輝水鉛鉱 (molybdenite) 仏性寺鉱山 #0397

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仏性寺鉱山ならではの母岩と石英脈にサンドイッチのように挟まれた輝水鉛鉱の標本です。十数条あったという仏性寺の鉱脈はいずれも幅が2~10㎝と狭く、輝水鉛鉱は石英脈の両側あるいは石英と母岩である粘板岩の境に0.3~1㎝の幅をもって集まっていました。輝水鉛鉱はモリブデンの硫化鉱物で、モリブデンは酸化モリブデン(VI)やフェロモリブデンとして各種合金鋼の添加元素に利用されるほか、硫化モリブデン(IV)は摩擦係数が低いことから工業用の潤滑油やエンジンオイルの添加剤に用いられます。(1~4枚目はは背景をソフトウエア処理しています。)

仏性寺鉱山は大江山の東南麓に位置し、1933年(昭和8年)に輝水鉛鉱の露頭が発見されたことに始まり、翌1934年(昭和9年)に手掘りでの操業を開始され、1936年(昭和11年)から本格的な採掘が行われました。1942年(昭和17年)には浮遊選鉱場が設置され、月産は5トンに及んだといいます。輝水鉛鉱は特殊鋼の原料となるモリブデンの鉱石で、軍需物資として戦時中優先的に生産されました。1945年(昭和20年)に終戦と同時に閉山となっています。

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