Joachim Witt “Silberblick”

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 私は、このアルバム、結構前に購入したのですが、中々、聴けなくて、半年位経ってしまいました。また、これは、狙って購入した訳ではなくて、海外通販の時に、ついでに購入したものなんです。だから、素性は全く知らなかったので、ちょっと調べてみました。
 Joachim Witt (ヨアヒム・ヴィット)は、ハンブルク生まれの独ミュージシャン/プロデューサーで、1980年代の独ポップシーンで、何度かビッグ・ヒットを飛ばし、NDWで最も成功したアーティストだそうです(多分、NenaとかFalcoなんかと同様のメジャー・シンガーかな?)。それで、彼は、1970年代には、クラウトロック・バンドDuesenberg (デュエゼンベルク)で、Vo/Gを担当しており、3枚のアルバムを1977年〜1979年に出しています。その後、Wittは、歌手兼俳優となり、ソロ活動に転じています。その後1980年頃になると、独ではNDWが勃興し、その中でも、独メジャー・ポップシーンで、”Goldener Reiter"等のビッグ・ヒットを飛ばし、所謂、NDWで最も成功したシンガーとなります。1990年代には、独で有名なシンセ・ポップ・グループWolfsheim (ヴォルフシャイム)のVoであるPeter Heppnerとのデュエット曲”Die Flut”でメジャー・ヒットを飛ばし、2度目のカムバックを果たします。1998年にリリースしたWittの8枚目のアルバム”Bayreuth 1"は、独/オーストリアでプラチナ・ディスクを獲得し、その2年後には、9枚目のアルバム”Bayreuth 2”をリリースします。その間にも、独エレ・ポップ・グループPurwien以外にも、Apocalyptica, Oomph!, Angelzoom, Tilo Wolff of Lacrimosaと言ったグループともコラボしています。そして、2000年には、ベルリンのユーロダンス・グループX-Perienceは、Wittとのデュエット曲"The Meaning of Life"を含むアルバム”Journey of Life”を出しています。この頃には、Wittにはゴス的イメージもあったようです。Wittは、2004年には、Angelzoomの”Back In The Moment”のMVに、2007年にはPurwienの”Alle Fehler”のMVに出演さています。そして、Wittは、2007年8月31日に、ベスト盤的セルフ・コンピレーション・アルバム”Auf Ewig”をリリースしますが、これには、1980年代に大ヒットした曲"Goldener Reiter"と "Herbergsvater"の撮り直し新作ビデオやインタビューを収録したDVDが付いていたとのこと。200万枚が完売しています。2009年以降、Wittは、Sara Noxxのシングル”Earth Song”のリミックスを始めとする他のアーティスト/グループの楽曲のリミックス・ワークを手がけ始めます。その後、Wittは、MySpaceやiTune等の音楽プラットホームやFB等のSNSを活用した活動も無い開始しつつ、アルバムも着実に出しており、現在も現役で活動しています。
 と言うのが、Joachim Wittの略歴になりますが、多分、コアなNDWマニアからすると、世界的なヒット曲を生み出したNenaやFalcoと同じような「メジャー系」NDWのような立ち位置で、恐らく、他のインディーズ系NDWとは一線を画した、寧ろ、日本で言うところの「歌謡曲」的ではなかったのではないでしょうか。と言う背景も踏まえて、本作品を紹介していきたいと思います。本作品は、Wittのソロとしては、ファースト・アルバムで、リリースされたのが、1980年であり、丁度、NDWの流行の風が吹き荒れていた時期でした。そんなこともあって、彼は「NDWのアーティスト」と認識されていたのでしょう。この時のメンバーは、Joachim Witt (Vo, G, Organ, Synth)の他に、Harald Grosskopf (Synth), Harald Gutowski (B), Jaki Liebezeit (Drs)であり、何と!CanのJaki Liebezeitも参加しています(これは1970年代のクラウドロック時代での繋がりでしょうか?)! と言う訳で、各曲について其々ご紹介していきましょう。

★A1 “Kosmetik (Ich Bin Das Glück Dieser Erde)” (6:19)は、何かちょっとコミカルな弾むようなリズムに乗って、大仰なVoが入る曲なのですが、サビは逆にキャッチーで中々良い感じに仕上がっています。また、思ったより電子音は目立たないですね。
★A2 “Goldener Reiter” (4:41)は、直前的なGとかの刻みで始まりますが、中々メロディ・ラインも良い曲で、途中の女性コーラスやテケテケGも良いスパイスです。間奏での変調Voは独っぽい「おふざけ」ですね。
★A3 “Der Weg In Die Ferne (Heaven)” (4:16)は、アコギも含む落ち着いた曲ですが、その分、柔らかいシンセのコード弾きやしっとりしたVoが映えています。全体の印象としては、朴訥な感じですが、WittのVoは最後に羽目を外します。
★A4 “Meine Nerven” (5:35)は、割とニューウェーブな曲調で、途中で入ってくる怪しげなシンセや間奏のシンセソロもグーです。サビも良く出来ていますし、Voの表現力もレベルが高いです。
★B1 “Ich Hab' So Lust Auf Industrie” (4:25)は、跳ねるようなポップ・ソングで、Wittの芝居掛かったVoには好き嫌いが分かれそうですが、ビコったKbdやサビでのVoは面白いですね。
★B2 “Mein Schatten (Na, Na, Na, Du Bandit, Du)” (3:59)では、突進するようなリズム隊に、ニューウェーブなシンセと引き攣ったようなVoが組み合わさっており、もう完全に「ニューウェーブ」ですよ!世界共通の!8 1/2とかFilmsとか。
★B3 “Ja, Ja…” (3:30)は、やや硬い感じのボレロ調の曲で、Wittもやはりオペラチックに歌っています。間奏のシンセやサビでのKbdは、ニューウェーブ好きにはグッときますね。
★B4 “Sonne Hat Sie Gesagt” (9:00)は、Neu!のようなハンマービートに、囁くようなVoやシンセのメロディなんか乗ってきて、これはKlaus Dingerの音楽を歌謡曲化した曲ではと思いますが、サビはちょっとうるッと来る程、カッコ良いです。なので、この曲は、Neu!等のクラウトロックと(NDWと言うよりも)ニューウェーブとのミッシングリンクですね。

 最初は、「まぁメジャー系だから」とタカを括っていたのですが、凄く派手では無いにも関わらず、Wittの作曲能力とVoの表現力に、元々ニューウェーブ好きの私は、正直ちょっとヤラれてしまいました。アルバム全体の印象は、聴く前はもっとエレ・ポップ的なものを想像していたのですが、実際には、キャッチーなコード進行と多幸感溢れるメロディとちょいとしたシンセのアクセントに、シアトリカルなVoがハマると言う「1980年代前半のポップ・ミュージック」の王道とも言える作品でした。多分、この頃に、ニューウェーブの洗礼を受けたリスナーさんには、私が言っていることが分かると思います。まぁ、1周、2周回って、この1980年代風ニューウェーブにハマる若い方もいると思いますので、気になる人は聴いてみてくだ!なお、ゴスの要素はここでは皆無です。

A4 “Meine Nerven” (5:35)
https://youtu.be/Vlc8xA6WsZU?si=WsLFS7ISkDuITKij

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_kesLr8CG2BpuRKMZGIafEHgiLkcQxYAhQ&si=llJtPG-m4QP_RDSa

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