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Das Synthetische Mischgewebe “Inventaire & Contradictions - Retrospective 1982-1988“
君は、Das Synthetische Mischgewebe (「ダス・ジンテティッシェ・ミッシュゲヴーベ」と発音? 以下DSMと表記)を知っていますか? 1980年代初頭に、独Berlinで、Guido Hübnerを中心に結成された電子実験音楽/インダストリアル/アヴァン・ギャルド・グループです。当時は、他に、Isabelle CheminやYrefことRainer Freyなどが1〜2人程協力していたようです。 それで、活動初期はカセット作品を出していましたが、彼等のファースト・アルバムLP”The Harvest Of Magnetism”は、何と(!)スペインのDiscos Esplendor Geometricoからリリースされています。その後も、DSMの作品は、SFCR (仏), Pinch-A-Loaf Productions (米), Povertech (米)などの海外のレーベルからもレコードやCDとしてリリースされており、更にDSMは、MSBR (日), Frans de Waard (蘭), Ios Smolders (蘭), Artificial Memory Trace (捷), TBC (独), The Oval Language (波)などの様々なアーティスト/グループとコラボ作品も制作しています。先述のように、DSMはBerlinで活動を開始しましたが、この後、1987年にはスペインBalcelonaへ、そして1991年には仏Bordeauxへ移り、最終的には、仏Lower NormandyのCaenに活動の拠点を構えることになります。その際、1987年に、Cheminは、仏Nice近郊のSophia Antipoliに移り、社会的嫌悪に対して仮想空間がどれだけ耐えられるのかの環境開発に携わるコンサルティング・アーティストとして、DSMに参加しています。DSM、即ちHübnerは、国からグラント(資金)を貰いながら、科学的/医学的なプロジェクトとしても働いており、多くの欧州の大学と、音響環境に関するコラボをやってきています。既に、数多くのパフォーマンスやインスタレーションもやり続けており、活動を始めてから、40数年が経っていますが、今だに現役で活動しています。 DSMのバイオグラフィーはザッと上記のようになり、既に大ベテランですが、今回、紹介する作品は、DSMの極初期のカセット作品から抜粋されたトラックを集めたセルフ・コンピ・アルバムとなっています。貴重な曲も収録されていますので、機会があれば、是非体験してみて下さい❗️この時期のDSMのメンバーは、Guido Hübner (Electronics), Isabelle Chemin (アコースティック音収集), Yerf (弦楽器)となっています。それでは、各曲を紹介していきましょう。 A1 “Überlebensformen IV”(1987年, 未発表)では、フェイド・インする電子音に、強烈な弦楽器による打撃音や様々なテープ音/ジャンク音が混在してきて、独特の感触のサウンドスケープを描いています。また曲全体のミックスも緻密かつ秀逸で、長尺にも関わらず飽きないです。 A2 “Harvest Of Magnetism III” (1988年, 未発表)は、不気味で宗教的な雰囲気の強い曲で、低音(ベース?)の不安定な反復リズムと舎利のような音が印象的で、後半の電磁波音とのミックスが強烈! B1 “Works Pt. 2” (1982年, 独Das Cassettencombinatの同名カセットより抜粋)は、モコモコした不明瞭なリズムに、微かに乗ってくるジャンク音や環境音が絶妙で、タントラ様の感触が感じられます。 B2 “Loop Of Existence” (1985年, 独Alien Artists Berlinのコンピ”Illuminated No. 2”に収録曲)も、地響きのようなスローな反復リズムに、呻き声の如きテープ音がじわじわと被ってくる曲で、その恐ろしいまでの緊迫感が凄いです。 B3 “Ode An Conrad Elektronik” (1984年, 未発表)は、ラジオ波の迷宮のような曲で、ガソゴソと這いずり廻るノイズが脳波を錯乱させ、最後に素晴らしい歪みまくった演奏(?)へと跳躍します。 B4 “Bacchus Pt. 2” (1987年, 日ZSF Produktの同名カセットより抜粋)は、微かに聴こえるリズムとシンセによる電子音が織りなす舞踏曲で、やがて不明瞭に反復する雑音へと姿を変え、スピードを増したカオスへと変貌していきます。 総じて、DSMの初期の魅力が詰まった作品かと思います。その魅力とは、インダストリアルと音響系ノイズの狭間にある未分化なモノで、この1980年代と言う特異な時期にしか産み出されなかったのでは? そう言う意味では、DSMは早過ぎた「音響派ノイズ」なのでしよう。必聴です❗️ A2 “Harvest Of Magnetism III” https://youtu.be/YNHjIJ5BLG8?si=RKz-R8hDYLV9PA0f B1 “Works Pt. 2” https://youtu.be/I9_AqoKhQZo?si=GSgyX239zhsi9ljC B2 “Loop Of Existence” https://youtu.be/LFUS0_oBcUI?si=Cmz5Z_iBAae830Y3 #DasSynthetischeMischgewebe #Inventaire&Contradictions #Retrospective1982-1988 #VinylOnDemand #SelfCompilationAlbum #LimitedEditions #500部 #Experimental #Electro-Acoustic #Industrial #Performance #Installation #German/France #GuidoHübne #IsabelleChemin #Yref/RainerFrey
Electro-Acoustic / Experimental / Industrial Vinyl on Demand 不明Dr K2
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Tangerine Dream “Alpha Centauri (ケンタウルス座のアルファ星[第三の音楽])”
久々にTangerine Dreamの登場です。しかもセカンド・アルバム”Alpha Centauri (ケンタウルス座のアルファ星[第三の音楽])”です。Tangerine Dreamについては以前に述べていますので、そちらをご参考にして下さい。それで、先ず、メンバーなのですが、ファースト・アルバムに参加していたConrad SchnitzlerとKlaus Schultzeが抜けてしまい、Edger Froese (G, B, Organ, Vo, Effects)だけが残りましたが、直ぐにChristopher Franke (Perc, Flute, Piano Harp, Synth)とSteve (Wolfgang) Schroyder (Organ, Vo, Electronics [Echo Machines], Perc)が加わって再びトリオを結成しています。そして、本作品では、ゲストに、Udo Dennebourg (Flute)とRoland Paulick (Synth)も加わっています。それで、本作品では、A面2曲、B面1曲と長尺の曲が収められていますが、図形楽譜に沿って演奏されたみたいです。それで、個人的な感想としては、ん〜そうですねぇ、現代音楽とプログレの中間みたいな音楽と言った感じでしょうか?フルートやオルガンが奏でる中、シンセのピロピロとした音が駆け回ると言えば良いのでしようか? A2 “Fly And Collision Of Comas Sola”では確かにドラムが曲を牽引していますが、基本的には、ビートレスっぽい曲で、ジャム・セッション的な印象です。まだ、シーケンサーとかも使われてはいませんので、それもあって、その後のTangerine Dreamとは違う印象を受けますね。しかしながら、当時の最先端であったことを考えると、シンセを取り入れた音楽を早々とやっていた音楽的先見性は特筆すべきでありますので、聴いてみる価値はあります! A1 “Sunrise In The Third System” (4:20) A2 “Fly And Collision Of Comas Sola” (13:05) B “Alpha Centauri” (22:00) https://youtu.be/pcmnrSoEIl4?si=BNqE_OzvkFth6Ydy #TangerineDream #AlphaCentauri #Odeon #東芝音楽工業株式会社 #Ohr #Krautrock #ElectronicMusic #EdgerFroese #ChristopherFranke #Steve(Wolfgang)Schroyder #Organ #Flute #Synthesizers #Drums #ModernClassic #ProgressiveRock #Guests #UdoDennebourg #RolandPaulick
Krautrock, Electronic Odeon /東芝音楽工業株式会社 (Ohr) 不明Dr K2
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あぶらだこ “あぶらだこ (木盤)”
まあ、私があぶらだこのようなバンドを聴くことは意外に思われるかもしれませんが、それなりに興味があったので、試しに買ってみたんです。その時はあんまりピーンときませんでしたが、もう一度、聴き直してみようと思い、再度、聴き直している訳です。その前に、あぶらだこのバイオグラフィーを簡単に紹介しておきます。この時のメンバーは、長谷川裕倫 (Vo, Piano), 和泉明夫 (G), 小町裕 (B), 吉田達也 (Drs; ヘルプ)の4人です。1981年頃に、長谷川氏 (G)と和泉 (Vo)が所属してたバンド「変態クラブ」がその前身で、最初期の頃は、ハードコア・パンク・バンドの代表と見なされていましたが、自主制作レーベルADKからのアルバムはパンク的であるものの、既に微妙なユーモアや構築性は感じられています。この時に1985年にドラムの丸井義則(通称マル)が脱退。メジャー移籍後のファースト・アルバムが、本作品である「あぶらだこ(通称「木盤」」です。ここでは、日本屈指の変拍子ドラマー吉田達也がヘルプで参加しています。その後、1986年に正式なドラムとして伊藤健一が加入、その後、1998年に、ギターが和泉に代わって大國正人に加入して、現在に至ります。彼等はミュージシャンでもあり、その前に会社員(一般職)としても働いているので、バンドの収入には生活を左右されなく、故に、このような難解な音楽をマイペースで続けられるのだ言われています。また、アルバムは全て「あぶらだこ」なので、区別する為に、ジャケ写から「青盤」とか「釣り盤」と呼ばれています。また、歌詞が難解だと言う意見は常に付き纏っており、メジャー移籍後のセカンド・アルバムでは、レコード会社側が「音楽が難解過ぎて出せない」と言われて、そのアルバムは自主制作盤としてリリースされています。因みに現在のメンバーは、長谷川裕倫 (Vo: 通称ヒロトモ)、大國正人 (G)、小町裕 (B: 通称ヒロシ)、伊藤健一 (Drs)になっていますが、長谷川氏と大國氏はKito-Mizukumi Rouber としても活動しています。 そんなあぶらだこですが、今回は、メジャー移籍のファースト・アルバム「あぶらだこ(通称『木盤』)を紹介します。メンバーは先述の吉田達也氏がヘルプで参加したメンツです。A1「Farce」は、 いきなり、ドンドコした土着的リズムで始まり、変拍子や唐突なリズム・チェンジ、転調はたまた、パンクロックの突進性などをまぶした、他のどのバンドとも似ていない独自のサウンドになっています。長谷川氏の歌詞は難解と呼ばれますが、個人的には、P-Modelの”Perspective”の歌詞に匹敵すると思います。ただ、長谷川氏の歌詞は、その字余り具合が、変拍子が適しているのだと思います。とすると、あの歌詞があって、初めてあぶらだこの演奏が成り立つようにも思えます。あと、長谷川氏のヴォーカルは変な声なんですが、これに関しては好き嫌いが分かれそうですが、これもわざとそう言うそう言う発声法をやっているのだろうか? あと、この楽曲を成り立たせる上で、小町氏のペースが肝かも知れない。確かにギターやドラムの反則的演奏も凄いのだが、それを支えているのは、やはりペースなのではないだろうか?ちょっと上手く言えないのだが、ドラムとギターを繋いでる車軸のような音で、ペース本来の役目を果たしているとでも言うのだろうか?他のアルバムを購入した、もう少し考察してみたい。A面最後の曲での長谷川氏のピアノは効果的ですね。そんな変わった「あぶらだこ」ですが、今は活動休止中みたいなので、この機会に、是非聴いてみてはどうでしょうか? 因みにB5”翌日”は名曲❗️ https://youtu.be/y4nNZ_1yQcU #あぶらだこ #あぶらだこ木盤 #JapanRecords #ProgressiveHardCore #変拍子 #難解音楽 #長谷川裕倫 #和泉明夫 #小町裕 #吉田達也
Progressive Hard-Core Japan Records 不明Dr K2
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Richard Teitelbaum and Carlos Zingaro ”The Sea Between”
これも聴くまでは謎物件でしたが、何とか記憶の底から釣り上げられました。一言で言うと「2人による即興音楽」ですね。それで、Richard Teitelbaum とCarlos Zingaroが、本作品での演奏者です。簡単に2人のバイオグラフィーを書いておきます。Richard Teitelbaumは、NYC生まれの米国人作曲家で、他にも鍵盤演奏者、即興音楽家の肩書きを持っています。また、彼はAllen Forte, Mel Powell及びLuigi Nonoに師事し、シンセなどを使ったライブ・エレクトロニクスで有名ですが、もう一つの顔としては、脳波音楽の先駆者でもあります。一方、Carlos Zingaroは、Lisbon生まれのポルトガル人ヴァイオリニスト兼電子音楽家で、即興音楽界でも有名な方です。もう少し、両人の経歴を詳しく述べます。 Teitelbaumは小さい時からピアノを弾いており、1960年にHaverford Collegeを卒業後、Mannes School of Musicにてキーボードを学んでおり、その後、Yale大で、音楽博士号を取得しています。その後、欧州に移り、前述のように、伊でLuigi Nonoなどに師事し、その時に、Alvin Curran, Frederic RzewskiとMusica Elettronica Vivaの創設メンバーとなり、脳波で楽器をコントロールすることを研究しています。その結果、1967年に欧州一早くMoogシンセを購入し、同年終わりに彼はBarbara Mayfieldと最初のパフォーマンスを行なっています。1970年代には、米国に戻り、 Wesleyan大学でエスノ音楽学を研究している一方で、文化横断的な即興演奏を行うWorld Bandを結成しています。1976-1977年には彼は日本を訪れ、雅楽を研究し、尺八を横山勝也に師事しています。彼は沢山の音楽家との共演をしており、1988年には、Bard Collegeで教鞭をとり、大学の電子音楽スタジオの監督となりましたが、2020年4月に心不全で他界しています。 Carlos Zingaroは、1953年〜1965年の間、Lisbon音楽大学でクラシックを学んだ後、1967-1968年にはパイプオルガンをSacred Music High Schoolで学ぶと共に音楽学や電子音響音楽学についても研究しています。彼は1960年代はLisbon大学室内楽オーケストラのメンバーでしたが、1967年には彼自身のグループPlexusを結成しています。Zingaroは欧州、米国、日本でも多くの音楽祭にも出演し、50枚以上のアルバムに参加しています。1984年から1990年には、LisbonのギャラリーCómicosの創設メンバーかつ監督もやっており、数々の賞を受賞しています。2002年には、実験音楽/前衛美術集団Granularの創設者兼会長に就任しています。 以上のような経歴を持った2人の音楽家の即興演奏のコンサートを記録したのが、本作品”The Sea Between”となります。A面2曲、B面1曲ですが、このデュオのポイントは、Teitelbaumが単なるピアニストとかじゃなく、シンセも含めた鍵盤奏者だと言う点ですね。A面でもかなり緩急をつけたテンションでの即興演奏になっていますが、B面では、Teitelbaumは、主にシンセの音を使用しており、単に鍵盤楽器以外の音も駆使して演奏になっている点からも、彼が演奏による表現の幅も拡張しようとしているかのようです。このフットワークの軽さはやはり見習わなければと思いました。それにしても、正式な音楽教育を受けた方が、Yamahaのシンセとか使っているって言うのが、何だか親近感が湧きますね。でもプレイ自体は超ガチで凄いです。もし、チャレンジイングな即興音楽を聴きたいのであれば、こちらもお勧めします。機会があれば是非! https://youtu.be/Nd9q6K74hEkP #RichardTeitelbaum #CarlosZingaro #TheSeaBetween #LesDisquesVICTO #ModernClassic #FreeImprovisation #Synthesizers #Piano #Violin #Duo
Improvisation Les Disques VICTO 1190円Dr K2
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Merzbow “Ecobondage”
個人的に、このアルバムタイトルのネーミングは、本当にカッコいい❗️そんな卓越した言語センスを有する日本のノイズミュージックのオリジネーターでもあり、今なお現役でバリバリ活動している秋田昌美氏ことMerzbowの1997年作のリイシュー盤です。この作品は初期のMerzbowの4枚目のLPアルバムになると思います。1986年12月〜1987年7月にZSF Produkt Studio (所謂、宅録)で秋田さんのソロとして録音とミックスダウンが行われていますが、盟友水谷聖さんからKbdとPCの音素材を、英国ProduktionのPaul Hurstから風船の音を録音したテープも音素材として使って作製されています。内容はハーシュ・ノイズになっていないMerzbowのアッセンブラージュ的音(=ノイズ)の配置から成るダダ的ノイズ音響作品です。”Ecobondage”, “Prison Of Takaou”と”Blow Up”で1枚分、そして”Ha Ha Ho Bari (Mari)”と”Balloon”, “Contraction”及び”Ending”でもう1枚と言う何とも豪華で内容豊富なものになっています。オリジナルはLP1枚だったので、蔵出し或いは編集無しの曲をそのまま入れたのではないかと推測します(ただ、盤のラベルに何も曲名などが書いてなく、またレコード盤にも記入が無いので、どちらが1枚目がどうか?どちらがA面かどうか?も不明ですが)。まあ、そんなことはどうでも良くなる位、内容は抜群に私の好みのノイズ・・ミュージックとなっています。私はMerzbowの本質は、ラウドなハーシュ・ノイズではなく、暴力的とも言える音のコラージュ或いはアッセンブラージュだと思っているので、ここら辺の時期のMerzbowはのノイズ作品は素晴らしいと確信しています。正しく音の「クズ」を寄せ集めたことに、秋田氏の深遠な価値観が見え隠れすると思います。なので、1990年代以降の轟音ハーシュ・ノイズしか知らないリスナーの方は、是非ともこのアルバムを聴いて欲しいと思います。どうでしょうか?チャレンジして下さい。 “Ecobondage” https://youtu.be/jjOCek06M-0 #Merzbow #Ecobondage #ZSFProdukt #MenstrualRecordings #Reissue #DoubleAlbum #Noise #Assemblage #Collage #MasamiAkita #KitoshiMizutani #PaulHurst #Junks #Metal #TapeManipulation
Noise Menstrual Recordings 不明。Dr K2
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TASS 2 “Unterhaltung”
TASS 2とは? まあ、独逸の再発専門レーベルVinyl On Demandがリイシューしていますので、独逸のバンドなんでしよう。と言う訳で、ちょっと調べてみました。先ず、本作品の元になったカセット・アルバムは、NDW (Neue Deutsche Welle)界では伝説のカセットレーベルDas Cassettencombinatを運営していたThomas Schmittともう1人Thomas Scholzのデュオが、1983年にリリースした作品です。因みに、TASS IIが正式な表記らしいです。TASS 2はThomas Schmitt (Organ, Synth, Flute, Harmonica, Rhythm Machine, Vo)とThomas Scholz (Organ, Synth, Rhythm Machine, Vo, Bass-Seqencer)から成る実験的ポップミュージックを指向したデュオということになります。一部の曲はライブ音源ですが、基本的にはスタジオ録音(宅録?)です。A1 “Zeit”は駆動する機関車のようなリズムにダブ処理したメタパーや電子音が絡む、如何にも宅録インダストリアルな佳作。A2 “Schrankward”は、ミニマルなマシンリズムにアジるようなエフェクトVo(多分、ディレイが主)が絡む実験的な佳作。A3 “Muzac”は、シンセパルスから成る通奏低音にTVなどのテープ音を振りかけたThrobbing Gristle っぽいダウナーな実験的な曲。A4 のタイトル曲 ”Unterhaltung” は本作の中で複雑な絡みを見せるシーケンスと打ち込みから成る陰鬱な曲なんですが、基本シーケンス自体はミニマルです。A5 “Cr13c”は不明瞭なシンセの多重奏にテープ音を混ぜたドローンめいた曲。A6 “Stahlgeburt”はライブ音源で、Esplendor Geometrico (EG)の様な強力なリズムマシンにダブ的シンセが鳴り響き、アジるようなVoも聴取出来る名曲。B1 “Tanz Debil”はEinstrutzende Neubauten のカバー?(ではない!)同名異曲で、落ち着いた雰囲気。 B2 “Bartsch”は、ドコドコのリズムに突き刺すようなシンセが効果的。B3 “Shake”は一瞬、DAFか?と思えるシーケンスで始まり、ドキッとするが、呪うようなVoが強迫的で、グー!B4 “Ja”はライブ音源で、やはり、EGのような駆動力のあるリズムマシンと絶叫Voのアジテーションとメタパーらしき打撃音がゴッチャになって襲ってくる本作で最も攻撃的な曲。B5 “Wiedergeburt”はドローン的なシンセ音にTVなどのテープ音が挿入される実験的な曲。B6 “Tunnelmensch”もライブ曲で、駆動力のあるマシンリズムに絶叫Voやハーモニカ(苦笑)などが被さる攻撃的な曲で締めています。こんな内容ですが、1980年代初頭に生まれたインダストリアルとも実験エレポップとま言いようがない面白い音楽がまだまだ埋もれているので、今後のリイシューや発掘に期待します。TASS 2に関しては、やはりライブ曲の方が説得力がありますね。聴いてみたい人は是非とも! “Ja” https://youtu.be/wEN2YEzFzAw “Shake” https://youtu.be/mBmt2sYnbuU #TASS2 #Unterhaltung #VinylOnDemand #DasCassettencombinat #Synthesizer #Electronics #Experimental #Electro-Pop #Industrial #LiveTrack
Experimental Pop (Neue Deutsche Welle) Vinyl on Demand 不明。Dr K2
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Univers Zero “Ceux Du Dehors”
ベルギーで、暗黒の室内楽を奏でるUnivers Zero (「ユニヴェル・ゼロ」と呼んでる)の3枚目のアルバム”Ceux Du Dehors (邦題「祝祭の時」)”です。前作”Heresie”は以前に紹介しましたが、基本的路線は同じです。ただ前作よりもドラムとペースか強調されているように思います。それ故に、単なる室内楽ではなく、ロックのフィールドで活動しているのだと思います。それで、今回のメンツですが、、Michel Berckmans (Basson, Hautbois, Con Anglais, Vo), Daniel Denis (Dr, Perc,Cymbals, Vo), Patrick Hanappier (Alto-Sax, Vln, Vo), Andy Kirk (Harmonium, Organ, Mellotron, Piano, Vo), Guy Segers (E-Bass, Vo)に加えてJean Debeque (Hardy-Gardy), Ilena Chale (Vo). Thierry Zaboitzeff (ViolinCello)も参加しています。なお、創設者の1人でもあったRoger Trigaux (G)は既に脱退しており、ギターレスな編成になっています。音的にも、暗黒度はやや薄らいだ感じもしますが、それでも重厚なストリングスの唸りと、それらの旋律に勢いをつけるドラムとペースは相変わらず、素晴らしいアンサンブルとなっています。私は弦楽器の音が好きなので、このバンドも気に入ってますし、まず、彼等のジャケ写と言うかヴィジュアルはカッコいいんですよ。全員お葬式みたいに黒尽くめで、全員サングラスとかの格好で、メンバーの1人が車椅子に乗っていたり、池の中にスーツとサングラスかけて、本を持って入っていたり、兎に角、欧州調でカッコいいです。ある意味、スタイリッシュとも言えますね。そんな方々が出す音楽が良くない訳が無い(と言うのは言い過ぎでしょうか?)❗️と言う訳で、もし(ベルギーの)チェンバー・ロックを聴きたいなら、このアルバムもお勧めですよ! “Dense” https://youtu.be/Y5KlgpqcdBc #UniversZero #CeuxDuDehors #TecommrndedRecords #Atem #ChamberRock #Dark #Belgium #Gutarless
Progressive Rock / Chamber Music Recommended Records (Atem) 不明。Dr K2
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Eric Lunde “Witness To Disaster”
皆さんはEric Lundeと言うノイズ・アーティストを知っていますか?米国のアーティストで、1983年にBoy Dirt Carと言うバンドをDarren Brownと一緒に始めており、レコードやカセット作品を出していました。しかし、1989年にEricはBoy Dirt Carを脱退し、彼自身の音楽を出したかったみたいで、E. LundeやEric Lunde或いはTrait名義で活動したいます。彼はまた自分の詩集を、LLNDとプリントされた木箱に入れた装丁で出したりもしています。彼曰く、1990-2004年はアートも文筆も何も作る気にならなかったが、ただはチェックされていたことは少しだけはやったけどと言うことみたいです。それで、コンタクトも取れずに、PCとかも壊してしまったらしいです。また「今、私が到達点に近づいてと思って見ているものは、まだ指し示さないと分からない何かで、勿論、それは最近の慌しい活動とも関係しているのだが。死亡、それが貴方達のモチヴェーションなんだろ?」とも。「勿論、1986-1989年に私は数々のカセット作品を作ってきたが、Cathartic Processを通してリイシューしていくつもりではいるが。構えて待っててくれ」とも語っています。中々、難解な方のようですね。そしてこの作品をリリースしたのがオランダのV2_Archiefです。このレーベルはオランダの実験音楽、電子音楽やノイズミュージックなどをリリースしたり、ディストロしたりしている重要レーベルです。その中心人物がFrans de Waardであり、彼の秘書Jacque Van Busselであります。 まあ後のStaalplaat一派ですね。 それでEric Lundeのこの作品なんですが、恐らくライブ録音だと思うのですが、A面とB面に長尺の曲がPart 1, Part 2と言う風に記載されているのみです。ジャケには長々と解説が書いてありますが、訳する程の元気がありませんので、ご容赦ください下さい。カセットテープの録音された音や電子楽器(サンプラーやシンセ)などの音素材を上手くミックスして、極上のノイズミュージックに仕上げております。唐突なノイズの挿入やテープ音の反復などは非常にテクニカルで、また、リズムマシンすらも使用していますが、これはあくまでも音楽の中の1要素として使われています。所謂、ハーシュノイズとかではないですし、またテクノイズでもないですが、一種のアブストラクト・ノイズですね。でもここら辺のノイズってあんまり人気ないんだよねぇ。とは言ってもこれも高水準な作品なので、もっと聴かれるべきだと思うんです。どうですか?こんな抽象的実験ノイズは?因みに、リミックスはオランダの鬼才THU20のPeter Duimelinksがやっています! A “Witness To Disaster 1” B “Witness To Disaster 2” https://youtu.be/QnbFq7Otnd0?si=y1T5DHRBa7iMsCMD #EricLunde #WitnessToDisaster #V2_Arvhief #LimitedEditions #500部 #BoyDirtCar #Abstract #Noise #Experimental #Live #American #Poetry #LLND #CatharticProcess
Noise Experimental V2_Archif 不明Dr K2
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Art Zoyd “Génération Sans Futur”
フランスが産んだ奇才Gérard Hourbette率いるArt Zoyd (「アール・ゾイ」と発音)の3枚目のスタジオ・アルバムです❗️まあ、私もこのバンドの存在は知っていても、その成り立ちや遍歴はよく知らないんですが、「取り敢えず買って聴いてみた」程度ですので、ご勘弁を。このアルバムでは、Patricia Dallio (Piano), Alain Eckert (G), Gérard Hourbett (Vln, Alto), Gilles Renard (Saxes), Jean-Pierre Soarez (Trumpet, Si B), Thierry Zaboitzeff (Violincelle, B, Vo), Daniel Denis (Perc)が参加しています。バンド自体は1969年に結成されてますが、フリー・ジャズとプログレとアヴァンギャルドやエレクトロニカを混ぜてたような音楽を演っています。Art Zoydでは、前述のGérardが亡くなるまでリーダーとして活動していましたが、もう一人Thierry Zaboitzeffもキーマンでした。Thierryは1997年にバンドを脱退していますが、1971年に一緒に活動し、1975年に二人のコンビは完璧になっています。Gérardは2018年5月に亡くなりましたが、少なくともその時期まではパンドは継続していたようです。 それで本作品ですが、所謂「レコメン」系のプログレです。出自はクラシックである為か、より複雑で、またギターよりもヴァイオリンなどの弦楽器や管楽器が音楽の主体を成しており、それ故にか、産業ロックになったGenesisとかPink Floydなどのプログレ・バンドとは一線を画するもう一つの「プログレ」としての存在です。ヴァイオリンとかの音が生々しくて、いつも聴いてるロックのギター至上主義的な曲と違い、どちらかと言うと、クラシックに近い音楽ですね。一時期、流行ったRock In Opposition (R.I.O.:「反対派ロック」と言う意味か?)と言う活動があるのですが、要するは、商業的にビッグになるよりも、そのような音楽産業に対して、自分達の本当に演りたい音楽を演れるようにしようと言う活動です。Art Zoydも勿論R.I.O.に参加していました。なので、これがロックかどうかは別にして、既存の音楽産業とは離れて、やりたいように演ると言う姿勢が伺い知れます。もし、以前に紹介したUnivers Zeroとかが好きであれば、こちらも是非お試しください❗️きっと気にいると思いますよ! “Génération Sans Futur” https://youtu.be/mNEaNFolyUo “Trois Minitures” https://youtu.be/irxjRyHT0Js #ArtZoyd #GénérationSansFutur #AtemRecords #RockInOpposition #GérardHourbette #ThierryZaboitzeff #ModernClassics #Avant-Garde
Progressive / Chamber Rock Atem 不明Dr K2
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Wire “The Peel Session Album”
出ました❗️最初からポストパンクだったWireのライブ盤です。しかも、今回は、あのBBCの人気音楽番組John Peel Session(これは通称で、正式にはBBC Radio 1と言う番組名)でのライブ録音からのセルフ・コンピです。年代は1978年1月18日と同年9月20日及び1979年9月11日のプレイからの編集されたものです。バイオグラフィーは以前にも書きましたので、今回は省略します。まあ影響を受けたミュージシャンやグループは数知れず、R.E M., Sonic Youth, Minutemen, Minor Threat, Ladytron, The CureのRobert Smith, Blur, Elasticaなどなど。ジャンルもポストパンクからゴシック、エレクトロニカ、ハードコアまで。例えば、彼等のファーストアルバム”Pink Flag”はほぼ全曲が1分台から2分台の曲で、パッと聴いた感じはパンク?とかと思うんですが、これらの曲は一種のミニマル・ミュージックと捉えることも可能なんですよね。単純だけど強度は強いみたいな。それで彼等はどんどんマニアックな方向に行く訳ですが、本作品にはセカンド”Chairs Missing”〜サードアルバム”154”辺りのライブ・ヴァージョンをやっています。A面はいきなり”Practice Makes Perfect”のリズムとヴォーカルの譜割がズレてるような名(迷)曲で始まり、サードの中でも好きな曲”On Returning”で折り返し、B面はその殆どを占める未発表(?)の長尺の曲”Crazy About Love”へと突入。多分、Bruce GilbertがフリーキーなSaxを担当して、Colin Newmanがピアノを弾いているのでは?思わせる15分越えの曲で、しっとりと締めます。個人的にはこの曲と、サードアルバム”154”に収録されていた、シンセが大々的にフィーチャーされていた曲のライブヴァージョンとが聴けて良かったです。”The Other Windows”や”On Returning”、”Indirect Enquiries”は本当、アレンジにビックリしました。矢張り、彼等は、パンクの熱狂の中で、何か別のモノを見ていたのでは?と想像します。今現在はBruceが抜けて、代わりにIt Hugs BackにいたMatthew Simmsがギターで加入しています。あとこれは今まで言及していませんが、彼等の初期アルバム3枚には簡素で大いなるヴォイドを表したジャケ写が使われており、その虚脱感が彼等の特徴をよく表していると思います。そんな彼等の貴重なPeel Sessionでのラジオ・ライブをコンパイルした、このアルバムはWireに興味のある人は必聴ですよ❗️ A1 “Practice Makes Perfect” (3:36) A2 “I Am The Fly” (3:42) A3 “Culture Vultures” (1:54) A4 “106 Beats That” (1:02) A5 “The Other Window” (2:22) A6 “Mutual Friend” (4:12) A7 “On Returning” (2:04) B1 “Indirect Enquiries” (4:15) B2 “Crazy About Love” (15:30) [Peel Sessions 1978 (本作品の内容等は異なります)] https://youtu.be/AQ33wzGc9kw?si=AcMmbcw5GumfR-2K [A6 “Mutual Friend” & B2 “Crazy About Love” on Peel Session 1979] https://youtu.be/RKsZHRo6ed8?si=SDWQHsXxI4dbziCj https://youtu.be/kmvqrBTRWog?si=8q199AB0oZZSaTOc #Wire #ThePeelSessionAlbum #StrangeFruit #PinkFlag #ChairsMissing #154 #RadioLive #CrazyAboutLove #JohnPeel #BBCRadio1 #ColinNewman #BruceC.Gilbert #GrahamLewis #RobertGotobed
Post Punk Strange Fruit 不明Dr K2
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Cluster “Cluster ‘71”
長々と説明してきました。独逸の”C”の方のClusterになってからのファースト・アルバムです。元々は、1969年にベルリンで、Dieter Moebius, Hans-Joachim RoedeliusとConrad Schnitzlerが”K”の方のKlusterを結成したのがきっかけで、Conradが抜けて、デュオになった時に、名称を”C”の方のClusterに変え、活動を続けていきます。当然、ClusterはConny Plankの協力の元、Connyが亡くなる1987年まて続きます。また、このアルバムは、発売当時は”Cluster”とセルフ・タイトルでしたが、その発売年にあやかって、後々、”Cluster ‘71”と呼ばれるようになります。このアルバムはPhillipsから発売され、当時としてはこのようなメジャーから出ること自体驚きです。ここら辺は後で書きます。その後、セカンド・アルバム”Cluster II”をリリースしますが、ここではConnyの名前が、3人目のメンバーとしてクレジットされています。そして、Brain Recordsと契約し、1975年まで続きます。その後、Korstの田舎に引っ越し、そこに農家を改造した自分達のスタジオを作ります。そこで、2人はNeu!の首謀者の一人であるMichael Rotherと共にHarmoniaを結成し、1974年に”Musik von Harmonia”を、1975年に”Deluxe”と言うアルバムをリリースし、ツアーをしますが、MichaelがKraus DingerとNeu!を本格的に始動する為に抜けます。その間にも、RordeliusとMebiusは、1974年に”Zuckerzeit”をリリース。Clusterにしてはメロもリズムもしっかりした作品となっています。”Deluxe”リリース後に、ClusterとMichaelと彼等に興味を持ったBrian Enoで、”Tracks and Traces”を1976年に作成しますが、この作品は1997年になるまでリリースされませんでした。1976-1979年はClusterにとって最も活動的な時期で、4年間に4枚のアルバムを出しています。1977年に2人は再びBrian EnoとConnyのスタジオでジャム・セッションを行い、そこから、”Cluster & Eno”をリリースします。このアルバムには元CanのHolger Czukay (B)やAsmus Tietchens (Synth)と言うゲストも入ってます。1980年にClusterはJoshi Farnbauerとライブを行い、その記録はBritish York House Recordsより限定カセットでリリースされており、”Live in Vienna”は唯一作品になっています。1981年に”Curiosum”をリリースしますが、ビートも不明瞭になり、メロも変わった感じになってるそうです。そこから8年間、Clusterは活動を休止していますが、ソロ作品などはリリースしています。これも以前に紹介しましたが、MebiusはConnyと、Guru GuruのDrのMani Neumeierと大傑作”Zero Set”を作ってます。そして、1989年にCluster は再結成します。そんなこんなで、また休止期が来て、再度活動再開になりますが、2010年にロンドンでライブを境に活動停止となります。この間にも2人はソロ作品をリリースしています。ザッとこんなバイオグラフィーになります。 それで本作品ですが、私の持っているのは、オリジナルではなく、独のBureau Bから再発されてものです。因みに、担当は、H.J. Roedelius (Organ, Cello, Audio Generator, Amplifier, Hellas)とD. Moebius (Organ, Hawaiian-G, Audio Generator, Amplifier)で、まだシンセは使っていないですね。オルガンや自作電子楽器(?)によるインフロヴィゼーションと言えばいいのか、何とも掴みにくい電子音がゆるゆると流れるように絡みついては離れるように流れていきます。長尺の曲が3曲ですが、オフビートなので、不定型なんで、覚えられないんです。ある意味、当時としては、極めて実験的なことを演ってたのかも?と想像します。1980年辺りの電子音楽やノイズ・ミュージックがここから、始まったのではないでしょうか?そんな深読みも楽しいですね。シンセを楽器として使ったのは画期的だったかも?そんな古典にも触れてみてはどうでしようか? 曲順: A1 “7:42” A2 “15:43” B “21:32” https://youtu.be/cC7vjYN9o2o?si=1MZ8hHvSxPLaPTmR #Cluster #Cluster’71 #DieterMoebius #Hans-JoachimRoedelius #ConnyPlank #Krautrock #Electronic #BrainRecords #1971年 #BureauB #Reissue #2010年 #Improvisation #Organ #AudioGenerator #Cello
Krautrock / Electronic Bureau B (Sky Records) 不明Dr K2
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Virgin Prunes “….If I Die, I Die”
一度はステージを観たかったバンド、それはVirgin Prunes❗️本作品は彼らの待望のデビュー・アルバムです。良く知られていることだが、彼等はアイルランドのバンドで、あのロックの巨人U2と兄弟バンドなんですよ。ここで、そこら辺のことを書いておきましょう。1970年初期にダブリンに存在していたギャングLypton Villageは、Guggi (本名Derek Rowen), Friday (本名Fionan Hanvey)そしてBono (本名Paul Hewson)らによって作られていました。要するにVirgin PrunesはU2の幼馴染で結成されたようです。凶暴で矛盾だらけのライブ・パフォーマンスで有名なVirgin Prunesですが、それはVoのFridayによって1970年代半ばには既に作れられていました。オリジナル・メンバーはFriday (Vo), Guggi (2nd Vo), Dave-iD Busaras (3rd Vo), Dik Evans (G: U2のThe Edgeの兄弟), Strongman (B: Guggiの兄弟で、本名Trevor Rowen)そしてPod (Dr; 本名Anthony Murphy)でした。その後、Podが脱退し、代わりにHaa-Lacka Binttii (本名Daniel Figgis)がドラマーとして加入しますが、彼はドラムだけではなく、テープ・ループやキーボードも担当し、更には彼は英国のRough Tradeに、Virgin Prunesを売り込みます。そしてファースト・シングル”Twenty Tens”をリリースしてもらいます。Binttiiとの録音で2作品分を作りますが、他のメンバーと音楽性の面で衝突し、”Red Nettle”をNMEのコンピC81に、”The Secret”をCherry RedのコンピPerspectives and Distortionに入れてもらってます。しかしながら、Binttiiは脱退してしまいます。その代わりにMary D'Nellon (本名David Kelly)がドラムで入り、”A New Form of Beauty”プロジェクトの作業は既に始まっていましたが、Maryの名はクレジットからは抜けています。その"A New Form of Beauty"プロジェクトと言うのは、4つのチャプターから成り、それぞれを1981年には7㌅シングル、10㌅シングル、12㌅EP、そして1982年にはカセットで出していく計画のことで、彼等は見事にやり遂げました。 そして、1982年11月に彼等は、WireのColin Newmanのプロデュースで、待望のファースト・スタジオ・アルバム”…If I Die, I Die”とそのペア作品でもあるダブル10㌅EP “Hérésie”をリリースします。これが本作品になります。しかし、1984年には、音楽業界にいても不幸だと言う理由ではGuggiとDik Evansが辞めます。それで苦肉の策として、ドラムのD'Nellonを無理にギターに転向させ、Podを再度ドラマーとして迎え入れます。しかし、彼等は未発表だったアルバム”Sind Find Devils”をリリース。1985年には、初期のビデオ作品”Sins Find Devils—Live Retrospective 1981-1983(これは先述のアルバムとは無関係です)”をリリースし、更に同年5月にはレア音源を集めたアルバム”Over The Rainbow”をリリースします。1986年7月には4人でツアーをやり、セカンド・スタジオ・アルバム”The Moon Looked Down and Laughed” をリリースしますが、その年の終わり頃に、肝心のFridayが脱退します。このことは、1987年に出した彼等のライブ・アルバム”The Hidden Lie”で少し触れられています。ここら辺からバンドは解散状態になります。しかし、メンバーの各人はそれぞれの分野で活動を続けて今日に至ります。ザッと書くとこんな感じですね。 それで本作品ですが、メンバーはGavin Friday, Guggi, David-iD Busarus, Dik, Strongman, Mary D’Nellonの6人です。反復するコード進行やリフに、3人のヴォーカルが時にソロで、時にユニゾンで、また掛け合いなどで入ってきます。今、聴くと、単純な曲のはずなのに、割とゴチャゴチャした音作りに聴こえます。アレンジが上手いのでしょうか?それとも、Colin Newmanのプロデュースでしょうか?なお、Binttiiがいませんが、効果的なキーボード(シンセ)や鉄琴などのパーカッションが使われています。ドラムの音やギターの音は「ザッツ80年代」と言う感じでニンマリしますねぇ。全体の印象は「耽美派」(勿論、ニュー・ロマとも違いますが)に近いかな?薄ーくゴスが入ってる感じです。今からでも遅くはないです。彼等のデビューアルバムを聴いてみてください。 https://youtu.be/KwHtJgh8Hls #VirginPrunes #…IfIDie,IDie” #RoughTrade #GavinFriday #Guggi #David-iDBusarus #Dik #Strongman #MaryD’Nellon #PostPunk #ColinNewman #Ireland #U2
Post Punk Rough Trade 不明Dr K2
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Sprung Aus Den Wolken “Early Recordings”
Sprung Aus Den Wolken (「シュプルンク・アウス・デン・ヴォルケン」と呼ぶ。以下、SADWと表記)のことを覚えていますか? SADWは、1980年12月にKiddy Citnyのソロ・プロジェクトとして活動を開始しています。彼はそれ以前にInri Intrigoで活動してました。そして、1980年代初期に、Einstrutzende Neubauten やMechanik Destrüktiw Komandöhらと共に「天才的ディレタント(Geniale Dilletanten)運動」に加わります。この運動はダダやフルクサスなどに影響を受けて、音楽、絵画、演劇などジャンルに捉われず、とにかく面白い新しいことをしようとして集まったアーティスト(もどき)が、短い間でしたが、行っていた活動です(わざと綴りが間違ったまま、使われている)。そこで揉まれたSADWは色んな人をメンバーに迎え入れたり、脱退させたりしています。関係者は首謀者Kiddy Cintyの他、Alexander Hacke(早熟の天才、ノイバウテンのメンバーでもあった), Fred Alpi, Jochen Arbeit, Piet Essens及びThierry Noirが在籍していました。最初期は、Kiddyが立ち上げたレーベルDas Casseten Combinatからカセットをリリースしていましたが、その内、別の自分達のレーベルFaux Pasや仏Les Disques Du Soleil Et De L'Acieからもヴァイナルやカセットのフォーマットで多数リリースしていきます。意外とマイペースで活動しており、2011年まではオフィシャルでリリースが認められます。彼等の1985年の曲"Pas Attendre"はWim Wendersの映画"Wings of Desire"で使われており、ちょっとしたアングラ・ヒットになっています。1990年代はやや沈黙していましたが、KiddyはRenault Schubertともにデュオで活動を再開し、異端のエレクトロ・クラッシュ・バンドことFILM 2の協力の元、昔から変わらない音楽を作り出しています。 それで本作品ですが、最後の1曲を除いて、1981(-1982)年に作られた未発表音源或いは少数リリースされたカセットやシングルからの音源から成ります。チャカポコしたリズムボックスや、何ともハーモニーやリズムを見事に外したトライバル(?)な曲が収められており、彼等の初期の音楽を知ることができると言う意味で、有難い選曲となっています。ドコドコしたドラムやリズム、独逸語の歌詞、短い曲、不明瞭な電子音(シンセ音音)、どれを取っても、正しくNeue Deutsche Welle(NDW: German New Wave)の王道とも言える音楽です。SADWが聴ければ、貴方もNDWをきっと好きになれると思いますよ。一度、聴いてみて下さい。 A1 “A Gauche - A Droite” (2:41) A2 “Urlaub Für Ganz Berlin” (1:53) A3 “Warte” (2:26) A4 “Schlag Mir Den Kopf Ab” (2:03) A5 “Es Reicht - Noch Lange Nicht” (3:17) A6 “Que Pas” (3:56) A7 “Meine Stimme” (2:34) A8 “Lust - Last - Liebe” (3:13) A9 “Schlag Mir Den Kopf Ab (Instrumental)” (1:45) B1 “Durch Die Nacht (Instrumental)” (1:35) B2 “Tanzen Stampfen Laufen” (2:51) B3 “Längst Fällig” (2:35) B4 “Gegen Den Strom” (3:41) B5 “Begehre Dich” (4:18) B6 “Instrumental Metal Mix” (3:07) B7 “Leidenschaftlich” (1:38) B8 “Wenn Es So Weiter Geht” (1:57) B9 “Saying Yes, Thinking No” (3:45) A2 “Urlaub Für Ganz Berlin” (1:53) https://youtu.be/IxOHRXdJZWI?si=gD8B3XC8G7XHYT9D A3 “Warte” (2:26) https://youtu.be/pnQsGXzTB8Y?si=F3hDG7cnLUXYucZz A4 “Schlag Mir Den Kopf Ab” (2:03) https://youtu.be/SEym8OuqYEE?si=lNpig_Legvr-FpYd A5 “Es Reicht - Noch Lange Nicht” (3:17) https://youtu.be/pbD56JBQxH4?si=bgn8jWRVBwCQKo0w A8 “Lust - Last - Liebe” (3:13) https://youtu.be/vykBCo8o3X0?si=l8u4v6pd6zXruikE B2 “Tanzen Stampfen Laufen” (2:51) https://youtu.be/fufxEoDZBec?si=QQZfFB8Hysy-b2Qz B3 “Längst Fällig” (2:35) https://youtu.be/6Zdiz00wwuQ?si=LcQqmmLYHlsCI8fd B4 “Gegen Den Strom” (3:41) https://youtu.be/Q2veZH06mZg?si=YreINXEwXEEIyP3g B5 “Begehre Dich” (4:18) https://youtu.be/XQ0Q80QSA_g?si=s1vHYrNONVyUlb8K B7 “Leidenschaftlich” (1:38) https://youtu.be/tUFbn7Xe37o?si=NAeBjWJg5v4G5yx6 B8 “Wenn Es So Weiter Geht” (1:57) https://youtu.be/rJS2_epqOo0?si=Ey_PV_1Pc7iDZ1PM #SprungAusDenWolken #EarlyRecordings #VinylOnDemand #KiddyCinty #NeueDeutscheWelle #GernanNewWave #Tribal #Experimental #GenialeDilletantenMovement #Berlin
Neue Deutche Welle (German New Wave) Vinyl on Demand 不明Dr K2
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Tolerance “Anonym”
最近、話題のVanity Recordsから、唯一2枚のアルバムを出した、阿木譲氏お気に入りのユニットToleranceの登場です。最近、復刻されていますが、私のはオリジナルです。このユニットは、基本、丹下順子氏のソロユニットですが、吉川マサミ氏がギターで参加しています(と言うことは、デュオなのか?)。プロデュースは阿木譲氏。丹下氐はヴォイス(と言うか、ポエトリー・リーディングに近い)、ピアノ、シンセを担当しています。不協和音ながらリリカルなピアノの戦慄と時に通奏低音のような、または脈拍や心拍数を思い起こさせるリズムを刻むようなシンセの電子音、それに切り込む吉川氏のフリーキーなギターノイズ、そして淡々と呟くようなヴォイス。完璧です。一つの異世界が現出します。歌詞が聞き取れないのですが、恐らく私的な感情の発露ではなかったかと想像します。しかし、淡々と呟くヴォイスがそれすらも無効化する世界を作り上げており、彼女の才能に嫉妬すら覚えます。Tolerance の細かいバイオグラフィーは不明ですが、丹下氏は当時は、東京の医学系の大学生だったようです。内行性の音楽ですが、レコードに刻まれた瞬間から、そのベクトルは反転して、聴く者を彼女の世界へと導き出してくれます。本作品は1979年10月にリリースされましたが、当初、パンクがその起爆剤の効果を失いつつある状況で、宅録と言う新たな方法論を用いて、音楽界に切り込んだ名作だと思います。因みにジャケ写は、写真集「東京綺譚」を刊行した神谷俊美氏によるモノで、タイトルの「匿名」性にマッチしています。また、Nurse With Woundの通称”Nurse List”にも取り上げられるように、メジャーに回収されない同時代性をも持っていると思われ、それをレコード化した阿木譲氏のチョイスも達観したものと思われます。そんなアルバムですが、今はボックスセットでも聴くことができるので、是非とも聴いてみてください。 A1 “Two Owls” (3:31) A2 “I Wanna Be A Homicide” (2:44) A3 “Osteo-Tomy” (3:45) A4 “JUIN-Irénée” (4:31) A5 “Anonym” (5:21) B1 “Laughiñ In The Shadows” (4:53) B2 “Through The Glass” (5:09) B3 “Tecno-Room” (2:49) B4 “Voyage Au Bout De La Nuit” (6:43) A5 “Anonym” (5:21) https://youtu.be/mfo5ZBQPD4Q?si=364H75dBMuUsQF1a [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLsa-4zQUwJLR2jel2zzSXjx2O1RWibFvY&si=kWuhKBr8FPaEqh1h #Tolerance #Anonym #VanityRecords #Experimental #Abstract #JunkoTange #SoloUnit #Guest #MasamiYoshikawa #Produce #YuzuruAgi
Ambient / Experimental / Abstract Vanity Records 不明Dr K2
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The Nihilist Spasm Band “No Record”
生ける伝説、カナダのThe Nihilist Spasm Band (NSB)の登場ですよー❗️今回は彼等のファーストアルバム”No Record”を紹介しましょう。私の持っているレコードは米国Cortical Foundationが再発した200部限定の盤です。それで、まずは彼らのバイオグラフィーを簡単に。カナダ・オンタリオ州London市のコミューン的な別荘で共同生活を行っていた芸術家集団”Nihilist Party of Canada”の中心人物 Greg Curnoe が作成した実験映画”No Movie”のサントラを付ける為に1965年に結成されたバンドが「虚無主義者痙攣楽団」です。なので、通常の形態のギターやベースとかの伝統的楽器を演奏したいとか,学びたいと言う人はいなくで、先ずは自分達で楽器を作ることから始まっています。また、変な形をしたカズーみたいな楽器も手作りですね。メンバーはJohn Boyle (Kazoo, Thumb Piano, Dr), John Clement (G, B, Dr), Bill Exley (Vo, Cooking pot), Murray Favro (G)及びArt Pratten (Pratt-a-various Waterpipe)に加えて、ゲストとしてAya Onishi (Dr, Kazoo), Owen Curnoe (Dr), Mark Favro (Casio Kbd), Galen Curnoe (G)及びTim Glasgowがおり、また、Greg Curnoe (Kazoo, Dr; 死亡), Hugh McIntyre (B; 死亡) とArchie Leitch (Slide Clarinet: 演奏不可能)もメンバーでした。また、彼等はアーティストだったり、大学教授であったり、それなりの職を持っています。それで,彼等は、1966年から毎週月曜日の夜、カナダのLondon市にあるThe Forest City Galleryで公開練習をずっと今まで続けてきています。練習なので、自分たちの為にやっていますが、観客が来るのはウェルカムだそうです。また、有名な、通称”Nurse (With Wound) list”にも彼等は載っています。そして現在も上記ギャラリーで毎週月曜日に公開練習は続いています。来日もしており、タモリのTV番組「笑っていいとも」にも出演しています。 それで本作品ですが、彼等のファーストアルバムです。彼等にとってこのように演奏を切り取るのが如何許りのの価値があるのかどうか?わかりませんが---なので”No Recordなんですね。----彼等の活動やその内容が世に出たと言うことは大きい思います。まあ、GとかBと書きましたが,全て手作りなので異形の形態しています。そんな彼等の合奏は、何にも似ていなくて、それでいて非常にアトラクティブです。彼らは演奏前に何も取り決めもしないので,出たとか勝負らしいですが、それも彼らを孤高の即興グループにしているのでしょう。見かけの「お爺さん達」にとらわれずに聴いて貰えると,その良さとか凄さが分かりますね。自由な音楽とはこう言う音楽であると実感出来るでしょう。さあ、皆んな、NSBの混沌で自由な海へ‼️ https://youtu.be/8ERTEtZB8Iw #TheNihilistSpasmBand #NoRecord #CorticalFoundation #Reissue #HandMadeInstrument #Kazoo #Free #Improvisation
Free Music Cortical Foundation (Allied Record Corporation) 不明Dr K2
