-
Esplendor Geométrico “Strepitus Rhythmicus”
またまた、Esplendor Geométrico (以下、EGと表記)です!今回は、彼等の現時点での最新作”Strepitus Rhythmicus”をご紹介します。この時期のEGのメンバーは、Arturo LanzとSaverio Evangelistaです。因みに、Saverioは伊の大学の数学の教授らしいです。また、双子の娘さんもいらっしゃるとか。そう考えると、EGって、Arturoも大使館職員(要するに国家公務員)だし、2人とも本業は、ハイソな仕事をしていますね。このアルバムは、Arturoがイスラマバードに赴任していた時に作成されたものなので、録音はイスラマバードとローマで行われたとクレジットされています。Arturoは、現在は、iPad2台で音作りをやっており、1台は、リズム用、もう1台はサンプリング音用のようです(彼のライブは非常にフィジカルで熱いです!)。Saverioは、ライブ用のアートワーク等を手掛ける一方で、トラックの整理やアートワークや曲名等を担当している模様ですが、TezことMaurizio MartinucciとのデュオM.S.B. (Most Significant Beat)としても活動しています。 それで、本作品なのですが、先ず、第一印象はデジタル色が強く、スッキリとした音になっているなぁと言うことですね。それと、リズムの構造がダンサブルですらある言うことと、各曲が連続していることが、本作品の特徴ですね。それと、多分、以前のように、凶暴なマシンリズムを大々的に前面に押し出すのではなく、サンプリングされた音でリズムを構築しており、かつそれに乗る音もサンプリング音(声やノイズ等)で構成されていると言う手法の変化/進化でしょうね。 ホワイトノイズから始まりドクドク脈打つリズムが特徴のA1, 力強いビートがダンスミュージックのようにもなりますが、バックの電子音やナレーションがそれを異化しているA2, 正に現代の「工場音」を表しているかのようなA3, やや落ち着いたノリながらもラジオ音がEGらしいA4, こちらもシンプルなリズムにサンプリング音が効果的なA5、そうして、地獄のようなシンセに土俗的リズムが絡むB1から始まり、催眠的なポリリズムのような構造にマントラが乗るB2, これぞ!EGとも言うべき「工業リズム」にサンプリングされた複数の声が乗るB3, 比較的モロリズムマシンなダンサブルな音にやはりサンプリングされた声等が乗るB4で、アルバムを締めています。しかしながら、サンプリングだけでリズムも上物も作ってしまう所が、「今風」なのですが、それでも、一聴してEGだと分かるリズムの構成や音色が、彼等の凄い処だと思います!中々、デジタル機材でここまで個性を出せるグループ/アーティストはいないと思いますよ!! ただ、オールドファンが期待している「腐食した電子音」や「ロートルなリズムマシン音」は本作品では希薄ですので、そこら辺を期待されるとちょっと違うかもと思ってしまいますね。工業も進化するので、当然、EGの「音」も進化している訳です!最新型インダストリアルの孤高の存在、それがEGです! A1 “Compensación” (4:37) A2 “Concesión” (4:00) A3 “Nueva Industria” (4:15) A4 “Metro Sur” (4:31) A5 “Revolución” (3:59) B1 “Regreso” (4:23) B2 “Entelequia” (5:46) B3 “Cuántico” (4:15) B4 “Gravitar Alrededor” (4:04) https://youtu.be/mXY22BYzJHQ?si=D_VBFUNSPsmVSH-_ #EsplendorGeométrico #StrepitusRhythmicus #Geometrik #2024年 #Industrial #Technoise #RhythmicNoise #Sampling #Islamabad #Rome #BrandNewAlbum #iPad #TrackMaking #ArturoLanz #SaverioEvangelista
Industrial / Technoise Geometrik ¥3950Dr K2
-
Xmal Deutschland “Early Singles (1981 - 1982)”
Xmal Deutschlandは、多分、英語圏で最も成功した独NDW(正確にはそうとは言えないかもしれませんが)バンドの一つだと思います。1980年に、ハンブルクのパンク・シーンから、Anja Huwe (Vo), Manuela Rickers (G), Fiona Sangster (Kbds), Rita Simon (B), Caro May (Drs)と言う全員女性のバンドとして結成されています。翌年に、Alfred Hilsbergのお眼鏡にかなって、ファースト・シングル”Großstadtindianer"を、彼のレーベルZick Zackよりリリース、更に、同レーベルのコンピ・アルバム”Lieber Zuviel Als Zuwenig”にも参加しています。この間に、ベースのRita SimonがWolfgang Ellerbrockに代わっています。1982年には、彼女達の代表曲でもある”Incubus Succubus"シングルを出しますが、同年、ドラムは、Caro MayからManuela Zwingmannに代わっています。独国内ではそんなにウケなかったのですが、UKのゴスバンドCocteau TwinsのUKツアーのオープニング・アクトをやったことがキッカケで、UKレーベル4ADと契約し、デビュー・アルバム”Fetisch”とシングル"Qual"と"Incubus Succubus II"を1983年に出します。独逸語で歌っているにも関わらず、UKインディー・チャートに入ります。その1年後、Manuela Zwingmannが脱退し、Peter Bellendirが加入しますが、このラインナップが最も長続きします。1984年には、セカンド・アルバム”Tocsin”をリリースし、1985年まで、ワールドツアーを敢行しています。1995年に出したEP “Sequenz”は、同年5月13日に、UKのJohn Peel Sessionで放送されていますが、このEPの中の曲”Autumn”は、初めて英語で歌われています。翌年には、The StranglersのHugh Cornwellのプロデュースで、シングル”Matador”をリリースし、The StranglersのロンドンWembley Arenaでのコンサートのオープニング・アクトも努めています。1987年には、サード・アルバム”Viva”をハンブルクで制作、続いてシングル”Sickle Moon”も出しています。しかしがら、”Viva”を出した後、Manuela Rickers, Fiona Sangster, Peter Bellendirが脱退してしまいます。残ったAnja HuweとWolfgang Ellerbrockはバンドを続けるおとを決心し、AbwärtsのFrank Zをギターで、独のスタジオ・ミュージシャンCurt Cressをドラムで、プロデューサーのHenry Starosteをキーボードで協力してもらい、1989年に、ラスト・アルバム”Devils”とシングル"Dreamhouse”と"I'll Be Near You”をリリースしますが、メジャー路線のポップミュージックになってしまい、数回のライブをやったものの、1990年に、バンドは解散してしまいます。 以上が、Xmal Deutschlandのバイオグラフィーとなりますが、本作品は、初期のシングル音源をコンパイルしたセルフ・コンピとなっています。パンクからポストパンク〜ゴス・ロックへと変化しつつある、最もアブラの乗った時期のXmal Deutschlandの音楽が詰まったアルバムとなっています。メンバーは、Anja Huwe (Vo), Manuela Rickers (G), Fiona Sangster (Kbd), Rita Simon (B), Wolfgang Ellerbrock (B), Caro May (Drs)で、A1-A3がZickZackから出た彼女達のファースト・シングル収録曲で、既にポストパンクなサウンドで、A2ではドラムマシンも使用されている所が、如何にも独バンドらしいです。また、ビート感もドカドカしていて、Malaria!っぽいところも。A4はZick Zackのコンピ・アルバムに提供した曲で、段々、テンポアップしていく曲です。シンセがのほほんとした味を出しています。B1-B3は、1982年にZick Zackから出たセカンド・シングル収録曲で、特にB1は、彼女達の代表曲で、歌詞とかは独逸語ながら、題名がゴスっぽくなってきて、めっちゃカッコ良いです。B2もメジャーコードながらもダークな雰囲気で良曲、B3はSioux & The Bansheesっぽい曲ですね。多分、Voスタイルが近いのかな? B4は、多分、ボーナス・トラックとして、今回、収録された彼女達のライブ音源ですが、音質も良く、非常にかっちょ良いです! この時期のX-mal Deutschlandは、ちょっとだけゴスに足を突っ込んだポストパンクな音作りをしていますね。なので、初期Bansheesとかが好きな方にはお勧めします!! 因みに、リリース元のレーベルは米国のレーベルです。 A1 “Schwarze Welt” (2:40) A2 “Die Wolken” (1:29) A3 “Großstadtindianer” (2:02) A4 “Kälbermarsch” (2:37) B1 “Incubus Succubus” (5:20) B2 “Zu Jung Zu Alt” (3:30) B3 “Blut Ist Liebe” (3:02) B4 “Allein (Live)” (2:35) B1 “Incubus Succubus” (5:20) https://youtu.be/BVFscjwD-gU?si=wBOkMr1eiJKYP4un [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nyg5iJeMbf9arUPD9ZkFnw-4GtdzvVEuo&si=nUhQKRc_fMzA6cDi #XmalDeutschland #EarlySingles(1981-1982) #SacredBonesRecords #SelfCompilation #Reissue #Remastering #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #AllGirlsBand #Goth #GothPunk #PostPunk #AnjaHuwe #ManuelaRickers #FionaSangster #RitaSimon #WolfgangEllerbrock #CaroMay
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Goth Rock / Punk Sacred Bones Records ¥5750Dr K2
-
S.Y.P.H. “Pure Freude Singles 1979+1981”
いゃ〜やっぱり、買っちゃいますね。S.Y.P.H.(これは「ズフ」と発音するらしい)の最初期のシングル盤のセルフ・コンピレーション! Pure Freude (プーレ・フロイデ)と言うのは、S.Y.P.H.のHarry RagとCarmen Knoebelが運営していたデュッセルドルフの自主レーベルのことです。彼等のバイオグラフィーはもう何度も書いていますので、そちらをご参考にして下さい。本作品では、A1-A4は、1979年にリリースされた“Viel Feind, Viel Ehr” (Pure Freude PF01)に収録されている曲で、A5-A7は未発表曲です。B1-B13は、1982年にリリースされた”Der Bauer Im Parkdeck” (Pure Freude PF21)収録曲となっており、特に、未発表曲が聴けるのは特に嬉しいですね。なお、この時のメンバーは、Harry Rag (Vo, Synth), Uwe Jahnke (G, Tapes), Ralf Dörper (Synth, Melodica, Voice, Ribbon), Gilbert Hetzel (Drs)のようですが、“Viel Feind, Viel Ehr”では、Micha (B), Uwe Haller (Drs)が加わって、Grün Inでライブをしていたようです。また、2枚組EP”Der Bauer Im Parkdeck”では、Harry Rag, Gilbert Hetzel, Thomas Oberhoffがメンバーで、Uwe Jahnkeはゲスト参加して、Container Studioで録音されています。因みに、本アルバムの表ジャケは”Viel Feind, Viel Ehr”のジャケ写の元写真で、裏ジャケは”Der Bauer Im Parkdeck”のジャケ写です。因みに、2枚組EP”Der Bauer Im Parkdeck”は以前にも紹介していますね。そんな「Canの再来」とまで言われたS.Y.P.H.の初期シングル音源と未発表曲をまとめて聴いてみましょう! ヘナヘナなVoや気の抜けたコーラス、脱力するような曲構成、そして自由気ままなアレンジとジャムセッションから生まれたような曲の数々が収められています。ハーモニカやピアニカ、スライドG、カズーを使っている所もポイントが高いですね。A1やA2は最初期の有名曲なので、懐かしささえ感じます。パンキッシュなA3の後にいきなり実験的で鬱々とした曲A4の同居にも驚かされます。未発表曲も自由気ままな実験性を有しており、興味深かったです。また、B面ではハードコアを想起させるような速いツービート等も取り入れていますね。そう言った自由度の高さが、S.Y.P.H.の魅力だと再認識させられました。お勧めです! A1 “Industrie-Mädchen” (2:24) A2 “Europa” (3:14) A3 “Moderne Romantik” (1:33) A4 “Klammheimlich” (4:18) A5 “Zirpenknirspel” (3:51) A6 “Stahlregen” (1:34) A7 “Viel Feind Viel Ehr” (3:28) B1 “Der Bauer Im Parkdeck” (2:07) B2 “Falsche Freunde” (2:53) B3 “Alte Freundin” (1:32) B4 “Knudelblues II” (0:23) B5 “Traumraum” (3:25) B6 “Bekenntnisse Eines Knüppelträgers” (1:13) B7 “Masolinchen” (0:37) B8 “Herrlich Anonym” (1:00) B9 “Clean City” (0:17) B10 “Hugo Hugh” (0:53) B11 “Mit Das Leben Klar” (1:38) B12 “Wo Ist Der Ausgang” (2:35) B13 “Maschine Von Beruf” (2:36) A1 “Industrie-Mädchen” (2:24) https://youtu.be/nYi8zy941Cc?si=ihvTyxWP-wewI6OF A2 “Europa” (3:14) https://youtu.be/wEsYBARrK4I?si=vY663vTNxtKZ9w64 A3 “Moderne Romantik” (1:33) https://youtu.be/oP6fAW3SyP0?si=6WIhmSlDr_P0b2vJ A4 “Klammheimlich” (4:18) https://youtu.be/IFVwhwcZIQk?si=h3eemw_MDeP0Du4G A5 “Zirpenknirspel” (3:51) https://youtu.be/D3FQ5r4sdus?si=ll1U6ommy08fXIPp A6 “Stahlregen” (1:34) https://youtu.be/qobW1Tleotc?si=jX00izvjq6_1J3jV A7 “Viel Feind Viel Ehr” (3:28) https://youtu.be/w-jQ09oydu4?si=c_rlIZ4H8V4OeQNO B1 “Der Bauer Im Parkdeck” (2:07) https://youtu.be/_IGsZvgSx8k?si=FdzikNq60wvJr-PN B2 “Falsche Freunde” (2:53) https://youtu.be/cznK_taZdRk?si=rOlSCsCLWeA2dAqw B3 “Alte Freundin” (1:32) https://youtu.be/g15mGzXv5tw?si=OXozEfriMqXdX76u B4 “Knudelblues II” (0:23) https://youtu.be/Kc1Yx6zY790?si=7GdXEjb37lBb0m32 B5 “Traumraum” (3:25) https://youtu.be/6htzbt6AQ00?si=09xOOfBdMziCxAfw B6 “Bekenntnisse Eines Knüppelträgers” (1:13) https://youtu.be/mmxTLdkbEDY?si=sv3AJrBDOoDHLdYj B7 “Masolinchen” (0:37) https://youtu.be/B-FF6bgZs8U?si=1JX70HEf0M3EjaPr B8 “Herrlich Anonym” (1:00) https://youtu.be/AmzBU6i29bI?si=h9c-Qj0cREvqOguA B9 “Clean City” (0:17) https://youtu.be/ia_gvXp9ol8?si=gP51w75mFtpFg7tz B10 “Hugo Hugh” (0:53) https://youtu.be/55J6TFz8P0I?si=6H1OpZbwFEbsLuPR B11 “Mit Das Leben Klar” (1:38) https://youtu.be/G_uut2yMXp4?si=LOG5ud2iYEqDFfwP B12 “Wo Ist Der Ausgang” (2:35) https://youtu.be/phB50VDL-LE?si=ppzL5DGaS_nDYpxY B13 “Maschine Von Beruf” (2:36) https://youtu.be/RLYOp7mdG6w?si=3FoelxDtv3ZUT8WD #S.Y.P.H. #PureFreudeSingles1979+1981 #TapeteRecords #PureFreude #IndependentLabel #Remastering #SelfCompilation #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Can #Canの再来 #Singles #VielFeindVielEhr #1979年 #DerBauerImParkdeck #1982年 #PreviouslyUnreleasedTracks #HarryRag #UweJahnke #RalfDörper #GilbertHetzel #ThomasOberhoff #Guests #Micha #UweHaller
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Tapete Records ¥5060Dr K2
-
Weiches Loch / 金属太古&Sandersonia “3+4” / “Meursault”
またまた、Weiches Loch関係の1枚をご紹介します。今回は、Weiches Lochと大阪の金属太古&Sandersoniaのスプリット・シングルで、リリースは、LinekraftのThree Plugs Recordsからです。何か納得のリリースですね。Weiches Lochのメンバーは、佐野アツシ、多門伸、田中健司、隈部直希の4人になっています。恐らく、大阪アメ村のライブハウスHOKAGEで、2023年4月11日に録音したのではないかと思われます。また、マスタリングは音無亮氏が行った模様です。 一方、金属太古 & Sandersoniaは、その名の通りと言うか、ご夫婦のデュオで、旦那さん(金属太古)がメタパー、奥さん(Sandersonia)がヴァイオリンを担当されています。奥さんの方は多才で、着物の着付けや茶道(?だつたかな?)も嗜み、またくるぴの等の他のユニットもやっています。録音はスタジオSIOUXで、2022年8月に行われたものです。Discogsでは余り作品を出してないように見えますが、実はCD等を2〜3枚はリリースしています。 そんな個性の強い2組のスプリット7インチがThree Plugs Recordsから出たのも、当然と言えるかもしれませんね。 ◼️Side A: Weiches Loch ★A1 “3”は、ラッパとメタパーから成る簡素で、ややコミカルですらある曲。ここら辺のユーモアは多門伸のNDWマニアたる由縁か? ★A2 “4”は、メタパーの速い連打から成るメチャクチャカッコ良い曲で、結構、ストレートなのですが、4人のメタパーがそれぞれの役割を担っており、曲構成も秀逸です! ◼️Side B: 金属太古 & Sandersonia ★B1 “Meursault”は、ヴァイオリンのゆったりとした幽玄な音色が続く中、蠢くようなメタル・ジャンクの音が入ってくる不思議なアンビエント調の曲で、メタル・ジャンクと言う邪悪な楽器を使っているのに、落ち着いた雰囲気は唯一無比! 同じメタパーを使っていながら、全く違う音楽性を志向したいるのが、非常に興味深いです。そんなメタパー好きのリスナーさんにはお勧めします!聴いて損はないですよ! [Trailer] https://youtu.be/xjxLkPy0-TQ?si=PkpS8vXcPQxhkeau [オマケ: 金属太古 & Sandersonia live at Annie’s Cafe on Dec.06, 2020] https://youtu.be/PCO6tX3JeCc?si=jr1MDvoh2lSqJrgb #WeichesLoch #金属太古&Sandersonia #3+4 #Meursault #ThreePlugsRecords #SplitSingle #7-inchSingle #MetalJunks #MetalPercussions #Violin #Industrial #和 #Ambient #Experimental #Osaka #佐野アツシ #多門伸 #田中健司 #隈部直希 #金属太古#Sandersonia
Metal Junks / Experimental / Ambient / Industrial Three Plugs Records ?Dr K2
-
Andreas Dorau “Im Gebüsch”
これまた、久々に入手しました。そうです!永遠のアイドルAndras Dorauの現時点(2024年10月)での新譜”Im Gebüsch (イム・ゲビュッシュ;「茂みの中で」の意)”です。今回も、独Tapete Recordsがリリースした限定モノを、日本のSuezan Studioの配給から購入しました(小柳さん、本当にいつも有難うございます)。しかも、2枚組と言うヴォリューム!確か、Andreas Dorauはもう還暦を越えているはずです。彼の湧き出る創作意欲に脱帽してしまいます。彼のバイオグラフィーについては既に何度も書いていますので、そちらをご参照して下さい。それで、何故、限定モノかと言うと、YouTubeで本作品のレビューを見たのですが、LP2はどうやらボーナス・トラックを収録しており、スタンダード・ヴァージョンはLP1の内容のみだからだそうです。なので、YouTubeにもLP2の収録曲はアップされていませんね。また、今回は、マルチ・インストルメンタリストのZwanie Jonson (本名Christoph Kähler)との共同プロデュースとのこともあり、Jonsonを始めとする多くのコラボライター達と一緒に録音を行っています。と言う訳で、最新版Dorau流ポップ・ミュージックを楽しみつつ、内容を紹介していきましょう。 LP1のちょっぴりダンサブルで、それでもDorau節が堪能できる所は、流石ですね。A2やB4のキャッチーさも流石で、特にB4は秀逸なメロディでもう涙してしまいますね。A3の初期の曲調をグレードアップしたかのようなキッチュなテクノポップ調の曲或いはA4〜A6のようなダンサブルでかつ秀逸なメロディも兼ね備えた曲、B1やB2, B7のように、脱エレ・ポップ的な曲のアレンジも秀逸ですし、逆にB5でのSilicone Teens的な曲も興味深いです。B6でのラップも可愛らしいです。対して、LP2はこじんまりした宅録感溢れる私的な曲が多く、C1やC5, D4のプリミティブなエレ・ポップやC2での全てが完璧に癒合したポップネスも素晴らしく、また、C3やC4, D5でのよりロック的なアプローチやD1のしっとりした曲調なんかも堪らないですね。D2は、A2のオリジナル・ヴァージョンですが、よりスローでしっとりと歌い上げています。D3のダンサブルな曲ですが、しっとり目ですね。 多分、Dorauの声質とその独特のメロディ・ラインが、彼が今だに現役で続けてられる最大の魅力なのでしょう! また、相方Zwanie Jonsonとの相性の良さも本作品を傑作にしているように思います。一時期、クラブ・カルチャーにハマっていたDorauですが、本作品では、そんな要素も取り入れつつ、再び、独自のポップ・ミュージック路線になっており、古くからのファンは勿論、まだAndreas Dorauを聴いたことの無いリスナーさんにもお勧めします! ◼️LP1 ★A1 “Die Konstante” (2:53) A.Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, G, Choir, Kbd) ★A2 “Ich Sein” (2:56) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, G, Choir, Kbd) ★A3 “Auf Der Weidenallee” (2:21) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, Synth), Daniel John (Synth) ★A4 “Das Ist Nur Musik” (3:17) A. Dorau (Vo, Kbd), G. Busuke (Vo, B, Kbd, Blockflöte, G, DrumProngramming), Z. Jonson (HiHat), G. Künier (Vo), JJ Weihl (Vo) ★A5 “Das Glück” (3:02) A. Dorau (Vo, Kbd), D. John (Synth), J. Meyer (Synth), T. Rutkowski (G), G. Künier (Vo), Z. Jonson (HiHat) ★A6 “Die Welt Ist Ein Seltsamer Planet” (3:09) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, G, Kbd), T. Lorenz (Electronics) ★B1 “Situationen” (2:52) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, G, Kbd, Choir) ★B2 “Storchengesang” (2:08) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, G, Kbd) ★B3 “Was Nimmst Du Mit” (3:54) A. Beheshti (All Instruments), A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Synth) ★B4 “Mein Englischer Winter” (3:05) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, G, Kbd), T. Lorenz (Electronics) ★B5 “Rainy Days In Moscow” (3:12) A. Dorau (Vo, Kbd), G. Künier (Vo), Z. Jonson (Drs, B, Choir, Synth) ★B6 “Ich Bin Nicht Ich” (2:03) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, Synth) ★B7 “Die Vergangenheit War Gestern Wieder Da” (2:26) A. Dorau (Vo, Kbd), JJ Weihl (Vo, Synth), Z. Jonson (Drs, B, G, Synth, Choir), T. Lorenz (Electronics) ◼️LP2 ★C1 “Augen Sind Zum Weinen Da” (2:42) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, Synth, G) ★C2 “Der Rostocker Pfeilstorch” (3:11) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, G, Kbd) ★C3 “Wenn Du Aufwachst” (2:55) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, Synth, G, Choir) ★C4 “Der Wald” (3:35) A. Dorau (Vo, Kbd), D. John (Synth), J. Z. Jonson (Drs, B, G, Choir, Kbd) ★C5 “Wir Sind Nicht Da” (4:23) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, Kbd) ★D1 “Das Feuer” (4:44) A. Dorau (Vo, Kbd), D. John (Synth), J. Meyers (Synth), T. Matkowdly (G), Z. Jonson (HiHat, B, G) ★D2 “Ich Sein (Originalversion)” (3:15) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, G, Piano, Choir) ★D3 “Im Haus Der Träume” (2:54) A. Dorau (Vo, Kbd), JJ Weigl (Vo, Synth), Z. Jonson (Drs, B, G, Synth, Kbd) ★D4 “Der Biber” (3:47) A. Dorau (Vo, Kbd), M. Gein (G, B, Vo, Electronic), Z. Jonson (Kbd) ★D5 “Schlangenfüsse” (2:27) A. Dorau (Vo, Kbd), Z. Jonson (Drs, B, Kbd, G, Choir) A3 “Auf Der Weidenallee” (2:21) https://youtu.be/kVOZXGtE8gQ?si=0QrQMBMjZde58mxy [LP1 full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lWhAlueEM54VCJ6SQ3GzCEJgAUZGe3T6M&si=2Ou0OfOJU_HBa9_H #AndreasDorau #ImGebüsch #NewAlbum #2024年 #TapeteRecords #LimitedEditions #2LPs #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #ElectroPop #IndiePop #Synthesizers #Collaborators #ZwanieJonson #DanielJohn #GuntherBuskies #GünterKünier #TomLorenz #ArianBeheshti #BrezelGöring #JJWeihl #JonasMeyer #TobiasRutkowski #MarcelGein
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro Pop Tapete Records ¥5490Dr K2
-
John Cage Realized By Aaron Dilloway With Rose Actor-Engel, Twig Harper, C. Lavender, Quintron, Robert Turman, John Wiese “Rozart Mix”
このアルバムを買ったキッカケは、多分、現代音楽界の奇才John Cageと名前と、ノイズ関係で元Wolf Eyesのメンバーでもあり、来日ライブでの凄まじさに驚いたAaron Dillowayの名前がジャケに一緒に載っていたことと、その曲名が”Rozart Mix”と言う、余り聞き慣れないタイトルだったことから、面白そうと感じて購入したのだと思います(うろ覚えです)。それで、この作品の内容紹介の前に、先ず、”Rozart Mix”とは何か?どう言う経緯で、Aaron Dillowayが関わるようになったのか?を解説してからにしたいと思います。 先ず、この”Rozart Mix”と言う曲なのですが、これは、生前John Cageが、同国の音楽家/作曲家Alvin Lucier (アルヴィン・ルシエ; 米ニューハンプシャー州生まれで、2つの音大で音楽理論と作曲を学んだ後、John Cageによるパフォーマンスに参加、様々な電気テクノロジーを用いた実験音楽やサウンド・インスタレーションを実践してきていた)の為に書いた曲で、滅多に演奏されることはなく、今回、Wave Formと、John Cageの生涯と作品に関する情報をアーカイブする団体John Cage Trustが、この曲の演奏をAaron Dillowayに打診し、それを受けて実現に至った希少な演奏の記録が本アルバムと言うことになります。ヘルプとして、Rose Actor-Engel, Twig Harper, C. Lavender, Quintron, Robert Turman, John Wieseが参加しており、一軒家の中の複数階に12台のオープンリール・テープ・プレイヤーを設置し、6時間に渡り、5〜175カ所の継ぎ目で繋ぎ合わされた88のテープループを再生するという、途轍もないスケールで演奏が行われたとのこと。それで、本作品の内容についてですが、A面は、NY州Red HookのBard CollegeにあるJohn Cage Trustにて、2021年10月23日に行われた演奏のライブ録音であり、一方、B面はオハイオ州OberlinのTarker Millsにて、2021年8月2日に行われた演奏から、一部のループ音を抜粋したものからなっています。これらの準備をしている、或いは演奏している様子を捉えたLPサイズの12頁のブックレットも美しく、また現場の様子(参加者の皆さん、オープンリールのテープの断片だらけになっています)も分かり、想像も逞しくなるようです。と言うことも踏まえて、異例の再演となった記録でもある本作品をご紹介していきましょう。 ◼️side A ★A “Rozart Mix” (16:00)は、正に、多量のループ音によるオープン・リールのオーケストレーションで、様々な音(多くは具体音や会話、古い音楽の演奏等)の断片が次から次へと立ち現れては入れ替わっていき、聴く者の脳味噌を掻き回すかのようです。流石、ループ・マスターAaron Dillowayの下での名演です! ◼️Variations Of Single Rozart Tape ★B1 “Full Mix (Undisturbed)”(2:17)も、テープループから成る曲なのですが、ややゆったりした印象です。また、B面は単一の”Rozart Tape”の変奏曲と題されており、恐らく、回転速度を変えて録音されたりしたオープンリールテープをバラバラにして、逆回転にしたりして繋がり合わせて作ったテープループをそのまま再生しているのではないでしょうか? また、Undisturbedとの記載もあることから、何もミックス時に手を加えていないのではないと思われます。 B1-B6と6曲ありますが、必ずしもその曲間は明確ではありません。 ★B2 “Flip 1 Stereo” (2:17) ★B3 “Flip 2 Stereo” (2:17) 正直、B2, B3は良く分かりませんでした。 ★B4 “Left Mono” (2:17)は、左チャンネルの音のみがモノラルで再生されており、ヘッドフォンで聴くと、何だか気持ち悪いです。 ★B5 “Right Mono” (2:17)は、右チャンネルの音のみがモノラルで再生されています。 ★B6 “L/R Hard Stereo” (2:17)は、左モノラルと右モノラル別々に再生されており、一聴、「擬似ステレオ風」になっています。 テープループを使うアーティストは、そこそこいる(特に、米国)と思いますが、Aaron Dillowayに依頼したのは、正解でしたね。彼は、元々、オープン・リールやテープ・エコーを使った音作りを得意としており、何よりもそのテープ・ループの使い方を更に拡張していますので、正に、John Cageの”Rozart”の再演にはぴったりだったのではないでしょうか? その他のヘルプ/競演者のアーティストもJohn Wieseを始め、それなりに名の通った方々ですし、何よりテープループを作っている作業が楽しそうで、こちらも参加したくなります。そんな和気あいあいとした現場から、まるでノイズのようなループの連打と絡みが放出されるとは、なんて素敵なことでしょう!特に、A面は面白いですので、アナログなテープループを使った音楽に興味のある方は必聴ですね(因みに、後で気付いたらのですが、B面の各曲は、全て2:17に統一されています)! B1 “Full Mix (Undisturbed)” https://youtu.be/cj1QbJZAvpo?si=S5O5ez6vex25dgCb [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_khQPiNwHBVPIui5mi1vPBjqRNsyP6kBxk&si=wiTeCNQZwc7TO3YT #JohnCage #Realization #AaronDilloway #RozartMix #HansonRecords #Experimental #ModernClassic #RarelyPlay #Composition #ForAlvinLucier #88TapeLoops #12OpenReelTapePlayers #InAHouse #JohnCageTrust #TarkerMills #LiveRecordings #Excerption #ColorBooklet #Helps #RoseActor-Engel #TwigHarper #C.Lavender #Quintron #RobertTurman #JohnWiese
Experimental / Modern Classic Hanson Records 5957円Dr K2
-
V. A. “Als Die Welt Noch Unterging”
独のレーベルTapete Recordsが、やってくれました!Neue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)の中でも、所謂、大雑把に「ポストパンク」にカテゴライズされるグループで、1979年〜1984年にリリースされたレコードから厳選された曲を集めたしたコンピレーション・アルバム”Als Die Welt Noch Unterging (「まだ世界が終わりかけていた頃」の意)”を出しました! もうこれを聴けば、大体のNDWの特徴、特に短期間だった独パンク以降の音(一部、パンクも含む)が満載されていますので、NDWの入門編としては最適です。また、ここに収録された曲が入っている元のレコードは、中々入手困難なものもありますので、その雰囲気を味わえるのも、また美味しい所ですね。既に、紹介しているバンドもありますので、音源と一緒に軽く紹介しながら書いていきたいと思います。 ◉A1 Autofick (アウトフィック)は、Ralf Siemers (Vo, Narrator), Sven Gormsen(Vo, Narrator), Le Marquis (G), Uli Kinderfeind (B), Martin Luthor Kong (Drs)から成るスポークン・ワードを多用するパンクバンド。で、2本のカセット(内1本は1997年にLP再発)を出しており、本曲は1982年作の1stカセット”Kopf Zu, Finger In Arsch, Pogo”のB面に収録。 ★A1 Autofick “Eiscafe” (1:15) https://youtu.be/IXnbfkx5pNM?si=2fCnqYxm5eVTB4sS ◉A2 Carambolage (カラムボラーゲ)は、3枚のLPを出している女性バンドで、クラウトロック・バンドTon Steine Scherben(トン・シュタイネ・シェルベン)から派生してAgit-Rockを展開。メンバーはAngie Olbrich(Vo, B, G, Organ), Britta Neander(Drs, Perc), Elfie-Esther Steitz (Vo, G, Kbd), Janett Lemmen (Sax)で、本曲は1982年の2nd LP” Eilzustellung-Exprès”収録のA5。 ★A2 Carambolage “Gehirnwäsche” (3:29) https://youtu.be/tuHL6Wu0-E4?si=Zzg7aDjOe-bCQGB9 ◉A3 Siluetes 61 (ジルエーテス・アイヌンドゼヒツィーヒ)は、稀代の天才/異才Tom Dokoupilのソロユニットで、LP2枚とシングル2枚を出しています。本曲は1981年ZickZackからの片面ソノシート曲。 ★A3 Siluetes 61 “Wo Ist Der Dom?” (3:31) https://youtu.be/NpgGl8qIWKw?si=maf9RNNkUH9SAjVH ◉A4 Hans-A-Plast (ハンズ・ア・プラスト)は、ハノーファーのパンクバンドで、メンバーは、Annette Benjamin (Vo), Jens Meyer (G), Micha Polten (G), Renate Baumgart (B), Bettina Schröder (Drs)で、LP4枚、シングル1枚出しており、本曲は1981年No Fun Recordsからのシングル”Sex Sex Sex”のB面曲。 ★A4 Hans-A-Plast “Lemminger Punks” (3:13) https://youtu.be/oXlQngMalZQ?si=h8A4FruFndTsFlRO ◉A5 Kosmonautentraum (コスモナウテントラウム)は、1980年ハノーファーで、Ziggy XY (Vo; 本名Michael Jarick)とE.K.T. (Drs)で結成、1982年リリースのLP”Juri Gagarin”が有名。LP5枚とシングル6枚を出しています。本曲は1983年ZickZackからの2ndLP ”Tagediebe”収録のA1で、当時はZiggy XY (Vo)以外にJörg Einicke (Drs), Kai May (G), Süsskind (B, Synth)が参加。 ★A5 Kosmonautentraum “Abschied” (4:05) https://youtu.be/j_835_FM7MA?si=GB7_YZMrsvE_sIvA ◉A6 Holger Hiller (ホルガー・ヒラー)は、初代Palais SchaumburgのVo/Gにして、欧州初のサンプラー使いとしても有名な電子音楽家。本曲は1983年AtaTakからの1stLP “Ein Bündel Fäulnis In Der Grube”収録のB5。 ★A6 Holger Hiller “Ein Hoch Auf Das Bügeln” (2:00) https://youtu.be/aDEhaePTVag?si=mUztF5WCuMSblaqY ◉A7 Die Zwei (ディー・ツヴァイ)は、Gerd ScheuerpflugとUdo Scheuerpflugのデュオで、LP1枚とシングル3枚を出しています。本曲は1982年、独Zensorからの1stシングルB面曲。 ★A7 Die Zwei “Wir Bleiben Hier” (2:27) https://youtu.be/LJ9GAAp-No8?si=d8Xv0vSoG5R_1J0q ◉A8 Family 5 (ファミリー・ファイヴ)は、1981年にデュッセルドルフで、NDWの裏番長Xao Seffcheque (G)とMittagspauseやFehlfarbenのPeter Hein (Vo)を中心に結成されたソウル・パンクバンドで、結成時は、Rainer Mackenthun (Drs), Andreas Brüning (Sax), Markus Wienstroer (B)及びEsther Nöcker (Chorus)もメンバー。本曲は1984年にパンクレーベルTotenkopfからの5枚目シングル曲。 ★A8 Family 5 “Tagein-Tagaus” (2:34) https://youtu.be/GsEe3ka5f7k?si=JubtVMB4epJGZAhG ◉A9 Rassemenschen Helfen Armen Menschen (ラッセメンシェン・ヘルフェン・アルメン・メンシェン)は、西ベルリンのGeniale-Dilettantenフェスと米Andy WarholのFactoryに触発されて、墺のヴィエナで1980年にAndrea DeeとGottfried Distlによって結成されたマルチメディア・デュオで、2枚のシングルを出しています。本曲は1981年の1stシングルB面収録曲。 ★A9 Rassemenschen Helfen Armen Menschen “Alles Ist Mir Recht” (1:24) https://youtu.be/bSmM492NvrM?si=QjjNhc-H-RE166LG ◉A10 Lustige Mutanten (ルスティーゲ・ミュータンテン)は、Andreas RößnerとTom Dokoupilによるデュオで、当時はカセット1本とEP1枚とビデオ1本を出しています。本曲は1981年Pop-O-RekordsからのEP”Unpop”A4です。 ★A10 Lustige Mutanten “Spiel Ums Leben” (2:53) https://youtu.be/X2vz6Q1lOhY?si=H1ZK9TJUW8DpnIrW ◉B1 Freiwilige Selbstkontrolle (フライヴェリーゲ・ゼルブシュトコントローレ)は、1980年にミュンヘンで結成されたバンドで、メンバーはWilfred Petzi (Trombone, G, Vo,Perc), Thomas Meinecke (Concertina, G, Vo, Perc), Justin Hoffmann (E-Piano, G, Xylophone, Vo), Michaela Melian (B, Melodica, Vo)で、1989年以降はF.S.K.と改名。本曲は1981年ZuckZackからの2ndEP “Teilnehmende Beobachtung”B1で、プロデュースはTom Dokoupil 。 ★B1 Freiwilige Selbstkontrolle “Tagesschau” (1:52) https://youtu.be/JHv3lO-G6cQ?si=aa--JG2vmXDO9SQb ◉B2 Neues Deutschland(ノイエス・ドイッチュラント)は、George Hampton (B, G), Peter Hartmann (Vo), Sabine Hartmann (Drs)から成るLo-Fi実験ニューウェーブ・バンドで、1981年にIron Curtain RecordsからLP1枚を出しています。本曲はそのLP収録のA7。 ★B2 Neues Deutschland “Muskulatur” (1:10) https://youtu.be/jXWw-_PxAUA?si=UtOM8vvhh7MQWBoB ◉B3 Die Egozentrischen 2 (ディー・エゴツェントリッシェン・ツヴァイ)は、お馴染みエレ・ポップの天才少年Felix KnothことFelix Kubinが学友Stefan Mohrと結成した宅録電子ポップバンドで、本曲は後にWas Soll Das? Schallplattenから出されたセルフ・コンピLP “Der Aufstand Der Chemiker”収録のB1。当時は1983年に発表。 ★B3 Die Egozentrischen 2 “Gegensätze” (1:52) https://youtu.be/wMpz-pfunVg?si=TD3Vah1gP0p2m_Dx ◉B4 Male(メイル)も、Die KruppsのJürgen Engierが始めた「独逸初のパンクバンド」にして「独のThe Clash」で、当時はLP1枚, シングル3枚を出しており、メンバーはJürgen Engler (Vo, G), Stefan Schwaab (G, Vo), Bernward Malaka (B), Claus Ritter (Drs)です。本曲は1979年Modell MusikからのLP “Zensur & Zensur”収録のA2。 ★B4 Male “Risikofaktor 1:x” (1:29) https://youtu.be/6y-MMdkPPxs?si=BLp7yPrKZDF5S_TE ◉B5 Bärchen Und Die Milchbubis (ベルヒェン・ウント・ディー・ミルヒブビズ)は、1979年ハノーファーでRudolf 'Rudi' Grimm (G)とAndreas Kühne (Drs)を中心に結成、Annette 'Miabella' Grotkasten (Vo)とMartin 'Fusi' Fuchs (初代B)が加わったポップパンク・バンドで、1980年の1stシングル以降は、Kai Nungesser (B)に変わっています。当時は1981年にNo Fun RecordsよりLP1枚とシングル2枚を出しています。本曲はそのLP “Dann Macht Es Bumm”収録のA7。 ★B5 Bärchen Und Die Milchbubis “Tagebuch” (3:40) https://youtu.be/HDe3MuDc8yQ?si=4Ui4SFowQ9_F5Zxq ◉B6 Die Zimmermänner (ディー・ツィマーメナー)も、ハンブルクで結成されたEde & Die Zimmermännerから改名したバンドで、メンバーはChristian Kellersmann, Detlef Diederichsen, Johann Bley, Rica Blunck, Timo Blunckから成り、5枚のLPと6枚のシングルを出しています。本曲は1983年ZickZackからの5枚目EP “Zurück In Der Zirkulation”収録のA1。 ★B6 Die Zimmermänner “Keiner Rugt Cornelia An” (3:35) https://youtu.be/dZxhkROv_dQ?si=Kryk3MIpY1cGlqLz ◉B7 The Wirtschaftswunder (ザ・ヴィルトシャフツヴンダー)も、ご存知、1980年にAngelo Galizia (Vo; 伊), Tom Dokoupil (G; 捷克), Mark Pfurtschneller (Kbd; 加), Jürgen Beuth (Drs; 独)で結成された代表的NDWバンドで、LP4枚とシングル7枚を出しています。本曲は1980年ZickZackからの1stLP “Salmobray”収録のB5。 ★B7 The Wirtschaftswunder “Bauernlife” (1:20) https://youtu.be/xZ6UOMWallg?si=2rGMdgc7qtdpQMgh ◉B8 Palais Schaumburg (パレ・シャンブルク)も、超有名なNDWバンドで、LP3枚出していますが、其々でVoが違うと言う稀有なバンドです。本曲は1981年ZickZackからの1stシングルB面で、この時のメンバーは創設者のHolger Hiller (Vo, G)とThomas Fehlmann (Synth, Trumpet)にTimo Blunck (B)とRalf Hertwig (Drs)が加わった編成です。 ★B8 Palais Schaumburg “Kinder Der Tod” (3:06) https://youtu.be/4_k6RQ9LJ1E?si=mndYOuK3fBWDH9Ts ◉B9 Cretins(クレティンズ)は、1979年〜1987年まで活動していてハノーファーのパンクバンドで、バンド名はRamonesの曲名由来。LP無しで、本曲は1980年No Fun Recordsからの1stシングルA1で、この時のメンバーは、Michael Reimann (Vo, G), Frank Schrader (G), Frank Bekedorf (B), Thomas Tier (Drs)です。 ★B9 Cretins “Samen Im Darm” (2:48) https://youtu.be/JtHZQPKjSu0?si=8iD3g5hIs269WIIp ◉B10 Konstantin (コンスタンティン)は、本名(?) Konstantin Technauで弾き語りらしいですが、本曲は1983年AROからの唯一のシングルのA面で、Foyer des ArtsのMax Goldt(本名Matthias Ernst)とGerd Pasemannがバックを務めているようです。 ★B10 Konstantin “Sing Mir Ein Kleines Arbeiterkampflied” (3:35) https://youtu.be/Kwm2vif4Z-8?si=Hz_3oFdj0QTy9GJV 今回は総合的な感想とか細かい説明は省きますが、これ1枚で、当時のNDWの雰囲気が大体、分かったと思いますので、後は、好みのバンドなりを深掘りしていって下さい(正直、私は、これをスマホで纏めるのに疲れましたよ)。 [BandcampのURLも貼っておきます] https://tapeterecords.bandcamp.com/album/als-die-welt-noch-unterging-compiled-by-frank-apunkt-schneider #VariousArtists #AlsDieWeltNochUnterging #TapeteRecords #CompilationAlbum #1979-1984年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #PostPunk #Autofick #Carambolage #Siluetes61 #Hans-A-Plast #Kosmonautentraum #HolgerHiller #DieZwei #Family5 #RassemenschenHelfenArmenMenschen #LustigeMutanten #FreiwiligeSelbstkontrolle #NeuesDeutschland #DieEgozentrischen2 #Male #BärchenUndDieMilchbubis #DieZimmermänner #TheWirtschaftswunder #PalaisSchaumburg #Cretins #Konstantin
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Post Punk Tapete Records 5016円Dr K2
-
Die Partei “Celaviemachinery”
前回、ご紹介した独のDie Partei (ディー・パルタイ; 「パーティー」の意)が、何と!43年振りに新作を出しました❗️これには、流石に驚きました。前回、ご紹介しましたように、Die Parteiは、The WirtschaftswunderやSiluetes 61で活躍していた異才Tom Dokoupil (トム・ドクピル)とJoseph Beuysの弟子でもあり、画家/写真家/サウンド・アーティストでもあるWalter Dahn (ヴァルター・ダーン)のデュオです(因みに、Walter DahnはDie Hornissen [ディー・ホルニッセン]と言うデュオでもアルバムを残しています)。何故、また、彼等がDie Partei名義で新譜を出したのかも含めて、今回の作品” Celaviemachinery”の各曲をご紹介していきたいと思います。 ★A1 “Süd-Nord-Fahrt” (3:35)は、短波ラジオの短いイントロの後、落ち着いた感じのシーケンスとキックで始まり、中華風メロディが乗ってくるエレクトロな曲で、柔らかい感じが心地良いです。 ★A2 “Auf Und Ab” (3:36)は、パーカッシヴなシーケンスから、更に複雑なシーケンスが重層化して、何とも可愛らしいメロディへと繋がって行く曲で、とてもDokoupilが絡んでいる曲とは思えません。 ★A3 “Die Drei (Theme)” (3:17)は、結構、カッコ良いビートを叩き出す打ち込みエレクトロな曲で、伸びやかなシンセも含め、押し引きの展開も凝っています。 ★A4 “Here Come The Warm Jets” (3:17)は、Brian Enoの曲のカバーですが、上手くエレクトロな曲にアレンジされています。途中から入ってくるシーケンスのカッコ良いこと! そして段々と盛り上がっていきます。 ★A5 “Domino” (3:18)では、割とふんわりとしたイントロから、タイトなシーケンスへと移り、ドリーミーなシンセのメロディが乗る頃には夢見心地になります。細かいシーケンスもグー! ★A6 “Heisenberg” (3:22)は、逆回転も混じえた、ほのぼのとした曲で、曲が進むにつれ、段々ドラマチックな展開になってきます。最後に「初めて」独逸語の短い語りが入ります。 ★B1 “Celaviemachinery” (3:56)は、表題曲で、アップ・テンポでノリか良く、何だか享楽的な「エレ・ポップ」のようですが、逆に1980年代を懐かしくも思い出します。 ★B2 “Salz Und Gold” (3:35)は、ミドルテンポのマイナー調の曲ですが、シンセのメロディが素晴らしく、その磁場に惹きつけられます。 ★B3 “Nacht Zum Tag” (3:56)は、微妙に複雑な音色から成るシーケンスに導かれるエレクトロ・ポップな曲で、途中から入るドラムマシンがアクセントになっています。 ★B4 “Untitled Filmstill” (2:56)は、現代的な音色のドラムマシンやシーケンスを用いて、何処か牧歌的な雰囲気を醸し出している曲で、何となくClusterを想起しました。 ★B5 “Autoselbstfahrer” (3:59)は、雑踏音のイントロから、直線的シーケンスとビートのリズム隊に移り、SE的シンセや逆回転も含めて、何だかほっこりする曲に仕上がっています。 ★B6 “Heb Mich Auf” (3:34)は、ゆったりしたシーケンスに導かれて、柔らかく優しいメロディに包まれた多幸感溢れる曲です。途中の「幼稚園の子供達の音」も何だか微笑ましいです。 前回と同じく、全曲、インストなのですが、とにかく、この作品を聴いていると幸せな気分になれる事、請け合いです。それ程、ハッピーな音楽だし、こんな時代だからこそ、偶にはこう言う多幸感溢れる音楽で癒されたいとも思います。Dokoupilにもこんな一面があったのも再確認できて、彼の音楽的才能に唸ってしまいました。それから、シーケンサーを使っているからか、割とミニマルな展開の曲が多いのですが、曲自体が3分台とやや短めで、もう少し長くして、1曲1曲の雰囲気を楽しみたいと言う感じもしました。また、Bandcampの解説には、KrautrockとNDWを繋ぐ音楽と書いてありましたが、確かに、電子系クラウトロックの流れも感じられます。刺激的な音楽ではないですが、こんな優しい電子音楽も良いのではないでしょうか!! B5 “Autoselbstfahrer” (3:59) https://youtu.be/1n62qoyOnG8?si=6n6BRn0k1V8LyYeb [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nJQ3WfGDACT6xNrw0CiASrGvuIQAVxBm4&si=RY_KFwIRv-EULKYc [BandcampのURLも貼っておきます] https://diepartei.bandcamp.com/album/celaviemachinery #DiePartei #Celaviemachinery #BureauB #SecondAlbum #43年振り #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Electro #Instrumental #Minimal #Krautrock #CoverSong #BrianEno #HereComeTheWarmJets #TomDokoupil #WalterDahn
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electro Pop Bureau B 3465円Dr K2
-
Sissy Spacek “Electrochemistry”
皆さんは、Sissy Spacekと言うバンドを知っていますか? 多くの方は、映画「キャリー」とか「JFK」に出てたMary Elizabeth "Sissy" Spacekと言う米国のメチャメチャ有名な女優さんでは?と思うかも知れませんが、バンドの方は、1999年に、米国LAで結成されたグラインド・コア/ノイズ・バンドで、現在の正式メンバーとしては、Charlie Mumma (Drs/Vo)とJohn Wiese (B/Vo/その他)のデュオから成ります。2001年に、セルフタイトルのデビューCDを出して以来、ハーシュ・ノイズ、ノイズ・コア、グラインド・コア、フリー・インプロ、ミュージック・コンクレート等のジャンルを自在に網羅する膨大な作品(2024年9月の時点で170作弱)をリリースしてきています。初期の作品では、カットアップを多用した、それまでに録音されたデモ音源とライブ音源のコラージュから構成されている曲が多く、また、超限定モノのシングルとかも多いです。また、多くの作品はWiese自身のレーベルHelicopterからリリース或いは再発されています。それまでは、私の認識では、John Wieseは、LapTopを主に使うデジタル系ノイズを演奏する割と地味目なノイズ・ミュージシャンと言う感じだったので、正直、彼がSissy Spacekで、B/Voを演奏して、グラインド・コアを始めた時は、ビックリと言うか、意外な感じでした。しかし、今ではすっかりグラインドもノイズも出来る信頼できるミュージシャン兼エンジニアであり、Los Angelis Free Music Society (LAFMS)とも関係のあり、旧世代と新世代を橋渡しているキーパーソンになっています。また、Wieseは、ソロでも多作家であり、170作以上の作品を出しており、またジャケのデザインも手掛けるマルチ作家でもあります。一方、Charlie Mummaも、多くのバンドやユニットに参加しており、個人的には、Ted ByrnesとのデュオWood And Metalに注目しています(その名の通り、木材とスクラップ・メタルだけを使った即興演奏を繰り広げるデュオです)。話しをSissy Spacekに戻すと、先程述べたバンドの協力者以外にも、Merzbow, Smegma, 非常階段やThe Haters等の大物ノイズ/実験音楽グループからCorydon Ronnau, Danny McClain, Jesse Jackson, Youth CodeのSara Taylor, LiarsのAaron HemphillやKevin Drumm等の若手〜中堅所までとコラボも数多くこなしており、2015年のLA Weeklyでは「今、正に聴くべきLAのパンクバンド、ベスト20選」にも選ばれており、2018年には米国/日本ツアーを敢行、その後も1度日本ツアーをやっています。 それで、この作品ですが、一応、Sissy Spacek名義になっていますが、B面は、わたくしK2の音源を勝手に使ってのコラボ曲となっています。そして、ラテカット盤でも無いのに、何と9枚限定と言う「超限定品」です。しかも、2023年のJohn Wieseの日本ツアーの時に、彼からの手渡しで1枚入手したと言う超貴重なシングルとなんてす。実は、私は2014年に、Sissy Spacek & K2でセルフ・タイトルのコラボ・スプリット作品(CD & 7-inchシングル)を出しており、そのちょっと前からの付き合いになります。まぁ、それはさておき、本作品の各曲をご紹介していきましょう。 ★A Sissy Spacek “Car Fire”は、確かにWieseとMummaのグラインド・コア演奏も聴こえるのだけど、細断された様々な音(既成の音楽を含む)がカットアップされており、もはやWieseによるPC上での作業によるカットアップ・ミュージック・コンクレートとも言えます。 ★B Sissy Spacek & K2 “Crime Simulation”は、何故か私の音源(ライブ音源かな?)も使われており、こちらの曲は更にノイズ度の高いハーシュ・サウンドに仕上がっています。最早、DrsもBもVoも判別出来ないです。こちらは、カットアップ・ノイズな曲調ですね。 まあ、Sissy Spacekの場合、初期のライブこそ、Drs/B/Voによるグラインド・コアのイメージでしたが、メンバーの2人共に、それまでからノイズ・ミュージックや実験音楽等にも手を染めていましたので、その後には、段々と色んなスタイルのエクストリームな音楽を作品化するようになったのだと思います。その意味では、特異な立ち位置のバンドではないかと思います。本作品は超限定のコレクターズアイテム(と明記されている)なので、別に皆さんが聴くことはない確率が高いですが、Sissy Spacekの作品は沢山出ていますので、そちらの入手し易いものを試しに聴いては如何でしょうか? [このシングルはYouTubeに上がってないので、2024年5月のSissy Spacekのライブ動画を貼っておきます] https://youtu.be/DEGDHLB0dAw?si=p5WH6zm2o9wv7tDs #SissySpacek #Electrochemistry #Helicopter #7-inchSingle #UltraLimitedEditions #9部 #CollectorsItem #Noise #CutUpNoise #Laptop #GrindCore #K2 #Electronics #SoundSource #JohnWiese #CharlieMumma #KimihideKusafuka
Cut-Up / Harsh Noise / Musique Concrete Helicopter なしDr K2
-
Weiches Loch / Vexation Soul “5” / “そよぎと”
日本屈指のメタル・パーカッション軍団Weiches Loch (ヴァイヘズ・ロッホ)。その名前は噂には聞いていたしら、実は彼らのライブ・カセット作品も数年前に購入していました。それで、最近、シングルを出したことや、メンバーの多門伸くんがコンクリートで固めた、11Kgもある、とんでもないソロシングルを出したことで、俄然、興味を持っていました。そんな時に、丁度、K2のプチツアーで大阪Environment 0gに行った時に、多門くんから、直接渡されたのが、この7インチ・シングルでした。初めは、Weiches Loch単独かと思ったら、Weiches LochとVexation Soulのスプリット・シングルで、両方楽しむことができました。それで、各バンドについてちょっと調べてみました。 Weiches Lochは、2002年に結成されたメタパー音楽集団で、当初はフィンランド出身のJere Kilpinen (Junkyard Shaman)も所属していましたが、現在では、多門伸、佐野アツシ、田中健司のトリオとなっているようです。最初の頃、「電車でスクラップなメタパーをハコまで運んでいたが、もう平気になった」との噂も聞いています(これはメタル使いだった私もやってましたので、気持ちは良く分かります)。多門くんは、自身のレーベルLa Muro Mia Muroも運営しており、本作品も、ここからの第2弾のリリースです。 一方、Vexation Soul(ヴェクサシオン・ソウル)については、寡聞にして良く知らなかったのですが、大阪の伝説的ハードコア・ダブ・オーケストラVermilion Sandsから派生したバンドで、メンバーは、1980年代から「関西のDAF」とも称されるXOYOとして活動する今北正二/Shoji Imakita (Drs, Saw Blade Perc)に、Mari Torii (Vo, Trumpet, Whistle, Bells)とポルナレフ真彦/Polnareff (Poet)から成る3人ですが、ダブ処理に、同じくXOYOの本荘恭司/Kyoji Honjoも参加しているとのこと。こちらのバンドは、Polnareffの「詩」を中心として、他のメンバーが自由な実験性で音楽を構築しています。 バイオグラフィーについては、この位しか分かりませんでした(すまん!)。なので、実際の各曲を紹介していきましょう。 ★A Weiches Loch “5”は、3人のメタパーの緻密なドラミングのみから成る曲で、曲構成も素晴らしく、タイトかつダイナミックな演奏を存分に堪能出来ます。これは、相当、練習しているのではないかと想像され、この点だけでも既に高得点です。また、メタパーの録音方法が素晴らしく、私自身、メタル使いだったことから、彼等のメタパーの録音が如何に凄いことか良く分かります。そこまで、気を使っているのが嬉しい所でもありますね。 ★B Vexation Soul “そよぎと”は、ポルナレフの独自の詩の朗読から始まり、不明なノイズやトライバルなドラムが加わる中、自在なトランペットも縦横無尽に吹き鳴らされ、混沌とした音場を形成され、更に、ダブ処理や回転数等をいじったりして、益々混沌としていきます。因みに、タイトルの「そよぎと」の「そよぎ」とは「梵」とも書き、宇宙を支配する根源的原理とのこと。関係があるのかな? こうして2つのバンドをスプリットで聴いてみると、まだまだ新しい/deepな音楽は生まれているのだなと確信させられ、ロートルの私としては、このような新しい音楽に2024年に出会えたことが嬉しくて堪らないです。特に、Weiches Lochは、ライブ動画をYouTubeで観ると、Test Dept.的なリズムだけではなく、その音楽に、日本的(例えば、祭囃子のリズム)な要素も感じられ、そこら辺が何とも言えず魅力だなとも感じました。また、Vexation Soulも詩(=言霊)を中心としながらも、カオスに突き進む姿は、大変興味深かったです。興味を持たれた皆さんも、是非、聴いてみて下さい!早く入手しないと売り切れちゃうぞ! [trailer] https://youtu.be/d8q0GWVuLdk?si=5p58tj_OlOImEv0R [オマケ: Weiches Lochのライブ動画] https://youtu.be/E9oablE2AJI?si=d8dwCsVDoUUJY7vz #WeichesLoch #VexationSoul #5 #そよぎと #LaMuroMiaMuro #7-inchSingle #SplitSingle #関西 #Tribal #Industrial #MetalPercussions #Experimental #Poetry #Dub #ShinTamon #多門伸 #AtsushiSano #佐野アツシ #KenjiTanaka #田中健司 #SojiInakita #今北正二 #MariTorii #Polnareff #ポルナレフ真彦 #KyojiHonjo #本荘恭司 #XOYO #VermilionSands
Tribal / Industrial / Experimental / Poetry La Muro Mia Muro なしDr K2
-
Frieder Butzmann “juHrop-Szenen und Arien aus einer Oper in klingonischer Sprache”
今回は、Berlinの天才の1人Frieder Butzmannの新作” juHrop - Szenen und Arien aus einer Oper in klingonischer Sprache”をご紹介しましょう。Frieder Butzmannの略歴は既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで、今回は、日本でも「宇宙大作戦」としてTV放送されていた「スタートレック」に出てくる武闘派民族クリンゴン(Klingon)をテーマにした作品になっており、制作も1996年〜2001年に及ぶ電子実験歌曲集のなっています。また、この作品は、2009年にはラジオでも放送されており、ヴォーカルもDiamanda Galás, David Moss, Margarete Huber, Udo Scheuerpflug, Wu Jiangが担当していると言う豪華さです。私自身は「宇宙大作戦」の頃は、TVで観ていたのですが、その後は観ておらず、余り詳しくはないのですが、クリンゴン人についてちょっと調べてみました。元々、好戦的な民族であるからか、母星クロノスを中心に広大な領域を従えるクリンゴン帝国を成しており、クリンゴン人は、何よりも自分の一族・一派・仲間の「誇りと名誉」に拘るらしいので、死を恐れず、戦いに挑む民族らしいです。また、23世紀までは、地球人と敵対していましたが、24世紀には同盟を結んでいます。どうも、初回の放送でも「クリンゴン帝国の侵略」の回として最初に出ており、地球人のカーク船長とクリンゴン人のコール司令官がオルガニア星をめぐって争うエピソードがあります。その後は、高い知能を持った勇猛果敢で誇り高い戦士として登場することになっています。まぁ、クリンゴン人については、ここまでにしておきますので、もっと知りたい方は、Wikiで調べて下さい。 それで、本作品は、その副題「クリンゴン語のオペラのシーンとアリア」とあるように、多分、クリンゴン語での歌曲を先述のヴォーカリスト達が歌っています。また、作曲はButzmannがほぼ1人で行っているようですが、B3とC3だけはButzmannとKlaus Krügerの共作となっています。アルバム・タイトル”juHrop”も曲名もクリンゴン語(まるでMagmaのコバイア語みたいですね)で表記されています。また、バックでは、モアビット・モテット合唱団がサポートしています。後、このボックス・セットは、250部限定で、かなり立派なセットで、ナンバリングも記されており、歌詞もクリンゴン語、独逸語、英語で訳が付いており、また美しいアートワークも数枚LPサイズで付いています。それでは、各曲について紹介しつつ、どんな筋のお話し(オペラ)かも解説していきます 。 ◼️LP1 ★A1 “Si Xiang” (3:02)は、第一幕の始まりで、チリノイズからシンセのSE音へ移行するバックに、Wu Jungが歌う郷愁の歌で、地球に住んでいた中国人が、24世紀にタイムスリップし、しかもクリンゴン星にワーブしてしまい、それで、その中国人女性が地球のことを思って歌っているのだとか。 ★A2 “veng wa'DIchDaq” (3:49)は、モアビット・モテット合唱団とDiamanda GalásとDavid Moss及びButzmannによる壮大なスケールのコーラスと交響楽的バックから成るオペラチックな曲で、どうもクリンゴン星の市場の様子らしいです。途中でクリンゴン人達のやり取りが出てきます。 ★A3 “tlhIngan qulwIj DaHot DaneH'a'” (2:27)は、軽めのリズムに合わせて、Butzmann本人が朗々と歌うラブソングで、1人のクリンゴン人男が中国娘に恋心を抱き、歌を捧げているそうです。 ★A4 “chon” (3:03)は、スペーシーで重厚なシンセをバックに、ButzmannとJungの掛け合いが繰り広げられる、この曲は、彼(クリンゴン人男)を嫌がる彼女(中国娘)がシャトルで飛び立ち、それを彼が追いかける時のやり取りらしいです。 ★B1 “tlhIngan ruqwI' qaD” (2:34)は、ノリの良いシンセを効かした小気味良い曲ですが、Butzmannのげっぷの音が大々的にフィーチャーされています。これは、クリンゴンの市場で、中国人代表団を招待して、ゲップ大会を催しているらしいです、 ★B2 “nuqneH” (2:03)では、緩やかなオルガンをバックに、ヴォコーダーVoとコーラスがドローン状に流れています。この曲は、長期間に渡るT’lanian Tigerとの戦いで、多くのクリンゴン人は死んでしまいますが、その悲しみをロボットに表現させている「死者を悲しむ歌」です。 ★B3 “mISmoH” (5:09)は、またノリの良いミニマルかつポップな曲で、シンセが良く効いています。途中には、Udo ScheuerpfluのオペラチックなVoと対称的な程、キッチュなフレーズも出てきます。これは、まだクリンゴンの市場で、彼等が中国人達の飛行技術を真似て、踊ったり、ボーっとしたりして、平和に見える様を歌っているのだとか。 ◼️LP2 ★C1 “Zai Xia fang” (3:04)では、第二章の始まりとして、アップテンポで危機感を煽るようなシーケンスと所々で挿入されるPercやSE的シンセをバックに、Wu Jungが朗々と歌っています。この曲は、クリンゴン星の周回軌道にいる中国人指揮官が、クリンゴン人達がどうやって完全に狂っていくのかを観察している様子を表しているのだとか。 ★C2 “ghum” (5:12)は、重々しいシンセによる交響楽的な曲で、モアビット・モテット合唱団と共に、David Mossが、時に現れるシーケンスに合わせて「クリンゴン人司祭が『時空は蒸発するだろう』と予言したこと」について狂的に歌い狂います。合唱団の雰囲気が良いですね。 ★C3 “tuH” (6:11)は、「作戦」と名付けられた歌で、シンセと不規則なPercをバックに、Diamanda Galásが歌い始めますが、やがてノリの良いエレクトロなリズム隊と変わりますが、Galasは逆説的に語る様に歌い、また、声もサンプリングされて使われており、中々クラブっぽい曲となっています。この曲は、例の中国娘が、中国古武術と高度に発達したクリンゴン人の宇宙航行術を合体させることで、後に、彼女がやってきた元の時空にワープする手助けとなるそうで、これを「カタパルト効果」と呼んでいるそうです。 ★D1 “HIv tIlan vIghro''a'” (1:12)は、勇壮な雰囲気の交響楽にシンセが絡み、虎の鳴き声も含めて、T’langer Tigerの攻撃が再び始まりまった様子を表した曲です。 ★D2 “may'morgh” (2:20)では、D1に連続して、時にリズムミックな、時に流れるようなバックの電子音に合わせて、モアビット・モテット合唱団が歌っており、T’langer Tigerに対して、クリンゴン人達が、さっきの中国古武術とクリンゴン航行術のコンビネーションで彼等をやっつけている様を表しています。 ★D3 “vatlh DIS poH HutmaH cha'” (3:33)では、シンセを使ったゆったりした交響楽に、Butzmannがシアトリカルに歌っています。その内、Percによるリズムとモアビット・モテット合唱団の合唱やSE的シンセも出てきますが、ここら辺は独逸的ですね。再び、合唱がメインとなり、シーケンスも挿入されてきます。これは、クリンゴン人と中国娘は、自分達の勝利を喜び、92世紀の地球の近くまでワープしますが、そこで彼等は最終的に別れることになった場面のようです。 ★D4 “quvHa' ghaH Qupmo' ngaghqangmo'” (4:33)は、割と明るい感じの交響楽をバックに、Udo ScheuerpfluとMargarete Huberがオペラチックに歌い上げていますが、Voのメロは何だか安穏になっていきます。間奏のシンセも、その後の合唱団との絡みもグーです。この曲のテーマは、「若さや放縦さに原因がある」と言う者もいると言うことで、オペラの終わりに来て、若い中国娘は「さよなら」と告げなければならず、若いクリンゴン人男は独りぼっちのままになってしまい、2人はアンハッピーな結末となります。それで、彼等は、ウィリアム・シェークスピアのソネット第96番の歌詞でアリアを歌ったと言うことです。 しかしながら、まあ「スタートレック」をモチーフにするのは良いんですが、音楽がクラシック・オペラと実験音楽と電子音楽の混合物となっており、これが、独逸ではラジオで放送されていたのも凄いです(特に第2章に当たるLP2)。私も20年前位に独の劇場で現代オペラを鑑賞しましたが、全く分かりませんでした。でも、多くの観客が入っていたことからすると、独逸人とかって日頃からそう言う音楽とか芸術に慣れ親しんでいるのかなぁと今では思います。それにしても、悲しいラブストーリーでしたね。個人的には、音楽はLP2の方が好みです。そうそう、Fred Frithが1980年代初頭に初来日した時に、「何で日本人は、能や歌舞伎を観たことがないんだ?英国人なんて子供の頃からシェークスピアなんかは慣れ親しんでるよ」と言っていたことを思い出しました。日本だとマンガとアニメなんでしようかね?まぁ、それは別として、Butzmannの異能振りを堪能できる現代オペラとなっていますので、興味のある方は是が非でも入手してみて下さい! [本作品はまだYouTubeにもBandcampにも上がっていませんでしたので、2022年に制作されたFrieder Butzmannとコラボレーター達とのドキュメンタリー”Wünderschöne Rückkoppelungen 2 (Beautiful Feedback 2)”を貼っておきます] https://youtu.be/R8wYl1wznbs?si=Zz1WKDuxxokXtQkh #FriederButzmann #juHrop #SzenenUndArienAusEinerOperinKuqlingonischerSprache #Youdonthavetocallitmusic #SoloAlbum #2LPsBoxSet #LimitedEditions #250部 #歌曲集 #Experimental #Vocalists #DiamandaGalás, #DavidMoss #MargareteHuber #UdoScheuerpflug #WuJiang #Choir #MoabiterMotettenchor #Klingon #Startrek #KlingoneseOpera
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Experimental Pop Youdonthavetocallitmusic 8990円Dr K2
-
ばねとりこ (Banetoriko) “片の轍 (Kata No Wadachi)
以前は米国LAで活動していたばねとりこ(Banetoriko)こと植田珠來さんが大阪に帰郷して、日本の地で新たに活動を始めたことは、ご存知の方もいるだろう。実は、私は、ばねとりこの大ファンで、コロナ禍直前にLAでThe HaterことG.X. Jupitter-Larsenと一緒に3人で会っています。その前後頃から、ばねとりこさんのことはジワジワと日本のノイズ・リスナーの耳には入っていたと思われます。実際、私がばねとりこさんの音を聴いたのは、2014年に岐阜のお化け工房から出たSalmonellaくんとのスプリットCD “Kagefumi”だったと記憶しています。それから、リリースの度に買ったり、交換したりして、ばねとりこさんの「妖怪ノイズ」を楽しんできました。しかしながら、実際にばねとりこさんのライブ・サウンドを生で体験したのは、2022年5月21日に落合Soupで対バンした時でした。ばねとりこさんは、通常、Banetekと言うリールが付いた、金属の摩擦音或いは軋み音を発する自作楽器を使っているのですが、実際のライブでは意外とマルチエフェクターのようなゴツい機材やその他小物等も交えて演奏するのに、ちょっと驚いたものでした。更にばねとりこさんの演奏や曲には、モチーフになる妖怪があり、特に生で観た演奏では、正に妖怪が「憑依」しているかのようなパフォーマンス性もあって、大変驚かされました。そんなばねとりこさんのLPが、親日の仏レーベルAn’archives出たとのことで、早速、入手しました。と、その前に、ばねとりこさんのバイオグラフィーを少し書いておきます。植田さんが、ばねとりこを名乗って、LAで活動し始めたのが2011年で、ずっとLAを中心に活動しています。その後、家庭の事情などで、2021年に日本(多分、生まれ故郷は奈良だと思いました)に帰国して、大阪を中心に活動をしています。そして、日本でも、マイペースながらも、類を見ない演奏で、ファンを増やしていきます。今回は初のVinylでのリリースとなりましたが、そのまえにも、2017年に、坂口卓也氏のレーベルNeurecより”Beside the Sluice”を、2022年より”Yorioto Hogiokuri ”等をリリースしています。他にも、カセット作品やCDR作品も出していますが、どの作品も1曲に1ついての「妖怪 (この概念は海外では分かり難いかも?)」をモチーフとして、自作楽器を中心に様々な「背景」の音を混ぜ込み、作品化してきています。ばねとりこさんの音は、海外アーティストと比較すると、The New Blockaders, Organum, Ferial Confine等に近いかも知れませんし、音の使い方は1980年代のHands ToやJohn Hudakなんかも想起するかも知れませんが、そのコアな部分は大きく異なります。それは、ばねとりこさんが日本人であること、「妖怪」と言う極めて日本的な存在を知っていることと関係しているのかもしれませんが、金属質な音自体の即物性よりも、そんな音を通して現前化する「何か」に焦点を当てていることの違いかも知れないですね。また、ここら辺のコンセプトについては、ばねとりこさんから直接聞いてみたいです。 それで、本作品”片の轍”では、片輪車と輪入道と言う2人の妖怪がそれぞれ取り上げられており、A面には、片輪車の懸け歌(A1)と返し歌(A2)の2曲が、B面には輪入道の1曲が収められています。これらの妖怪のことを知らなくても、充分に「ばねとりこ」ワールドに没入できますので、ご安心を!また、本作品の制作には2022年〜2023年と時間を充分に掛けていますので、正に精魂込めた力作と言って良いでしょう。それでは、本作品の各曲をご紹介していきますね。 ★A1 “片輪車の懸け歌/Katawaguruma Kakeuta”は、不気味な重低音に金属質な軋み音と柔らかな打撃音が絡む曲で、反復する歌の一節(!)も入っており、やがてBenetekの軋み音が多層化しつつ空間を支配していきます。と思っていたら、いきなり終わります。 ★A2 “片輪車の返し歌/Katawaguruma Kaeshiuta”は、Banetekの独特の錆びついたような金属質の軋みを中心に奥張った通奏低音も聴取されます。その後、再び静謐な金属質な軋み音が微音から始まり、微音の歌も入ってきて、多層化していき、またフェイドアウトしていきます。 ★B “輪入道/Wanyudo”は、地響きのような音と低音摩擦音のループらしき音から始まり、段々と後者が空間を支配していき、そこに言葉にならない声が、、、まるで頭の中を掻き乱すようですが、この曲では、更にBanetekの摩擦音の逆回転のような音も入ってきて締めてくれます。 妖怪とは、幽霊や悪霊とも違って、元から異形の存在であり、それぞれに異なる異能力を持っている訳ですが、ばねとりこさんの音楽は、主にBanetekによる異形の摩擦音を組合せることによって、様々な音形態を紡ぎ出していく作業である訳で、向かうベクトルが異なるようにも思えますが、いわゆる「ばねとりこ節」とも言える自作楽器Banetekの金属質の軋み音から様々な表現を可能にしている所に、ばねとりこさんの異能力があるのでは?と思わざるを得ないんです。それによって(特にライブでは)、ある一つの妖怪をモチーフとして多彩な表現を可能にしているのではないかと思います。後、今回、初めて気付いたのですが、ばねとりこさんの歌(と言っても鼻歌のような微かな声?)を聴けたと言うこと。これはライブの時の小物の微音に繋がるような気がしました。また、個人的には、第二期K2時代に散々メタル・ジャンクの演奏(これには、摩擦音も含む)をやってきたことからも、ばねとりこさんの音が私の好みの音でもあると言うことで、全面的に応援したいと思う訳です!そして、ばねとりさんの本領はやはりライブを体験するのが最も良いとも思いますので、一度は観ておいた方がよいですよ。勿論、帯付きのこのアルバムもマスト・アイテムです! [本作品はYouTubeに上がっていないので、落合Soupでのライブ動画を貼っておきます] https://youtu.be/ISkq4oPUk1c?si=vMIPFHjRO-kHs8sb [BandcampのURLは貼っておきます] https://anarchiveslabel.bandcamp.com/album/kata-no-wadachi #Banetoriko #ばねとりこ #KataNoWadachi #片の轍 #An’archives #FirstVinylAlbum #LA-Osaka #Experimental #Yokai-Noise #妖怪ノイズ #Banetek #Self-BuildInstruments #MetalScratch #摩擦音 #軋み音 #歌 #憑依 #TamakiUeda
Experimental / Yokai-Noise An’archives 不明Dr K2
-
CHBB “s/t”
CHBBを知っているかい?そう!あのデトロイト・テクノの源流とも言われており、1981年当時、最も先鋭的に電子音楽をやっていたChrislo HaasとBearte Bartelのデュオで、Liaisons Dangereusesの前身でもあるデュオのことです。当時は、10分カセット作品が4本(黒、赤、青、銀)50部限定で出ていただけで、その後、ブートでカセットやレコードが市場に出回ることもあったようですが、今回は、ちゃんと公式な発売で、しかも未発表音源も含む2枚組と言う仕様です。これは、 私が当時のRock MagazineでのNDW特集記事を読んで、死ぬ程聴きたかった音です。それで、ちょっとだけCHBBについて、このデュオ名はメンバーの頭文字を取っているのはよく知られていることですが、Chrislo Haasは、元々、初期のDAFに在籍しており、その時に知り合った(後にDer Planに加入するPyloratorこと)Kurt Dahlkeの使っていたKorg MS-20シンセとKorg SQ-10シーケンサーに魅了されて、DAFを脱退する際には、それらの機材に加えて、Korg MS-50シンセを購入し、毎日、黙々とこれらの機材で色んな実験を繰り返し、気に入った音等が出来た時には、サクッと録音をしていたとのこと。また、DAFのGabi Delgado-Lopezは、Virgin trilogyに影響を与えたのは、Chrislo Haasであると明言しています。一方、Bearte Bartelは、最初期のEinstürzende Neubautenの創設メンバーであり、その後、伝説のMの系譜Mania D.の創設メンバーでもあった女性アーティストで、Bartel自身もシンセに興味を持っており、新しいダンスミュージックを模索していました。CHBBは、そんな2人から結成されたデュオであり、各々の名前の頭文字を取って、CHBBと称されて、日々、上記のシンセを使っての音作りや曲作りに明け暮れていました。CHBB自体は1981年のかなり短い期間しか活動していませんでしたが、時々、後にLiaisons DangereusesのVoになるKrishna GoineauもVoで加わることもあったらしいです。そうして、3人で、Liaisons Dangereusesが結成されたのは必然であったと言えるでしょう。 本作品は、元のカセット作品の装丁を思わせる簡素なデザインで、公式に発売された作品で、また、未発表音源も含まれることになっているのは、電子音楽系NDWのファンには堪らない内容ですね。それでは、CHBBの、このアルバム収録の各曲についてご紹介したいきましょう。(なお、*は未発表曲です。) ◼️黒 ★A1 “Mau-Mau” (5:07)は、シンセで作った単調なリズムパタンに、変調Voと言うか変調ナレーションとホーンのようなシンセが被さる曲で、1980年代初頭の「不安感」を見事に表している。しかし、このタイトルはWolfgang Spelmannsとどっちが先だろう。 ★A2 “Nbke” (4:53)は、一転、ダンサブルなシンセでのリズム隊に合わせてBartelのVoが奔放に歌う曲で、その奥には、チベット仏教の読経のような音(多分シンセ)も聴取できます。 ★A3 “Bali” (3:18)は、マーチっぽいリズム隊に、金物様のPercと不明瞭なシーケンスから成る曲で、こじんまりと纏まっています。 ★A4 “Schatten” (3:12)*は、S/Hを効かせた浮遊感のあるシンセ音から始まり、海獣の鳴き声のような低音シンセとランダムなシーケンスから成る曲で、一種の独逸人らしい遊び心を感じます。 ★A5 “Highroller” (1:29)*は、重いキックの連打とシーケンスから成るミニマルな曲で、不器用に走り回る「何か」が想起させられます。 ◼️赤 ★B1 “Metall” (3:33)は、優しいシンセの持続音の後にいきなり機械の内部のようなシンセによるキックと電子(?)Percが挿入される激し目の曲で、至る所で金属質な音が聴かれます。 ★B2 “Nobodies Perfect” (5:35)は、海辺での音風景のようにディレイ処理された音が寄せたり引いたりするノンビートの曲ですが、後半では、シンセの持続音にBartelのVoやその他のテープ音もその持続音上に聴取できます。ただ、薄らとシーケンスは入っているみたいです。 ★B3 “Disconanz” (3:36)*も、太い低音持続音と不器用なホワイトノイズのスネアから成るミニマルな曲で、段々と圧迫感が増してきます。 ★B4 “Voyage Au Bout De La Nuit” (4:34)*は、何とも奇怪なバタンのシンセ・リズムに一定のシンセ・ベースが並走していますが、途中で、ブレイク後、何かが逆回転しているようになり、BartelのスキャットVoやカエルの声みたいな音も顕になります。 ◼️青 ★C1 “Chou-Frou” (4:33)は、シンセで作った強靭なドラムに、Bartelの不明瞭な声やSE的シンセ音やテープ音が塗されたミニマルなダンス・ミュージックです。最後は戦場音に飲み込まれます。 ★C2”La Petit Mort” (2:01)は、やや不明瞭なシンセのドラムに気体のような持続音とこれまた不明瞭なBartelのVoから成る曲で、最後で爆発します。 ★C3 “Irriter Les Esprits” (3:00)は、ガマガエルのようなリズムがユニークな曲で、彼等の音に対する思考の柔軟さが良く分かります。 ★C4 “Trigger Up Up!” (3:44)*は、割と正当なリズムとハイハットに、単調なシーケンスとSE的シンセ音が縦横無尽に飛び回る曲で、シンセの面白さや今までになかった楽器としての演奏を楽しんでいるようです。途中でテンポアップします。 ★C5 “Klick-Clac” (1:31)*は、重いシーケンスとキック及びハイハットが中心になり、後退したシーケンスやシンセの微音も聴取されます。 ★C6 “Speedloch” (2:59)*は、割とダウンテンポの単調なパタンから成るミニマルな曲で、所々でSE的シンセ音が挿入されますが、持続音にこそ成れ、決してメロディにはなりません。 ◼️銀 ★D1 “Ima Iki-Mashoo” (5:09)は、軽快なリズムパタンとシーケンスに、「今、いきましょ」と日本語で呟くようにVoが入る彼等の代表曲です、雷鳴のような音等も入っており、後半は、ドラムレスで、グラインドするようなシーケンスに、効果音的シンセ音や電子ノイズ音が絡みついています。 ★D2 “Go Go Go” (5:06)は、気合い一発で、ダンサブルなリズムとシーケンスが始まり、変調した男女のVoが交差する曲です。電子Percも良い塩梅で、かなりダンサブルですが、唐突に、ループ音を挟んで、リズムパタンが変わり、シーケンスと共に、男性の声のテープ音が挿入されてきます。 ★D3 “Monkey Rules” (3:33)*は、フェイドインしてくるキック音と何か良く分からないスネア音(?)から成るリズムに、不鮮明なベース・シーケンスと不明瞭なメロディから成る曲で、不安感が募ります。 ★D4 “Shapeshifter” (2:44)*は、直線的シークエンスとポストパンク的ドラムパタンの曲で、不鮮明な女性Voに混じってディストーションをかけたシンセ音がGを模して演奏されている曲です。流石にこのアレンジは嗅覚の良さを感じますね。 ★D5 “Two Track One” (1:23)*は、不可思議なパタンのシンセによるドラムパタンに、ランダムなシンセ音が絡んでくる小曲で、本作品を締めています。 多分、レコード・ラベルの色が4色あるので、それぞれのカセット作品に対応しているのではないかと思われます。ただ、D面は、曲のパタン同士が繋がっていたり次の曲だったりして、1曲1曲の判別が困難でした。それにしても、Korgのシンセとシーケンサー(とテープ音や肉声)でここまで作り込んでくるのは、流石だと思いました。多分、Haasによるところが大きいと思いますが、先ず第一に、リズムマシンを全面的に使わず、シンセでキック音やスネア音を作っている所に感激しましたが、これはThe Future〜初期Human Leagueと同じ発想ですね。そして、ダンス・ミュージックを目指していたのか、感情に訴えるメロディを敢えて不鮮明にして、リズムパタンで曲を構築している所は、如何にも独逸人らしいなと感心しました。未発表曲も沢山収録されており、それだけでも、このアルバムの価値はあると思います。なので、ジャーマン・テクノに興味のある方には、これはマスト! https://youtu.be/BG2ujGHnf_s?si=iBXfroFX-gIRj8U4 [partial album] https://youtube.com/playlist?list=PLfcEHo81lTFyLtp4x5Jl-Ml2SHh_ShKG4&si=ktvMtYR6KXiZLXlH [BandcampのURLも貼っておきます] https://chbb.bandcamp.com/album/chbb #CHBB #self-titled #SoulsheriffRecords #1981年 #OfficialReissue #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #Electro #Experimental #DanceMusic #Synthesizers #Sequencer #KorgMS-20 #KorgSQ-10 #KorgMS-50 #ChrisloHaas #BearteBartel #pre-LiaisonsDangereuses #DAF #EinstürzendeNeubauten #ManiaD.
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Electronic Music Soulsheriff Records 6450円Dr K2
-
Kleenex / LiLiPUT “First Songs”
1970年代〜1980年代初頭のスイスパンク・バンドと聞いて、何を思い浮かべますか? 私は圧倒的にKleenex (後のLiLiPUT)ですね。それでは、Kleenex〜LiLiPUTのバイオグラフィーを書いておきます。 元々は、スイスZürichで1978年に、Regula Sing (Vo), Lislot Ha (Drs), Marlene Marder (G; 2016年死去), Klaudia Schiff (B)によって、Kleenexは結成されましたが、Regula Singが脱退して、Chrigle Freund (Vo)が加入した後に、バンド名が商品登録に引っかかるとの理由で、1979年/1980年頃にLiLiPUTと改名しています。彼女らのバンドは、エネルギッシュでオリジナリティもあって、当時は、”New The Slits”とも呼ばれていました。数枚のレコードを出して、1983年に解散しています。もう少し、詳しく書きますね。Kleenexの一番最初のラインナップは、Lislot Ha (Drs; 本名Lieselotte Hafner), Klaudia Schiff (B, Vo; 本名Klaudia Schifferle), Regula Sing (Vo)で、Marlene Marder (G; 本名Marlene Marti)がギタリストとして加入したかったので、最初のライブのアンコールの時に、加わってもらって、それからはパーマネントのメンバーとして正式に加入しています。Kleenexは、話題性のあるデビューEPの録音に入り、1978年に、バンド・メンバーの友人がやっていたSunriseからスイス国内でリリースしています。このEPが、英国のラジオDJ John Peelのお気に入りになり、それで彼のラジオ番組で何度も掛けられており、更にその後、英国レーベルRough Trade Recordsも彼女達と契約しています。それで、1978年11月に、正式なデビュー・シングル”Ain’t You”をリリースして、翌年、欧州ツアーを敢行しています。その1年間のツアー後、Regula Sing (Vo)が脱退し、代わりにChrigle Freund (Vo)が加入してきます。それで、彼女らは、セカンド・シングル”You”を1979年にリリースし、バンド名をLiLiPUTに改名しています。その理由は、テッシュ・メイカーのKleenex社の商品登録を所持しているKimberly-Clarkが法的処置を起こそうとした為です。LiLiPUTになって、直ぐにAngie Barrack (Sax)が加入し、バンドは1980年に”Eisiger Wind”シングルと、1981年に”Split”シングルをリリースしますが、共に英国インディーズ・シングルス・チャートに入るヒットソングとなります。特に、前者は、Rough Trade Recordsが、1981年にも再発しています。しかしながら、Ha (Drs)とBarrack (Sax)がこの時期に脱退し、またその後、Freund (Vo)も脱退してしまいます。Astrid Spirit (Vo; 本名Astrid Spirig)は、LiLiPUTのVoとして加入し、 更にChristoph Herzog (Sax)とBeat Schlatter (Drs)に加わり、独逸ツアーを敢行し、成功していたにも関わらず、Herzog (Sax)とSchlatter (Drs)も脱退してしまいます。特に、Schlatterはスタジオで録音時には、充分な貢献をしていたのにも関わらずに脱退したのでした。その時に残った3名、Schiff (B, Vo), Marder (G), Spirit (Vo)で、LiLiPUTは、セルフ・タイトルのアルバムを1982年にリリースしており、それを広く知らせ、新シングル”You Did It”のプロモーションも兼ねて、1983年にもツアーを行っています。Spiritがセカンド・アルバムの録音について前向きに考えている一方でらSchiffとMarderはツアーでボロボロになっており、もうバンドはやめようとさえ考えていました。Spiritは、2人のバンドメイトが疲れている状態からの負担も和らげようと、2人の体調管理等もマネージメントも行うようになります。そうして、3人は、極限状態で、セカンド・アルバム”Some Songs”を作り上げ、1983年12月にリリースしています。しかしながら、3人は、このアルバムのリリースまでに、バンドを解散しようと合意していました。そこで、LiLiPUTは、何故、バンドがアルバムの為にツアーが出来なかったのか?それはSpiritの妊娠と彼女の母性を尊重したからであると宣言して、バンドは解散してしまいます。 以上が、Kleenex/LiLiPUTの略歴です。結構、波瀾万丈でしたね。それで、本作品の内容やクレジットについてですが、どこにも記載が無く、出自は不明ですので、そこら辺の情報は勘弁して下さい。本作品の前に2011年に、Mississippi Recordsより4枚組のボックスセット”1977 1983”が出ており、そちらの方がクレジットがしっかり書いてあるみたいですので、詳しいことを知りたい方は、そちらの4枚組を入手された方が良いかもしれません。まぁ、それは置いておいて、本作品の各曲をご紹介していきたいと思います。 ◼️Kleenex/LiLiPUT ★A1 Kleenex “Ain’t You” (3:03)は、プリミティブでrawなパンク・ソングで、コーラスワークもあり、元気がもらえます。途中で不自然なテンポチェンジあり。 ★A2 Kleenex “Beri-Beri” (2:07)は、ややスローでBがキモな曲で、Voにも迫力がありますね。 ★A3 Kleenex “Madness” (3:03)は、リズム隊と共にセミアコのようなGをひたすらかき鳴らし、叫ぶようなVoが乗るパンキッシュな曲で、Bもカッコ良いです。 ★A4 Kleenex “Krimi” (1:39)は、典型的なヘタヘタなパンク・ソングですが、バックの叫び声がポイントか? ★A5 Kleenex “1978” (1:09)も、ヘタヘタなパンク・ソングですが、ほぼインストに近いです。 ★A6 Kleenex “Nighttoad” (3:07)は、パンクからポストパンクへ移行しつつある曲で、力強いVoとコーラスは健在で、全然背伸びしていない所に好感が持てます。 ★A7 Kleenex “Hedi's Head” (2:12)は、全員 ユニゾンVoで歌うパンキッシュな曲で、単純ですが、その引力は充ニ分です。 ★B1 Kleenex “Ü” (2:33)は、彼女達ならではのロッケンローなのかな?ひたすら反復するVoと奇声のような間の手、ミニマルな曲調、素晴らしい! ★B2 Kleenex “You” (3:19)は、やや重めのパンク・ソングで、ある意味「没個性的」な位パンクです。ただ途中に不自然な変拍子が挟まっています。 ★B3 Kleenex “Nice” (2:27)は、バックのコーラスワークが効果的な、G系ポスト・パンクな曲で、Voも力強くて、カッコ良いです。 ★B4 Kleenex “DC-10” (3:28)は、深いエコーのDrsから始まり、B→Gと入ってきて、力強いVoと共にSaxも入ってきます。段々とGやBはメチャクチャになっていきます。 ★B5 LiLiPUT “Die Matrosen” (3:49)は、何だかスッキリした音作りで、Saxや口笛のコーラスなんかも良い味を出しています。これは名曲ですね。 ★B6 LiLiPUT “Split” (2:00)は、元気一杯のパンク・ソングで、全員が何らかのVoやコーラスを担当して、曲に合わせて、それを繰り出すので、個人的は好みです! ◼️ LiLiPUT ★C1 LiLiPUT “Hitch Hike” (2:38)は、キャッチーなポップ・パンクな曲で、Saxや笛もしっくりと曲に馴染んでいます。 ★C2 LiLiPUT “Eisiger Wind” (3:28)は、太いGの単音リフから始まり、結構、空間的なアンサンブルを活かした曲になっています。相変わらずコーラスワークは良いですね。単に録音機材が良くなっただけかな? ★C3 LiLiPUT “Igel” (1:41)は、変拍子の曲で、サビだけ4/4拍子になっていますが、それ程違和感はありません。 ★C4 LiLiPUT “Türk” (2:50)は、イカしたSaxソロの聴けるポストパンクな曲で、サビのメロディは素晴らし過ぎて、泣けます。最後の拍手はライブだから? ★C5 LiLiPUT “Wig-Wam” (3:01)は、メインVoとバックVoを上手く活かしたポストパンクな曲で、Saxも良い感じです。やっぱりライブか? ★C6 LiLiPUT “Thumblerdoll” (2:51)は、複数Voによる元気でサーフなポストパンクな曲で、途中で曲調が変わりますが、また戻ります。 ★D1 LiLiPUT “Tisko” (1:52)は、ややハードな曲で、Voの緊迫感がバシバシ感じ、Saxも良い塩梅です。ライブかな? ★D2 LiLiPUT “Turn The Table” (4:35)は、鋭いGのカッティングとそれを宥めるようなSaxやVoのメロディが、新機軸なのかな? それにしても演奏は上手くなってますね。 ★D3 LiLiPUT “Dolly Dollar” (3:07)は、ダウンするメロディとコーラスワークのイントロから始まるパンキッシュな曲で、メインVoとバックVoそしてSaxのコンビネーションがイカしています。 ★D4 LiLiPUT “I Had A Dream” (3:10)は、カッコ良いイントロから始まるパンクな曲で、珍しくGが歪んでいます。メインVoとコーラスとSaxのコンビネーションは、やはりグー! ★D5 LiLiPUT “When The Cat's Away” (2:17)は、ワルツのリズムで、優雅なキックとGとアコーディオンがバックで、如何にも欧州風な曲なのですが、ここで聴くと新鮮です。 Kleenexの時は、良く言ってヘタウマ、正直言うと下手なんですが、それを自覚した上で、自分達に何が出来るかを模索しているような曲が多い印象でしたが、LiLiPUTになると、演奏技術も向上したこともあって、単に勢いだけじゃない「持ち味」を存分に奮っての曲や演奏を行っていると思われ、それがまた魅力的に思えます。本作品には当然、シングルカットされた曲もありますが、それ以外の曲にも、彼女達のオリジナリティが存分に感じられ、好感が持てました。Spiritの妊娠とその後の育児を優先して、バンドは解散した訳ですが、出来れば何らかの形で続けて欲しかったですね。ライブ音源らしき曲も含まれていましたが、どれも珠玉の名曲ばかりなので、ここら辺の1970年代末〜1980年代初頭の米英以外の国でのパンクに興味のある方には、お勧めします!特にフィメール・パンク・ファンには! https://youtu.be/MOgoSOqOkAs?si=didKwSnLM_ctCnWa [incomplete full album] https://youtube.com/playlist?list=PLpvztXgGzYSGLO5p-9KVcGqd9RFrFxJvB&si=2DXyqV5CCzRDU2Gs #Kleenex #Liliput #FirstSongs #KillRockStars #MississippiRecords #WaterWingRecords #Switzerland #UK #SwissPunk #PostPunk #RegulaSing #LislotHa #MarleneMarder #KlaudiaSchiff #ChrigleFreund
Punk / Post Punk Kill Rock Stars / Mississippi Records / Water Wing Records 5170円Dr K2
-
Einstürzende Neubauten “Rampen (APM; Alien Pop Music)”
Einstürzende Neubautenの新譜が出た(2024年4月現在)! これは思わず買ってしまいますよね?って私だけ? と言う訳で、約40年以上も、独NDW(正確には”Festival Genialer Dilletanten)から独自の道を歩み、メタル・パーカッションなる「楽器」を定着させ、更に自作ノイズ装置を楽器として使いながらも、ポップソングのように歌う、しかも通常のドラムもドラムマシンも無しだ。こんなバンド、他に無いだろう。しかも、パトロン制やサポーター制で独自の配給も行っています。ノイズ・ミュージックが世間に馴染んできたからこそ、その特異性が際立つと言うものだと思うんですよ。そんな訳で、丁度今、NDWにハマっている私には朗報でした。まあ、彼等のバイオグラフィーは今まで散々書いてきましたので、ここでは、省略させて頂きますが、現在のメンバーだけ紹介しておきます。Blixa Bargeld (Vo, Piano, others), Alexander Hacke (B, others), N.U. Unruh (Meral, Noise), Jochen Arbeit (G, others), Rudolph Moser (Per, Metal, others), Felix Gebhard (Synth, others)となっています。更に、ライナーを読むと、2022年のツアーの頃から録り始めていた即興演奏の部分から23個のピースを集めて、そこから、ベルリンのスタジオ内で再度作り込んでみて、何度も編集やオーバーダブをして、15曲分のベストテイクを選んだらしいです。それについては、Blixaは、「The Beatlesと同じ作り方だろ?」とコメントしています。如何にもBlixaらしいですね。と言う訳で、各曲についてご紹介ししていきましょう。 ◼️LP1 ★A1 “Wie Lange Noch?” (5:17)は、プラ・パイプとメタパーでのリズムに、BとBlixaの抑圧的な歌が乗る曲で、サビに向かって盛り上がりますが、突如ブレイクが入ります。 ★A2 “Ist Ist” (3:49)では、ゴリゴリのBが曲を引っ張り、そこにメタパーやノイズが乗りますが、Blixaは自然体で色んな唱法を試しており、それらを多層化しています。 ★A3 “Pestalozzi” (5:10)は、微かなドローンにBlixaの歌で始まり、バックでメタパーやキックが聴こえます。また、コーラスワークともバッチリですが、この曲は英詞なんですね。 ★A4 “Es Könnte Sein” (3:20)は、微かな呟くようなVoとアコギのアルペジオで始まりますが、鐘の音やコーラスの後にいきなり盛り上がり、ちょっとぐちゃぐちゃになりますが、最後に向かって、反復し続けます。 ★B1 “Before I Go” (4:19)も、微かなリズム音と呟くようなVoで始まり、やがて様々な音が混じってきます。この曲も英詞ですね。途中で山場があり、その後は可愛らしいピアノや弦楽器のサンプリング音も聴取できます。 ★B2 “Isso Isso” (4:54)は、キック音で始まり、呪文のようなVoと共に、やがてBも入って来ると、独特のグルーヴが生まれます。表題は”That’s Right”と言う意味です。Blixaの引き攣るような唱法も聴けます。 ★B3 “Besser Isses” (4:48)の始めは、微かなシンセ音に殆どBlixaの独唱なのですが、Bが入ってくると、俄然曲っぽくなってきます。ここら辺の盛り上げ方は本当に上手いですね。 ★B4 “Everything Will Be Fine” (4:48)も、ガサゴソした音をバックに呟くように語るVoが暫し続きますが、オルガン?が入って来ると、そこでBlixaも盛り上がり、メタパーやコーラスも入ってきます。この曲は独英詞ですが、違和感は無いです。 ◼️LP2 ★C1 “The Pit Of Language” (4:31)では、静寂から始まり、Bのリフと共にVoも入ってきます。その後もシンセやマリンバも加わります。なお、これも英詞です。 ★C2 “Planet Umbra” (8:44)では、Bとオルガンの反復で始まり、やがてキックと共にVoが入ってきます。これも英詞なんですが、Blixaにしては珍しくちょっとSFチックな内容ですね。メタパーも遠くで聴こえますが、得体の知れない音が時々挿入されます。 ★C3 “Tar & Feathers” (5:15)は、ずっと続くコーラス?のバックに何かの楽器によるリフが微かに聴こえる曲で、やがてその空気を捻じ曲げるように、BlixaのVoが入ってきます。この曲も英詞ですが、短い歌詞で、曲も直ぐに終わります。 ★D1 “Aus Den Zeiten” (5:13)では、比較的直線的なBラインに、演劇的な語り口なVoとキックが入ってきて、更にホワイトノイズのスネアが入って来ると、曲は沸点を迎え、一度クールダウンしますが、再び盛り上がってきます。 ★D2 “Ick Wees Nich (Noch Nich)” (3:13)では、何とも怪しい音の中、Voや変調したメタパーのリズムやBのリフ等が折り重なり、高揚していきますが、最後は諦念でしょうか? ★D3 “Trilobiten” (6:16)では、アコギのアルペジオをバックにBlixaが1人語りのように歌いますが、ここでは珍しくハキハキと歌っています。やがて、キックとBも入ってきて、曲は盛り上がります。 ★D4 “Gesundbrunnen” (5:15)では、プラ・パイプのリズムとBのリフのバック遠くで、Blixaの声が聴こえますが、直ぐに前面に出てきます。それに混じって、色々な音が聴こえてきます。Blixa独特の唱法の後、一旦、曲は静まり返りますが、やがて立ち上がり、そのまま終わります。 もう、ここまで来ると、大御所としての「E. Neubauten節」と言うか、「Blixa節」を堪能させてもらった感がありますね。C2でのBlixaの新境地の歌詞もちょっとビックリしましたが、それよりも何よりも、あんなガラクタだらけの「楽器」で何故、こんなに繊細な音楽が演奏できるのか?そちらの方の「成熟度」に興味が移ってしまいました。これって、最早、彼等にしか出来ない伝統芸能なのかもしれませんね。完璧なアンサンブルです❗️まぁ大御所なので、曲の展開なんかは、初めから分かってしまうのですが、分かってしまっても、最早、そこが良いとも思ってしまいます。若い時の彼等も知っているので、その変遷具合にビックリしてしまいますが、彼等が奏でる静かな音楽も、私は良いと思いますよぉー! [live “Rampe” in Vienna, 2022] https://youtu.be/brQsak_8Cd8?si=7U1DTzzkHnpPkcix [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lbiOjP2TZSvaa5IK1JwwxwosRY5iMtcBo&si=qeOqGmrfZf_0_FKu #EinstürzendeNeubauten #Rampen #APM;AlienPopMusic #Potomak #2LPsAlbums #GermanRock #ExperimentalRock #Improvisation-Based #Rework #Edit #BlixaBargeld #AlexanderHacke #N.U.Unruh #JochenArbeit #RudolphMoser #FelixGebhard
Experimental Rock Potomak 5940円Dr K2