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Alu “Licht”
NDW好きの方なら、きっと知っていると思われるAluを、今回はご紹介します。2018年にセルフ・コンピレーション・アルバム”Die Vertreibung Der Zeit”をBureau Bよりリリースしたり、2020年に、突如、英国AttritionとのスプリットCDを再発したりして、リスナーを驚かせたのも鮮明に記憶されていますが、実は、Aluと言うバンドは、最初から、NDWバンドではなかったんです。1979年に、KrautrockバンドSandが解散して、そのメンバーであったLudwig Papenberg (G, Kbd, Drum Machine)とJohannes Vester (Vo, Kbd)が結成したのが、第一期のAluで、その後1981年に、Nadja Molt (Vo)が加入してからが、第二期Aluで、この頃は、ファースト7インチ”Bitte Warten Sie!”や後に(2005年)にリリースされる1980年録音のアルバム”Autismenschen”とは全く違ったライブ・バンドになっています。更に、1982年に、Ludwig Papenburgが脱退して、第三期Aluとなり、1986年頃に自然消滅してしまいます。これらの略歴は、前回も書きましたので、そちらもご参考にして下さい。
それで、本作品”Licht”は、第二期Aluの作品にして、最初のアルバムなんです。その前年の1981年には、ライブ・アルバム”Störfaktor I - Alu's Riskantes Experiment 31.7.81 Im Risiko”が、最初、カセットで、後にLPとしてリリースされています。なので、最初からレコード・リリースと言う意味で、ファースト・アルバムとしておきます。メンバーも、Nadja Molt (Vo), Ludwig Papenberg (Rhythm Machine, Sequencer, G), Hannes Vester (Synth, Tapes)となっており、Hannes Vesterが録音とミックスダウンもやっています。また、録音場所も、蘭のNijmegen, Haag, Amsterdam, Apeldoorn, Sittard, Eindhoven, Groningen及び独のBerlinで、1982年2月に行われていますが、音源は全て各地でのライブ音源のようです (因みに、Der Letzte Schrei !と言うレーベルは自身のもののようです)。また、クレジットには無いのですが、Discogsによると、表ジャケの元アートワークはKunio Yamanakaが、デザインはMasao Komuraが担当したらしいです。と言う訳で、第二期Aluのファースト・ライブ・アルバム”Licht”の各曲をご紹介していきましょう。
◼️Diese Seite
★A1 “Rattay” (6:35)は、ゆったりした室内楽のようなイントロから始まり、時に呟き、時に叫ぶNadjaのVoとそのバックで演奏されるポツンポツンとしたシーケンスとシンセから成る曲で、ベルギーのInsane Music辺りに近い音楽の感じもします。
★A2 “Jetzt Oder Nie” (5:35)では、A1に連続して、突然、ノリの良いマシンリズムとシーケンスとGのよる曲が始まり、そこにNadjaのしゃがれ気味のVoが乗り、LudwigもGも弾きまくってます。また、最後の付近のブレイク(?)もグー!
★A3 “Scheiss DDR” (5:12)は、ミドルテンポのキャッチーなGのリフで始まる曲で、しっかりしたドラムマシンとNadjaのアクの強いVoには聴き応えがあります。キッチュなSE的シンセもグレイト!
★A4 “Jede Minute” (1:00)は、淡々として不安定な音程のタブラのようなシーケンスとNadjaの語りから成る小曲です。
★A5 “Allein” (4:23)は、ツンのめるようなリズムマシンとシーケンスとGのビートに、シアトリカルでパンキッシュなNadjaのVoから成りますが、時に入る打楽器的ホワイトノイズもカッコ良いです!
◼️Andere Seite
★B1 “Wir Geh'n Hinaus” (1:20)は、Nadjaの鼻歌ようなVoとそのバックの粘着質なシンセ音から成る小曲です。
★B2 “Copyright” (3:52)は、B1に連続して始まる、ノリのよいアングラ・エレ・ポップな曲で、パンキッシュかつ劇伴風なNadjaのVoとバックのGがカッコ良いですが、中盤のブレイクでのVoにも迫力があります。
★B3 “Potz Blitz” (1:40)では、宇宙音のようなSE的シンセをバックに、NadjaがDiamanda Galasのように様々な歌い方で歌っています。
★B4 “Ach Lass Das Doch” (2:00)は、合成した波音をバックに、Nadjaが物憂げに歌っていたと思ったら、時に激しく歌ったりする曲です。
★B5 “Du Hast Es Gesagt” (4:13)は、B4に連続して突如始まる、ノリの良いマシンリズムとシーケンスに、叫びまくるVoとバックの合成した波音から成る曲で、中々エレクトロ・パンクです。途中のブレイクでの波音とVoのGの絡みもグー!
★B6 “My Way” (1:20)は、越路吹雪のようなNadjaの独唱とドローン音から成る小曲です。
★B7 “Entsetzlich” (1:10)では、Nadjaの物憂げな語りが中心で、僅かにシンセ音が聴こえます。
★B8 “Schlag Mich” (5:00)は、B7に連続して、ドラム缶のようなドラムマシンと軽いシーケンスに、打楽器的ホワイトノイズと訴えかけるようなNadjaのVoから成る曲ですが、Voは段々と狂的になり、リズムマシンやGも激しくなります。
バックの2人がクラウトロック出身であることを感じることは皆無な程、1980年代初頭の欧州エレ・ポップな雰囲気の音作りをしており、このレコードを聴く前に、溝を見たら、あんまり溝がハッキリしないので、「あれ?」とも思ったのですが、聴いてみて、これがライブ音源だったので納得しました。また、紹介文でもちょっと書きましたが、ベルギーのInsane Musicや蘭のDing Dong Disc辺りのサウンドにも共通点がありそうで、結構、拍手もあり、ウケていますね。それから、第二期Aluから加入したNadja Moltのヴォーカリゼーションが、変幻自在で、Diamanda Galas(あそこまで強烈/狂的ではないですが)を想起します。しかし、よりパンク寄りで、それが、控え目なバックのエレクトロな曲調に良くマッチしていると思いました。Aluは、その時期によって音作りが違うので、Bene GesseritやVan Kaye & Ignit辺りが好きな方にはお勧めします!
https://youtu.be/ZRO5950Ewj4?si=RJFTtOFY_4db5k8B
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