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Self Deconstruction “Wounds”
何故か、惹かれてしまうバンド、通称「セルコン」ことSelf Deconstruction!結成は2010年だそうです。初めて観た時は、男女のツインVoに場違いな程ロリなGと屈強なDrsの4人組で、数年前の「地獄のコミュニケーション」で男性Voが脱退するとアナウンスされた時だと思う。その前に、X(旧Twitter)を始めた頃、Kuzuha (葛葉)さんから、SPKとかの古いノイズ系のカセットを購入したことが、一番初めのコンタクトかなぁ? その後、Kuzuha (G), Kubine (Vo), Jiro (Drs)の3人組としてセルコンは活動を続けていました。私は、1度だけ、落合SoupでChris Goudreauの日本ツアーの3daysが行われた時に、対バンをしたことがありますが、凄い迫力だったと記憶しています。その後、Kubineが脱退し、MarinoがVoで加入しますが、バンドは諸事情によりバラバラになり、Kuzuhaさんだけが、セルコンの看板を背負っている形になって、現在もメン募をしているようです。まあ、そんなこんなで、Kuzuhaさんの日常をFBとかで眺めていたのですが、先日、偶々、Kuzuhaさんが誕生日を迎えられたのをFBで知って、その時に、LPが欲しいと思い、その旨を伝えたら、早速、送ってくれました。Kuzuhaさん、どうも有難うございます。こちらのレコードの発送が遅れてすいませんでした。 それで、今回、入手したアルバム”Wounds”は、単体としては2枚目に当たり、実はこの作品は、アナログ盤の出た2年前の2016年に、CDでBreak The Recordsからリリースされています。そうして、2018年にミルキークリア盤は伊のF.O.A.D. Recordsから、血液赤盤は日本のBreak The Recordsからリリースされています。メンツは、Kuzuha/葛葉 (G), Kubine (Vo), Jiro (Drs)と言うベースレスのトリオです。彼等自身が標榜しているフリースタイル・グラインドコアがたっぷり23曲(A面13曲/B面10曲)詰まっています。ほぼほぼ1分以内の短い曲なので、曲間は良く分かりません。ですので、各曲毎の紹介ではなく、アルバム全体のご紹介をしたいと思います。 A1 “Disaster” (0:38) A2 “Ain't It Fun” (0:27) A3 “Spring's Trend” (0:37) A4 “Pay Up” (0:50) A5 “Dog” (0:28) A6 “Vulture” (0:44) A7 “Our Graves” (0:48) A8 “Dear Weekend” (0:41) A9 “Malice” (0:41) A10 “Psychowhore” (0:30) A11 “Taken For Granted” (0:38) A12 “Deeper” (0:39) A13 “Not For Me” (0:33) B1 “You Deserve” (0:22) B2 “Possession” (0:27) B3 “It Was Rain” (0:14) B4 “No Savior” (0:51) B5 “The Burden” (0:35) B6 “Hazard” (0:47) B7 “Virtue” (0:55) B8 “Force Fed” (0:48) B9 “Mess” (1:29) B10 “Grace Period” (1:25) 私自身、グラインドコアをLPでちゃんと聴くのはほぼほぼ初めてなのですが、ベースレスにも関わらず、音は、結構分厚く、また、タイトな録音にもなっているのに驚きました(Gとかは一部重ねている部分もあるのかな?)。とにかく、曲の中のリフと言うかパタンが殆ど繰り返されない、それこそ1曲の中で次々にリフが繰り出され、テンポすら目まぐるしく変わる演奏は、正しく「フリースタイル」グラインドコアであると確信しました。KuzuhaさんのGのキレが凄くて、何度も聴き直してしまいました。特に、曲間と思われるところの本の一瞬が特に好みです。また、Kubineちゃんのデスヴォイスも様になっています(これって歌詞があるのかな?といつも思ってます)。録音された演奏も迫力があるのですが、これらの曲を作曲し、ライブで演奏する方が大変なのでは?と思ってしまいます。この時期のセルコンは、結構好きだったこともあって、動画はよく観てましたが、アルバムとしての体験は初めてだったので、非常に楽しめました❗️また、Kuzuhaさんには、Self Deconstructionとして活動を復活して欲しいですね! https://youtu.be/noT6f0Acr5c?si=rb9BnLM0agiN1efL [BandcampのURLも貼っておきます] https://foadrecords.bandcamp.com/album/wounds-2 [オマケ: live in Obscene Extreme Fes. 2018] https://youtu.be/aURJlHxmjyQ?si=1FCc4h-Zt89QvSQo #SelfDeconstruction #Wounds #BreakTheRecords #F.O.A.D.Records #SecondFullAlbum #Japanese #GrindCore #FreeStyleGrindCore #PowerViolence #Bassless #Kuzuha #Kubine #Jiro
Grind-Core / Power Violence Break The Records / F.O.A.D. Records 不明Dr K2
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V.A. “4 In 1 Volume 5”
もう、何度も紹介しているベルギーのInsane Music関連のバンド、Bene Gesserit, M.A.L., Human Flesh, I Screamの4バンドをコンパイルしたコンピ第五弾が、この作品となります。この”4 In 1”シリーズは元々、Insane Musicの首謀者Alain Neffeが1982年に始めたコンピ・シリーズで、もっと出ているのかと思っていたら、Volume 5までしか出ていなかったみたいです。当時は、カセットで出ていたのですが、LPになったり、CDになったりしてフォーマットは違っていましたが、Volume 3が、30年振りにリリースされており、このVolume 5が最新盤となります。以前にも”Insane Box”で書きましたが、上記4バンド中3バンドが、Alain Neffe絡みであり、彼が異なるコンセプトで演り分けているバンドなんです。簡単に各バンドを紹介しておきます。Bene Gesseritは、B. GholaことAlain Neffeとその妻Benedict G.ことNadine Balから成る夫婦デュオで、最も長く続いている歌物の実験ポップ・ユニットです。M.A.L.はDaniel Malempréのソロユニットで、実験的な音楽をやっていましたが、ここではガラッと変わって民俗音楽的アプローチをしています。Human Fleshは、Alain Neffeのソロユニットで、友人達から音源を提供してもらい、ミックスする手法で音源を制作するのをコンセプトとした実験色の強い音楽をやっています。I Screamも、Alain Neffeが、1972年〜1978年の間に、2台の古いオープンリール・テープマシン(要するにピンポン録音)にて、宅録していた極初期のソロユニットです。なので、この中では、最もリリース数が少なく、謎深いです。なお、CDには各バンドに1曲ずつボーナス・トラック (Bene Gesserit “Silicone Valley (Of The Dolls)”, M.A.L. “Trinity Will Kill Again !“, Human Flesh “Continuum“, I Scream “(Maybe) I'm Slowly Going Insane”)が付いています。 それでは、LP収録の各曲についてご紹介していきましょう。 ◼️A1-A4 Bene Gesserit 録音は、2012年夏に、Neffeの自宅で行われており、知っての通り、B. Ghola (All Instruments, Effects)とBenedict G (Vo, Words)の2人です。 ★A1 “Ceci N'est Pas Une Chanson” (2:35)は、擬似民族音楽的ミニマル電子音楽から成る曲ですが、宇宙音らしきシンセやVoには過剰エフェクトが掛けられており、ほぼインスト曲です。 ★A2 “Les Fourmis” (3:00)は、アコギのイントロから、やはり、ウッドBらしき音に沿って擬似民族音楽的リズムに、シアトリカルなVoが語るように歌う曲で、途中のシンセ音が良い塩梅です。 ★A3 “Half Hysterical Mid Tempo Sort Of Rock” (2:45)は、ノリの良いリズムに、多層化したオペラ的Voが乗る曲で、ドライブするBがカッコ良いです。 ★A4 “Who Stole Our Pride ?” (3:05)は、教会のオルガンの調べに乗って、抑制されていますが故に表情豊かなVoから成る曲で、マシンリズムが入ってくると更に迫力がアップします。 ◼️A5-A7 M.A.L. 録音は、2014-2015年にMalempréの自宅で行われており、楽器はオウドやインディアン・フルート, シタール等の民俗楽器の他にも、GやB及びSynthそれにリズムマシン等も使われており、ハイブリットな音源から成ります ★A5 “Turkish Morning” (3:20)は、タイトル通り、Muslimgauzeとはまた違った似非中東音楽風の曲で、打楽器をメインにして、それにGや笛及びホーンらしき音が加わって、こう言うのが好きな人には堪らないですね。 ★A6 “The Azure Buddah” (2:50)も、基本、リズムマシンや打楽器とGによる似非中東ポップスみたいな曲です。この曲でもGを弾きまくってます。 ★A7 “Indian Song” (3:10)も、タブラ等の打楽器とGらしき弦楽器から成る似非中東ポップス風の曲で、クリーンなGと歪んだGを上手く使い分けています。 ◼️B1-B4 Human Flesh 録音は1980年代後半〜1990年代前半にNeffeの自宅で行われており、Lena Torgrimaen (Vo), Xavier (Vo), Malempré (G), Neffe (Piano, Sampler, Loop, Strings Organ, Synth, Harp)が参加しています。 ★B1 “Nattsvermer Drømmer Kneler” (1:35)は、不安定なピアノの調べに、やや興奮気味な変調Voから成る小曲です。歌詞はノルウェー語みたいです。 ★B2 “I'll Take Your Left Hand, Don't Be Afraid (Ballad With A Limpid Sky Over The Head)” (2:50)では、通奏低音にXavierのダイレクトな語り口VoとそのバックにもサンプリングされたVo、そして、いつしかオーケストレーションへ。 ★B3 “Météorites” (1:50)では、ゆったりした曲で、Gの音色やチェンバロ風のKbdが優雅に響きます。 ★B4 “Monotopi (For Sharon Tate)” (3:20)では、Gのボロンポロンしたアルペジオとハープに合わせて、ノルウェー語のVoが煽るように聞こえますが、何やら悲しげな音楽です。 ◼️B5-B6 I Scream 録音は1975年頃で、Neffeの寝室で、Sony TC630 2トラックのオーブンリールで多重録音されており、Neffeは、Roland SH-1000 Synth, Elka Strings, Welson RhythmBoxを使用しています。 ★B5 “Saved By The Synth” (5:00)は、上昇していくシンセのパルス音に、波のようなストリングス・シンセが絡む壮大な曲で、初期のタンジェリン・ドリームのような電子音系クラウトロックに近い音感触ですね。 ★B6 “Electronic Fascination” (6:30)でも、エコーの効いたシンセ音が自在に飛び回り、そこに硬い電子音が挟まって、やがて混沌となり、更にリズムボックスやストリングス・シンセが入ってくると、思わずそのスケール感が半端ないと感じますね。良きかな。 1980年代に、この”4 In 1”シリーズを知った時には、中々良いコンピだなぁと感心したものですが、本作品のように何十年の差があるにも関わらず、上記4ユニットの曲を1つに封印しても、それ程違和感はなく、楽しめました。特に、I Screamは音源が少ないので、聴き応えがありましたね。これはベルギーの地下音楽を一端を知るには、非常に良い作品ですので、是非とも体験してみて下さい❗️ クレジット曲順 A1 Bene Gesserit “Ceci N'est Pas Une Chanson” (2:35) A2 Bene Gesserit “Les Fourmis” (3:00) A3 Bene Gesserit “Half Hysterical Mid Tempo Sort Of Rock” (2:45) A4 Bene Gesserit “Who Stole Our Pride ?” (3:05) A5 M.A.L. “Turkish Morning” (3:20) A6 M.A.L. “The Azure Buddah” (2:50) A7 M.A.L. “Indian Song” (3:10) B1 Human Flesh “Nattsvermer Drømmer Kneler” (1:35) B2 Human Flesh “I'll Take Your Left Hand, Don't Be Afraid (Ballad With A Limpid Sky Over The Head)” (2:50) B3 Human Fleshl “Météorites” (1:50) B4 Human Flesh “Monotopi (For Sharon Tate)” (3:20) B5 I Scream “Saved By The Synth” (5:00) B6 I Scream “Electronic Fascination” (6:30) https://youtu.be/4bksBTCEvcI?si=Z13Z5_uBrWbPdKFx #VariousArtists #4In1Volume5 #EETapes #InsaneMusic #Belgium #CompilationAlbum #AlainNeffe #NadineBal #DanielMalempré #LP+CD #LimitedEditions #300部 #BeneGesserit #M.A.L. #HumanFlesh #IScream #SynthWave #Folklore-like #ExperimentalPop #ElectronicMusic
Synth Wave / Experimental / Electro EE Tapes 3487円Dr K2
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Chris Watson “Locations, Processed”
元Cabaret Voltaire/The Hafler Trioの創設者Chris Watsonは、今や、ご当地フィールド録音の第一人者であり、BBCの音響技師としても有名になっていますが、本作品は、英国Moog Recordings LibraryのBlue TB7 Seriesと言うシリーズの一つとして位置付けられています(ジャケにMoogと記載されているので、一瞬、彼がMoogシンセを弾き倒しているのかと思いました)。なお、このシリーズには、Mika VainioやCharlemagne Palestine, The Grid等の実験音楽〜ドローン〜ダンス・ミュージックと様々な参加者がおり、そのキュレーションは、Richard H. KirkとStephan Mallinderと共にDoublevisionを運営し、更にBlast Firstも創設したPaul Smithによるものです。先ず、ソロ・アーティストとしてのChris Watsonのバイオグラフィーについて簡単に触れておきたいと思います。彼は、Cabsを脱退して、英国のテレビTyne Tees Televisionに入った1981年から、フィールド録音を中心にしたソロ活動を始めており、また、そのTV局でも、”Bill Oddie Back in the USA”, “Great Railway Journeys”, “Springwatch” やDavid Attenboroughによる自然ドキュメント番組など多くの作品制作に当たっています。ソロ作品では、アルバム”Stepping into the Dark”で、2000年のPrix Ars Electronica Festivalで特別賞を受賞しており、他のアーティストとのコラボも盛んに行っています。また、2006年には、英国西部大学で工学博士の博士号を取得しており、その時の博士論文のテーマが、自然史や各地でのドキュメントの音を如何に録音するかについてのテクノロジーに関するものであったとのことで、多分、その後の彼のキャリアに直結していると思われます。彼の2003年作”Weather Report”は、2007年のThe Guardian誌での「死ぬまでに聴くべきアルバム1000作」に選ばれています。そして、2007年には、BBC Radio 4で、”The Reed Bed”や”A Guide to Garden Birds”と言った彼の制作したラジオ番組も放送されています。そんな仕事と音楽とが密接に結び付いた彼は、現在、Wildlife Sound Recording Societyの総長となっています。それから、本作品はMoog Recordings Library (UK)のシリーズの一つですが、裏ジャケを見ると、Moog Music Inc (USA)の協力の下、Moogシンセの生みの親、Robert Moog博士 (1934年生-2005年没)へのトリビュートであり、マニアが涎を流す程のMoog Sound Labの機材を使用しての作製ではなかったのかと思います。 そんなChris Watsonによる本作品ですが、先述のように、Moogシンセを弾いている訳ではなく、各地域でのフィールド録音によるドキュメンテーションとなっています。彼の場合には、特に、その土地/地域に実際に行って、その場の音をなるべくそのままの形で録音すると言う一つのディシプリンがあるように思うのですが、そんな彼のマニアックな録音テクノロジーを全開にしての素材を使った作品になっています。A面4曲/B面3曲が収録されており、正に臨場感溢れる「現地」の音ではあるのですが、何処かに操作した痕跡或いはミックスが見られる所が、ミソと言うか彼の独自な才能かと思います。 そう言えば、SNSで知ったのですが、虫の音や風の音を聴くことが出来るのは、日本人とポリネシア人だけらしく、我々は左脳(言語脳)でそれらを聴いているらしいのです。逆に他の人種は右脳(感覚脳)でこれらの音を聴く為、虫の音とかはノイズにしか聞こえないらしいです。そう考えると、日本人は元々、「フィールド録音」類似環境の中で生活をして、それらを言語化出来たのと関係して、ジャパノイズなる分野で突出したのではないか?と考えてしまいます。なので、西洋人であるChris Watsonにとっては、その聴覚能の獲得が、多分、彼自身にとって「新しい」音楽たり得たのだは?とついつい邪推してしまいます。今回は、各曲の解説はせずに、YouTubeに挙がっていた曲(まあ、アルバム全曲なのですが)を貼っておきますので、皆さんで聴いてみてどうか?と各自、ご判断/ご堪能下さい❗️ A1 “Room 343” A2 “Grand Central Terminal” A3 “Rockefeller Centre” A4 “Central Park” B1 “Times Square” B2 “Broad Channel” B3 “Jamaica Bay” A1 “Room 343” https://youtu.be/1ztjb_mddDo?si=bLbmTQ2shUiQLO6A A2 “Grand Central Terminal” https://youtu.be/CegRggaTqxg?si=fZuITplMR38m-ZK7 A3 “Rockefeller Centre” https://youtu.be/nZr4RBwEyX4?si=1gEfVlV_mHG-ixss A4 “Central Park” https://youtu.be/Nh5dgO2lQqc?si=LxHsqUUCxmhnVC5d B1 “Times Square” https://youtu.be/oWiaZHy58qw?si=XcnX9QK5bBT9gQQ0 B2 “Broad Channel” https://youtu.be/6mEGJNVPJsw?si=wcOA1z3Hlwahdd2m B3 “Jamaica Bay To Leigh Vally” https://youtu.be/FZUwOd4GQqQ?si=LBFrassmJxKGKUHu #ChrisWatson #Locations,Processed #MoogRecordingsLibrary #BlueTB7Series #PaulSmith #Curation #FieldRecording #Experimental #ClearVinyl #Ex-CabaretVoltair #Ex-TheHaflerTrio #DoctorOfTechnology #WildlifeSoundRecordingSociety #President
Field Recording / Experimental Moog Recordings Library 不明Dr K2
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Ditterich von Euler-Donnersperg “Knüllungen, Wulstungen, Klumpungen”
Ditterich von Euler-Donnersperg (「ディートリッヒ・フォン・オイラー・ドナーズペルク」と発音?: 本名Ulrich Rehberg)は、知る人ぞ知る独逸地下音楽シーンのコネクターです。この人物は、1980年代初頭に、T.G., SPK, Asmus Tietchens, The Hafler Trioなどの初期作品をリリースしていたレーベルWalter Ulbricht SchallfolienのオーナーDr. Kurt Eulerのことなんです。特に、彼はSPKの名作”Auto-Da-Fé”のプロデューサーUli Rehbergとしても知られるレジェンドで、ポスト・インダストリアル界の偉才でもあった訳です。それで、彼がDitterich von Euler-Donnerspergと名乗って、自らの音楽活動をする場合には、何十年にも及ぶ音響研究と電子音響調査の結果として作品化するとのことで、その多くの作品は欧州・英国地下音楽シーンの重要なグループやアーティストとのスプリットと言う形でリリースされていることが多いようです。例を挙げれば、Max Goldt, Column One, Kommissar Hjuler, Wataru Kasahara, Felix Kubin等です。正しく、地下音楽のコネクターですね。また、John Duncan, Thomas Köner, Column Oneともコラボを続けており、Werkwund名義でも活動していますが、このユニットについてはFelix Kubinとのデュオのことだとの噂もあります。彼は、Ditterich von Euler-Donnersperg名義のアイデアを1987年に思い付いていますが、先述のように何十年も研究して、漸く、1998年になって、スポークン・ワードによる限定7㌅レコードを毎年のようにリリースしてきたことで、その名が知られるようになったとのことです(私はその7㌅レコードは未聴)。そんな重要人物の単独作品の第二弾が本作品“Knüllungen, Wulstungen, Klumpungen”と言う訳です。しかしながら、この作品に収められている曲は、彼が1980年〜1982年に既に録音されていたもので、2021年リリースの際に若干の手直しなどもされたようですが、全くの新録ではないです。では、早速、内容を紹介していきましょう。 A1 “Geierberg”は、声と思しき音を加工・変調し、更に、ゆったりとした電子音やフィールド録音等と組み合わせた意欲的な音楽実験曲です。 A2 “Sterben Sie Bitte!”は、低音ドローンの抑制的な構成から成る曲ですが、途中のプレイクが良いスパイスです。正に燻銀! A3 “Und”は、唐突にガチャガチャとした変調ジャンク音で始まる曲で、フィールド録音らしき打撃音が、初期のスイスSchimpfluch-Gruppeっぽいです。 A4 “Ist Kein Jammer In Der Welt”は、一転、フィールド録音から成るアンビエンスなサウンドスケープで、時に薄ら聴こえるテープのスロー再生のような声に侘び寂びを感じますね。 B1 “Wahres Gegen Nichtwahres”では、唸るような変調フィールド録音に、不気味な笑い声(嘲笑)とが混在・融合していき、聴く者を不安にさせますが、ある意味、独逸実験地下音楽の系譜を色濃く引き継いでいます。 B2 “Die Schläferfalle”では、薄らとした淡いドローン音に、不明瞭なフィールド録音が加わり、都市郊外の「逢魔が刻」の風景のようです。 B3 “Vom Ende Der Zeit”も、規則的で金属質なフィールド録音が続く中、キリキリとした神経直撃音や様々な声が加わっていき、正に人間の本性を抉っているような曲です。終わり方も秀逸! と言う訳で、本作品は、極上の実験地下音楽に仕上がっていますが、これが、既に40年前に録音されていたと言う点で、作者のDitterich von Euler-DonnerspergことUli Rehbergの才能と推眼に驚かされます❗️多分、1980年代初頭の独逸人らしいバックボーンもあったのでしょうが、それにしても完成度は高いので、その辺りに興味のあるリスナーさんには必聴です‼️ [live動画: 2005年] https://youtu.be/2JzvtEo3xPw?si=Fr1U1vevExCTYhsX [参考までにNostalgie De La Boueからデジタル・リリースされた”quelquechose II”のBandcampのURLを貼っておきます] https://nostalgiedelaboue.bandcamp.com/album/quelquechose-ii #DitterichVonEuler-Donnersperg #UlrichRehberg #KnüllungenWulstungenKlumpungen #MolokoPlus #GermanUnderground #8ThAlbum #Experimental #Electro-Acoustic #FieldRecording #Dr.KurtEuler #WalterUlbrichtSchallfolien #SPK #Auto-Da-Fé #PostIndustrialScene
Experimental / Electro-Acoustic / Abstract Moloko+ 不明Dr K2
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V. A. “Dutch Wave: A History Of Minimal Synth & Wave In The Netherlands”
ついつい買ってしまうんだよねー、こう言う欧州のシンセ・ウェーブ系のコンピ❗️今回は(も?)、蘭シンセ・ウェーブ/ミニマル・ウェーブの特集ですね。その名も”Dutch Wave”です。でも、レーベルはベルギーのOnderStroom Recordsです。それで、今までも紹介していたり、或いは解説文の中に出てきたりしているバンドもあるとは思いますので、そちらは以前の紹介などをご参照下さい。今回、セレクトされたのは8組で、ベテランからニューフェイスまで、まあまあ満遍なくカバーされているのではないでしょうか。それでは、各バンドと曲を紹介していきましょう。 A1 Nine Circlesは、1980年にAmsterdamで、Lidia "The Rose" FialaとGenetic FactorにいたPeter van Garderenによって結成されたエレクトロ・ポップ・デュオで、1982年にライブ音源をカセットでリリースしていますが、その年に2人が別れたのを機に、一度解散しています。なお、このライブ音源は、2011年になって、ボーナス・トラックを付けてCD-Rで”Live Queekhoven 1982”として再発されています。話しを少し戻すと、友人がラジオ局VPROで働いていた関係で、そのラジオ番組で演奏する機会もあったようで、その関係でコンピLP “Radio Nome”にも参加しています。“What's There Left”は、そのコンピLPに入れた2曲の内の1曲です。チープなリズムマシン(BOSS DR-55かな?)にメロディアスなシンセと物憂げな女性ヴォーカルが乗る、所謂、典型的なシンセ・ウェーブなのですが、ミニマルなシーケンスに絡むシンセのメロディが秀逸ですね。 A2 Beatnik Love Affairも、AmsterdamでLex Grauwen (Instruments, Vo), Ruud Braumuller (Instruments, Vo), Jeroen Minnema (Instruments, Vo)によって結成されたエレ・ポップ・バンドで、恐らくは1987年前には結成されていたみたいで、1987年の蘭Top Tapesのカセット・コンピ”L'embrasse”に参加しています。しかしながら、単独作は無いようです。“Share My Heart's Blood”は、蘭レーベルStichting Stopcontactより1987年に出たコンピLP ”Contactdisc 5”に入っています。ここでは、Grauwenが全ての楽器とVoを担当しており、Minnemaは歌詞のみで、Braumullerは不参加です。かなり熟れて、繊細なシーケンスと存在感のあるドラムマシンが強烈で、そこにGrauwenの男性ヴォーカルが乗ってくる曲ですが、流石に1980年代後半なので、機材的に高度なアレンジが可能になっていますね。メジャーでも通用するかも? A3 The Actorは、Sander Horsthuis (Synth)とMarcel Reimer (Vo, Synth)のデュオで、2人がジャム・セッションとかを始めたのが、1980年なので、そこからが結成となります。彼等ほ蘭におけるシンセ・ウェーブのパイオニアと言われています。“Unreal Personality”は、1982年にTrumpett Tapesからリリースされた彼等の最初のカセット作品”Exploded View”のA面1曲目のナンバーです。ややダークで、ファットな低音を効かしたシンセ音とマシンリズム(機種は不明)に、Reimerのやや高めの声質のヴォーカルが乗るミニマルな曲です。ひょっとしてワン・コード? A4 Störungは、1981年にEugeniusとArian Brunwinによって結成されたシンセ・ニュー・ウェーブ・デュオとも言われていますが、実はEus Otte (G, B, Vo, Perc, Dram Machine)とHylkia de Jong (Kbd, Vo)のデュオです。彼等はライブだけではなく、録音の方もしっかりやっており、1981年に最初のカセット作品を、翌年には、ファーストLP “This Is Future”を蘭レーベルclogsontronicsからリリースしています。 “Dimensie 4”はこのLPのA面3曲目のナンバーです。これは、珍しくベースが入っている曲で、ややスローなマシンリズムに、バックでシンセがアラビア風に鳴っており、前面には、de Jorgのハキハキした女性ヴォーカルが乗るミニマル・ミュージックです。結構、ベースを弾きまくってますね。 B1 Van Kaye + Ignitは、Ed Van Kasteren (Van Kaye)とIgnatine Bekken (Ignit)のデュオで、1980年初頭にArnhem市で結成されていますが、Van Kayeほその前に、ニュー・ウェーブ・バンドThe MoNoMeNをやっていました。それで彼は、1979年末にリズミックな電子音楽に興味を持ち、1980年4月には、彼のソロ・カセット“A Slight Delay”を出しています。その後にアート畑にいたIgnitを誘って、1981年夏に、自身のレーベルDing Dongより4曲入り7㌅EP “Picassos on the Wall”をリリースしています。このコンピの中では一番有名じゃないかな? “Picassos On The Wall”は、このEPからのナンバーです。独特のシーケンスから始まる曲で、リズムマシンが入ってくると、テンポアップして、Van Kayeの呟くような男性ヴォーカルが乗ってきます。Ignitはバックのシンセ担当でしようか? B2 S.M. Nurseは、Anneke Stempher (Vo, Synth, Drum Machine, Tapes), Jos Jak (Synth, Synth Drum, Drum Machine, Tapes), Menko Konings (G, Synth, Drum Machine, Tapes)から成るシンセ・ポップ・トリオで、詳細は明らかではないですが、1980年には結成されていたみたいです。“Hot Day In Istanbul”は後からリリースされたセルフ・コンピLP “Hometape Recordings 1981-1983”に収められている曲です。初っ端は、不明瞭なテープ音で始まり、そこに焦燥感のあるドラムマシンとシーケンスが出てきて、更に、伸び伸びと歌う女性ヴォーカルとフリーキーなギターや効果音的シンセも被ってきます。 B3 Ende Shneaflietは、1981年に蘭のHeilooにて結成されたニュー・ウェーブ・バンドで、メンバーはBrian Dommisse (Vo, Knobs), Frank Brinkhuis (G, B, Synth, Piano), Hanjo Erkamp (Synth), Jan Popma (Synth, Organ), Edwin Brinkhuis (Trumpet), Bert Abbing (Drs)で、1981年には既にTrumpett Recordsより最初のカセット作品”Animals From Outer Space”を出していますが、1983年には解散しています。“Session Zeitgeist”は、セルフ・コンピ2枚組LP “Twistin' On The Tombstonesl”のC面5曲目のナンバーですが、BrinkhuisとAbbingは脱退しています。警報のようなシンセに導かれて、カッコ良いベースラインと焦るマシンリズムに、深めのエコーの掛かった男性ヴォーカルが乗ってきます。曲調はJoy Divisionの世界観のようです。 B4 Das Dingは、Danny Bostenのソロ・ユニットで、1980年初頭より活動を開始しており、自身のレーベルTear Apart TapesからDas Dingや友人のカセット作品をリリースしています。Das Dingはダーク・エレクトロな音楽をやっていましたが、時にはダンサブルな曲もありました。彼の使用楽器は、Moog Prodigy, Roland CSQ-100, Boss DR-55, ARP Oddyssey , Roland Space Echo, Teac 4 track recorder, Pearl Syncussion, Sound Master Styx Rhythm Box, Jen SX-1000. Casio Organでした。“A Dark Place”は、セルフ・コンピLP “H.S.T.A.”のB面1曲目のナンバーですが、本作品には、未発表のヴォーカル入りヴァージョンが収録されています。なので、このトラックでは、Diana Hense (Vo)とPlank Jiskont (Drs)が客演しています。リズムマシンをそのまま使わないで、シンセで合成した音と生ドラムでエスニックなリズムを作り、そこに、ハスキーな女性ヴォーカルとゆったりしたシンセのメロディが乗ると言った曲で、流石と唸りました。 蘭らしさと言うのは、正直、よく分かりませんでしたが、やっぱり1980年代前半の曲は、機材の制約もあるので、曲作りや音作り或いはアレンジに様々な工夫をしているのがよく分かり、その意味でも興味深いと思いました。ここら辺の流れは未だに続いていますが、高度な機材ではなく、敢えてヴィンテージな機材でやっている方も多いのは、そのミニマルさが心地良いからだとも言えるのではないでしょうか❗️ なので、そこら辺を勉強したいリスナーさんにはきっと良い手本になるコンピ・アルバムだと思います。なので、必聴です‼️ A1 Nine Circles “What's There Left” https://youtu.be/z7ak4Lo5zIY?si=VY71mS-8MvEID72s A2 Beatnik Love Affair “Share My Heart's Blood” https://youtu.be/iuAuGqbf7IY?si=dNkBt8KdI0TFtZO1 A3 The Actor “Unreal Personality” https://youtu.be/AcVQeu9fPkM?si=aF0VlbiD1lVNnrN6 A4 Störung “Dimensie 4” https://youtu.be/GKWmfwRLRf0?si=2lCfmchOHvEVEqGj B1 Van Kaye + Ignit “Picassos On The Wall” https://youtu.be/gXrGkL_iSzI?si=TG7TF_VRRPAoyN8k B2 S.M. Nurse “Hot Day In Istanbul” https://youtu.be/5khItvGWa7c?si=wni_f_ATHueWajQx B3 Ende Shneafliet “Session Zeitgeist” https://youtu.be/sAQlcH9c6Zw?si=WlMIB2YliCxNNyO7 B4 Das Ding “A Dark Place” https://youtu.be/HeLUoCSNu_k?si=inBnz6Rzj3hStXQ5 #VariousArtists #DutchWave #AHistoryOfMinimalSynth&WaveInTheNetherlands #OnderStroomRecords #SynthWave #MinimalWave #NewWave #ElectroPop #Holland #Synthesizers #NineCircles #BeatnikLoveAffair #TheActor #Störung #VanKaye+Ignit #SM.Nurse #EndeShneafliet #DasDing
Synth Wave / Minimal Wave OnderStroom Records 1800円Dr K2
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The Fall & Mark E. Smith “Best Of”
今回も、The Fallのベスト盤の一つ”Best Of”を紹介します。The Fall自体、セルフ・コンピやベスト盤を山のように出していますが、本作品は、元々は、2002年9月22日に英国BlackburnのKing George's Hallでのライブ音源で、2014年にCreative DistortionからCDでリリースされていた作品のVinylでの再発盤となります。しかも、A1 “Telephone Thing”, A3 “Free Range”, B2 “The Chiselers”, B3 “Big New Prinz”の4曲はヴァイナルとしては、初めて発表された曲となっています。その他の曲は、Secret Records Limitedからアルバム”Yarbles”としてリリースされています。The Fallのバイオグラフィーは以前に紹介していますが、この時期のThe Fallは、Mark E. Smith (Vo), James Watts (B), Dave Milner (Drs), Ben Pritchard (G), Eleni Poulou (Kbd), Ruth Daniel (Kbd), Al Goldson (Back-Vo), Ed Blaney (Back-Vo), Steve Murphy (Back-Vo)と言うメンバーになっています。 それでは、各曲について簡単に紹介していきます。 A1 “Telephone Thing”は珍しく、ワウを掛けたギターのカッティングで、ファンキーな曲になっています(全英58位)。A2 “ Hey! Luciani”はThe Fallらしい反復するベースラインが聴取できます(全英59位)。ただ、ベースの音がショボいのがちょっと残念。A3 “Free Range”は、ノリの良い疾走感のある爽快な曲(全英40位)。キーボードが良い味を出しています。A4 “Behind The Counter”は、めっちゃカッコ良いベースラインとギリギリしたギターが絡むThe Fallらしい曲(全英75位)。始めと途中のブレイクが更にカッコ良いです。A5 “Mr Pharmacist”もモロThe Fall風ロックンロールな曲で、途中のテンポ・チェンジもイカしています(全英75位)。 B1 “There's A Ghost In My House”はThe Fall節をたっぷりと堪能出来る良曲(全英30位)。また途中のブレイクがカッコ良いんだわぁ。B2 “The Chiselers”は、ここに来て、ゴリゴリのベースが聴けて堪らんし、またギターのアレンジも良い(全英60位)。反復するパターンもイカしたインスト曲です。B3 “Big New Prinz”は、自身の初期の名曲”Hip Priest”に対するThe Fallなりのアンサーソング(全英59位)。またタイトな反復から成るThe Fallらしい曲。B4 “Victoria”もThe Fallらしい名曲で、出だしのベースとキーボードの絡みが秀逸(全英35位)。B5 “White Lightnin'”は、またまた疾走感で突っ張るノリの良いThe Fall流ロックンロール(全英56位)。B6 “Hit The North”は最後に来て、再びThe Fall節全開のカッコ良い名曲です(全英57位)。 こんな風に、The FallとMark E. Smithの名曲をたんまり楽しめますし、ライブ録音と言っても、音質的にはそんなに悪くないので、The Fall初心者の方にもお勧めのライブ盤です‼️ 裏ジャケには何故か、チャートの順位が各曲に記載されていますので、ここでも載せましたが、はっきり言ってどれも名曲揃いですよ❗️ A1 “Telephone Thing” A2 “Hey! Luciani” A3 “Free Range” A4 “Behind The Counter” A5 “Mr Pharmacist” B1 “There's A Ghost In My House” B2 “The Chiselers” B3 “Big New Prinz” B4 “Victoria” B5 “White Lightnin'” B6 “Hit The North” A5 “Mr Pharmacist” https://youtu.be/Cl34oJEoO7s?si=_R7bxR6Ui_FPB-yJ [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_lj2RASLdkEDiodG4CXxpwWeM1YTpszysc&si=0Ye5P_2wdYgpmWPI #TheFall #MarkESmith #BestOf #SecretRecords #SelfCompilationAlbum #PostPunk #IndieRock #LiveTracks #TheYarbles #Reissue #Vinyl #CreativeDistortion #JamesWatts #DaveMilner #BenPritchard #EleniPoulou #RuthDaniel #AlGoldson #EdBlaney #SteveMurphy
Post Punk Secret Records 不明Dr K2
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V. A. “Prophecy+Progress: UK Electronics 1978-1990”
これは完全に謎物件でした。買ってから聴いたのかどうかも良く覚えていませんでしたが、発掘しました。副題にもあるように、1978年〜1990年の期間の英国を代表する(広い意味での)電子音楽作品を集めたコンピ・アルバムです。多分、Clock DVAやAttrition, Colin Potter, Konstruktivists等のその手の筋では有名どころが入っていたので購入したと思うのですが、やはり個人的目玉はVice Versaじゃないかな? レーベルのPeripheral Minimalについては、私はよく知らなかったのですが、2013年に英国BristolでJason B.Bernardによって運営されている電子音楽(インダストリアル〜シンセ・ポップやポスト・パンクまで)を扱うレーベルです。今回のキュレーションもBernardがやっているようです。と言う訳で、各参加者/グループと曲を紹介していきます。 ★A1 Clock DVA “Lomticks Of Time”(1978年)は、Vinyl On Demand (以下VODと表記)から出た"Horology 1: 1978-1980”ボックスセットの中のLP”Lomticks Of Time”から取られています。この時のメンバーは、Adi NewtonとStephen James Turnerです。余りはっきりしたリズムは無く、シンセの通奏低音に、ディレイの掛かったギター(?)の爪弾く音や男性のナレーションが組み合わさった、かなり実験的な曲です。 ★A2 Vice Versa “Idol”(1970年)もVODから出たLP “Vice Versa”から取られており、メンバーはMark WhiteとStephen Singletonのデュオで、1977年結成のSheffieldのバンドです。結成時には、他にIan GarthとDavid Sydenhamもいましたが、前者2人はABCに加入し、商業的成功も得ています。曲は、The Futureや初期のHuman Leagueを想起するエレ・ポップです。ホワイト・ノイズによるスネアがカッコ良い。 ★A3 Colin Potter “Number Five”(1979年)は、1970年代後半から活動している実験音楽家/サウンドエンジニアで、ICRレーベルと共に活動し、Nurse With WoundやCurrent 93等とのコラボでも有名です。意外にも、リズミックなシーケンスとメロディアスなシンセからなるエレ・ポップな曲で、Muteから出してそうな音楽です。 ★A4 Konstruktivists “Vision Speed”(1981年)はは録音時、T.G./CoilのPeter “Sleezy” Christophersonのハーモナイザーを使用。これは、1982年からGlenn Michael Wallis始めたインダストリアル・ユニットで、相方にMark Crumbyもおり、Whitehouseの初期メンバーでもあったとのこと。一転、機械の中にいるかのようなシンセによるインダストリアルな曲で、後半はリズムマシンDR-55も使っています。 ★A5 Naked Lunch “Rabies”(1981年)は、1979年に、Gary NumanやKraftwerkの影響下で、Paul N. Davies (G, Korg Synth), Mick Clarke (Moog Synth), Tony Mayo (Vo), Clifford Chapman (Roland Synth), Mark Irving (Drs)によって結成されており、Stevoがプロモートしていました。これまた、初期Human Leagueっぽいシーケンサーを上手く使ったエレ・ポップですね。 ★A6 Five Times Of Dust “Automation”(1981年)はCardiffとBristolで録音されています。メンバーは、Mark Phillips (Organ, Synth, Speak & Spell, Compute-a-tune, Drs Machine, Bells, Metals, G, Bassline, Clock, Toy Piano)とRobert Lawrence (Bassline, G, Fx, Metals, PC, Drs Machine, Toy Piano, Melodica, Synth, Vo, Xylophone)のデュオです。捻くれまくった実験的エレ・ポップ曲で、似ているものはありません。 ★B1 Schleimer K “Women”(1981年)のメンバーは、Billy Duncan (Sax), Dominique Brethes (Kbd, Drs Machine), Michael Wolfen (Vo), Mark Benjamin (B, G)の4人組です。太いシーケンスと初期Kraftwerkっぽいリズムにシンプルなメロディが重なる曲です。SaxやG/Bは使われていないインスト曲です。 ★B2 V-Sor, X “Conversation With”(1982年)はCheshireのAlsager大学で録音されており、その時のメンバーは、Alastair Boyle (Drs), Jacqueline Hemmings (Kbd), Alex Newton (Trumpet, Vo), Morgan Bryan (Vo, G)で、1979年末〜1989年まで活動していました。ミニマルなシーケンスとドラムマシンにキャンディーのようなシンセのメロディと男性Voから成るキャッチーなエレ・ポップです。 ★B3 Attrition “Beast Of Burden”(1984年)は、元々はThird Mind Recordsから出た”The Attrition Of Reason"から抜粋されています。この時のメンバーはMartin Bowes (Vo, Electronics)とAshley Niblock (Vo)とで、Gordon Maxwell (Sax)が客演しています。なお、Attritionは1980年にBowesとJulia NiblockによってCoventryで結成され、現在は、Bowes, Ashley Niblock, Alan Rider, Julia Niblock Wallerがメンバーです。これは!メチャクチャカッコ良いシーケンスに度肝を抜かれるAttrition節のエレ・ポップで、男女混成Voの切羽詰まった感じもグーです。 ★B4 Peter Hope & David Harrow “Too Hot”(1986年)は、Hackneyからシングル"Sufferhead EP”が出た後に録音されています。メンバーは、Hope (Vo)とHarrow (Synth, Kbd)のデュオです。この曲はLinnドラムマシンを使っているのか?そんな強烈にファンキーなリズムと絡むVoもマッチョです。 ★B5 John Costello “Total Shutdown”(1986年)は、自主制作カセット"Cantos"から取られています。彼は1980年代中期にカセット2本を出した後、15年後の1996年に、Martin Bowesとのコラボ・ユニットENGRAM名義で”What Am I?”をリリースしており、その後は作品を出しています。割とダークな雰囲気の曲で、エレ・ポップ界のBauhausみたいです、Voはサンプリングなのかな? ★B6 T.A.G.C. “Further And Evident Meanings” (1986年)はSweatboxからリリースされたEP"ShT"から取られており、その時のメンバーは、Clock DVAのAdi Newton, Robert Baker, Darrell D. D'Silva, Mark Holmes, Barry R.D.L. Harden, David A. Heppenstallです。このグループの正体は、1978年にAdi NewtonとSteven James Turnerによって結成されたThe Anti Group Communications (T.A.G.C.) に始まっており、多次元的な表現方法の開発と発信を目指しており、しばしば音/映像/ビデオ/パフォーマンスを含んだ劇場的演出を試みています。強烈にファンキーで複雑なマシンリズムと途中でのクールオフが面白い実験色濃い曲で、テープ音がコラージュされています。 ★B7 John Avery “12AM And Looking Down”(1990年のライブトラック)は、元々は1992年にForced Entertainment Theaterの"12am: Awake and Looking Down"の7分ヴァージョンでした。Averyは元々、劇場のパフォーマー/作曲家/サウンド・デザイナーであり、1980年代〜1990年代にSheffieldのバンドHulaのメンバーであり、劇団Forced Entertainmentとのコラボを熱心にやってきました。マリンバのようなリズミックなシーケンスが絡み合うミニマルな曲で、音自体シンプルながらも、アレンジは秀逸です。 とまあ、グループ/アーティストそれぞれな訳ですが、英国縛りと言うのが面白く、また全然知らないアーティストなんかも参加していて、凄く楽しめました。皆さんも、電子音楽に興味が有れば、是非とも聴いてみて下さい!! A2 Vice Versa “Idol (demo version)” https://youtu.be/GpxBsjwbsnQ [BandcampのURLを貼っておきます] https://peripheralminimal.bandcamp.com/album/prophecy-progress-uk-electronics-1978-1990 #VariousArtist #Prophecy+Progress #UKElectronics1978-1990 #PeripheralMinimal #Compilation #ClockDVA #ViceVersa #ColinPotter #Konstruktivists #NakedLunch #FiveTimesOfDust #SchleimerK #V-Sor,X #Attrition #PeterHope+DavidHarrow #JohnCostello #T.A.G.C. #JohnAver
Industrial / Electronic / Cold Wave Peripheral Minimal 不明Dr K2
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Hastings Of Malawi “Visceral Underskinnings”
この前、ご紹介したHastings Of Malawi (以下HOMと表記)ですが、HOMのアルバムを持っていたことを持っていたことを思い出して、発掘しました。本作品”Visceral Underskinnings”は、彼等のセカンド・アルバムに当たります。Nurse With Wound (以下NWWと表記)のオリジナル・メンバーで1990年代初頭まで在籍していたHeman Pathakと、NWWの1stアルバムにも参加しているDavid HodesとJohn Grieve(によって結成された英国ダダイスト・グループが、このHOMです。彼等のファースト・アルバムでは、1981年のある夜、スタジオで、ドラム、クラリネット、シンセ、ピアノだけでは無く、スタジオに置いてあった古いレコード、料理本、電話帳や電話と言った非楽器も用いて録音をしたとか。彼等のバイオグラフィーは前回、ご紹介しましたので、そちらをご参照下さい。 それで、HOMのセカンド・アルバム”Visceral Underskinnings”ですが、両面とも1曲ずつで、また曲名も記載がありません(ただし、Metalator 1 / Slowly Eric (ゆっくりとエリック) / Idealised Freedom Lament // Metalator 2 / Concrete Voluteとの記載が裏ジャケにある)。と言う徹底振りで、ファースト・アルバムを1981年にリリースしてから、何と35年振りに、本作品でもあるセカンド・アルバムが出されたと言いますから、そのマイペース振り(?)は凄いですね。彼等にとって、本作品は、40分に渡る光源の無い映画(つまり映像の無い映画)であり、電話や電子機器の発達した現代社会における人間の状態を反映させたものであるとのことです。何とそこには、米国初代大統領のGeorge Washington Johnsonの声やMalawiの初代大統領Dr Hastings Bandaの声も使われているらしいです。それらは、コンピュータ音楽とか声の合成とか冷戦時代の各局の放送とか米軍の武器の音とかを録音して、彫刻のようにHOMが30年以上かけて作り上げた作品な訳です。HOMは、サウンド・アートと音楽の交わるグレーな立ち位置に留まっていますが、HOMはその一方に属することを嫌い、またどちらにも良い顔をする訳でもないです。この立ち位置にある作品は、決して聴き易い作品ではなく、聴く者がその意味を解読しようが、解読しまいが関係がないとのことです。と言う訳で、内容の詳細も先述した通り、A面は、物音系の音とか金属製の音の連なりから始まり、古いレコード音へと急変し、電話のコネクターのクリック音や再びの古レコード音、更に、ドローン様の持続音へ。そして、電話交換手の声やプッシュ式電話の音が続き、やがて逆回転や正体不明な物音へと変容し、またまた古いレコード音へ。更に、重い重力音が唸り出し、どんどんと電磁気音へ、更に音響詩の男性の声とテープ操作とオルガン。更に土着民族の踊りや女性ナレーションになり、A面は終わります。B面も、金属製の音や唄いで始まるも、モーター音のような持続音へ。そして、キーボードの即興のような音に急変し、また日本語のナレーションと動物の鳴き声へ、更に、金属製の音へと移ろい、低速回転の男性の声に変容していきます。何かを燃やす音から散歩する音、更に人の声等がブレンドされ、再び、金属箱の音や水音に代わり、段々とテープ操作された人の声とストリングスへと移行、グチャグチャになった所で、罵倒する声や囁き、それに正体不明の物音に変わり、やがて囁くような微音へと落ち着いて終わります。今回、敢えて、内容を具体化して書いていますが、こんなことは無視して、音の万華鏡/紙芝居のようなHOMの音楽を堪能して下さい‼️NWWとの比較も面白いかも? 感じるのはあくまで貴方自身です❗️ A “Visceral Underskinnings Part 1” B “Visceral Underskinnings Part 2” Side A https://youtu.be/yz2aSXo1fzI?si=gSX7ZAN5LFa_enHy Side B https://youtu.be/36R3X72i26k?si=FGdqxXCuduzUajDD #HastingsOfMalawi #VisceralUnderskinnings #SubRosa #PapalProducts #Experimental #MusiqueConcrete #Collage #BritishDadaistGroup #Dada #HemanPathak #DavidHodes #JohnGrieve #NurseWithWound #Telephone #OldRecords
Experimental / Musique Concrete Sub Rosa / Papal Products 不明Dr K2
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Conrad Schnitzler & Pharmakustik “Extrudee”
遂に、Conrad Schnitzler先生とPharmakustikことSiegmar Fricke氏のコラボ3連作の第2弾”Extruder (押出機)”を紹介します。これで2人の3連作の紹介は終わります。これも元々は、1986年11月に、BerlinのSchnitzler先生のスタジオで、2人が録音した音源を元にして、1976-2017年の間に、Fricke氏がリフレッシュ後、再構築したトラックからなります。2人が使った機材は、EMS Synthi A, Korg MS-20, Dynachord Echocord, Automatic Rhythm-Player, Digital Delay, Ibanez MultiEffector, Radio, Yamaha CS-5で、以前、紹介した第3弾”Schubkraft”と同じです。なお、2人のバイオグラフィーは既に書いてありますので、それぞれ以前の文章をご参照ください。内容的には、A面3曲、B面2曲が収録されています。では、各曲について紹介していきたいと思います。 A1 “Kontaktmechanik”は、タイトル通り、マシンリズムが強調された曲で、そこにウニョウニョとしたシンセ音が絡みついていきますが、その内、シンセ音のみになります。このような傾向の曲は、この3連作で共通する傾向がありますので、ひょっとしたら、Fricke氏の好みかも知れませんね。A2 “Extruder”では、いきなり、独逸語のナレーションから始まり、ホワイトノイズによるビートと、これまたウニョウニョしたシンセ音がのたうち回っています。その背景には、初期M.B.のような、ディレイの効いた電子音を聴くことが可能です。A3 “Abrasion Métallique”は、ディレイ/エコーを効かせた電子音が宇宙に広がっていく様を描いたような曲です。リズムボックスの音も使われていますが、ビート感は無いです。 それではB面にいきます。B1 ”Umspulung”では、生物と機械のハイブリッドが演奏しているようで、「脈拍(=パルス)」はあるのですが、明瞭なビートはありません。また、音自体にはほのかなユーモアを感じます。B2 “Doppelwelle”もウニョウニョしたシンセ音から始まり、エフェクトを掛けたマシンリズムに置換されていきます。この曲にも何故かユーモラスな要素を感じます。 纏めますと、少しユーモアのある電子音がのたうち回る傾向が目立ち、初期M.B.との共通性もあるようで、ここら辺のミックスはFricke氏の好みなのかなあ?と思います。その「ユーモア」の成分は多分Schnitzler先生によるものだと思います。なので、このユーモアとシリアスの混合物がこのアルバムの特徴だと思います。 [trailer] https://youtu.be/fgTqnOg69uo #ConradSchnitzler #Pharmakustik #SigmarFricke #Extruder #Rotorelief #CollaborationAlbum #第2弾 #ElectronicMusic #Experimental #1986年録音 #2016-2017年再構築 #LimitedEditions #400部
Electronic Music / Experimental Rotorelief 不明Dr K2
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Smegma “Abacus Incognito”
今回は、皆んな大好き、米国のチン○スことSmegmaの2018年作のアルバム”Abacus Incognito”を紹介します。Smegmaのバイオグラフィーに関しては、既に書いてあると思いますので、そちらをご参照下さい。今回は、伊の実験音楽レーベルAlga Marghenからのリリースで、1974-1975年にTemply CityとPasadenaにて録音された音源の蔵出しになります。参加メンバーは、Ace Farren Ford, Amazon Bambi, Bev, Cheez-it-Ritz (本名Allen Lloyd), Chucko Fatts (別名D.K., 本名Bradford Hostetler), Craig, Dennis Duck, Jason, Ju Suk Reet Meate, Peterとなっており、最終的な編集はJu Suk Reet Meateが2018年に行っています。また、このアルバムは、自分の親のガレージでテープを作ろうと言ってくれたCraig Magyorody (1954年~2007年)に捧げられています。それで、内容ですが、両面とも2曲ずつ収録されています。A1 “Bub's Prelude”とA2 “Hotel Waltz”なのですが、曲の切れ目が分かりづらく、片面で1曲みたいな感じです。内容は、「適当な」アカペラみたいな曲で、各人が好き勝手に歌のような鼻歌のような/お喋りのような声をあげての超適当アンサンブルですね。何と言うか、個人的には、D.D. Recordsの月本正さんを思い出しました(月本さんは今でも活動しています)。B1 “Abacus Incognito”とB2 “The Three Infernal Jokes (Inspired By The Lord Dunsany Story)”も曲の切れ目は良く分かりませんでしたが、A面よりも更に自由にメンバーが歌っています。この緩さは自由度と関係しているようで、それこそが、SmegmaとかLAFMSらしいと言えばらしいですね。まあ、好き嫌いは分かれるかもしれませんが、音楽って何をやっても良いんだとコンセプトに賛同できる方は聴いてみた方がが良いでしょう❗️中毒性ありですので、注意!注意! *本作品はYouTubeに上がっていませんでしたので、代わりに2012年のスウェーデンでのライブ動画を貼っておきます。本作品とは無関係です。 https://youtu.be/XLRQBGH8SWA #Smegma #AbacusIncognito #AlgaMarghen #FreeMusic #Avant-Garde #Experimental #SlowAvant-Garde #SingASong #VocalPerformance #LosAngelisFreeMusicSociety #CraigMagyorody #RestInPeace #AceFarrenFord #AmazonBambi #Bev #Cheez-it-Ritz #ChuckoFatts(別名D.K.) #DennisDuck #Jason #JuSukReetMeate #Peters
Avant-Garde / Experimental Alga Marghen 3697円Dr K2
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Ruins “New Record”
今回、ご紹介するのはRuinsです。でも、あの超絶ドラマー吉田達也氏の方ではなくて、伊の2人組の方です。このバンドは、 1978年9月にAlessandro Pizzin (Kbd)によって結成されたバンドです。その時のメンバーは、Alessandro Pizzin (Kbd)に加え、Franco Moruzzi (Drs)とGirogio Salvedego (B)及びAlex Masi (G)でしたが、その編成に、時々、マルチ奏者Alessandro Montiが加わっていました。バンドは直ぐに伊地下音楽界に参入していきます。1979年春に、Masiが脱退し、1980年初頭に、Piergiuseppe Cirannaが新たに加入します。この頃、CirannaとPizzenの中心に、実験的電子音楽バンドRuinsが活動し始めます。彼等は、Gianni VolpatoとAlessandro Rigatoによる写真やファインアートからの着想で、電子楽器とメディアミックスに焦点を当てて、オリジナルな非ダンスミュージックやダークなポスト・プログレと言ったポップソング傾倒していきます。1981年5月に、Ruinsは”Elegant Shout”や”Short Wave”と言った新曲を録音しますが、これらが彼等の丁度分岐点になります。同年6月初旬に、Ruinsは、”Restless House”と言う短編映画の劇中歌や”Short Wave”と言うビデオ作品や16mmフィルムに集中しますが、結局、これらの映像作品はうやむやになってしまいます。1980年9月4日にArt Retro Ideasが、伊のコンピ・アルバムに彼等の曲を加えたり、同年11月21日には、Ruinsのファースト・シングル”Short Wave” c/w “You’re Like A Cigarette”をリリース、共に良い評価を得ます。それで、1981年に、彼等は新曲の為にオーディションを行い、1982年初頭には、CirannaとPizzinに、Franco Moruzzi (Drs), Massimo Bertatto (B), Moreno Barbazza (Perc, Back-Vo)を加えた新ラインナップで活動します。1983年にはバンドはメジャーレーベルと契約し、シングル”Fit of Nerves” c/w “Stoll of Girls”をの同年1月に録音、リリースしています。一方、PizzinとCirannaはサイドプロジェクトを始動し、伊のプログレバンドLe Ormeのアルバム”Ad Gloriam”のカバーをやっています。しかしながら、5人体制だったバンドは突如解散してしまい、CirannaとPizzinのデュオになります。1983年に、Fricchetti Productionは、限定版のテープとブックレット作品”Side Raids”をリリースしますが、これには彼等の実験的な面とよりポップな面/未発表ソロなどの面が含まれています。その後、バンドは、2つのプロジェクトを開始します。一つはDevoやThe Residentsに影響を受けたもの、もう一つはラテン・アメリカン・ソングを電子楽器で演奏するものです。Ruinsの方はPippo Monaro (B)がヘルプで加入しますが、あくまでもデュオの形は崩しません。その後、Ruinsはドラムマシンとシーケンサーを導入し、ヘビーなKorg MS20 シンセのベースラインがリズムセクションを担当します。バンドは、independent management company (BSR)とコンタクトを取って、Ruinsをプッシュしてもらい、彼等のフィースト12㌅EPをリリースします。そんな中、ヴェネチアの画家Luigi Violaの作品とのタイアップなリリースの機会を得、アルバム”Merea / Tide”を1984年11月にリリース、BSRはこの中の”Fire!”と言う曲を米国ビデオ会社にプッシュし、ビデオが製作されます。1985年9月に全国O.I.L.協会の25周年祭の際、最早、デュオとしては演れなくなり、Ruinsは同年10月1日に解散しています。Alessandro Pizzinはその後、プロの音楽家としてHakkah and Hexのようなバンドもやりつつ、1980年代後半に新しいRuinsをも立ち上げています。Piergiuseppe Cirannaもまた違った方向性でプロとして活動してしています。 ちょっと長くなりましたが、これが伊のRuinsの略歴です。今回、ご紹介するのは、Ruinsとしては、カセットアルバムを含めると、5枚目にして最後のアルバム”New Record”です。ここでは、先述のように基本的には、CirannaとPizzinのデュオの形態を取っています。Piergiuseppe Ciranna (G, ARP Synth, B, Casiotone, Vo, Tapes, Drum Machine)とAlessandro Pizzin (Kbd, Fender Rhodes 88 e-Piano, Korg MS-20, Pizzynth, Tapes, Drum Machine)が参加しており、B5ではFranco Moruzzi (Drs)、A4ではClaudio Cerroni (Vo), B2では、Francisco Calabro (B)が客演しています。ここに収録された曲は1981年初頭〜1983年初頭に録音されたもので、その一部はかつて”Side Road”と言う限定版でもリリースされています。なお、B2 “The Try”は1981年1月のライブ音源です。全体の印象は、所謂、1980年代の欧州で見られたシンセ・ウェーブなんですが、何ともチープなところに味がありますね。ドラムマシンって言っていますが、これは一番安いDR-55でしょ(私もずっと愛用してました)? Voパートはあるものの、どちらかと言うとインスト曲が中心なのかな? それとあんまり音を重ねていないようで、スカスカなシンセウェーブですね。まあ、録音が初期のものだからと想像します。それと基本的にミニマルですが、シンセ音だけでなく、ギターやベースなんかの音も効果的に使っています。また、インスト曲が多いこともあって、シンセによるSE的な曲や、B2 “The Try”などの即興演奏的な曲(特に冒頭のピアノなど)も含まれており、全体的に短い曲が多くても、飽きさせません。どちらかと言うとA面は習作的で、B面は実験的な印象も持ちますが、世界中に溢れていたシンセ・ウェーブの一端を担っていたRuinsも聴いてみませんか❗️ A7 “I Love You” https://youtu.be/c2fHFG__T4U A5 “New Record” https://youtu.be/3i9YvMGqBq0 B5 “Freak Song” https://youtu.be/p28FpLZyWl0 #Ruins #NewRecords #MothballRecords #Italian #Duo #SynthWave #DR-55 #MinimalWave #Experimental #PiergiuseppeCiranna #AlessandroPizzin
New Wave Mothball Record 不明Dr K2
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Holiday Inn “Torbido”
Holiday Innと聞いて、思い出すのは、Stereo TotalのアルバムかそれともThe Human Leagueの12㌅EPかどちらかでしたが、これからはこのバンド(?)も思い出すようにしましょう!と言う訳で、イタリアのミニマル・実験ポップ・デュオHoliday Innの登場です。メンバーーはマルチ奏者のBob Junior(本名Emanuel Bonetti)とヴォーカルのGabor(本名Gabriele Lepera)から成る二人組ですが、殆ど情報がありません。なので、バイオグラフィーも書けないです(すまん!)。Bobは元々は仏パリ出身なのですが、2000年より伊ローマに移っており、2012年にMy Own Private Recordsと言う個人的なDIYカセット・レーベルもやっています。 内容は、完全にLo-Fiなミニマル・シンセ・ウェーブです。リズムボックスにミニマルでひび割れたオルガン或いはシンセの電子音、それに矢張りひび割れたヴォーカルが乗ることで、曲が展開していくと言うと聞こえがいいですが、要は、宅録感満載なところがこのデュオの持ち味なのでしょう。それで、展開らしい展開もなく、同じシンセのベースラインが繰り返されるだけなのですが、ただ、ちょっとだけSuicideを思い起こすところがあり、その点でも得点が高いですね。もし貴方が、ここら辺の情報にピクって反応しましたら、是非一度は聴いてみて下さい。そんなデュオみたいですよ。 https://youtu.be/qMNee1XVP1E #HolidayInn #Torbido #Avant! #MapleDeathRecords #Minimal #SynthWave #Lo-Fi #BobJunior #Gabor #Italy #HomeRecording #宅録
Minimal Synth Wave Maple Death Records (Avant!) 1700円Dr K2
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Synth Sisters “Euphoria”
皆さんはSynth Sistersをご存知でろうか?或いはCrossbredはどうだろうか?Synth Sistersは2007年に大阪で結成されたデュオで、Rie LambdollとMAYUKoの2人からなります。私も詳しいことは知らないのですが、Rie Lambdoll (Vo, Sampler, Effects, Some Instruments)とMAYUKo (Synth, Sampler, Effects) から成るCrossbredと言う女性ノイズ・デュオがこのユニットの母体となっているようです。彼女達は、灰野敬二氏やCorruptedとも共演があるようですが、そのスタイルは、クラブ、エレクトロ、ノイズ、アンビエントなどの垣根を軽々と越えて活動しているみたいです。何ぶん、関西のここら辺の音楽シーンに疎いのでご勘弁を。 と言う訳で、本作品なんですが、割と緩いビートとアトモスフィリックはシンセの流れで、所謂アンビエント・コアな曲が多いのですが、ついつい流し聴きしてしまって、どの曲だっけとか曲の切れ目はあったっけなどと、本来のアンビエント(家具としての音楽)になっています。この効果は、何回聴いてもそうなるので、全部ちゃんと聴けないんですよ。また、ビートと言っても、主に、シーケンサーで組まれており、四つ打ちは余り使われていません。こんな音楽体験は珍しいんですが、そうなると、母体のCrossbredも聴いてみたくなりますね。皆さんもお試しあれ! A1 “w/o/n/d/e/r/f/u/l” (7:35) A2 “Labyrinth” (6:54) A3 “Euphoria” (7:54) A4 “She Sang” (5:15) B1 “Different Story” (4:14) B2 “Until The World Breaks Up” (5:52) B3 “Time Is Flowing There” (5:59) B4 “I Am Here” (6:28) https://youtu.be/mt69Ru-3cmk?si=P19bywM74DRI8MM3 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLxUNRE3nl-uhgl7HETwEgR2Vu_g7rYbMJ&si=fawEna6QqblkTC8_ #SynthSisters #Euphoria #EMRecords #Ambient #Electronics #Crossbred #Synthesizers #Sampler #Vocal #Osaka #RieLambdoll #MAYUKo
Electronic Music EM Records 不明Dr K2