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Holger Hiller “Demixed”
天才Holger Hillerのソロ・アルバムとしては4枚目にして、タイトル通りDemixed (Remixed)アルバムです。Holger Hillerは、Palais Schaumburg脱退後、1984年から、ロンドンに移り住み、Mute Recordsのプロデューサーとして働き始めます。1988年には、ビデオアーティスト羽田明子とKarl BonnieとOh! Hi Bang Bangと言うバンド?を始め、12㌅マキシ・シングルとCDVideoと言う2つのフォーマットでリリースしています。と言うような活動もしていましたが、2003年からはベルリンに移り、英語教師をしています。
それで、本作品なのですが、「クラウトロック大全」の小柳カヲル氏によると、新曲は1曲のみで、他はそれまでのHillerの曲のリミックスと言うかデミックス・ヴァージョンから成ります。因みに、Kitschfingerとは、弟子のAndreas Dorauのことで、A.J.とは、ヒップホップ・グループBorder CrossingのAlex Angolのことです。Julian Briottetは、ロンドンのダブソニック・グループRenegade Soundwave関係の人物らしいです。Paul Treeは調べても分かりませんでしたが、Russellは恐らく、Russell Haswellのことでしょう。Paul Valentineは、テクノやハウス辺りで活動しているリミキサーのようです。また、O.C.P.も全く分かりませんでした。クラブ・カルチャー関係は不勉強の為、良く分からないので、教えて貰えると有り難いです。なお、A4は、元NMEの記者Chris Bohnが書いた曲らしいですが、Steveが誰かは不明です。また、A1とA5は、Holger HillerとKarl Bonnieの共作で、前作”As Is”に収録されています。そんな訳で、良く分からないアーティストによってデミックスされたHolger Hillerの曲がどうなっているか、各曲について聴いていってみましょう。
★A1 “Yum (Demixed By O.C.P. )” (6:52)は、軽めのビートに合わせて、Hillerの呟くようなVoが多層化して聴こえる曲で、Synth-Bは割とミニマルに抑えてあります。時に聴こえる金属質なリムショットが心地良い。
★A2 “Wrong (Demixed By A.J.)” (3:18)は、サンプリングした雑踏音をリズムとして使い、リズムマシンと同期させた曲で、原曲の持ち味が生きています(今なら皆んな考える方法かな?)。
★A3 “Me Too (Demixed By A.J.)” (4:58)は、強力な四つ打ちリズムで始まりますが、やはりサンプリング音をリズミックに同期させている所が見え隠れします。
★A4 “Neighbours (Demixed By Steve)” (3:47)では、民族音楽調なリズムに、Hillerが語るように歌っており、リズムの後ろにはサンプリング音らしき音が聴こえて、それが良いアクセントになっています。
★A5 “Cut (Demixed By Julian Briottet)” (5:45)も、四つ打ちキックで始まり、スネアの音等がサンプリングされた金属音だったり、伴奏がそれらの音のループだったりで、隙が無いですね。
★B1 “Count (Demixed By Kitschfinger)” (3:03)では、人声のサンプリング音をリズムに組み合せて、まるで「音」が歌っているかのようなミックスになっています。途中からシーケンスも出てきます。
★B2 “Passion (Demixed By A.J.)” (5:28)は、水音のサンプリング音からヒップなリズムトラックに移行しますが、やはり人声のサンプリングが歌のように聴こえます。後半にはランダムなラジオ音等も合わせてきます。
★B3 “XXX (Demixed By A.J.)” (5:10)は、アフリカ系民族音楽のリズムで味付けしたヒップなリズムトラックに、Hillerのサンプリング音を無理クリ合わせてくる荒技を使っています。
★B4 “Egg (Demixed By Kitschfinger)” (5:45)は、強力なリズムに合わせて、電子音らしき音を中心に組み合わせており、他の曲とはやや趣きが異なります。
★B5 “Hose (Demixed By Paul Tree And Russell)” (3:18)は、一聴、惚けたようなリズムで始まりますが、そのうち、Hillerの間の抜けたようなVoも挿入されたり、スクラッチ音も入ったりします。
★B6 “Sing Songs (Demixed By Paul Valentine And Julian)” (3:28)では、やや勢いのあるリズムトラックに、声のサンプリング音等が同期しており、タイトル通り「音」が歌ってますね。あとベースラインが凄いです。
やっぱり、Holger Hillerはどこまで行ってもHolger Hillerですね。これだけ弄られていても、一聴して、「あれっ、これってHolger Hiller?」と分かってしまう程、当時としては音の個性が強烈でしたね。当然、当時の機材的な制約もあり、リミックス作業が困難であったことも容易に想像し得るので、それ程、突っ込んで紹介してはいませんが、やはりHolger Hillerっぽい音がそこここに聴こえて、これは”Remixed”ではなく、”Demixed”なんだなあと感心してしまいます。また、クラブ・ミュージックとしても聴くことは可能ですので、そう言う聴き方もしてみてはどうでしょう(かなりヘンテコですが)?
[アルバムを纏めた動画はなかったので、個々の動画を貼っておきます]
A1 “Yum (Demixed By O.C.P. )” (6:52)
https://youtu.be/3m16cyEubBU?si=dF4dsVQcs345sqGg
A2 “Wrong (Demixed By A.J.)” (3:18)
https://youtu.be/l3AkMrK9x10?si=QTU9FMG4sDlkmxYK
A3 “Me Too (Demixed By A.J.)” (4:58)
https://youtu.be/4drinyeEHOw?si=gnHraJwsMaKHtawF
A4 “Neighbours (Demixed By Steve)” (3:47)
https://youtu.be/6zgcorImUS0?si=xSqXz5uMyU7e3yRZ
A5 “Cut (Demixed By Julian Briottet)” (5:45)
https://youtu.be/3b5mg4o75Kg?si=I0hb2R__z9MGrE54
B1 “Count (Demixed By Kitschfinger)” (3:03)
https://youtu.be/UWtqSlR0DeU?si=_P8bOFzGnt_GOEdN
B2 “Passion (Demixed By A.J.)” (5:28)
https://youtu.be/WoKWnW5eS7U?si=B3lrg7phOIa7p0mj
B3 “XXX (Demixed By A.J.)” (5:10)
https://youtu.be/-EyK38rJHc4?si=rr09dNN5jMf_y-FI
B4 “Egg (Demixed By Kitschfinger)” (5:45)
https://youtu.be/QsbZKxgahoI?si=2pet9Sp9R_hrG_yw
B5 “Hose (Demixed By Paul Tree And Russell)” (3:18)
https://youtu.be/gZUtUq6b44o?si=cQVb2SUryRpC4ZW_
B6 “Sing Songs (Demixed By Paul Valentine And Julian)” (3:28)
https://youtu.be/xsx7qGP0Qo8?si=T0fwKZAAG5WaFyOs ooo
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