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Coil “Love's Secret Domain”
お恥ずかしいながら、私は、CoilとかCurrent 93とかDeath In June辺りの音楽は殆ど聴いたことがないんですよ。何故かは分かりませんが、、、なので、勉強と思って、買ったのが、本作品”Love’s Secret Domain”でした。まあ、そうは言っても、この前、Peter “Sleezy” Christophersonの3枚組は聴きましたが。それでは、先ず、Coilのバイオグラフィーを紹介しておきます。元々は、1982年にJohn BalanceよってLondonで始まりましたが、バンドメイトでもあったPeter ‘Sleezy’ ChristophersonがBalanceとパートナーとなって、活動を共にした1984年から、フルタイムのグループとして活動を始めました。Coilは、オカルト、セクシャリティ、錬金術、ドラッグと言ったテーマに深く関与しており、ゴス・ロックやネオ・フォーク或いはダーク・アンビエント等に大きな影響を与えた、ポスト・インダストリアル・バンドです。BalanceとSleezyがパーマネントなコアメンバーで、作品毎に他のアーティストが加わると言う形態を取っています。Balance (本名Geoff Burton)は1978年には、彼の同級生Tom CraigとSubmentalと言う英国の地下音楽を扱うファンジンをやっており、特にインダストリアル・ミュージックに興味を持っていました。特に、Throbbing Gristle (TG)のファンであったBalanceは直接、Genesis P-Orridgeに手紙を書いて、親交を深め、またTGのライブへも足を運びます。その頃にSleezyとも友達になっています。そして、1981年にTGが解散し、P-Orridge, SleezyとAlternative TVのAlex Fergussonは、Psychic TVを始め、Thee Temple ov Psychick Youth (TOPY)を組織します。その頃、Sussex大学に通っていたBalanceは、ロンドンに戻ってきて、彼等のライブに参加しますが、この頃にSleezyとパートナーになったらしいです。Psychic TVのメンバーとして、彼は最初の2枚のアルバムに参加しますが、1982年には、彼はサイド・プロジェクトとしてCoilを名乗ります。1983年に、彼は “The Price of Existence Is Eternal Warfare”と言うマニフェストと”On Balance”と言うテープを作製しています。同年8月4日に、CoilはBalanceとSleezyのデュオとなり、Cerith Wyn EvansやDerek Jarmanの映像をバックに、ロンドンで初ライブを行なっています。SleezyはP-Orridgeとの確執があったこともあり、Coilに専念する決意が固っていました。Balanceは、バンドメイトのJohn Gosling(その頃、新ユニットZos Kiaを始めていた)と一緒に作業するようになり、1983年には3人でCoilのライブを3回やっています。そして、Zos Kia/Coilのスプリット・アルバム”Transparent”を1984年2月にNekrophile Recordsからリリースしています。そうして、1984年1月にBalanceとSleezyはPsychic TVとTOPYを脱退し、Coilに専念します。そして、1984年4月20日に、ベルギーのL.A.Y.L.A.H. Antirecordsから、単独のEP”How To Destroy Angels”をリリース、このアルバムはノー・ウェーブ・バンドMarsに捧げられています。同年5月から、Coilは、JG Thirlwellを共同プロデューサーに迎え、「変容のアイデアとしての錬金術」をテーマに、Stephen Thrower, Alex Fergusson, Gavin Friday等のアーティストも参加して、ファースト・スタジオ・アルバム”Scatology”を作製します。このアルバムは1985年初頭に、彼等自身のレーベルForce & Formと、Some BizarreのサブレーベルK.422からリリースされます。その直後、Coilは、米国Four Prepsの”Talented Love”のカバーをリリースし、その売り上げをAIDS患者救済運動組織Terrence Higgins Trustに献金しています。1986年に、Coilはセカンド・アルバム”Horse Rotorvator”をリリースしますが、曲名がスカトロを想起させるもので、かつスロー・テンポな曲が多く、Balance曰く「よりダークなテーマ」とのことです。このアルバムのアートワークには、IRAによる軍楽隊パヴィリオンの爆破現場の写真が使用されています。その後、彼等はSome Bizarreを離れ、1987年にサード・アルバム”Gold Is the Metal (With the Broadest Shoulders)”を彼等自身のレーベルThreshold Houseからリリースしていますが、これは前作とは全く関係が無いとライナーノーツには記述されています。その後、ミニアルバムなどもリリースし、1991年に、本作品であるアルバム”Love’s Secret Demain (これを略するとLSDになる)”をリリースしますが、このアルバムでは、ポスト・インダストリアルの一つの方向性として、アシッド・ハウスを取り入れた、Coilの新しい音楽性を持った作品になっています。アップテンポの多いアルバムですが、Sleezyは、「これはダンス・ミュージックでは無い。もっとポジティブなものだ」とコメントしています。例えば、”Windowpane”はタイとビルマの間にある黄金の三角地帯についての曲であり、Balance曰く「そこで取れた麻薬をCIAが金に変えていることを歌っている」。Sleezyは、シングルカットされた”Windowpane”と”The Snow”のミュージック・ビデオを作っています。その後、1992年には、アルバム”Stolen & Contaminated Songs”がリリースされていますが、これは”LSD”のアウトテイクとデモトラックから作られています。今回のCoilのバイオグラフィーはここまでとします。なお、Balanceは、2004年11月13日に自宅で逝去しています。また、Sleezyも2010年11月24日にタイのバンコクで亡くなっています。
それで、本作品”LSD”の内容ですが、先ずはメンバーを紹介しておきます。BalanceとSleezyは勿論のこと、他にOtto AveryとStephan I. Throwerが参加しており、更に、Juan Ramirez (Spanish G), 元Strawberry SwitchbradeのRose McDowall (Back-Vo), Michael McEvoy (Kbd), Cyrung (Didgeridoo), 元Soft CellのMarc Almond (Vo), Audrey Riley (Cello) Jane Fenton (Cello), Julia Girdwood (Oboe), Jos Pook (Viola), Sue Dench (Viola), Andrew Davies (Vln), Clive Dobbins (Vln), Gini Ball (Vln), Sally Herbert (Vln), Billy McGee (Orchestral Arrangement), 元This HeatのCharles Hayward (Drs)が1〜2曲ずつゲスト参加しています。それで、全体の印象を言うと、確かに変な音やエフェクト処理等がそこかしこに施されているのですが、基本的にはハウスっぽい(?)ビートのあるダンサブルな曲は多い印象はあります。各曲を紹介すると、A1 “Disco Hospital”は、その曲名だけでもカッコいいですが、勿論、音の方もぐちゃぐちゃの音声の変態的混合物で始まり、鞭の音に合わせたビートでカッコいいです。A2 “Teenage Lightning”は重めのビートとガムランのようなパーカッションにエフェクト掛けまくりのロボット・ヴォーカルから成る曲で、間奏にゲストのRamirezによるSpanish Guitarが入ってきます。先述のA3 “Windowpane”も重めのダンサブルなビートの曲なんですが、歌詞が辛辣ですね。ここら辺の音がアシッド・ハウスからの影響なんでしようか? A4 “The Snow”もリミックス・ヴァージョンがシングルになっていますが、いきなりTGの時のGenesisのような声の逆回転で始まり、軽めのビートに4打ちのキックが入ってきて、かなり上手いMcEvoyのキーボード・プレイが聴取出来ます。A5 “Dark River”はスローな曲で、ガムランのような打楽器とシーケンスが絡む異色かつ不穏な曲です。それでB面に移ります。B1 “Further Back And Faster”は導入は早いビートなんですが、その後はやはりダンス・ミュージックのようなビートになり、そのバックにCyrungによるDidgeridoo(打楽器?)が並走し、押し殺したようなヴォーカルが囁き始める、アルバム中最も長い曲です。B2 “Titan Arch”は淡々としたリズムに粘っこいMarc Almondのヴォーカルが被る曲で、バックにはかなりノイズ要素が強いです。B3 “Chaostrophy”は短波ラジオのコラージュで始まり、徐々にオーケストラの音が変調されながらも混じってくるビートレスな曲です。オーボエ独奏が何故か物悲しい。そして、タイトル曲B4 “Love's Secret Domain”ですが、歌詞も暗喩的で、リズムはあるものの、一種、病的な雰囲気に溢れています。
このような内容となっていますが、Coilの歴史を振り返るには、このアルバムも重要なのですが、その前までの作品も聴かなきゃと思いました。ライナーノーツをNurse With WoundのSteven StapletonとD.H.なる人物が書いていますので、参考になるかもしれませんね。Coilに関しては、初期の音源を聴いてから、判断しようと思いますが、本作品はクラブ・ミュージックでも通用すると思いますので、そこら辺を掘っているDJやリスナーには受け入れ易いのではないでしょうか❗️
A1 “Disco Hospital” (2:17)
A2 “Teenage Lightning” (1:48)
A3 “Windowpane” (6:11)
A4 “The Snow” (6:41)
A5 “Dark River” (6:27)
B1 “Further Back And Faster” (7:54)
B2 “Titan Arch” (5:02)
B3 “Chaostrophy” (5:37)
B4 “Love's Secret Domain” (4:52)
https://youtu.be/UJMQRfT3jRo?si=pMbWLI-jK91vs8eu
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_ngpLNSnVZTAfWA6tybq5VQ2NFWAU3L_ng
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