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Rheingold “R”
今回は、シンセ・ポップ・トリオRheingoldのサード・アルバム”R”をご紹介します。彼等のバイオグラフィーは、以前に書いてありますので、そちらをご参照下さい。今回の参加者は、Bodo Staiger (Vo, G), Lothar Manteuffel (Lyrics), Brigitte Kunze (Kbd, Synth)に加えて、Charlie Terstappen (Drs [A1-A3])も参加しています。また、ミックスに関してもBodo Staigerが主に行っており、A2, A3だけConny Plankがミックスしています。また、どうも本作品は、映画”Der Fan”のサントラとして作られたようなんですが、R18指定のロックスターとカニバリズムとを合わせた内容らしいです。因みに、監督はEckhart Schmidt (エックハルト・シュミット)です。実際に使われたどうかかは確認出来ませんでした。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “FanFanFanatisch” (3:52)は、シンコーペーションがカッコ良い、アップテンポの曲で、シーケンスもバッチリです。生Drsとの絡みもカッコ良いです。 ★A2 “Das Steht Dir Gut” (4:34)も、直線的シーケンスと生Drsがカッコ良く、今現在、どこかで流れていても、全然違和感の無いモダンな曲です。間奏のスライドGもイカしています。 ★A3 “Augenblick” (4:27)は、シーケンスを使っていながらも、ゆったりしたスローな曲調で、生Drsとドラムマシンの絡みも抜群で、聴かせてくれます。シンセの音色も素晴しく、間奏のテンポアップもよく出来ています。 ★A4 “F.A.N.” (5:16)は、リズムマシンとシーケンスに美しいシンセから成るミディアム・テンポの曲ですが、独語歌詞もバッチリ合ってますし、シンセのメロディも抜群で、少しだけUltravox!っぽくもあります。 ★B1 “Abfahrt” (4:35)は、直線的シーケンスから入り、ドラムマシンやシンセ、更にはGも段々と重なってくる王道のインスト曲で、シンセのリフもドラマティックでカッコ良いです。 ★B2 “Überblendung” (2:21)は、ディレイを効かせたゆったりとしたインスト曲で、多分、Gとかも使っていますね。ドラムマシンも最小限のキックだけで、短いながらも、雰囲気があります。 ★B3 “Stahlherz” (11:26)は、 B2に連続して、シーケンスから始まる、ややアップテンポなインスト曲で、多層化したシンセのメロディが次々に立ち現れてきて、曲の完成度は高いです。時に、SE的電子音やパーカッシヴなホワイトノイズも挿入されており、これが中々良いスパイスになっています。後半はドラムレスとなって、シンセによるゆるやかでメロディアスな曲調になります。 この作品は、Tangerine Dreamの領域に既に入ってしまったニューウェーブな作品とも言える程、完成度も高く、特にインスト曲だけのB面の出来は素晴らしいです。このアルバムは、そう言った意味で、電子音楽系クラウトロックとNDWとを橋渡しするような作品であり、重要な作品ではないでしょうか? ちょっとRheingoldを甘く見ていましたね。そんなことを吹っ飛ばせるアルバムです。なので、皆さんにも聴いて欲しいです! A1 “FanFanFanatisch” (3:52) https://youtu.be/kehzAnMjaOE?si=LX6ahk8knYAyBbdp A2 “Das Steht Dir Gut” (4:34) https://youtu.be/qAGXnVpr6SY?si=2PA0WJ2fX77kgrUo A3 “Augenblick” (4:27) https://youtu.be/UmC4Xna2fVc?si=NBBlQUj9HeZ0e_Zu A4 “F.A.N.” (5:16) https://youtu.be/tPEtJH48dzI?si=AIhaAsnC_al8je40 B1 “Abfahrt” (4:35) https://youtu.be/CtFfem8_g7E?si=UIWNh1thWUkKNStS B2 “Überblendung” (2:21) https://youtu.be/g8uBowTGtSg?si=m4jP9qr6Q6ACuyMV B3 “Stahlherz” (11:26) https://youtu.be/Dk0gFjEqTyI?si=df-2IRac0pbVb2v_ #Rheingold #R #Welt-Rekord #EMIElectla #1982年 #Soundtrack #Film"DerFan" #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #SynthPop #Electro #Synthesizers #Drums #BodoStaiger #LotharManteuffel #BrigitteKunze #Guest #CharlieTerstappen #Mixing #ConnyPlank
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Synth Pop / Soundtrack Welt-Rekord / EMI Electla €18.99Dr K2
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S.Y.P.H. “Rot Geld Blau”
S.Y.P.H.のスタジオ・アルバム(LP)としては、7枚目に当たるアルバム”Rot Geld Blau”を紹介します。この作品は日本盤「赤 金 青」としてCDで出ています。本作品は、前作より6年振りのスタジオ・アルバムで、次のアルバム”-1”まで13年も掛かっていますが、その時には、正式なメンバーはHarry RagとJojo Wolterだけになっており、様々なゲストを招いて作製されています。その後2009年に、Harry Rag, Uwe Jahnke, Jojo Wolter, Ralf Bauerfeindでコンサートに復帰・出演しますが、その後2011年に、Jörg LehnardtとGeorg Zanglを加えてスタジオ録音を始めますが、メンバー間の軋轢が明瞭化し、その結果、Ragが抜けて、Doc SchokoがVoと歌詞のアルバム”EX”をTapete Recordsからリリース予定でしたが、当初Ragが差し止め要求をした為、このアルバムは幻のアルバムとなりかけましたが、2013年にリリースはされています。しかしながら、S.Y.P.H.は、実質的に終了しているようです。 それで、本作品なのですが、先述のように、暫く振りのリリースで、参加メンバーは、鉄壁のHarry Rag (Vo), Uwe Jahnke (G), Jojo Wolter (B), Ralf Bauerfeind (Drs)と言う4人で作製されており、S.Y.P.H.お得意の実験ロックが、A面6曲/B面4曲たっぷりと収録されています。それでは、各曲についてご紹介していきましょう。 ★A1 “Game Becker” (0:28)は、雑踏から始まり、演奏自体は、あっと言う間に終わってしまいます。 ★A2 “Trance-Baby” (3:37)は、往年のCanを彷彿とさせる反復するリズム隊に、聴き取りにくい囁きVoが乗り、時にGが前面に出てくる、正に「トランス」な曲ですが、いきなり終わります。 ★A3 “Zuhörertextestück” (0:34)も、雑踏での会話のようです。 ★A4 “Wo Bist Du?” (2:56)は、パンク顔負けのアップテンポの曲ですが、途中で突然テンポダウンして、どちらかと言うと、リズム隊はゆる〜いレゲエ調になりますが、VoとGはフリーキーのままで、再びパンク調に戻ります。 ★A5 “Years Of Revival” (3:33)は、ミステリー映画のようなGのメロディと落ち着いたリズム隊の反復に、加工したVoが囁きのように歌ってますが、途中で、Gが暴れて、そのまま力強いビートとフリーキーなGのアンサンブルになります。最後は、割と音数の少ないフリーな演奏で終わります。 ★A6 “Pechschwarz” (8:07)は、余り出しゃばらない楽器演奏に、喋るようなVoが乗っていますが、それぞれの楽器がSEと一緒に自由に動き回っているような曲調です。後半はブレイクビーツになりますが、割と様になっています。 ★B1 “Make-Up Is Money” (1:11)は、ダミ声でタイトルを叫ぶRagが前面に出ており、バックはエコーの中で控え目に演奏されています。 ★B2 “Ping Pong Und Die Weiße Frau” (8:55)は、水音共に演奏が始まり、Gのミュート奏法と簡素で弱々しいDrsに、話しかけるようなVoが乗る曲ですが、フリーなGも聴取できます。途中からバックは、ハッキリしたリズム隊とGのカッティング/リフに変わります。こう言う曲はCanの匂いがしますね。ワウGや叫び声のようなバックVoも出てきて、次第に盛り上がっていきます。 ★B3 “Keine Ahnung” (7:40)では、最初、フェイドインしてくるGの多重録音されたフリーな演奏で、そこにBが這いずり回り、訴えるようなVo、そして最後に一定のビートを叩き出すDrsも加わります。ファンキーなワウGや突然のSE的Gとなり、またVoもオフエコーになったりします。 ★B4 “Zum Fluss” (0:29)は、B3から突然連続して、ディレイの掛かった雑踏のお喋りだけから成ります。 こうして聴いてみると、やはり、往年のCanっぽいところが、チョロっと見えたりして、単なるNew Waveバンドじゃないなと思えます。特に、長めの曲ではその傾向が顕著ですね。また、曲間やアルバムの始めや終わりに、短い雑踏の声/お喋りを入れたりするのも、彼等らしいですね。正直、初期のような音質だったら嫌だなぁとも思っていたのですが、そんな心配は無用で、ちゃんと録音・マスタリングされており、音質も良好で、その分、Canに対する彼等のリスペクトがハッキリと分かりました。聴き易さも含めて、このアルバムは中期最後にして、傑作だと思います!皆さんも聴いてみて下さい! A2 “Trance-Baby” (3:37) https://youtu.be/CWTFKzla7PU?si=1UtXNoO02Oz-dcP2 [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lYYofIBgVgUe8Ud3Wz2YdNJF2pPhy_0zg&si=XBIWo7WCZ4wViFBZ #S.Y.P.H. #RotGeldBlau #Buback #SeventhStudioAlbum #1993年 #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #Experimental #PostPunk #HarryRag #UweJahnke #JojoWolter #RalfBauerfeind
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Buback €18.99Dr K2
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Die Radierer “Gute Laune Land”
あの奇才Tom DokoupilもメンバーだったことのあるDie Radierer (ディー・ラディーラー)の6枚目のアルバムをご紹介します。Die Radiererのバイオグラフィーについては既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。それで、このアルバム”Gute Laune Land (グーテ・ラウネ・ラント; 「ご機嫌な国」の意)では、参加者は、C. B. Bodenstein (Vo, Thermin; C.B. ボーデンシュタイン), Jürgen Beuth (G, Synth, Vo; ユルゲン・ボイト), Lilith Winter (B; リリト・ヴィンテル). Jörg Schwickerath (Drs; ヨルク・シュヴィッケラート)に加えて、Kurt Ebelhäuser (G [A1, A2, A4, B2]; クルト・エーベルヘウゼル), Annette Benjamin (Vo [A5]; アネッテ・ベンヤミン), Diego Castro (Vo [A5]; ディーゴ・カストロ), Martina Weith (Vo [A5]; マルティナ・ヴァイト), Rocky Lugosi (Vo [A5]; ロッキー・ルゴジ)がゲスト参加しています。内容的には、両面5曲ずつ収録されています。それでは、各曲をご紹介していきましよう。 ★A1 “Google Mich” (3:04)は、一言で言えば、極上の独歌詞のポップミュージックですね。全ての楽器とVoのミックス具合や曲構成、アレンジにおいてバランスが凄く良いです。 ★A2 “Gute Laune Land” (2:50)は、GとDrsとVoの「とぼけた」アンサンブルから、ポップでキャッチーな楽曲へと行きますが、変拍子の譜割が出てきて、そこがまたNDW愛好家の心を擽りますね。Gソロも素晴らしい! ★A3 “Unsichtbare Freundin” (3:24)は、ちょっとテクノ・ポップな出だしから、独語歌詞の生きてる陽気なポップミュージックへと繋がります。バックのGもグーです。しかしながら、ちょい悲し気なメロディが切ないです。 ★A4 “Deutsches Schwein” (2:45)も、テクノポップ調のシーケンスから重いビート・ポップスに雪崩れ込んでいきます。この曲は何だか、ダミ声Voの切迫感もあって、マジにヤバい感じがしますね(タイトルが「独逸の豚野郎」ですから)。 ★A5 “Reinkarnation” (2:51)は、Bodensteinのダミ声Voに女性Voも加わったノリの良いポップ・ソングに仕上がっており、男性Voも女性Voも複数で担当しており、ここら辺の柔軟性も彼等の魅力ですね。A面最後に相応しいです。 ★B1 “Alles Verwandelt Sich In Dreck” (2:52)は、大胆な構成で繰り広げられるNDWポップ絵巻になっており、リズム隊によるビート感が強烈です。Bを抜いた間奏もグーです! ★B2 “Telegramm A Kim” (3:13)も、軽やかなビート感一杯のポップ・ソングで、ひょっとして、このKimって北の将軍様では?まぁ、それは別としてバックのコーラスワークも素晴らしいです。間奏のコーラスワークやシンプルなGソロも良い隠し味になっています。 ★B3 “Held Der Kohlenstoffwelt” (2:55)では、Gをバックに独語Voで始まり、ディスコティックなリズム隊に囁くようなVoで曲が進行し、サビでの盛り上がりもその分、コーラスも含めて、凄く盛り上がります。最後、シーケンスで終わるところも良いです。 ★B4 “Punk Von Today” (3:38)は、彼等成りの「パンク・ソング」なのかな?ノリの良いビート・ミュージックで、シンプルながら、シンセの持続音を使ったりして、米英のパンクとは異なる諧謔的で捻くれた曲に仕上げています。 ★B5 “Tennisplätze Auf Dem Mars” (2:40)は、優しいGとVoで始まり、シンセを多用しながらも、割と隙間のある微妙な浮遊感のあるポップ・ソングに仕上げており、聴いていても暑苦しさはないですね。 本作品は、ギタリスト兼ソング・メイカー兼プロデューサーのJürgen Beuthのポップネスが思う存分発揮されたアルバムで、捨て曲がないです、演奏もタイトで、リズム隊も上物もVoも素晴らしいバランスと出来です。まぁ、初期のDie Radierer (Tom Dokoupil 在籍時)とは全くの別バンドと言っても良いのかもしれませんね。そう言う意味では、最初、戸惑いましたが、ポップ・バンドとして聴いてみると、その良さが分かりました。なので、この新生Die Radiererの弾けるようなポップ・ソングを聴いて、元気をもらおうって感じです!一度聴くと癖になりますよ! A4 “Deutsches Schwein” (2:45) https://youtu.be/qDv0-TIku78?si=Qz1w3W-SCl7csEpA [full album & other songs] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lSUvNxbWshZL1fvFwBezR73fdkpV-QzH0&si=1g0KL0IFv_BwoQ9f #DieRadierer #GuteLauneLand #BlitzkriegPop!Records #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #PopSong #C.B.Bodenstein #JürgenBeuth #LilithWinter #JörgSchwickerath #JörgSchwickerat #KurtEbelhäuser #AnnetteBenjamin #DiegoCastro #MartinaWeith
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Pop Rock Blitzkrieg Pop! Records €18.99Dr K2