Robert Turman “Distant Dosage”

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私は完全に勘違いしていました。米国ノイズ・ミュージシャンBoyd RiceとNONは同じだと思っていたのですが、実は、NONは、Boyd Riceらが結成したグループ名だったのです。いゃ〜参った、参った。それに気付いたキッカケが、Robert TurmanがNONの創立者の1人であったという情報を得てからです。それで、今回、ご紹介するのは、Robert Turmanの初期のソロ作をセルフ・コンパイルした本作品“Distant Dosage”です、その前にNONも少し触れながら、Turmanのバイオグラフィーを書いていきます。彼は、元々San Diego出身で、現在はオハイオ州Oberlinに住んでいます。そんな彼がインダストリアル・シーンに登場するのは、1970年代末で、有名なノイズ・リジェンドNONの相方としてです。1977年作のシングル”Mode of Infection/ Knife Ladder”を録音したことがキッカケですが、その直後、Turmanは彼自身の音楽を追求する為、ソロで活動を始めます。それまで捨ててきたあらゆる影響を融合させる方向に舵を切り、Flux (1981年), Spirals of Everlasting Change (1987年), Way Down (1987年), Chapter Eleven カセット・ボックス・セット(1988年)などの多量のカセット作品をリリースしてきました。そうして、活動休止期後の2005年に、Aaron Dillowayと一緒に活動するようになり、再び多数の素晴らしい作品をリリースしています。この位しか情報が無いのですが、今回の作品は、蘭Dead Mind Recordsからのラブコールで、彼の初期(1980年~1984年)の作品から、ピックアップからした7曲をセルフ・コンパイルしたアルバムとなっています。そしてその内容は、初期インダストリアルと、彼のソロ第1作目の”Flux”の延々と続くミニマル・ミュージックと、彼の第3作目の”Way Down”のリズミックなインダストリアルの間に位置するような音楽で、知らない内に、催眠的なループ音のレイヤーへとゆっくりとシフトしていくような曲になっています。この作品を聴けば、Turmanの初期の作風は殆ど網羅出来ると思います。
それでは、各曲について、ご紹介していきましょう。
A1 “A Kind Of Dance”は、1981年の曲で、機械の駆動音らしき音のショート・ループから成ります。ちょーっとずつループがズレていくようですが、ぼーっと聴いていると分からない程度の変化です。確かに機械仕掛けの人形の為の、無機質な舞踏曲ですね。
A2 “Listen With Your Heart”は、1982年12月の小曲で、比較的高音のシンセと思われる音のループから成ります。これもちょーっとだけ微妙に変化があるようです。この変化が意図的なものなのか?それとも機材の不安定性によるものなのか?はいつか明らかにしたいですね。
A3 “Not Moving”は、1980年の曲で、民族楽器と思われる打楽器と短いメロディらしき音がグルグルの反復する曲で、3日3晩踊り続けるトランス音楽として聴くことも出来ます。ただ、よく聴いていると、少しずつ音に変化があります(テンポほジャストで不変)。
 では、B面にいきます。
B1 “Possibilities”も、何らかの具体音のショート・ループから成る曲で、どうもキッチンとかの具体音以外にもヴァイオリンの弓が擦れる音や3時のおやつの時間の時計の音などを音源にしているようです。
B2 “Hello Distant Dosage”は、1982年12月の作品で
多分既存の曲のの断片をループにしているようです。どうもちょっとずつちょっとずつ音がズレてきているように感じられめすので、そこら辺の音のモアレ効果も狙っているのかと思います。
B3 “Espilego”はエスパニア語のループかと思ったら、金属製の打楽器(或いはジャンク・パーカッション)の打撃音のループから成る曲でした。リズムは有るような、無いような。どうも、タイトルはエスパニア語の俳句のことみたいです。
B7 “Mind Meeting”は、1982年12月の曲で、これも何処かの曲の断片をショート・ループした曲で、延々と続いていく様は、正にヒプノティック(催眠的)です。ただ
よく聴いていると、僅かに変化していくんですよ。本のちょっとだけですが。
 まとめますと、どれもショート・ループから成るヒプノティックですが、恐らく、ディレイなんかのホールド機能を使っているのだと思います(何せ、まだサンプラーは登場していませんでしたから)。なので、ループの速度はほぼほぼ同じですのが、ちょっと飽きてしまうかもしれません。あと、私も、1990年代に、U.G.A.S.名義で、ループだけで1本カセット作品を作っていますが、似たようなことをやっていましたね。また、NONでのレコード盤とかを使う「反復」手法を忠実に受け継いでいるのは流石です❗️万人に受けるとは思いませんが、AMKとか、RRR500 Locked Grooveが好きな方にはお勧めします❗️

A3 “Not Moving”
https://youtu.be/aK1DCgYz45w?si=QYnnyH_e9eDjpg8F

[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mYYDY0-zsP6Nrg_6-7V0JrcHeZBw90qcs&si=zT7RRQ-9l-nn6vlZ

[BandcampのURLも貼っておきます]
https://dead-mind.bandcamp.com/album/distant-dosage

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