ベートーヴェン / ディアベリのワルツ主題による変奏曲 OP.120 ブレンデル

0

古典音楽の器楽曲に搾って変奏曲の傑作を3つ挙げろと言われれば、個人的にはまず第1にメンデルスゾーンの厳格な変奏曲第2にバッハのゴールドベルク変奏曲、そしてこのベートーヴェンの怪作ディアベッリの主題による変奏曲をあげる。敢えて優劣ではなく、好き嫌いであげた。
ベートーヴェン最晩年のこの曲は1823年の作曲。
当時ウィーンで出版業を営んでいたアントン・ディアベリが自社のいわばPR効果を狙って何人かの著名な作曲家に自作の主題による変奏曲の作曲を依頼した。その作品が出来上がった時点で変奏曲集としてまとめて出版しようという魂胆であったようだ。
ボクは正直、この作品の核となる主題が何ともお粗末な感じがして、最初テーマを聞いた時点であとを聴く気がせず、後に後に回し続けていた。
ベートーヴェンがこのテーマに触発されて作曲したとはとても思えない。
ただ、自己顕示欲が強かった人だから、『このつまらないテーマから壮大な作品を作ってやる』という気概で挑んだの感もしれない。あるいは案外大金に目がくらんだか。

まあ、とにかく最初は乗り気でなかった彼も次々と変奏を生み出し、名指揮者ハンス・フォン・ビューロウをして、『天才の小宇宙』と讃えさせた33曲の大作を作り上げてしまった。

ボクがこの曲を集中力を切らさずに終わりまで聴きだしたのは52台に届くあたりだった。
最初はリヒテル。次にグルダ、最近はこのブレンデルのスタジオライブ。

この演奏は1976年2月8日BBCスタジオに聴衆を入れ、放送用に収録した演奏だが、ブレンデルの『是非に』という要望で今まだ多くの版を重ねている。

第31変奏そこだけだとどうしても頭が切れる。30辺りから聴くのがいいけどね。この辺

https://youtu.be/hTmQU4jEgJw?si=G-QYaIg4SVo3aUYz&t=2217

下のビデオは最初からになる。

ボクが気に入っているのはこの楽曲の終盤変奏だい第20,24,29,30.31,32。( 24と32番は小フーガとフーガ) 彼の後期のピアノソナタ29番や31番の緩徐楽章をほうふつとさせる深い歌が聴ける。

持っているのは上に上げた3人のピアニスト。ちょっと衰えを感じたけど、ポリーニもいい。

Default