ガウディとサグラダファミリア展  #2

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ガウディが残した実験模型は無数のワイヤーと錘を天井から吊り下げたもので、
「パラボラ・アーチ」と呼ばれる。

パラボラとは、放物線のことで、
力学上、「釣り合いの取れたアーチ」と呼ばれた。
しかし施工は難しく、ほとんど使用されてこなかった。

「パラボラ・アーチ」を実現するために、
ガウディが取り組んだのは、「逆さ吊り実験」だ。
上部に両端を留めた何十本ものひもそれぞれに、
屋根や天井に相当する錘をぶら下げる。
錘に応じて、ひもはU字型に放物線を描く。

ひっくり返すと一本一本が教会の骨格を示す模型になる。
ひもはすべてが有機的に絡み合い、
一か所を変えれば他の部分も変わってしまう。
ガウディは理想の放物線出来上がるまで、
ひもや錘の位置の調整を繰り返し、10年も実験を続けたという。

ワイヤーが描く自然な曲線をそのまま上下反転させると、
サグラダ・ファミリアの形になる。
会場では、1/50サイズで復元された「逆さ吊り実験」の模型を見ることが出来る。

緩やかな弧を描く柱、
壁面と一体化した緻密な彫刻が見る人を魅了し、
しかも巨大建築の割に柱が極端に少なく空間が広いということにも目を奪われる。
計算式で割り出される形状より、
自然に生み出される形状にこそ美と安定性が内包される。
それがガウディの思想だった。

「神は急いでおられない。 焦らなくていい」

完成するにはまだ100年以上かかるのだろうと誰もが思っていた。
ところが、2013年になって、このサグラダ・ファミリアの工期が大幅短縮されることが明らかになった。
すでに着工から132年という歳月が経過していたが、
ガウディ没後100周年にあたる2026年に完成するというのだ・・・・

永遠に未完のままかのように思われた大聖堂の建築は、
急ピッチで進むことになりそうだ。

東京国立近代美術館「ガウディとサグラダファミリア展」 続き

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