Wolfgang Müller “Mit Wittgenstein In Krisuvík - Zweiundzwanzig Elfensongs Für Island“

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あの独前衛パフォーマンス集団Die Tödliche Dorisのメンバー/リーダーであるWolfgang Müller (ヴォルフガング・ミューラー)のセカンド・ソロ・アルバム(&片面7インチ・シングル)である”Mit Wittgenstein In Krisuvík - Zweiundzwanzig Elfensongs Für Island (ヴィトゲンシュタインとともにクリスヴィークで〜アイスランドのための22のエルフの歌)”を紹介します。Müllerは、アイスランド研究家と言う側面も持っており、1988年以来、独とアイスランドで、様々なアート・プロジェクトを行ってきています。彼は特に、アイスランドのエルフ文化、自然現象、超自然現象に興味を持っているようです。その一方で、本作品のコンセプトとして、Müllerは、「有志以来、人類が絶滅させた鳥類が約130種類いるのですが、その内、約20種類はその鳴き声がオノマトペとして残っており、それから想像して、現存しないそれらの鳥類の鳴き声を再現する」と考えていたようです(参考: 小柳カヲル著「クラウトロック大全」より)。確かにLPラベルには、北極圏の絶滅鳥類オオウミガラスがバーンとあしらわれています。この作品のリリース後の2009年に、Müllerは絶滅した鳥の鳴き声を再現したオーディオプレイ”Séance Vocibus Avium”を出版し、カール・シュツカ賞(Karl Sczuka-Preis)を受賞しています。このオーディオ・プレイは、アイスランドのヨーテボリのレーベルFang Bombからもレコードとしてリリースされています。このレコードには、Müller自身、Justus Köhncke (ユストゥス・ケーンケ), Namosh (ナモッシユ), Max Müller (マックス・ミューラー; 実弟), Annette Humpe (アネッテ・フンペ; Ideal等のVo)などのアーティストが「演奏」した11種類の鳥の鳴き声が収録されています。また、このレコードには、Müllerによる鳥のイラストが掲載された40ページのカタログが付属しているそうです。そっちのヴァージョンのレコードの方が欲しかったですね。それにしても、丈の長過ぎるズボンを持ちながらのアー写をジャケにするMüllerにもズッコケますね。まぁ、それはともかく、早速、本作品の収録曲を紹介していきましょう。

◼️LP
★A1 “Island: Land Ohne Eisenbahn” (1:58)は、単音ドローンをバックに、Müllerが好き勝手/自在に歌いまくってます。その裏には「鳥の鳴き声」も聴取出来ます。
★A2 “Ich Hab‘ Sie Gesehen!” (4:05)は、DrsとB(-Synth?)とチェンバロに合わせて、かなり良いメロディのポップソングを飄々と歌ってます。名曲!
★A3 “Casino Álftavatn” (2:45)では、ドラマチックなピアノをバックに、Müllerが朗々と歌い上げています。その裏には「鳥の鳴き声」が薄っすら聴こえます。
★A4 “Fahrt Mit Der Elfeneisenbahn” (1:41)では、重層化する足踏みオルガンとタンバリンのリズムをバックに、Müllerが軍歌のように勇壮に歌ってます。
★A5 “Dvergamál - Das Echo Ist Der Zwerge Sprache” (1:21)では、ややコミカルでリズミカルなピアノをバックに、Müllerは天使のように歌ってます。多分、この曲の裏にも「鳥の鳴き声」が入っているようです。
★A6 “Sönghellir Oh!” (2:53)は、ホルンとオルガンと軽いキックから成るスローでダークな曲で、女性のアルト・コーラスと共に、Müllerも重々しく歌っています。
★A7 “Le Nordlichtgeräusch” (2:27)では、物音系Percと無調ハーモニカに合わせるように、Müllerは幸せそうかつ自由に歌っています。
★A8 “Überall Helfen Elfen” (3:27)は、DrsとBとGを引き連れて、悲しげなポップソングを、切々と歌っています。これも名曲!間奏のリコーダーもグー!
★A9 “Ha?!” (1:36)では、中東系アコーディオン(?)とキックに合わせて、表題通り、男女2人が呼吸するように、「ハァ ハァ」と謎めいて歌っているだけです。
★B1 “Fürchterliche Wike-Waka Musik” (1:20)では、口笛から、ホンキートンク調のピアノに合わせて、男女の混成Voでド天然な位、自由自在に歌いまくってます。
★B2 “Herbst In Grundafjörður” (0:57)では、速弾きのチェンバロとヴァイオリンををバックに、Müllerが似非声楽家っぽく歌っています。
★B3 “Deutsches Herbstlied” (1:18)は、スパニッシュ風のアコギとマラカスをバックに、Müllerもそれっぽく歌ってますが、何か偽物っぽいです。
★B4 “Sálmur Yfir Víni” (3:58)では、重厚なオルガンの聖歌隊風演奏に合わせて、Müllerは礼拝の際の讃美歌のように歌っています。また、本格的なパイプオルガンを使っているようです。
★B5 “Mäusefloß” (0:46)は、ふざけたような女性VoとPercとホーンから成るチョコマカした曲で、直ぐに終わります。
★B6 “Kampflied Der Nordzwerge” (1:33)は、エレピの弾き語りから成るAOR風の曲で、間奏のSaxもちょいブローしていてそれっぽいです。
★B7 “Kampflied Der Südzwerge” (0:23)は、速弾き・単音連打のピアノに、機関銃のような早口言葉から成る小曲です。
★B8 “Elfen Seelenlos” (2:35)は、聴こえにくい単調なDrsに合わせて、深いエコーに埋没した男女複数のVoから成る曲ですが、最後に浮上してきます。
★B9 “Ég Sé Thau Öll” (4:06)は、DrsとB(-Synth?)とチェンバロとSynthから成るポップソングで、Müllerは切々と歌い上げています。これまた名曲!サビも良し!
★B10 “Das Pe-Pe-Penismuseum Von Reykjavík” (1:13)は、サンバ調の曲ですが、何か偽物っぽい所やオノマトペっぽい歌詞が、Müllerらしいです。ひょっとしてテープ操作してる?
★B11 “Helfahrt” (4:08)は、ピアノと鐘の音を変調・同期させたような音を使ったワルツ曲で、淡々と歌うMüllerのVoが冴えています。
★B12 “Schwanengesang Des Riesenalken” (1:34)は、オペラ調の展開の早い曲で、主にアコースティックな楽器から成りますが、多分、Müllerともう1人男性による2人のVoで歌い切っています。

◼️7-inch Single
★C1 “Wovon Man Nicht Sprechen Kann” (6:03)は、ピアノとキックを中心とした割と淡々とした曲ですが、Müllerはとにかく歌うと言うよりも喋りまくっています。そして、バックには、シンセやホーン類や弦楽器等がどんどん重なってきて、まるで「交響曲をバックにしゃべくり漫才」やっているようです。

 いゃ〜、私は、きっとWolfgang Müllerのソロだから、Die Tödlich Dorisを更にグダグタにした、すげーアヴァンギャルドな音楽を想像していたのですが、完全に裏切られましたね。と言うか、Müllerの音楽的知識と才能に驚かせされました。色んなタイプの曲をこの一枚に封じ込めており、誰が聴いても「名曲」とも思える曲も含まれており、またこれだけの曲数(つまり、それだけのヴァリエーション)を作曲出来るだけでも凄いと思います。それらの曲を、それ風に歌う「自由度」にも脱帽です。やはり、天才っているんですね。脱帽です!ただ、絶滅した鳥類のオノマトペが、それ程、収録されていないように感じたのが、ちょっと残念でした。

A8 “Überall Helfen Elfen” (3:27)
https://youtu.be/j7UjqLZPMU4?si=oxcJxu_ce8GmdbsE

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=PLWzjwY2BzJZsjp53hpz639QeYBf5c40PY&si=8vGRrhkYK0F856I1

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