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Die Ich’s “s/t”
やっとこさ、入手しました。後にEinstrütznde NeubautenのメンバーにもあるJochen Arbeit (ヨッヘン・アルバイト)が所属しており、また、以前に紹介して、Leben Und Arbeiten (レーベン・ウント・アルバイテン)ともスプリット作品を出していたバンドDie Ich’s (ディー・イッヒス)、唯一のアルバムLPです。もうバンド名からして凄いですよ、“The 俺”ですから。また、ちょっと調べたら、VoのRumme Beck (ルーメ・ベック)は、Leben Und ArbeitenやMekanik Destruektiw Komandoe (メカニク・デストルェクティヴ・コマンドゥ)のメンバーとしても関わっていたようですし、先述のLeben Und Arbeitenでは、Voも掛け持ちしていたようです。また、Jochen ArbeitもStezelczykと言う名義で、Leben Und Arbeitenと掛け持ちしていたみたいで、ここら辺のメンバーの緩さが何とも黎明期っぽいですね。Die Ich’sは、1981年には、カセット作品を数本自主制作で出していますので、その頃位に結成されたものと思われ、本作品が1983年リリースなので、この辺り位で活動は終わっているようです。メンバーは、RummeniggeことRumme Beck (Vo), Jochen Arbeit (G), Rainer Winkelvoss (Sax, Trombone), Hopek Quirin (B), Carlos Konietzko (Drs)の5人組で、本作品は、Alexander von Borsig (後のAlexander Hackeで、Einstrütznde Neubautenに加入)とJens Tröndle及びDen Ich's自身がプロデュースしています(因みに、Rainer Wikelvossは、Flucht Nach Vorn[フルヒト・ナッハ・フォルン]と言うバンドで1982年に12インチ・マキシシングルを出していますし、Hopek QuirinもKosmonautentraumのサード・アルバムに関わっているようで、2000年代になってもJochen Arbeit等とコラボ作品を数作出しています)。まぁ、調べてもこれ位しか分かりませんでした(すまん!)。と言う訳で、早速、Die Ich’s唯一のアルバムの各曲を紹介していきましょう。
★A1 “Du Oder Ich”は、一撃必殺空手のような小曲で、表題「アンタか?俺か?」と叫び、煽るVoが印象的です。
★A2 “Beweg Dich”は、連打される1拍子(?)のDrsに合わせて、全ての楽器が断片として同じく不協和音で連打される異様にテンションの高い曲で、叫ぶようなVoもそれらを煽りまくります。
★A3 “Draussen Im Wald”で、漸くビート感のある曲になりましたが、太いBラインとNo WaveなGと自在なトロンボーンに、焦燥感を煽るVoが特徴的です。
★A4 “Braver Junge”は、高圧電流を通した有刺鉄線のような金属質なGの持続音に、ダルでスローなリズム隊が挿入され、正気のないVoに唸るSaxと言うサイキックな曲で、やがてVoも狂い始めて終わります。
★A5 “Waschcenter”では、タムの連打から成るDrsに、ジャキジャキのGと自在に蠢くB、更に痙攣し、窒息するSaxをバックに、ユニゾンのVoが時に朗々と、時に呪文のように歌っています。
★A6 “Liebeslied”は、Gのアルペジオから始まる、暗調のジャジー・ビートな曲で、トロンボーンが良い感じですが、Voは何だか正気に乏しいです。
★B1 “Gesichter”は、くるみ割り人形のような単調なリズム隊に、それを切り裂くようなGとカズー(?)が絡む曲で、最初は大人しかったVoも途中で狂ったりします。Bの唸りが凄いです。
★B2 “Kaffee Trinken”は、アカペラのイントロから始まるビート感のある曲で、エフェクトを掛けたVoと大仰なトロンボーンと金属質なGがせめぎ合う曲です。
★B3 “Schatten Der Nacht”は、重いBとキック多めのDrsに、Gの鋭い刻みとNo WaveなSaxが乗る曲で、途中のDrsソロ(?)もカッコ良く、恐らくBorsigによるアイデアでは?と勘繰ってしまいます。勿論、Voの辛辣さも聴きどころです。
★B4 “Die Frösche”は、フリージャズのような窒息し掛けたSaxとGの軋みをバックに、Voがシアトリカルに語り、所々にBやDrs等の断片が挿入される曲で、ビート感皆無です。
★B5 “Dschungel”は、B4と連続して始まるビート感の強い曲で、No WaveなGにユニゾンで歌うVoが強烈です。最後は、Gのジャリジャリ感溢れるカッティングが迫ってきます。
★B6 “Es Kommt Noch Ganz Anders”は、ドタドタしたDrsを中心としたリズム隊の強烈なビートに、スライド奏法のGやフリーに吹きまくるSax、必死なVoから成る曲で、Bush TetrasにJames Chanceがゲスト参加したみたいで、エンディングもカッコ良い粋な細工がしてあります。
正直、あんまり期待はしていなかったのですが、Die Ich’s、結構、カッコ良いバンドだと思いました。先ず、録音された各楽器の音色の鋭さと曲のNo Waveっぽさがバッチリ合っていて、めちゃくちゃカッコ良いです。多分、”No New York”の遺伝子を受け継いだ独のバンドとしては、ピカいちなのではないでしょうか? そして、演奏もタイトかつ硬質で、余計な音も無く、単にめちゃくちゃに演奏しているのではなくて、ちゃんと「曲」として成り立っている点も評価したいです。これは隠れた名作だと思います!! 多分ら録音仕方とか楽器の音色とかは、Alexander von Borsigとかのプロデュースにもよるのかもしれませんが、本作1枚で、Die Ich’sが終わってしまったのは、非常に残念です。入手は困難かもしれませんが、もし見かけたら、即買いで! No Wave好きなら絶対損はしないと思いますよ。
A2 “Beweg Dich”
https://youtu.be/uZSpWIuhGXs?si=2__Nven6sZxnOyjH
A4 “Braver Junge”
https://youtu.be/-GZzYDltsZw?si=eiUw0dHRMnld4MZL
A5 “Waschcenter”
https://youtu.be/Jpr4Y8i-bZg?si=nzdkwZ99hjKLal7D
B1 “Gesichter”
https://youtu.be/rKCfPPBzAmU?si=5dtSTfcduNtyYMH7
B2 “Kaffee Trinken”
https://youtu.be/pprSrACe108?si=7PaQgfqmsfM09oEG
B3 “Schatten Der Nacht”
https://youtu.be/tQrA3ne4EJk?si=YlZMdbFt1ZsZOUH4
B6 “Es Kommt Noch Ganz Anders”
https://youtu.be/7VNi5bIPO7U?si=usN7distv7whlAAe
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