V. A. “Dutch Wave: A History Of Minimal Synth & Wave In The Netherlands”

0

ついつい買ってしまうんだよねー、こう言う欧州のシンセ・ウェーブ系のコンピ❗️今回は(も?)、蘭シンセ・ウェーブ/ミニマル・ウェーブの特集ですね。その名も”Dutch Wave”です。でも、レーベルはベルギーのOnderStroom Recordsです。それで、今までも紹介していたり、或いは解説文の中に出てきたりしているバンドもあるとは思いますので、そちらは以前の紹介などをご参照下さい。今回、セレクトされたのは8組で、ベテランからニューフェイスまで、まあまあ満遍なくカバーされているのではないでしょうか。それでは、各バンドと曲を紹介していきましょう。
 A1 Nine Circlesは、1980年にAmsterdamで、Lidia "The Rose" FialaとGenetic FactorにいたPeter van Garderenによって結成されたエレクトロ・ポップ・デュオで、1982年にライブ音源をカセットでリリースしていますが、その年に2人が別れたのを機に、一度解散しています。なお、このライブ音源は、2011年になって、ボーナス・トラックを付けてCD-Rで”Live Queekhoven 1982”として再発されています。話しを少し戻すと、友人がラジオ局VPROで働いていた関係で、そのラジオ番組で演奏する機会もあったようで、その関係でコンピLP “Radio Nome”にも参加しています。“What's There Left”は、そのコンピLPに入れた2曲の内の1曲です。チープなリズムマシン(BOSS DR-55かな?)にメロディアスなシンセと物憂げな女性ヴォーカルが乗る、所謂、典型的なシンセ・ウェーブなのですが、ミニマルなシーケンスに絡むシンセのメロディが秀逸ですね。
 A2 Beatnik Love Affairも、AmsterdamでLex Grauwen (Instruments, Vo), Ruud Braumuller (Instruments, Vo), Jeroen Minnema (Instruments, Vo)によって結成されたエレ・ポップ・バンドで、恐らくは1987年前には結成されていたみたいで、1987年の蘭Top Tapesのカセット・コンピ”L'embrasse”に参加しています。しかしながら、単独作は無いようです。“Share My Heart's Blood”は、蘭レーベルStichting Stopcontactより1987年に出たコンピLP ”Contactdisc 5”に入っています。ここでは、Grauwenが全ての楽器とVoを担当しており、Minnemaは歌詞のみで、Braumullerは不参加です。かなり熟れて、繊細なシーケンスと存在感のあるドラムマシンが強烈で、そこにGrauwenの男性ヴォーカルが乗ってくる曲ですが、流石に1980年代後半なので、機材的に高度なアレンジが可能になっていますね。メジャーでも通用するかも?
 A3 The Actorは、Sander Horsthuis (Synth)とMarcel Reimer (Vo, Synth)のデュオで、2人がジャム・セッションとかを始めたのが、1980年なので、そこからが結成となります。彼等ほ蘭におけるシンセ・ウェーブのパイオニアと言われています。“Unreal Personality”は、1982年にTrumpett Tapesからリリースされた彼等の最初のカセット作品”Exploded View”のA面1曲目のナンバーです。ややダークで、ファットな低音を効かしたシンセ音とマシンリズム(機種は不明)に、Reimerのやや高めの声質のヴォーカルが乗るミニマルな曲です。ひょっとしてワン・コード?
 A4 Störungは、1981年にEugeniusとArian Brunwinによって結成されたシンセ・ニュー・ウェーブ・デュオとも言われていますが、実はEus Otte (G, B, Vo, Perc, Dram Machine)とHylkia de Jong (Kbd, Vo)のデュオです。彼等はライブだけではなく、録音の方もしっかりやっており、1981年に最初のカセット作品を、翌年には、ファーストLP “This Is Future”を蘭レーベルclogsontronicsからリリースしています。 “Dimensie 4”はこのLPのA面3曲目のナンバーです。これは、珍しくベースが入っている曲で、ややスローなマシンリズムに、バックでシンセがアラビア風に鳴っており、前面には、de Jorgのハキハキした女性ヴォーカルが乗るミニマル・ミュージックです。結構、ベースを弾きまくってますね。
 B1 Van Kaye + Ignitは、Ed Van Kasteren (Van Kaye)とIgnatine Bekken (Ignit)のデュオで、1980年初頭にArnhem市で結成されていますが、Van Kayeほその前に、ニュー・ウェーブ・バンドThe MoNoMeNをやっていました。それで彼は、1979年末にリズミックな電子音楽に興味を持ち、1980年4月には、彼のソロ・カセット“A Slight Delay”を出しています。その後にアート畑にいたIgnitを誘って、1981年夏に、自身のレーベルDing Dongより4曲入り7㌅EP “Picassos on the Wall”をリリースしています。このコンピの中では一番有名じゃないかな? “Picassos On The Wall”は、このEPからのナンバーです。独特のシーケンスから始まる曲で、リズムマシンが入ってくると、テンポアップして、Van Kayeの呟くような男性ヴォーカルが乗ってきます。Ignitはバックのシンセ担当でしようか?
 B2 S.M. Nurseは、Anneke Stempher (Vo, Synth, Drum Machine, Tapes), Jos Jak (Synth, Synth Drum, Drum Machine, Tapes), Menko Konings (G, Synth, Drum Machine, Tapes)から成るシンセ・ポップ・トリオで、詳細は明らかではないですが、1980年には結成されていたみたいです。“Hot Day In Istanbul”は後からリリースされたセルフ・コンピLP “Hometape Recordings 1981-1983”に収められている曲です。初っ端は、不明瞭なテープ音で始まり、そこに焦燥感のあるドラムマシンとシーケンスが出てきて、更に、伸び伸びと歌う女性ヴォーカルとフリーキーなギターや効果音的シンセも被ってきます。
 B3 Ende Shneaflietは、1981年に蘭のHeilooにて結成されたニュー・ウェーブ・バンドで、メンバーはBrian Dommisse (Vo, Knobs), Frank Brinkhuis (G, B, Synth, Piano), Hanjo Erkamp (Synth), Jan Popma (Synth, Organ), Edwin Brinkhuis (Trumpet), Bert Abbing (Drs)で、1981年には既にTrumpett Recordsより最初のカセット作品”Animals From Outer Space”を出していますが、1983年には解散しています。“Session Zeitgeist”は、セルフ・コンピ2枚組LP “Twistin' On The Tombstonesl”のC面5曲目のナンバーですが、BrinkhuisとAbbingは脱退しています。警報のようなシンセに導かれて、カッコ良いベースラインと焦るマシンリズムに、深めのエコーの掛かった男性ヴォーカルが乗ってきます。曲調はJoy Divisionの世界観のようです。
 B4 Das Dingは、Danny Bostenのソロ・ユニットで、1980年初頭より活動を開始しており、自身のレーベルTear Apart TapesからDas Dingや友人のカセット作品をリリースしています。Das Dingはダーク・エレクトロな音楽をやっていましたが、時にはダンサブルな曲もありました。彼の使用楽器は、Moog Prodigy, Roland CSQ-100, Boss DR-55, ARP Oddyssey , Roland Space Echo, Teac 4 track recorder, Pearl Syncussion, Sound Master Styx Rhythm Box, Jen SX-1000. Casio Organでした。“A Dark Place”は、セルフ・コンピLP “H.S.T.A.”のB面1曲目のナンバーですが、本作品には、未発表のヴォーカル入りヴァージョンが収録されています。なので、このトラックでは、Diana Hense (Vo)とPlank Jiskont (Drs)が客演しています。リズムマシンをそのまま使わないで、シンセで合成した音と生ドラムでエスニックなリズムを作り、そこに、ハスキーな女性ヴォーカルとゆったりしたシンセのメロディが乗ると言った曲で、流石と唸りました。
 蘭らしさと言うのは、正直、よく分かりませんでしたが、やっぱり1980年代前半の曲は、機材の制約もあるので、曲作りや音作り或いはアレンジに様々な工夫をしているのがよく分かり、その意味でも興味深いと思いました。ここら辺の流れは未だに続いていますが、高度な機材ではなく、敢えてヴィンテージな機材でやっている方も多いのは、そのミニマルさが心地良いからだとも言えるのではないでしょうか❗️ なので、そこら辺を勉強したいリスナーさんにはきっと良い手本になるコンピ・アルバムだと思います。なので、必聴です‼️

A1 Nine Circles “What's There Left”
https://youtu.be/z7ak4Lo5zIY?si=VY71mS-8MvEID72s

A2 Beatnik Love Affair “Share My Heart's Blood”
https://youtu.be/iuAuGqbf7IY?si=dNkBt8KdI0TFtZO1

A3 The Actor “Unreal Personality”
https://youtu.be/AcVQeu9fPkM?si=aF0VlbiD1lVNnrN6

A4 Störung “Dimensie 4”
https://youtu.be/GKWmfwRLRf0?si=2lCfmchOHvEVEqGj

B1 Van Kaye + Ignit “Picassos On The Wall”
https://youtu.be/gXrGkL_iSzI?si=TG7TF_VRRPAoyN8k

B2 S.M. Nurse “Hot Day In Istanbul”
https://youtu.be/5khItvGWa7c?si=wni_f_ATHueWajQx

B3 Ende Shneafliet “Session Zeitgeist”
https://youtu.be/sAQlcH9c6Zw?si=WlMIB2YliCxNNyO7

B4 Das Ding “A Dark Place”
https://youtu.be/HeLUoCSNu_k?si=inBnz6Rzj3hStXQ5

#VariousArtists #DutchWave #AHistoryOfMinimalSynth&WaveInTheNetherlands #OnderStroomRecords #SynthWave #MinimalWave #NewWave #ElectroPop #Holland #Synthesizers #NineCircles #BeatnikLoveAffair #TheActor #Störung #VanKaye+Ignit #SM.Nurse #EndeShneafliet #DasDing

Default
  • File

    4AD

    2023/10/07 - 編集済み

    当時 代々木のEASTERN WORKSで RADIONOMEというコンピレーションアルバム買いました。

    返信する
    • File

      Dr K2

      2023/10/08

      私もEastern Worksには良く通ってましたが、”Radionome”は知りませんでした。

      返信する