオーケストラによる演奏で、そこに中近東風の女性らしきVo(これがMacKenzieの声?)が声を張り上げて歌っている曲です。 ★A4 “Waltz” (4:11)は、表題通りワルツのリズムで、少しだけオリエンタルな雰囲気のある曲で、透き通るような女性Vo(Kaori Kano)とホーン類の音及び中近東民族音楽の打楽器や笛の音をサンプリングして作られたと思いますが、最早、生楽器との差異が分からないです。 ★A5 “Oben Im Eck” (2:31)は、男女の囁くようなVoから成る、非常にゆったりした曲で、リズムはタンバリン風の簡素なもので、男性Vo(と女性コーラス)が、細々と呟くように歌っています。シャンソン風? ★B1 “Warm Glass” (3:57)は、細やかなチェンバロ風とメロディと強力でヘビーなキックに、逆回転する音やE. Neubautenの曲や低音Bやピアノ等のサンプリングの緻密な組合せから成る曲ですが、ビート感は余りありません。 ★B2 “Die Blätter, Die Blätter...” (3:19)は、ブクブ した水音のイントロから始まり、マーチングドラムに、Hillerの呟くような多重録音されたVoと重いキックから成る曲で、印象は1960-1970年代のTV番組、そう!例えば「ジャングル大帝」とかのイメージです。 ★B3 “Sirtaki” (3:10)は、現代音楽風のイントロから始まり、マリンバの旋律/メロディが主たる曲で、しかもその音も左右にパンされています。時にDrsやVlnも入ってきます。Drsはマーチングドラムのパターンです。 ★B4 “48 (Achtundvierzig) Kissen” (3:13)では、マリンバとホーンと民族音楽風の打楽器と弦楽器に声のようなサンプリング音の組合せの中に、レジデンツ風の男性Voが怪しく呟くように歌っています。 ★B5 “Oben Im Eck (Version)” (2:32)では、最初はドローンで始まり、ゆったりとしたリズムで、サンプリングされたタンバリンやアコギらしき音を伴奏に、男女のVoが呟くように歌っており、そのバックのドローンやチェロ等の伴奏を伴っています。 いゃ〜正直、唸ってしまいました。所謂、ポップミュージックではないのですが、本作品に収められているトラックの曲調は、ちょっと昔の映画音楽のようであり、その壮大さに圧倒されます。ちょっとHolger Hillerのことを舐めてました。彼が何故、このような曲調にしたのか?その真相はよく分かりませんが、それまでの実験テクノポップでも無ければ、骨折ファンクでもなく、非常に上手くサンプラーを使いこなしてします。恐らく、Izumi Kobayshiも影響も大きかったと想像します。サンプラーと言うとコラージュ感が強いかもしれませんが、このアルバムでは、サンプリングされた音は自然に澱みなく流れるように結合されており、そのテクは素晴らしいと一言です。また、映画音楽的な壮大さも特筆すべきですね。もし、映画音楽とかオーケストレーションな曲が好きであれば、是非聴いて観て下さい!マスト・アイテム! https://youtu.be/jYkDFdFNr3s?si=Lrc5kHVF-jOZtKCk #HolgerHiller #ObenImEck #MuteRecords #1986年 #SecondSoloAlbum #NeuDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #Sampler #Sampling #Guests #IzumiKobayashi #MoritzVonOswald #BillyMacKenzie #KaoriKano #Lyrics #WolfgangMüller #Wave #Hyperprism #JapanOnly #DifferentVersion
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Mute Records £16.49Dr K2
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Holger Hiller “Demixed”
天才Holger Hillerのソロ・アルバムとしては4枚目にして、タイトル通りDemixed (Remixed)アルバムです。Holger Hillerは、Palais Schaumburg脱退後、1984年から、ロンドンに移り住み、Mute Recordsのプロデューサーとして働き始めます。1988年には、ビデオアーティスト羽田明子とKarl BonnieとOh! Hi Bang Bangと言うバンド?を始め、12㌅マキシ・シングルとCDVideoと言う2つのフォーマットでリリースしています。と言うような活動もしていましたが、2003年からはベルリンに移り、英語教師をしています。 それで、本作品なのですが、「クラウトロック大全」の小柳カヲル氏によると、新曲は1曲のみで、他はそれまでのHillerの曲のリミックスと言うかデミックス・ヴァージョンから成ります。因みに、Kitschfingerとは、弟子のAndreas Dorauのことで、A.J.とは、ヒップホップ・グループBorder CrossingのAlex Angolのことです。Julian Briottetは、ロンドンのダブソニック・グループRenegade Soundwave関係の人物らしいです。Paul Treeは調べても分かりませんでしたが、Russellは恐らく、Russell Haswellのことでしょう。Paul Valentineは、テクノやハウス辺りで活動しているリミキサーのようです。また、O.C.P.も全く分かりませんでした。クラブ・カルチャー関係は不勉強の為、良く分からないので、教えて貰えると有り難いです。なお、A4は、元NMEの記者Chris Bohnが書いた曲らしいですが、Steveが誰かは不明です。また、A1とA5は、Holger HillerとKarl Bonnieの共作で、前作”As Is”に収録されています。そんな訳で、良く分からないアーティストによってデミックスされたHolger Hillerの曲がどうなっているか、各曲について聴いていってみましょう。 ★A1 “Yum (Demixed By O.C.P. )” (6:52)は、軽めのビートに合わせて、Hillerの呟くようなVoが多層化して聴こえる曲で、Synth-Bは割とミニマルに抑えてあります。時に聴こえる金属質なリムショットが心地良い。 ★A2 “Wrong (Demixed By A.J.)” (3:18)は、サンプリングした雑踏音をリズムとして使い、リズムマシンと同期させた曲で、原曲の持ち味が生きています(今なら皆んな考える方法かな?)。 ★A3 “Me Too (Demixed By A.J.)” (4:58)は、強力な四つ打ちリズムで始まりますが、やはりサンプリング音をリズミックに同期させている所が見え隠れします。 ★A4 “Neighbours (Demixed By Steve)” (3:47)では、民族音楽調なリズムに、Hillerが語るように歌っており、リズムの後ろにはサンプリング音らしき音が聴こえて、それが良いアクセントになっています。 ★A5 “Cut (Demixed By Julian Briottet)” (5:45)も、四つ打ちキックで始まり、スネアの音等がサンプリングされた金属音だったり、伴奏がそれらの音のループだったりで、隙が無いですね。 ★B1 “Count (Demixed By Kitschfinger)” (3:03)では、人声のサンプリング音をリズムに組み合せて、まるで「音」が歌っているかのようなミックスになっています。途中からシーケンスも出てきます。 ★B2 “Passion (Demixed By A.J.)” (5:28)は、水音のサンプリング音からヒップなリズムトラックに移行しますが、やはり人声のサンプリングが歌のように聴こえます。後半にはランダムなラジオ音等も合わせてきます。 ★B3 “XXX (Demixed By A.J.)” (5:10)は、アフリカ系民族音楽のリズムで味付けしたヒップなリズムトラックに、Hillerのサンプリング音を無理クリ合わせてくる荒技を使っています。 ★B4 “Egg (Demixed By Kitschfinger)” (5:45)は、強力なリズムに合わせて、電子音らしき音を中心に組み合わせており、他の曲とはやや趣きが異なります。 ★B5 “Hose (Demixed By Paul Tree And Russell)” (3:18)は、一聴、惚けたようなリズムで始まりますが、そのうち、Hillerの間の抜けたようなVoも挿入されたり、スクラッチ音も入ったりします。 ★B6 “Sing Songs (Demixed By Paul Valentine And Julian)” (3:28)では、やや勢いのあるリズムトラックに、声のサンプリング音等が同期しており、タイトル通り「音」が歌ってますね。あとベースラインが凄いです。 やっぱり、Holger Hillerはどこまで行ってもHolger Hillerですね。これだけ弄られていても、一聴して、「あれっ、これってHolger Hiller?」と分かってしまう程、当時としては音の個性が強烈でしたね。当然、当時の機材的な制約もあり、リミックス作業が困難であったことも容易に想像し得るので、それ程、突っ込んで紹介してはいませんが、やはりHolger Hillerっぽい音がそこここに聴こえて、これは”Remixed”ではなく、”Demixed”なんだなあと感心してしまいます。また、クラブ・ミュージックとしても聴くことは可能ですので、そう言う聴き方もしてみてはどうでしょう(かなりヘンテコですが)? [アルバムを纏めた動画はなかったので、個々の動画を貼っておきます] A1 “Yum (Demixed By O.C.P. )” (6:52) https://youtu.be/3m16cyEubBU?si=dF4dsVQcs345sqGg A2 “Wrong (Demixed By A.J.)” (3:18) https://youtu.be/l3AkMrK9x10?si=QTU9FMG4sDlkmxYK A3 “Me Too (Demixed By A.J.)” (4:58) https://youtu.be/4drinyeEHOw?si=gnHraJwsMaKHtawF A4 “Neighbours (Demixed By Steve)” (3:47) https://youtu.be/6zgcorImUS0?si=xSqXz5uMyU7e3yRZ A5 “Cut (Demixed By Julian Briottet)” (5:45) https://youtu.be/3b5mg4o75Kg?si=I0hb2R__z9MGrE54 B1 “Count (Demixed By Kitschfinger)” (3:03) https://youtu.be/UWtqSlR0DeU?si=_P8bOFzGnt_GOEdN B2 “Passion (Demixed By A.J.)” (5:28) https://youtu.be/WoKWnW5eS7U?si=B3lrg7phOIa7p0mj B3 “XXX (Demixed By A.J.)” (5:10) https://youtu.be/-EyK38rJHc4?si=rr09dNN5jMf_y-FI B4 “Egg (Demixed By Kitschfinger)” (5:45) https://youtu.be/QsbZKxgahoI?si=2pet9Sp9R_hrG_yw B5 “Hose (Demixed By Paul Tree And Russell)” (3:18) https://youtu.be/gZUtUq6b44o?si=cQVb2SUryRpC4ZW_ B6 “Sing Songs (Demixed By Paul Valentine And Julian)” (3:28) https://youtu.be/xsx7qGP0Qo8?si=T0fwKZAAG5WaFyOs ooo #HolgerHiller #Demixed #MuteRecords #SoloAlbum #LeftfieldTechno #Experimental #RemixedAlbum #O.C.P. #A.J. #AlexAngol #Steve #JulianBriottet #Kitschfinger #AndreasDorau #PaulTreeAndRussell #RussellHaswell #PaulValentineAndJulian #Sampling #ClubMusic
Experimental / Leftfield / Club Music Mute Records 不明Dr K2
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Robert Görl “Night Full Of Tension”
Robert Görl, 彼はDAF(Deutsch-Amerikanische Freundschaft)のドラマーです。しかしながら、解散・再結成を繰り返していたDAFの合間に、彼はソロ作品を作っています。本作品もその一つです。彼自身のバイオグラフィーは書いていませんでしたので、復習がてらちょっと紹介していきます。 Robert Görlは、12歳の時、ジャスドラマーFreddie Brocksieperにドラムのレッスンを受けており、1974年には、ハプスブルクのLeopold-Mozart音楽院で、クラシック音楽のトレーニングも受けており、1976年からグラーツ大学で音楽を専攻しています。その頃、大学の授業と並行して、ジャズにものめり込んでいます。1978年には、一端休学してロンドンに渡り、そこてパンクの洗礼を浴びています。同年、Düsseldorfで、Gabi Delgado-Lopezと出会い、DAFを結成します。1979年〜2003年に、合計7枚のDAFのスタジオ・アルバムを作製し、リリースしています。1982年に、DAFは、アルバム”Alles Ist Gut”で、独レコード賞を受賞しますが、1983年には2人は袂を分かちます。Görlは1981年には、英Eurythmicsのアルバム”In The Garden”でドラムを叩いており、1984年のGörlのソロアルバム”Night Full Of Tension”には、EurhythmicsのAnnie Lennoxが参加して、”Darling Don’t Leave Me”でデュエットしています。1986 年に再結成した DAF は、初の英語アルバム”1st Step to Heaven”をリリースします。しかし、1989年に、Görlは重大な自動車事故に見舞われ、その後、彼は仏教徒となり、3年間アジアを旅して修行していました。 帰国後、1990年代にPeter Wachaのミュンヘンのテクノ・レーベルDisko Bから様々なソロ・アルバムやシングルをリリースしています。2000年〜2002年に、Görlは、DAFの再復活のことで、Gabiと話し合い、2003年初頭にアルバム”15 Neue DAF Lieder”が作製され、同年、DAFは初来日しています。しかし、2005年11月に、再びDAFは解散します。しかし2008年には、復活し、アニヴァーサリー・ツアー”30 Years Of DAF”を開催、2010年9月に、限定販売でシングル”Du Bist DAF”をリリースしています。しかしながら、Gabiは、DAFの新録アルバムを計画中の2020年に61歳の若さで他界してしまいます。Görlは、プロデューサーのSylvie Marksの協力を得て、Grönland Recordsから1980年代の未発表DAFサウンドシーケンスを使用して、”Nur Noch Eine”というタイトルでDAFのラスト・アルバムを2021年にリリースしています。 以上が、Robert Görlの略歴となります。本作品も、先述のように、EurythmicsのAnnie Lennoxが参加している曲A1 “Playtime”やA3 “Charlie Cat”及びB3 ”Darling Don't Leave Me”も収録されており、両面4曲づつ入っています。それでは、各曲を紹介していきたいと思います。 ★A1 “Playtime” (3:54)では、DAF風のシーケンスと生Drsのビートに、GörlとLennoxが輪唱のように歌い上げており、特にGörlのVoは優男風のセクシーさを感じさせますね。音数はやはり少な目です。 ★A2 “I Love Me” (5:31)では、直線的なシーケンスと生Drsが生み出すビートに、投げつけるようなGörlのVoが意外に良く合っています。バックのマリンバが良い隠し味になっています。 ★A3 “Charlie Cat” (3:40)は、キラキラしたシンセのリフとDAF風のシーケンスをバックに、LennoxがメインVoを取る曲で、普段は余り使われないシンセのリフ(音数)が多めに聴かれます。 ★A4 “Gewinnen Wir Die Beste Der Frauen”(4:49)は、フェイドイン/フェイドアウトするスローでダークな曲ですが、DrsはやはりGörlのドラミングだなあと感心しました。また、GörlのVoはシリアスかつシアトリカルに歌っています。 ★B1 “Queen King”(4:54)は、陽性のシーケンスと強靭な生Drsに、Görlが切々と歌い上げている曲です。シンセのリフも多めになっていますので、余り「DAFっぽくない」印象を受けますね。寧ろ「1980年代UKのエレ・ポップ調」です。 ★B2 “Love In Mind”(4:45)でも、確かにシーケンスはDAF風なんですが、Görlが朗々と歌い上げており、寧ろDAFの呪縛から離れた「新境地」と言うところでしようか?にしてもGörlの声質は甘くてセクシーですね。 ★B3 “Darling Don't Leave Me”(3:39)は、シングルカットされた曲で、2人、特にLennoxの多層化したVoがメインの部分を聴いていると、「これはひょっとしてEurhytmics?」と勘違いしてしまいそうです。 ★B4 “Wind In Hair”(4:19)は、ある意味、DAF風の「可愛らしい」シーケンスと生Drsのビートに、またもやGörlが切々と歌っている曲なんですが、当たり前ですが、Gabiとは違う声質とか歌い方なんだなぁと感心してしまいます。 元DAFと言うだけで、どうしても、Virgin3部作の「汗、筋肉、ゲイ・カルチャー、機械」と言った音楽と比べてしまい勝ちですのが、そう言うと、本作品は、確かにソフィストケートされた印象を受けるかもしれません。特に、Annie Lennoxがフィーチャーされた曲なんかは、「Eurhythmicsの曲」のようにも聴こえるかもしれませんね。でも、逆を言えば、それだけのポピュラリティーを持った曲でもある訳で、それだけの理由で捨てるのは勿体無いと思います。なので、ゴリゴリのDAFのファンには余りお勧めしませんが、強めのエレ・ポップ好きな方は一度聴いてみてはどうでしょう?ハマるかもよー。 [YouTubeに上がっていたのは以下の曲のみでした] A1 “Playtime” (3:54) https://youtu.be/DzvXFK5UlK4?si=2bfvTJJLxCsKCRUR B2 “Love In Mind”(4:45) https://youtu.be/A6x5SNs7ucA?si=OQLt9Gom8mgkKB0P B3 “Darling Don't Leave Me” (3:39) https://youtu.be/M95Dws35cKQ?si=Yn9LeYAcmAAxAtZf #RobertGörl #NightFullOfTension #MuteRecords #FirstSoloAlbum #Electro #SynthPop #ElectroPop #Popularity #Sophisticated #DAF #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Guest #AnnieLennox #DarlingDon’tLeaveMe #Playtime #CharieCat
Electro / EBM (Neue Deutsche Welle / German New Wave) Mute Records €16.00Dr K2
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Propaganda “The Nine Lives Of Dr. Mabuse”
皆さんはPropagandaを知っていますか?元々は、私も余り良くは知らずに聴いていたのですが、結構、メンバーの出入りが激しく、また売れたバンドなんですね。今回、調べてみて良くわかりました。特に、最初のシングル”Dr. Mabuse(ドクトル・マブーゼ)”は有名ですね。 それでは、Propagandaのバイオグラフィーを初期の頃だけ書いておきます。Propagandaは、1982年に独Düsseldorfで結成されたシンセ・ポップ・バンドで、元々は、Die KruppsのKbd奏者Ralf Dörper (ラルフ・デルパー)とAndreas Thein (アンドレアス・サイン)が、1982年夏に独エッセンのZero Green Studio(ここにはPPG Synthがあったので)で録音した2曲"Disziplin (ディスツィプリン)"と"Sünde (ズュンデ)"を持って、Susanne Freytag (Vo; スザンヌ・フレイターク)と共に、Dörperのソロアルバムを英レーベルOperation Twilightから出す計画で渡英した際に、NMEのChris Bohnがこれを聴いて、ZTT RecordsのTrevor Hornを紹介。それが縁となって、1983年と言う早い時期にZTT Recordsと契約しています。翌年には最初のシングル”Dr. Mabuse (ドクトル・マブーゼ)”をリリースし、1985年にはデビュー・アルバム”A Secret Wish”をリリースしており、シングル2枚”Dr. Mabuse”と”Duel”(1985年作)は、英国トップ30/21となり、大ヒットを記録しています。因みに、”Dr. Mabuse”はオーストリア人監督Fritz Langの1922年作の映画のタイトルです。ただ、セカンド・アルバム”1234”では、大幅にメンバーが替わり、Virgin Recordsからリリースされましたが、前回程の商業的成功は得られなかったようです。その後も何回かメンバーのマイナーチェンジをしており、現在もオリジナルVoであるClaudia Brücken(クラウディア・ブリュッケン)とSusanne FreytagがxPropagandaとして活動しています。 かなり、端折りましたが、Propagandaは、元々は、Die KruppsのRalf Dörperのソロが目的だったのですが、ZTT RecordsのTrevor Hornと関わることで、シンセ・ポップへと軌道修正していったバンドなんです。このマキシ・シングル”Dr. Mabuse”の製作に当たっては、コンポーザーのMichael Mertensも関わり、また、Voとして、Claudia Brückenも加わることになったようです。なので、表面上は、Claudia Brücken, Ralf Dörper, Susanne Freytag, Andreas Theinがメンバーとなっています。先述のように、”Dr. Mabuse” は売れましたので、様々なTV番組にも出演しており、特にChannel 4のThe Tubeに出演した時には、何と!Throbbing Gristleの”Displine”のカバーも演奏したとのことです。まぁ、そこら辺は置いておいて、このマキシ・シングルの各曲をそれぞれご紹介していましょう。B1はVelvet Underground &Nicoのカバー曲です。 ★A “Das Testament Des Mabuse” (10:14)は、強力なダンサブルなエレクトロ・リズムに、女性Voが乗り、バックに弦楽器風シンセが味を付けている曲で、バックは如何にもエレクトロ時代のDie Kruppsの頭脳Dörperだなと感じますね。途中のドラムマシン・ソロとダブっぽい処理なんかは、Trevor Hornのアイデアなのでしょうか? それと後半は何だか別曲になっているように思えますが、、、? ★B1 “Femme Fatale (The Woman With The Orchid)” (3:19)は、原曲と違って、マーチングリズムと朗々とした女性Voから成る曲に編曲されており、Synth-Bやリズムマシンも大胆に使われています。 ★B2 “(The Ninth Life Of...) Dr. Mabuse” (4:06)は、B1の最後のフレーズの低速再生から速度を上げていき、メタルジャンク音を加えているところから始まり、逆回転ドラムマシンと女性Voのサンプリング音等でゴチャゴチャになった後、如何にもなディスコティックなリズムが出てきて終わります。 ん〜正直、Propagandaのこのマキシ・シングルは、何がやりたいのか?意図が掴めかねますね。もっと単純にダンス・ミュージックならダンス・ミュージックに専念した方が良かったのでは?と思ってしまいます。確かにDörperには、この作品に詰め込めるだけのアイデアとテクがあったとは思うのですが、全部詰め込んでしまうと、作品としてはちょっと散漫な印象を感じてしまいますね。なので、多分、私は昔買った時から、余り聴いていなかったのだと思います。まあ、聴き方を変えれば、凄くテクを使っていますので、それを堪能することも可能だと思いますし、なんたって、1984年には大ヒットした訳ですので、曲自体は名曲だと思います。もし、チャレンジしたい方はどうぞ! A “Das Testament Des Mabuse” (10:14) https://youtu.be/MxOaokdqRSA?si=oA_tivpdg08j_auU B1 “Femme Fatale (The Woman With The Orchid)” (3:19) https://youtu.be/ND22sjpXF3g?si=GXHlZ1xLaZig31AJ B2 “(The Ninth Life Of...) Dr. Mabuse” (4:06) https://youtu.be/7oh9mkHFe_Y?si=mcgTVU8nj595xBFk #Propaganda #Dr.Mabuse #FirstRecord #12inchMaxi-Single #ZTT #Polyster #IslandRecords #日本盤 #ElectroPop #DanceMusic #GermanNewWave #Synthesizers #DasTestamentDesMabuse #FemmeFatale(TheWomanWithTheOrchid) #(TheNinthLifeOf...)Dr.Mabuse #ClaudiaBrücken #RalfDörper #SusanneFreytag #AndreasThein #MichaelMertens
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro-Dance Music ZTT / Island Records / Polyster 不明Dr K2
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Deutsch-Amerikanische Freundschaft “Absolutely Body Control”
今回は、Deutsch-Amerikanische Freundschaft、略してDAFのリミックス盤をご紹介します。このマキシ・シングルは、Virgin Trilogy (有名なDAFの3部作)の後、一旦解散したDAFが直ぐに(1985年)、再結成して、その時にリリースされたアルバム”1st Step To Heaven”の販促の関係で、英語圏をターゲットに出されたアイテムです。当然、アルバムも歌詞やタイトルは全て英語になっていました。ただ、このアルバムはスウェーデンのチャートを除いて、チャートインすることは無かったのですが、このことに対して、Gabiは「俺たちは、自分達に課したルールを破らなきゃいけなかったんだ。だから、俺は英語で歌ったのさ。それにもう黒いレザーの服を着ることも無い。」とコメントをしています。まぁ、確かにイメチェンは必要だったのかもしれませんが、商業的には失敗でしたね。しかしながら、そうしたチャレンジがDAFの本質を露呈したとも言え、英国BBCのRadio 1のDJ John Peelは、DAFを「テクノのゴッドファーザー」と呼んでいます。まぁ、それはそう言う賞賛もあるとして、ある意味、先述のアルバムと一緒にリリースされた本作品(ミックス違いのシングルカット)はどうなのか?ちょっと心配だったんですよね。と言う訳で、本作品を聴いてみて、また考えてみましょう。 ★A “Absolute Body Control (Mix II)” (5:26)は、今までのDAFと異なり、音数もやや多く、また英語の歌詞で歌われています。正直、シーケンスにも余りDAF臭さはなく、バックにも(余計な)シンセなんかが入っており、単なるエレクトロ・ダンス・ミュージックに聴こえてしまいますね。 ★B “1st Step To Heaven (Instrumental)” (6:40)は、アラビックな音階を使ったエレ・ポップで、インスト曲の為か、音数も多く、シーケンス・パターンも余りDAFらしくはないです。またパーカッション等も入っており、DAFの無駄を削ぎ落としたダンス・ミュージックからは180°転換していますね。 良い悪いは別として、ここら辺がDAFの過去との決別の分岐点であったように思います。Virgin Trilogyで入ったリスナーさんは多分面食らったと思いますが、ここから入ったリスナーさんはカラフルなエレクトロ・ダンス・ミュージックで踊っていたのではないでしょうか?まぁ、正直、私は前者なのですが、それでもDAFの行く末を見守りたかったです。残念ながら、Gabiが2020年3月22日に急逝してしまいましたので、それは叶いませんでしたが。まあ、ボチボチ、出ているレコードを聴いて行こうと思います! Side A “Absolute Body Control (Mix II)” (5:26) https://youtu.be/cY77_M5w19g?si=q53_1RjQlOEAWIY1 Side B “1st Step To Heaven (Instrumental)” (6:40) https://youtu.be/_AscBdfTNKQ?si=xuCASJE4SNQ0F4we #Deutsch-AmerikanischeFreundschaft #DAF #AbsolutelyBodyControl #SolidMix #1stStepToHeaven #InstrumentalVersion #IlluminatedRecords #12InchMaxi-Single #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Electro #DanceMusic #Synthesizers #Sequencer #Drums #GabiDelgado-Lopez #RobertGörl #GodfatherOfTechno
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop Illuminated Records 1550円Dr K2
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Malaria! “New York Passage”
Malaria!については、以前にも取り上げましたが、元々、全員女性バンドであったMania D.から発展したバンドで、こちらも全員女性バンドになっています。以前にも紹介していますので、あらましについては、前回のバイオグラフィーをご参照下さい。それで、Malaria!は、1981年、西ベルリンで、Gudrun Gut (Drs, B)とBettina Köster (Vo, Sax)によって結成されており、同年、セルフタイトルの12インチ・マキシ・シングルを出しています。その中に収録されている曲B1 “I Will Be Your Only One”が、今回は5人のメンバーで、かつニューヨーク録音によって、A面”Your Turn To Run”に生まれ変わったんです。他の3人と言うのは、Susanne Kuhnke (Synth, Kbd), Manon Duursma (G), Christine Hahn (B, Drs)です。テンポも上がって、バックの音も厚くなり、Voも多重録音することで、かなり垢抜けた印象になりました。B面もポストパンク的なアレンジが為されており、随分と雰囲気が変わっています。実際、このシングルが最も売れたアイテム(USでもヨーロッパでもインディーズ・チャートでトップ10に入っています)で、これがキッカケで、The Birthday Party, John Cale, Nina Hagenとツアーも出来るようになりました。また、本シングルの”Your Turn To Run”及び他2曲(“You You”と”Gold/ Money”)は、米国人監督Anne Carlisleによる、独逸のドキュメンタリー映像”Super 80”にもMVが使われています。あと、彼女等は、英詞で歌っていることも多く、割と早いうちから、英語圏への進出を考えていたのかなとも思います。でも、私が好きな曲は独逸語歌詞の曲なんですよね。と言う訳で、Malaria!で最も有名なシングルを紹介していきます。A面はEnglish Sideとして、先述の曲1曲で、B面はDeutsch Seiteとして2曲、収録されています。それでは、それぞれの曲をご紹介していきます。 ◼️English Side ★A “Your Turn To Run (I Will Be Your Only One)” (4:11)は、太いSynth-BとドコドコしたDrsのリズム隊に、ポストパンクっぽいGと朗々としたVoや囁くようなVo (ひょっとしたら別人?)が自在に絡む、正にMalaria!らしい名曲ですね。間奏のSaxもグーだし、終わり方も秀逸です。元曲”I will Be Your Only One”よりもずっと垢抜けています。 ◼️Deutsche Seite ★B1 “Zarah” (3:20)は、虫の音みたいなシンセで始まり、やはり都市民族的リズム隊が入ってきて、それに合わせておどろおどろしいようなVoが入ってくる曲で、GよりシンセやVoに重心を置いているところがMalaria!っぽいです。 ★B2 “Duschen” (4:14)では、ややフリーっぽいDrsとBをバックに、Voが入ってきたと思ったら、いきなりアップテンポで走り始めていき、サビで一旦落ち着くのですが、また走り回ります。間奏のSaxやChoirも良いアクセントになっています。 個人的には、Deutsche Seiteの方が好みなのですが、まぁ、それは人それぞれと言うことで。それにしても、A面は相当、垢抜けていると思われます。それと、裏ジャケの彼女等の写真がカッコ良いこと! 皆さんもこれを聴いて、独逸産都市部族的音楽を堪能してみて下さい! https://youtu.be/hQCDbguGeT0?si=r_wEwmfGV39pEjGo [オマケ: A面元曲”I Will Be Your Only One”] https://youtu.be/rC1aOSfjmqA?si=gUuyG_N2RD8jb8dk #Malaria! #NewYorkPassage #JungleRecords #DasBüro #12inchMaxi-Single #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #AllFemaleBand #EnglishSide #YourTurnToRun #IWillBeYourOnlyOne #Re-Recording #DeutscheSeite #Zarah #Duschen #GudrunGut #BettinaKöster #SusanneKuhnke #ManonDuursma #ChristineHahn
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Jungle Records / Das Büro 3300円Dr K2
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V.A. “Neuengamme”
このコンピは、元々は、かの有名な英ノイズ・レーベルBroken Flagが、1982年に限定でリリースした、当時のノイズ・ミュージック界を展望できるアルバムなんです。後に、非公式に再発されており、それが今回、ご紹介するアルバムです。ジャケ写はFaustのアルバムのように差し替えられていますが、内容はオリジナルと同じようです。因みにタイトルの”Neuengamme (ノイエンガムメ)ですが、これはハンブルクにあったナチスの強制収容所の名前で、如何にもBroken Flagらしいですね。大部分は英国のグループですが、Esplendor Geometrio (スペイン)やM. B. (イタリア)、P.16 D.4 (ドイツ)からの参加もあり、歴史的資料としても重要と考えられます。Broken Flagについては、Ramlehのところで書いてありますので、そちらをご参照下さい。 それでは参加グループと各曲の紹介をしていきます。 ★A1 “Fanfare” (0:18)は、文字通りのホーン(ラッパ)による開始の合図(ファンファーレ)です。 ★A2 Sutcliffe Jugendは元WhitehouseのKevin Tomkinsのユニットで、曲“Right To Kill” (4:00)は、頭に響くGのフィードバック音と叫び声(ちょっと裏返ったりもする)のようなVoから成る曲ですが、この曲はWhitehouseのカバーでしょうか? ★A3 Whitehouseは今やCut Handでも有名なWilliam Bennettを中心としたバンドで、この頃だとAndrew McKenzie (The Hafler Trio)とSteven Stapleton (Nurse With Wound)かPeter McKayが在籍していたのだと思われます。曲“Whore Cull / Action 5” (7:00)は、ホワイトノイズ多めなシンセによるノイズ音と聴き取りにくいWilliam Benetteの白痴的Voから成る曲ですが、途中からロングディレイ音やショートループ音が入ってきて、益々混乱していきます。 ★A4 KleistwahrはBroken Flagを運営しているGary Mundyのソロユニットで、曲“Flesh Razor” (2:26)では、地を這い回るような気持ち悪い電子音をひたすら奏で続けます。 ★A5 Esplendor Geometricoはスペインのテクノイズの源流となったバンドで、この頃はArturo LanzとGabriel Riaza(ひょっとするとJuan Carlos Sastreも)がメンバーで、曲“Untitled” (4:36)は、スペインの機械偏執狂で、意外にも四つ打ちキックとパルス音らしきシンセ音/シーケンス音から成る曲です。ちょっと大人しい印象です。 ★A6 Consumer Electronicsも元WhitehouseのPhilip Bestが中心になって作ったバンドで、この頃のメンバーとかは不明です。曲”Keloid” (3:50)は、TV音と共に不穏に動き回るシンセが鳴り響き、更には、フィードバック音も絡んできます。 ★A7 Ramlehはこの時期はGary MundyがBob Strudwickと組んでいたデュオで、曲“Koprolagnia / Circle Of Shit” (3:42)は、歪んで歪んだ電子音とデスVoから成る古典的パワエレな曲で、左右のパンとかに振ったりして、音的にも凝っていたりします。 ★A8 Phallus DeiはOliver Strahl Lingamが中心になって結成されたノイズ・バンドですが、この頃の他のメンバーは不明です。曲“Necrophilia” (2:40)は、頭が痛く成るようなGのフィードバック音と乱暴なデスVoから成る曲で、VoはやがてLFOの中に埋もれていき、ノイズ化してしまいます。ひょっとしてBも使っている? ★B1 Ramleh “Drancy” (4:00)も、いきなり強靭な電子音で始まり、それが時に引き攣れたり、雄叫びを上げたりする曲で、後半には通奏低音も聴取出来ます。 ★B2 M. B.は伊の本名Maurizio Bianchiのことで、宅録ノイズの創始者でもあります。曲“Acido Prussico (8:23)は、不安を煽るような浮遊すらシンセ音と、それに掛けたエフェクト(多分、ディレイ)から成る曲で、聴いていると鬱々とした気分になっていきます。 ★B3 P.16 D.4は独のPDが発展的解消して生まれた密室系実験ノイズ集団で、メンバーはRalf Wehowsky, Gerd Poppe, Roger Schönauer, Achim Szepanski或いはEwald Weberから成っていました。“Kühe In Halbtrauer” (5:38) は、彼等のファースト・アルバムの表題曲ですね。ヴァージョン違いのような気がします。この中では異質な緻密コラージュ・ノイズです。 ★B4 Krangも一時期、Whitehouseに在籍していた豪州出身のJohn Murphyのソロユニットで、曲“Krang Lives” (6:25)は、ライブ音源なのでしようか?前面には短波ラジオのチューニング音が出ており、バックで何やら不穏な電子音らしきノイズが蠢いていますが、段々と暴力的になっていきます。 ★B5 Consumer Electronics “Fuck The I.R.A.” (2:44)は、ナレーションから始まりますが、直ぐにエコーが掛けられ、G(? Vo?)らしき楽器のフィードバック音塗れになってしまい、突如終わります。 前から聴きたかったコンピですが、今聴くと、流石に「時代」を感じてしまいますね。パワ・エレって今でこそ、「強い」とか「怖い」イメージがありますが、最初はヘナチョコな女々しい感じだったんだよなぁと再確認できました。一つの音楽史上の流れを上手く切り取ったコンピだと思いますので、ノイズ・ミュージック、特にパワ・エレの歴史を探りたい方は、お得なので聴いておいた方が良いでしょう❗️ [original full album] https://youtu.be/5WRJwW9q3dI?si=ri_9ucl9SmKMW0pe #VariousArtists #Neuengamme #RemoteControlRecords #BrokenFlag #Reissue #Unofficial #Noise #Industrial #PowerElectronics #CompilationAlbum #UnknownArtist #SutcliffeJugend #Whitehouse #Kleistwahr #EsplendorGeometrico #ConsumerElectronics #Ramleh #PhallusDei #M.B. #P.16D.4 #Krang
Noise / Industrial / Power Electronics Remote Control Records (Broken Flag) 2980円Dr K2
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The Flying Lizards “The Secret Dub Life Of The Flying Lizards”
あの段ボールをドラム代わりに叩いて、無機質な女性ヴォーカルと覇気の無いギターのみで、一世を風靡したThe Flying Lizardsの4枚目の最終アルバム“The Secret Dub Life Of The Flying Lizards”を紹介します。The Flying Lizardsは、バンドではなく、寧ろちゃんと音楽教育を受けた作曲家David Cunninghamのでっちあげた、ロック/ポップへのアプローチをするプロジェクトみたいなものです。The Flying Lizardsのバイオグラフィーについては、以前にも紹介していますので、そちらをご参照下さい。それで、本作品では、自分達の曲をダブ処理して再構築した内容になっています。それで、Cunningham以外にジャマイカのレゲエ・ヴォーカリスト/DJ/プロデューサーであるJah Lloydと組んで、ダブ処理した作品を作り上げました。オリジナルは、1996年にCunningham自身のレーベルPiano RecordsからCDでリリースされていますが、私の持っているものは、独レーベルStaubgoldからの再発盤で、収録曲数が3曲少ないです。それで、元曲の作曲はDavid CunninghamとJah Lloydが行なってますが、その録音はJah Lloydがジャマイカで予め行なっています。それを元にDavid Cunninghamが、再構成やダブ処理を行なって、ミックスダウンをしているとのことです。内容はA面5曲/B面4曲となっています。そう言う手順なので、殆どの曲は、ファットなベースの存在感が目立ち、そのバックには、ダブ処理されたドラム(特にリムショットやスネア)の音が聴くことができます。音のバランスや音色などはレゲエ的ですが、曲調そのものには、余りレゲエを感じません。また、ダブ初期によるエフェクトの掛け方もエグいです。それらのことを鑑みると、かつてXTCのAndy Partridgeが作ったホワイト・ダブのソロ・アルバム”Take Away”とは、全く異なった出来になっているように感じます。因みに、今回は全曲、インストです。中々、David Cunninghamも一筋縄ではいかないアーティストですね。そんな訳で、The Flying Lizardsの最終作はダブで終わりを遂げました!彼はソロでは、エラーシステムによるミニマル・ミュージックをやっているのですが、この音源をThe Flying Lizards名義にしたのは、ダブがロック・リスナーにも浸透していたからかも知れませんね。この辺りのミックスやダブに興味がある方は一度聴いてみては如何でしようか‼️個人的には、特にB面は楽しめました。ダブにはまだまだ未知の可能性がありますね❗️ A1 “Shake” A2 “Lime And Salt” A3 “Mute” A4 “Skin And Stone” A5 “Crab Claw” B1 “Outside” B2 “Inside” B3 “Ash And Diamond” B4 “Flicker”” B4 “Flicker” https://youtu.be/mEtN4qhy5-s?si=R0lZV1ddR_Drnrkl [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_na4ltnIXC_YoOVsjWX_jlnXwNavfz4AvI&si=P9gQ11-KFknqUcZF #TheFlyingLizards #TheSecretDubLifeOfTheFlyingLizards #Staubgold #PianoRecords #Reissue #4thAlbum #FinalAlbum #Experimental #Dub #Reconstruction #UKUnderground #DavidCunningham #JahLloyd
Experimental / Dub Staubgold (Piano Records) 4000円?Dr K2
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Amon Düül II “Lemmingmania”
独逸Munichの過激なヒッピー・コミューンより現れたAmon Düül IIが、1975年に英国UA Recordsよりリリースした曲をセルフ・コンピしたアルバムが、この ”Lemmingmania”です。Amon Düül IIの詳細なバイオグラフィーは前回も書きましたので、そちらをご覧下さい。一応、今回、関わったメンバーは、Chriss Karrer (Vln, G, Sax, Vo), John Weinzierl (G, B), F. U. Rogner (Organ, Synth, Electronics), Dave Anderson (B), Peter Leopold (Drs), Renate Knaup (Vo, Tambourine)と言うところでしょうか?あとはAndersonがHawkwindに加入する為に脱退して英国に帰ったので、Lothar Meid (B, Vo)が加入しています。また、B3 “Jail-House-Rfog”では、Peter Kramper (Synth)が参加しています。当然、録音時期もまちまたなので、メンバーは被っていたりしますが、そこら辺はご勘弁を! それで、本作品を作るにあたって、彼等は1975年に大手レーベルUnited Artists Recordsと契約しており、その為、「独逸にAmon Düül IIあり!」と言う打ち出しをしたかったのか、どの曲も割と短めの曲 (2分半〜5分位で平均3分台)が選ばれており、彼等なりの聴き易さを求めたアルバムになったように思えます(実際、半分はシングル曲から成ります)。後、彼等は1981年に一度解散するのですが、それまではUA Recordsとの契約は保持されています。それで、本作品の内容なのですが、A4 “Green Bubble Raincoated Man”とB3 “Jail-House Frog(Rfog)”が4枚目のアルバム”Wolf City”より、A5 “Tables Are Tuned”とB2 “All The Years Round”が5枚目のアルバム”Carnival In Babylon”より、A1 “Archangels Thunderbird”とB4 “Soap Shop Rock”の抜粋はファースト・シングルより、A3 “Between The Eyes”とB1 “Rattlesnakeplumcake”はセカンド・シングルより、A2 “Light”とB5 “Lemmingmania”は4枚目のシングルより選ばれております。そうですねー、1970年〜1972年辺りの曲と思って頂ければ良いでしよう。時代的に考えると、サイケの全盛期は過ぎてはいますが、音はもろサイケですね。A2でのスライド・ギターやA3でのエフェクト掛けたドラムが良いアクセントになっていたり、A4でのシンセの音やA5でのコンガなどのパーカッションが効果的で、印象に残ります。個人的には、ヴァイオリンとコーラスを大々的に用いたB3が好みです。それと、割とギターは抑え目になっているようですが、それでも、B1とかB5とかではギターを弾きまくっています。Knaup嬢のVo(発音仕方なのか、Dagmar Krauseに少し似ている)は伸び伸びと歌っており、心地良いです。あと、B4は抜粋なのですが、テンションやスピード感も個人的に好きな曲です。とまあ、中々ヴァラエティに富んだアルバムですが、それぞれがシングル等でもリリースされているので、この時期のAmon Düül IIを知るのには丁度良いのではないでしょうか?気になる方は、是非ど入手して下さい! A1 “Archangel's Thunderbird” (3:30) A2 “Light” (3:48) A3 “Between The Eyes” (2:24) A4 “Green Bubble Raincoated Man” (5:04) A5 “Tables Are Turned” (3:34) B1 “Rattlesnakeplumcake” (3:16) B2 “All The Years Round” (4:07) B3 “Jail-House-Frog” (4:54); Peter Kramper (Synth) B4 “Soap Shop Rock” (3:41); Back-Vo (Olaf Kübler & Rolf Zacher) B5 “Lemmingmania” (3:00) B3 “Jail-House Frog” (3:00) https://youtu.be/GLdjLxTXU2A?si=aMhFyEOe0-r0GaAl [full album + other songs] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kEKAHXfVtC6WVMlu3a_mcFlzkLzDvij0E&si=bfbCpYvZkYNdrY6o #AmonDüülII #Lemmingmania #UnitedArtistsRecords #Krautrock #Psychedelic #SelfCompilationAlbum #ChrissKarrer #JohnWeinzierl #F.U.Rogner #DaveAnderson #PeterLeopold #RenateKnaup #LotharMeid #WolfCity #CarnivalInBabylon #Singles
Krautrock psychedelic UNITED ARTISTS Records 不明Dr K2
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Palais Schaumburg “Hockey”
さあさあ、Palais Schaumburg (通称「パレ・シャン」の12㌅シングルですよー❗️Holger Hillerが抜けて、代わりにWalther Thielsch (Vo)とMoritz von Oswald (Multi-Instruments)が参加してからの作品で、メンバーは、Ralf Hertwig (Drs), Timo Blunck (B, Vo), Thomas Fehlmann (Synth, Trumpet), Walther Thielsch (Vo), Moritz von Oswaldの5人組体制です。バイオグラフィーは前回のを参考にして下さい。パレ・シャンのヘンテコなポップ感が更にポップにはなっているのですが、それでも、骨折したようなリズム(特にB面)とかストリングの挿入仕方とかは相変わらずです。あとSaxでChristian Kellersmannが参加しています。タイトル曲の”Hockey”は、in door mixなので、跳ねるようなリズムが特徴で、こちらはまだポップミュージックとしても成り立ちますね。しかしながら、B面の”Stan Kenton”は、やはりな「実験的ポップ・ソング」になっています。ここら辺からパレ・シャンはややメジャー志向にはなるのですが、持って生まれた実験性が顔を出してきて、そのせめぎ合いが絶妙にブレンドされた作品になっていきます。まあ、シングルなんで、パレ・シャンのファンの方はもう持ってますよね?それとも、敢えて買わなかったとか?とにかくファン・アイテムです。 A “Hockey” (4:02) B1 “Packt Die Herzen Aus” (5:58) B2 “Stan Kenton” (5:11) A “Hockey” https://youtu.be/vH3lnKa1iT4?si=diNDvL4AriSvNyxS #PalaisSchaumburg #Hockey #Phonogram #Warner #12inchSingle #NeurDeutscheWelle #GermanNewWave #ExperimentalPop #BizarrePop #RalfHertwig #TimoBlunck #ThomasFehlmann #WaltherThielsch #MoritzVonOswald
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Phonogram / Warner 不明Dr K2
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The Vibrators “Pure Mania”
皆さん、知ってますかね?The Vibratorの存在を。1976年に結成された英国パンク・バンドです。先ずはバイオグラフィーを紹介しておきますね。結成時のメンバーは、Ian 'Knox' Carnochan (Vo), Pat Collier (B), John Ellis (G), John 'Eddie' Edwards (Drs)です。彼等の最初のライブは、1976年に、Chris Speddingのサポートで100 Clubで行なわれています。彼等は、Chrisの勧めで、Mickie Mostと彼自身のRAK Recordsと契約します。そのMostのプロデュースでファーストシングル”We Vibrate”をリリースします。また 1976年10月、1977年6月、1978年2月にJohn Peel のラジオ番組BBC Radio 1用に録音しています。彼等はパンクのパイオニアとして、1977年にはRoxy Clubでヘッドライナーとしてライブを行っています。その時はThe Dronesがサポート。それ以外にもIggy Popの英国ツアーのサポートや元Mott the HoopleのIan Hunterのバックも務めています。そうして、1977年初頭にEpic Recordsと契約し、本作品でもあるファースト・アルバム”Pure Mania”をDavid Bowieの”Ziggy Stardust”ショーのサウンド・エンジニアを務めたRobin Mathewと共にプロデュースしてリリースします(私の持っているのは再発盤です)。このアルバムは英国アルバムチャートの50位に輝き、またThe Guinness Encyclopedia of Popular Musicでは常にベストパンクアルバムの50中1位に輝いています。それに続けてセカンドアルバム”V2”をリリース、この作品も英国アルバムチャート30位となり、シングルカットされた”Automatic Lover"はバンドとしては、初の英国トップ40の35位になっています。その頃、TV番組Top of Popsにも出演しています。その後、音楽界ではThe Flying Lizardsや999等のニューウェーブが台頭してきたのもあり、チャートインしたのが1回だけなので、一発屋的にみられていました。1980年代になると、John Ellis (G)はPeter Gabrielの録音に参加したり、Peter HammillのツアーのサポートやThe Stranglersのサポート→加入しています。Pat Collier (B)はSoft Boysに協力して、アルバム作製に関与しています。 Phil RamはAble Ramを結成し、2枚のシングルを出していますが、チャートインはしていません。このようにメンバーはコロコロと替わったりして、オリジナルメンバーは”Eddie”だけになり、トリオ編成になりますが、ツアーは続けています。それで、2020年になると、最初のオリジナルメンバーが再集結し、Chris Speddingの協力の元、アルバム”Mars Casino”をリリースしています。2022年1月に、Vibratorsは新シングル”He’s A Psycho”をリリース。更に7月には、Knox, Pete Honkamaki, Nigel Bennet, Eddieと言うメンツでVibrators最後のアルバム”Fall Into The Sky”リリースしたとのことです。 それで、本作品の内容ですが、全編、アゲアゲのパワー・ポップな曲で、小気味良いナンバーが詰め込まれています。また曲名からしか分かりませんが、政治的と言うよりももっとポップで日常的な内容と思われます。しかしながら、あの時期独特の閉塞感を破ろうとするかのようなアップ・テンポな曲が多いのも、未だに色褪せない魅力だと思います。なので、もし、皆さんが極上のパワー・ポップを聴きたいのであれば、この作品はお勧めしますよ。是非是非、聴きてみて下さい。 クレジット曲順 A1 “Into The Future” (2:17) A2 “Yeah Yeah Yeah” (1:17) A3 “Sweet Sweet Heart” (2:37) A4 “Keep It Clean” (2:55) A5 “Baby Baby” (3:40) A6 “No Heart” (1:50) A7 “She's Bringing You Down” (2:23) B1 “Petrol” (2:06) B2 “London Girls” (2:30) B3 “You Broke My Heart” (3:30) B4 “Whips & Furs” (2:11) B5 “Stiff Little Fingers” (2:16) B6 “Wrecked On You” (1:29) B7 “I Need A Slave” (1:42) B8 “Bad Time” (1:57) https://youtu.be/nyk2rMKBlvk?si=FN4u_ik76tXS56qt #TheVibrators #PureMania #EpicRecords #Repertoire #FirstAlbum #Punk #PowerPop #Knox #PatCollier #JohnEllis #JohnEddieEdwards #SecondWaveOfPunkRock
Punk Rock / Power Pop Repertoire / Epic (CBS) 不明Dr K2