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Yazoo “Upstairs At Eric’s”
初期Depeche Modeの頭脳だったVince Clarkeが自身の音楽を思いっ切りやる為に結成したのが、このYazoo (北米ではYazと表記)です。元々、Vince Crackers とAlison Moyetの2人は、Essex州Basildonの学生時代の土曜学校の生徒でしたが、面識はなかったみたいです。Yazooのメンバーは、先述のClarke (Synth)とMoyet (Vo)と言う最小限のデュオです。パンクバンドScreamin' Ab Dabsが解散してしまったMoyetが、雑誌Melody Maker誌に出していたメン募で、Clarkeが反応し、結局、1981年後半に結成されています。結成して18ヶ月の内に、彼等は、”Upstairs at Eric's”と”You and Me Both”と言う2枚のアルバムを出しています。それらはClarkeのシンセのメロとMoyetのブルージーでソウルフルなヴォーカルが上手くブランドされた音楽でした。それで、彼等は商業的にも成功したのですが、1983年5月に分裂してしまいます。その後、ClarkeはErasureを、Moyetはソロで活動していますが、2008年に、実に25年振りにYazooとして再結成し、英国、欧州、北米ツアーを成功させています。それで、もう少し詳しく書きますと、結成当初、MoyetはClarkeから返事が来たことに驚き、またシンセでブルースっぽい曲なんて無理と言っていましたが、一方、Clarkeの方は、パンクバンド時代のMoyetのライブを観ており、また、彼自身、現代的なR&BバンドDr Feelgoodのファンでもあったので、上手くいくと確信があったようです。それで、Clarkeは”Only You”と言う曲を書き、MuteのDaniel Millerにそのデモテープを送りましたが、余り良い反応は無かったようです。それでも、Millerは彼等にシングルを出すかアルバムも一緒に出すか?と尋ねてたそうです。また、Yazooと言う名前も、昔からあるブルースのYazoo Recordsとダブる為、使用許可の為に、高額な使用料を払ったらしいです。それと、北米には既にYazooなるバンドもいた為、北米ではYazと表記していました。そして、MuteのBlackwing Studiosは、当時、Depeche ModeやFad Gadgetが主に使っていたので、Yazooは早朝しか録音に使えず、苦労したそうです。それで、1982年3月に、シングル”Only You”がリリースされ、英国シングルチャートで2位になります。そして、早朝の録音も漸く完成して、本作品でもあるファースト・アルバム” Upstairs at Eric's”が1982年8月に英国でリリースされ、英国アルバムチャートで2位まで行きます。米国でもそこそこ人気が出て、ビルボード200アルバムチャートで、92位まで行きます。この続きは次回にまた今度書きますね。
それで、Yazooのファースト・アルバムである本作品の内容について紹介していきます。先ず、ジャケ写がイカしてますよね。これだけで聴きたくなります。Moyetのヴォーカルは力強い歌い方で、彼女がヴォーカリストとして才能があるのは分かりますし、また、聴き込むと彼女の歌い方にはブルースやソウルの要素が多分に含まれていることが感じ取れます。その最たる曲が、A5 “Midnight”で、実にソウルフルに歌い上げています。また、B4 “Winter Kills”ではしっとりとしたバラードをMoyetのピアノで弾き語りしており、アルバム中、異色な曲になっています。一方、Depeche Modeの初期の曲を殆ど作っていたClarkeのシンセには、何処となくDepeche Modeっぽいリフと言うかシーケンスを感じますね。その中でも、A4 “I Before E Except After C”では、Ericの母親の声やClarkeの肉声(?)等で始まる実験的な曲も含まれていますが、こう言う曲は流石にDepeche Modeではやれなかったんでしよう。また、A6 “In My Room”でも、D. Davisの声を使ったりしています。先述のように、MuteのMillerは最初、余り乗り気では無かったこと、早朝にしか録音が出来なかったことなどから、プロデュースは、シングルカットされた数曲のみMillerがプロデュースとシンセの演奏で絡んでいますが、プロデュースの殆どはYazooの2人とBkackwing StudiosのオーナーEric C. Radcliffeでやっていますね。また、B3 “Situation”は、François Kevorkianによるリミックス・ヴァージョンが収録されており、かなりフロア寄りのミックスになっています。なお、個人的に好きな曲は、疾走感のあるB2 “Goodbye Seventies”ですね。このアルバムは本当にエレクトロ・ポップとしては良く出来ていますので、このアルバムを聴いた時には、きっと好きな曲は少なくとも1曲は見つかるでしょう!!
A1 “Don't Go” (3:05)
A2 “Too Pieces” (3:12)
A3 “Bad Connection” (3:16)
A4 “I Before E Except After C” (4:39); Eric's Mum (Choir)
A5 “Midnight” (4:18)
A6 “In My Room” (3:50); D. Davis (Choir)
B1 “Only You” (3:10)
B2 “Goodbye Seventies” (2:34)
B3 “Situation” (5:45); Remixed by François Kevorkian
B4 “Winter Kills” (4:01)
B5 “Bring Your Love Down (Didn't I)” (4:41)
https://youtu.be/I2KddN4qQNY?si=gnKkPnxEUekpbj0Y
B1 “Only You” (3:10)
https://youtu.be/6HJ1wcgdq9I?si=dCDeY24fO9HTQCVh
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=PLNPGM2D7aODdrx8u4UzfTCngCPk2IanU4&si=GqrjHTXJZkq60qOt
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