リヴィアタン・メルビレイ:1200万年~1300万年前の海洋に君臨した古の鯨(化石クジラ類)

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中新世中期、今から1200~1300万年前に海洋生物のニッチの頂点に君臨したと思われるマッコウクジラ上科に属するこのクジラの名は、一度改名されている。
属名は旧約聖書の怪物リヴァイアサン(リヴィアタン)と名付けられ、小種名には『白鯨』モビィディックを生み出したハーマン・メルヴィルに献名されている。
ただ、以前は綴りがLeviathanとされていた。この綴り方の属名はこの大古のマッコウクジラが命名される以前に、既に陸生の哺乳類マストドンの属名として使用されてしまっていた。
下位異物同名の場合、新たに名づけられたものに対しては新名に改名しなければならないのがこの世界の決まり事であり、その結果、旧約聖書の綴りに忠実に従ったLiviatan(eとhが削られただけ!)が提唱された。現在は日本読みは以前と同じリヴァイアサン・メルビレイ。リヴィアタン(レヴィアタン)・メルビレイとさまざまである。改名前の発音に近いのはレヴィアタンだろかね。

このマッコウクジラによく似た巨大なクジラは現代のマッコウクジラの最大のオスと同等か基準によってはそれ以上の巨体と推定されている。(13.0メートルから20.5メートル)
ただ、決定的に違うのはこのクジラの上顎の巨大な歯列。マッコウクジラの上顎にはほとんど歯がなく、全体にもっと細かい。一本の歯は36センチもあり、歯列として確認されるものでは史上最大である。頑丈な顎がこれを支える。実にすさまじい。
このクジラは現生するマッコウクジラと異なり、比較的浅い深度で狩りをしたようだ。イメージとしてはシャチのようなどう猛さと知性を持っていたように想像する。
発見された頭骨に付いた歯の写真を見ると、故三浦健太郎氏が名作『ベルセルク』に登場させた虎の魔物やクジラに手足が生えたような巨獣の持つとんでもなく誇張された歯並びそっくりである。
太古の海の中は一体どんなすさまじい世界だったんだろうか。デッカイいか食ってるわけじゃなかったんだよこのクジラ。

2024.10.30製作未発表 5000×2400pix 34.3MB 350dpi ファイル形式tif
 

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