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1951-53 2nd Steel Model, RCA "HIS MASTER'S VOICE" AD
シンプルに…本体に関する説明を済ませてしまおう。1951~53年の朝鮮戦争時代の大型5バレルヒンジのスチールジッポーである。
この絵柄ほど、日本人にも馴染みのある柄も無いだろう。蓄音機に耳を傾けるニッパーを描いたその絵画は、日本ビクター(現・JVCケンウッド)やHMV、RCA(現・仏国ヴァンティヴァ)、RCAレコード(現・米国ソニー・ミュージックエンタテインメント)などの企業のトレードマーク、またはブランドとして知られる。
また、かつて日本ではビクター系列特約の電気店の店頭を飾る、実物大ニッパーのグラス製張りぼてディスプレイや、商品購入の贈答用ノベルティーに陶器製の大小様々な置き物や灰皿などが製作され、立体物のグッズとしても、広く大衆に認知される。
ニッパー(Nipper)は、絵画『His Master's Voice』のモデルとなった犬で、実在したニッパーの最初の飼い主はイギリスの風景画家マーク・ヘンリー・バロウドであった。
いつも客の脚を噛もうとすることから、“Nipper”(nip=噛む、はさむ:同名の工具の語源)と名づけられる。
1887年に最初の飼い主、マークが病死したため、弟の画家フランシス・バロウドがニッパーを引き取った。彼は亡き飼い主・マークの声が聴こえる蓄音機を不思議そうに覗き込むニッパーの姿を絵画として描いた。
これがこのトレードマークのルーツなのは間違いない…
だが、それらの因果関係が全て美談で成り立っていたわけでない事を知り、複雑な思いが錯綜する…。
先にも書いた通り、二番目の飼い主フランシスも兄と同じく画家で、ニッパーの死から3年後の1898年、エジソン・ベル社のゼンマイ式フォノグラフ(円筒型蓄音機)を熱心に聴くニッパーの姿を絵画にした。
それから、どういう成り行きなのか不明だが…1899年2月11日、フランシスはその絵画を“Dog Looking At and Listening to a Phonograph”(フォノグラフを見つめ聴いている犬)の商標として出願した(画像5)。
そして、フォノグラフを製造するエジソン・ベル社にこの商標をトレードマークとして売り込んだのだが、“Dogs don't listen to phonographs.”(犬はフォノグラフを聴いたりしない)と、にべも無く門前払いされてしまう…。
それでは…と、今度はベルリーナ・グラモフォン社を訪問し、記録媒体の方式が違うグラモフォン(レコード盤式蓄音機)を借りて、もともと絵に描かれていた、エジソン式の黒いフォノグラフ(円筒型蓄音機)を修正して、レコード盤式蓄音機に描き換えて絵を売り込もうと考えた。
詰まるところ、画家も商売とはいえ…なんとも、節操のないことである。
しかし、話を持ち込まれたグラモフォンの社長、ウィリアム・オーウェンは、「どこの蓄音機か分からないような物では駄目だ。蓄音機の全体像をグラモフォンそのものに描き換えるなら、社としてこの絵を買おう」と、条件を付けた。
こうして修正された絵は、ベルリーナ・グラモフォン社の商標として、1900年6月10日に登録された(画像6)。
そして、時代は流れ…ベルリーナ・グラモフォン社も資本の離散集合の末、最終的に現在の日本ビクターやRCA系列の商標となる。
絵画自体が非常に優れた作品であり、バックグラウンドに叙情的なストーリーを持つものだけに…知りたくなかった裏側かもしれない。
出典:ウィキペディア 2025/02/01
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