Michael Schenker Group:M.S.G.「神(帰ってきたフライング・アロウ)」

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UFOの世界的成功に貢献するも
メンバーとのコミュニケーションの問題や
アルコールの問題等々を抱え
精神的にも追い詰められたマイケルは
たびたび失踪を繰り返したのち
正式にUFOを脱退し
自分のソロ・プロジェクトとして
このマイケル・シェンカー・グループを立ち上げます。
そしてM.S.Gとして最初に発表した1stアルバムがこのアルバムです。

まぁ天才的ギタリストという人種は
かなり独創的な方が多くて
なかなか他のリーダーがまとめているバンドには
馴染みづらいというのは定番ですが
マイケルはそんな天才ギタリストの中でも
数々の逸話から「相当に」変わった方だと想像されます。

正直なところ…テクニカル的には
マイケルよりすごいテクニックで
弾きまくるギタリストはたくさん存在しますが
やはりその完成とか音楽性とか
トータルで考えるとやはりマイケルは「神」なのです!
その神っぷりが存分に出たアルバムだと思います。

UFO時代にはいい意味で
サウンド的にも緩い部分が多かった印象ですが
M.S.Gになってからは
特にサウンド的にはとことん突き詰めることもできるようになったからか
音のテンションがUFO時代とは全く異なります。
なんでマイケルの音ってこんなに腰が合って
粘っこくて聴きごたえあるのでしょうねぇ

私の好きなエイドリアン・ヴァンデンバーグのデビュー時が
「めっちゃマイケルにお供プレイも似てる!」と言われていましたが
やはりこの粘り腰サウンドはマイケルならではですね
(どっちがいいとかいう問題ではなくて
方向性は似ていてもやはり全然違う!)

オープニングのこれぞMSG!という名曲
「Armed and Ready」でいきなりぶっ飛ばされます!
やはりこの時代のHRといえばこういう曲ですよねぇ
ありきたりのリフなのですが
何といっても音がいい!!!!
ヴォーカルラインも文句ナシにカッコいいですよねぇ
もちろんマイケルのソロもまさに水を得た魚です!

A-2、A-3と少しUFOっぽい感じも思い出させる曲も続き
それでもマイケルのプレイは
確実に進化している様子がよくわかります

A-4「Bijou Pleasurette」はインストゥルメンタルの小曲ですが
こういう曲をさりげなく挟んであるのが
また良いですよねぇ…
思っている以上にクラシカルな部分もあるのですよねぇ
個人的に非常に好きな曲です。

A面は次の「Feels Like a Good Thing」で
再び軽快なノリのハードロックに戻っていったん幕を閉じます。

B面オープニングは
「M.S.G」といえばやはりこれ!!!!
と個人的主観で思っていてすっごく大好きな
「Into the Arena」!!!
くっそーいつ聴いても本当にカッコいい!!!
インスト曲ですがギターの主旋律もリフもソロも
全てが最高です!で、何といっても展開がドラマチック!!!
ええ。もちろん、当時は必死になってコピーしましたよ
でも表面的に音をなぞることはできても
このマイケルの醸し出すトーンは絶対に真似できないのです!
なんでこんないい音出すんだろうなぁ…
意外と一部の機材には無頓着なことで有名なマイケルですが
最終的にアウトプットされるトーンには相当こだわりがあるようで
その耳の良さも合わせてやはり常人では考えられない感性を持ってるのだそうです
(特にDEAN GUITARSと一緒にピックアップのセッティングを詰めた時には
DEAN GUITARSのスタッフは相当苦労したようです)

B-2以降もマイケルらしいハードロックの王道的な曲が続きます。
B-2「Looking Out from Nowhere」は文句ナシにカッコ良く
B-3「Tales of Mystery」は叙情的にしっとり聴かせる曲です

でもこのアルバムはA-1、B-1が何だか突き抜けすぎていて
他の曲が少し地味に感じてしまうのですよねぇ
いや、1曲1曲聴いていくと非常に良いのですが
最終的に印象に残るのがずば抜けてその2曲だという…(苦笑)

でもなんにしてもマイケルが再スタートした
記念すべきアルバムであることに間違いはありません。
なんだかんだよく引っ張り出して今でも聴いています…

1980年8月リリース

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