Sprung Aus Den Wolken “1981 West Berlin”

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Kiddy Citny率いる謎の音楽集団、それがSprung Aus Den Wolken (以下SADWと表記)です。本作品は、同じジャケの12インチEPに、同時期(1981年)にリリースされていたカセット作品からの音源を加えたセルフ・コンピレーション・アルバムとなっています。SADWについてのバイオグラフィーは、既に書いてありますので、そちらをご参照下さい。A面には、Zick Zackから出た同ジャケの12インチEPが丸っと収録されており、B面には、1981年にDas Cassetten Combinatから出たカセット作品”Sprung Aus Den Wolken”から2曲、1981年に自主制作のカセット作品”Que Pas / Pas Attendre”から4曲が収録されています。しかもまだ、Discogsにも載っていません。ただし、YouTube Musicにはアップされていました。今までに紹介した曲もありますが、今回は新たに紹介し直したいと思います。1981年の時のメンバーは、Kitty Citny, Alexander Hacke, Renault Schubertであったようです。それでは、各曲を紹介して行きましょう。

★A1 “Dub & Die” (4:12)は、チープなリズムマシンと呪文のように”Dub, Die”と呟き続けるVoに、生Drsが挿入されてきて、更にPercやSE音が鋭角的に挿入される曲です。淡々としたところがまたSADWっぽいです。
★A2 “Komm Her Sing Mit” (1:54)は、突っかかるようなDrsに、GやBが無理くり合わせて、タイトルを繰り返すVoには、ディレイが掛けられています。ただし、コード進行はミニマルです。
★A3 “Jeder Tag” (2:15)は、土俗的DrsにGとVoから成る曲で、Drsの勢いだけは凄いです。歌詞も殆どタイトルの反復から成りますが、僅かに電子音も聴こえてきます。
★A4 “Soso” (2:30)は、SADW流のジャズなのかな? しかしながらカシオトーンの使用や酔っぱらったようなDrsとBとVoの勢いで乗り切ってます。
★A5 “Gegen Den Strom” (3:38)では、主にキックだけのDrsとディレイの効いた鋭くフリーキーなGに、呪文のような囁き声のVoが挿入されます。また、電子音も時に聴取されます。
★A6 “Nichts Im Sinn” (4:28)は、単調なキック(これはリズムマシンか?)に存在感のあるBとカシオトーン/Gから成る曲で、囁き声Voによって洗脳されそうです。ちょっとダブ的要素もあります。
★A7 “Leidenschaftlich” (1:48)では、シンセで遊んでいるようなイントロから、疾走感のあるDrsと弱々しいGに、元気なVoが加わる曲です。Drsの勢いだけ凄いです!
★A8 “Bevor Sie Dich Töten” (1:10)は、何だかメロディアスなGとプリミティブなVoから成りますが、出来たものは「無調ハワイアン」とも言うべき曲です。
★A9 “Schwing” (0:37)も、ノリ的にはジャズなんですが、ただDrsだけがそれ風に演奏しているだけです。
★B1 “ Lust-Last-Liebe” (3:18)は、ロータムとGに、変調Voが乗る曲で、反復しながら、段々盛り上がっていきますが、最後にバックでオルガンが流れています。
★B2 “Schür Die Glut” (3:45)は、ディレイを掛けたGを中心に、DrsやPercが加わり、更にそこに語るようなVoが乗ってきます。呪詛ですね。
★B3 “Que Pas I” (3:41)は、アコギの弾き語りで、反復していますが、何とも言えない郷愁を感じます。またリード・アコギやアコーディオンも泣かせてくれます。また、途中のオルガン(?)
もグー!
★B4 “Que Pas II” (2:36)は、爆発音のような打楽器にBが被り、更に色々な音(メタパー?)も加わり、そこにVoが乗るスタイルはB3とは全く異なり、インダストリアルです!
★B5 “Pas Attendre I” (4:37)も、単調なDrsと弦楽器が続いた後、アコギとVoが入ってきますが、これまた感傷的なメロディで泣けます!最後はカオスになります!
★B6 “Pas Attendre II” (1:48)も、B5の別ヴァージョンで、アコギの弾き語りから始まり、やがて単調なDrsも入ってきて、やがてフェイドアウトしていきます。

 SADWって作品によって、かなりの振り幅があると思うのですが、それでも「反復する」ことに、彼等(と言うか、Kiddy City)が拘っているのが良く分かる作品だと思います。先述のように、同じ時期に別々にリリースされた作品をコンパイルしたもの、かつSADW自体がメンバーも流動的であることを考えると、この作品には一見、統一性が無いようにも思えるのですが、Kiddy Citnyの音楽性が「反復」にあることも、逆に炙り出されているようにも思えます。そう言う耳で、このアルバムを聴き直すのも、SADWの魅力の再発見に繋がると思いますよ(それにしても、B3-B6は名曲ですね)!!

A6 “Nichts Im Sinn” (4:28)
https://youtu.be/QLk8h3BR21I?si=Jyd8jfmW3F0Zi7L6

https://music.youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_n1y0wgROvcB5anEPSdBjlw3ZED6jR9ovk&si=zwYVLhSQrXyHqfo8

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