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Trio “Whats The Password”
今回は、NDWを最も世のお茶の間に広げたバンドTrioのラスト・アルバム”Whats The Password”をご紹介します。他の多くのNDWバンドやアーティストからは毛嫌いされていたようで、日本で言うと「ライブハウスで頑張っているロックバンドが、芸能人歌手を嫌う」ようなものではないかと想像しますが、とにかく、当時はTrioで独のポップミュージックを知った人も多いのでは? そんなTrioは、いつものメンバーStephan Remmler (Vo, VL-1), Kralle Krawinkel (G, Chorus), Peter Behrens (Drum Kit, Chorus)で最後まで活動していましたが、実は、1984年に共同生活を辞めたのをキッカケにTrioは活動休止して、1年間、各メンバーそれぞれのソロ活動を行っています。1985年初頭にはまた一緒にいることもあったようです。その中で、Peter Behrensは 2 本の長編映画 “1000 Augen”と”André schafft sie alle”に出演していましたが、昔、無免許運転と飲酒運転を繰り返していた為、1984年と1985年に4か月間公開刑務所に入ってました。1984年末にはTrioは再始動を開始して、バンドの長編映画”Drei gegen Drei”の制作と本アルバム”Whats The Password”の制作が同時進行で行われました。Canのスタジオの他、ロンドン、ベルリン、ミュンヘンても録音が行われましたが、先述のようにドラマーのBehrensがこの時期、刑務所に入っていた為、ミュンヘンのドラマーCurt Cressが代役で録音に参加しています(その為、Behrensのクレジットは本作品には表記がありません)。しかしながら、映画もアルバムも評価は低く、3枚のシングルカットもされましたが、やはり商業的成功は収められず、その為、Trioは解散してしまいます。またリーダーのRemmlerは、その理由に、Trioとしてのアイデアが枯渇したと後に語っています。まぁ、そんな結末になってしまったTrioのラスト・スタジオ・アルバムを偲びながら聴いて、各曲を紹介していきましょう。
★A1 “Ready For You” (5:02)は、単純なDrsとシーケンスに、唸るGやRemmlerの潰れたようなVoが入る結構良く演奏されている曲です。ピーと言う音が入るので、何か良くない歌詞が使われているのかも?
★A2 “But I Do Anyhow” (3:58)は、スローなバラード調の曲で、割とマジで歌っているようです。コーラスも決まってますし、雰囲気も「I Love You」で、間奏ではSaxソロもチョロッと入りますし、シンセも大々的に使っています。
★A3 “Kunstherzschröder” (4:25)は、腹に来るDrsと細かく刻むGに、男女の語り合いのようなVoの掛け合いですが、サビの所はカッコ良いです。後、RemmlerのVoはコンタクトマイクやディレイを掛けたりしてます。なお、女性VoはHumpe姉妹です。
★A4 “Aids, Die Zeit Der Liebe Ist Vorbei” (5:26)は、太いシンセBの存在感とスローなテンポのDrsから成る曲で、Voは敢えて聴き取りにくくしてあるようです。曲調自体はバラードっぽくて、KralleのGも控えめですが、泣きのGです。
★B1 “Krach Bum Bäng Zack Rüstung” (3:14)は、強烈なDrsとGに、いつものRemmlerのVoから成る元気一杯のTrio節な曲ですが、女性コーラスも入っています。シーケンサーもBも使ってるみたいですね。
★B2 “My Sweet Angel” (4:34)は、スローバラードな切ない気持ちにさせられる曲で、これも良く演奏されていました。なお歌詞は英語で、Bも唸ってます。また、この曲にもHumpe姉妹がバックVoで参加しています。
★B3 “Energi” (4:34)も、女性コーラスから始まり、スローなテンポで、オルガンとGをバックに、レゲエ風のBと女性コーラスも加わり、RemmlerのVoも冴えている曲で、これも良く演奏されていました。
★B4 “Wahnsinn V2” (3:59)は、珍しくKralleがGが弾きまくる、激し目の曲で、何となく気の抜けたコーラスとシンセのリフが対称的で面白いです。後半、Drsもドラムマシンもマーチ風に叩きまくってます。
★B5 “Drei Gegen Drei” (3:07)は、シンプルなリズムながらも、Remmler独特のVoが冴えるTrioらしい曲ですが、何かユーモアが足りない気もします。しかし、逆回転を挿入したりと曲としては凝っています。
このアルバムが何故売れなかったのかは、以前のTrioが持っていたユーモアと言うか馬鹿馬鹿しさが後退して、曲としてよりしっとりとしたラブソングっぽい/バラード風の雰囲気にシフトしたからではないかと想像します。なので、曲の完成度としては今までのアルバム収録曲よりも格段に高いのですが、それが、Trioの場合、仇になってしまったようです。しかしながら、音楽的にはアイデアも豊かで、聴き処も多いので、より「普通」の音楽になってはいるので、今、聴けば、中々良いじゃんと思いますよ。それに、ちょっとしたTrioらしいユーモアもちゃんと少し織り込まれていますので、そこを聴いてニヤッとするのもまた楽しと言う感じですね。食わず嫌いではなく、一度は聴いてみても良いのではないでしようか!
B1 “Krach Bum Bäng Zack Rüstung” (3:14)
https://youtu.be/wLJQ8w9THkM?si=8QsufEqWETpCGKcu
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nWHH_NxrqqSwvMAk742nFvPTYrhFwF7P8&si=WrG8KHg1z-ujrP3b
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