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Die Atlantikschwimmer “Tape”
このバンドは、全く前情報も無く、購入しました。まぁ、多分、NDWの末端バンドだろうと想像してはいましたが。
それで、少し調べてみました。バンド名は、Die Atlantikschwimmer (ディー・アトランティクシュヴィムマー;「大西洋の水泳選手」の意)で、独の観光地(世界最大のブリキの兵隊博物館があるプラッセンブルク城で有名らしい)のひとつでもあるバイエルン州Kulmbach (クルムバッハ)で結成されたトリオで、元々は、1982年に結成されていたE601と言うバンドが前身になっています。その時には、Holger Schillingもメンバーで4人組だったとのこと。そして、本作品は元々、タイトル無しのカセット作品と言うかデモテープとしてKassetto Fixから1983年にリリースされていたものを、Static Ageが2020年に37年振りに”Tape”と言うタイトルを付けてレコード再発したと言う経緯があります。1984年には、ZickZackよりセルフ・タイトルのアルバムも出していますが、その時に彼等は過小評価されてしまい、それ以降は、解散したようです。それで、このDie Atlantikschwimmerのメンバーは、Horst Toe (Vo, G, Casio, Perc, Accordion; ホルシュト・トゥエ), Joe Liebschwager (B; ジョー・リーブシユヴァガー), Peter Schultheiß (Drs, Perc; ペーテル・シュルタイス)の3人から成り、その内、ToeとLiebschwagerは、先述のKassette Fixのレーベル運営にも関わっており、またBand-Itと言うカセット・マガジンも作っており、この地域の1980年代初頭のパンク/NDW・シーン(極一部の関係にしか知られていなかったようです)を特集して、紹介しています。バンド名の由来は、同郷の映画監督Herbert Achternbusch (ヘルベルト・アハテルンブッシュ)のアバンギャルド映画にインスパイアされたもので、独らしいメランコリックなメロディとダンサブルなニューウェーブなビートが特徴で、Bandcampの解説によると、The Sound, Wire, The Chameleonsのファンにはお勧めだそうです。調べましたが、余りに細かい独逸語のバイオグラフィーもインサートに入っていたのですが、和訳出来ませんでした(すまん!)。それで、本作品のオリジナルのデモテープ/カセット作品には、「カセットを購入しておきながら、このカセット作品を購入しないのは、あんたの責任だ!」との一文が添えられていました。と言う訳で、Die Atlantikschwimmerの「実質的」ファースト・アルバムである本作品の各曲をご紹介していきましょう。
★A1 “Immerzu” (2:18)は、ダブっぽいディレイを掛けたDrsにゴリゴリでヘビーなBがファンキーに乗り、そこに若々しいVoが入る曲で、割とミニマルな展開です。
★A2 “Abendvorstellung” (2:35)は、ちょっとロマンチックなGが特徴的な曲で、全体としては、割とバネのある演奏を繰り広げています。リズム隊もGのカッティングも鋭くてカッコ良いです。
★A3 “Keine Antwort Auf Brennende Fragen” (2:16)は、浮遊感のあるBラインにディレイをかけたVoが乗って始まる曲で、その内、Drsも入ってきて良いアクセントになりますが、Voも次第に叫び出します。
★A4 “In Feuer Und Wasser Haben Sie Den Tod Gefunden” (2:53)は、危機感のあるGのフレーズで始まり、ノリの良いリズム隊、特にBとの絡みが面白い曲です。やや投げやり気味なVoも良くマッチしています。
★B1 “Ich Zeige Dir” (3:16)は、ヘビーなキックにアコーディオンとBと言う編成での演奏に、哀愁のVoが乗る曲です。結構、3人ともテクがあるで、安心して聴いていられます。
★B2 “Warten” (2:38)は、雪崩れ込むDrsロールからのアップテンポの曲で、結構、英国のポスト・パンクを意識しているようで、投げやりなVoとかGのリフとかにそれを感じます。Casioを使っているのは良いアイデアです。
★B3 “Zimmer 43” (5:13)は、奥行きのあるDrsと独特のメロディを奏でるGに、ゴリゴリで安定感のあるBで始まり、割とインスト曲的な複雑な展開を見せる曲で、途中から押し殺したようなVoが加わってきます。長めの曲ですが、3人の演奏力が高く、緊張感も途切れません。
とにかく、3人の演奏スキルが高く、聴いていても安心したられますし、また各楽器の録音仕方や音色もカチッと決まっていて、とてもデモテープのレベルではないです。立派にアルバムとして良いのではないでしようか? ただ、Wireとかとは違うようにも感じましたが、明らかに英国ポスト・パンクを意識した曲作りや録音をしていると感じました。ただ、惜しいのは、彼等が独の地方都市で納まっていたことでしょうか。もっとベルリンとかデュッセルドルフとかハノーファーとかに進出していれば、もっと高い評価を得たのではないかと思うと、ちょっと残念です。またZickZackのアルバムも過小評価されたのも痛かったですね。しかしながら、ポスト・パンクのファンの方にはきっと良さが分かると思いますよ!
B1 “Ich Zeige Dir” (3:16)
https://youtu.be/9CZGL3zru9E?si=HnUQ4utrQtXchEWi
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=PL81792019E38364F9&si=GUWGslANtkwpjlNm
[BandcampのURLも貼っておきます]
https://staticagemusik.bandcamp.com/album/atlantikschwimmer-kassetto-fix-lp
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