S.Y.P.H. “Rot Geld Blau”

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S.Y.P.H.のスタジオ・アルバム(LP)としては、7枚目に当たるアルバム”Rot Geld Blau”を紹介します。この作品は日本盤「赤 金 青」としてCDで出ています。本作品は、前作より6年振りのスタジオ・アルバムで、次のアルバム”-1”まで13年も掛かっていますが、その時には、正式なメンバーはHarry RagとJojo Wolterだけになっており、様々なゲストを招いて作製されています。その後2009年に、Harry Rag, Uwe Jahnke, Jojo Wolter, Ralf Bauerfeindでコンサートに復帰・出演しますが、その後2011年に、Jörg LehnardtとGeorg Zanglを加えてスタジオ録音を始めますが、メンバー間の軋轢が明瞭化し、その結果、Ragが抜けて、Doc SchokoがVoと歌詞のアルバム”EX”をTapete Recordsからリリース予定でしたが、当初Ragが差し止め要求をした為、このアルバムは幻のアルバムとなりかけましたが、2013年にリリースはされています。しかしながら、S.Y.P.H.は、実質的に終了しているようです。
 それで、本作品なのですが、先述のように、暫く振りのリリースで、参加メンバーは、鉄壁のHarry Rag (Vo), Uwe Jahnke (G), Jojo Wolter (B), Ralf Bauerfeind (Drs)と言う4人で作製されており、S.Y.P.H.お得意の実験ロックが、A面6曲/B面4曲たっぷりと収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。

★A1 “Game Becker” (0:28)は、雑踏から始まり、演奏自体は、あっと言う間に終わってしまいます。
★A2 “Trance-Baby” (3:37)は、往年のCanを彷彿とさせる反復するリズム隊に、聴き取りにくい囁きVoが乗り、時にGが前面に出てくる、正に「トランス」な曲ですが、いきなり終わります。
★A3 “Zuhörertextestück” (0:34)も、雑踏での会話のようです。
★A4 “Wo Bist Du?” (2:56)は、パンク顔負けのアップテンポの曲ですが、途中で突然テンポダウンして、どちらかと言うと、リズム隊はゆる〜いレゲエ調になりますが、VoとGはフリーキーのままで、再びパンク調に戻ります。
★A5 “Years Of Revival” (3:33)は、ミステリー映画のようなGのメロディと落ち着いたリズム隊の反復に、加工したVoが囁きのように歌ってますが、途中で、Gが暴れて、そのまま力強いビートとフリーキーなGのアンサンブルになります。最後は、割と音数の少ないフリーな演奏で終わります。
★A6 “Pechschwarz” (8:07)は、余り出しゃばらない楽器演奏に、喋るようなVoが乗っていますが、それぞれの楽器がSEと一緒に自由に動き回っているような曲調です。後半はブレイクビーツになりますが、割と様になっています。
★B1 “Make-Up Is Money” (1:11)は、ダミ声でタイトルを叫ぶRagが前面に出ており、バックはエコーの中で控え目に演奏されています。
★B2 “Ping Pong Und Die Weiße Frau” (8:55)は、水音共に演奏が始まり、Gのミュート奏法と簡素で弱々しいDrsに、話しかけるようなVoが乗る曲ですが、フリーなGも聴取できます。途中からバックは、ハッキリしたリズム隊とGのカッティング/リフに変わります。こう言う曲はCanの匂いがしますね。ワウGや叫び声のようなバックVoも出てきて、次第に盛り上がっていきます。
★B3 “Keine Ahnung” (7:40)では、最初、フェイドインしてくるGの多重録音されたフリーな演奏で、そこにBが這いずり回り、訴えるようなVo、そして最後に一定のビートを叩き出すDrsも加わります。ファンキーなワウGや突然のSE的Gとなり、またVoもオフエコーになったりします。
★B4 “Zum Fluss” (0:29)は、B3から突然連続して、ディレイの掛かった雑踏のお喋りだけから成ります。

 こうして聴いてみると、やはり、往年のCanっぽいところが、チョロっと見えたりして、単なるNew Waveバンドじゃないなと思えます。特に、長めの曲ではその傾向が顕著ですね。また、曲間やアルバムの始めや終わりに、短い雑踏の声/お喋りを入れたりするのも、彼等らしいですね。正直、初期のような音質だったら嫌だなぁとも思っていたのですが、そんな心配は無用で、ちゃんと録音・マスタリングされており、音質も良好で、その分、Canに対する彼等のリスペクトがハッキリと分かりました。聴き易さも含めて、このアルバムは中期最後にして、傑作だと思います!皆さんも聴いてみて下さい!

A2 “Trance-Baby” (3:37)
https://youtu.be/CWTFKzla7PU?si=1UtXNoO02Oz-dcP2

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lYYofIBgVgUe8Ud3Wz2YdNJF2pPhy_0zg&si=XBIWo7WCZ4wViFBZ

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