水亜鉛銅鉱 (aurichalcite) 灰山 #0357

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水亜鉛銅鉱(すいあえんどうこう)は銅や亜鉛の鉱床の酸化帯に二次鉱物としてしばしば産する炭酸塩鉱物です。本標本では小さな葉片状の結晶が集合し母岩の隙間を覆っています。(1枚目は背景をソフトウエア処理しています。)

現在の滋賀県湖南市にあった石部宿は東海道五十三次の51番目の宿場で京都を出て1日の行程にあり、「京立ち石部泊り」といわれました。石部宿の天狗谷西端一帯では石灰岩を産し、江戸時代の1793年(寛政5年)以降、石灰岩を焼いて肥料や白壁などの建築用材料に用いる石灰を製造していたことから「灰山(はいやま)」と呼ばれました。灰山では明治以降も1957年(昭和32年)頃まで石灰製造が続けられました。また、灰山の背後にはかつて石部金山という奈良時代の和銅~天平にかけて銅鉱石を採堀し、和同開珎や大仏鋳造の原料に使われていたという鉱山があり、灰山は銅・亜鉛の2次鉱物を多産したことで鉱物愛好家の間で有名です。

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