- Shinnosuke Collectables Museum
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- 1941 Pre War Steel Model
1941 Pre War Steel Model
ジッポー史的年代考証で言う所の1941年製モデル。
折しも、米国政府は軍需物資統制法を発布…。
初期段階ではラウンドトップモデルの生産においても、ブラス(真鍮材)の使用制限として、ブラスチューブ製インサイドユニットの基盤パーツであるチムニー・プレートがスチール製に置き換わる程度だったが、何やかんやで戦時色の深まる1941年後期、フリントチューブ以外ブラス材を全て排したオールスチールとなった。
ここにも、フランクリン・デラノ・ルーズベルトの思い描く未曽有の大戦争の一端が垣間見える…。
それでも、まだこの頃はジッポー社製オイルライターが100%軍への納入にはなっていなかったのかもしれない。私見ではあるが、この頃のケース外装には、まだ民生品を想起させるクロムメッキが施されている。
ともあれ…一番最初に展示しようと思ったのが、この最初期のスチールモデルである。もう、私の修理の手が加わっていない部分がほぼないという物だからだ。
まず、この個体購入時、ケースのヒンジが近年製造の5バレルの物でキレイに修理されていたのだが、どうにも気にいらず、ヒンジを外し、他のジャンクのインサイドユニットのタンク部分のステンレス材を切り出して4バレルヒンジを作成し換装している。
という事で…まあ、ある意味ジッポー社純正の部材を使用しているので、オリジナルヒンジですよ~と言い張る事も不可能ではない…と、信じている(笑)
インサイドユニットもサビが酷く、ハンダ接合された部分も彫金用バーナーで完全に分解し、徹底的にサビをクリーニングした後磨き上げ、改めてフリントチューブやプレートをハンダ付けで組み直した。
そもそも、こいつを直したら普段使いを念頭に置いていたため、特に腐食劣化の酷かった水平刃フリントホイールは外し、オリジナル性を犠牲にした。
ジャンクパーツから'50年代製の真鍮製コア・リングとホイールの2ピース構造の新型の斜め刃ホイールに換装している。今更ながらではあるが、水平刃では実現不可能な心地よい着火率は劇的で流石である。
また、波形リーフスプリングも折れていたので、ジャンク部品の完全体オリジナルパーツを原型に、本職のバネメーカーに同等品の製造を発注し、換装している(画像8枚目)。
ある程度、まとまった数製作したので、これが折れてお困りの『リペア猛者』の方にも実費でお分け出来たら…と企画中でもある。
最後に、インサイドユニットはサビを取った後のボロ隠しにニッケルメッキを掛けて1930年代後期のラウンド風に2トーンのコントラストにしてみた。
これだけ手を掛けた難物はこいつくらいで、これまでになかった達成感があり、他のコレクションに比べ、非常に思い入れ深いお守りの様な存在である。
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