私の時計博物誌    納 よしを 著

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手元に 昭和54(1979)年,明啓社刊 
「私の時計博物誌」と題された冊子があります。

71Fの下村洋一さんから紹介された、古時計にまつわる随筆集です。
古書店で求めたのですが、
著者の 納(おさめ)よしを氏は、時計技術者で、
前段 石黒敬七旦那の甥にあたる方でした。
今更ながら、えにしとは異なものとの思いを深めこの章を記しています。

26 木製時計との邂逅 の章に、
Sデパート(多分 池袋・西武百)で、「石黒コレクション展」開催の記述がある

時計係を拝命した著者は、毎朝出向いて
ガラス棒が回転し、水が出ている如く見える時計や、
少女の眼が左右に動く時計など等の
ゼンマイを巻き調整し 「動態展示」を維持していた。

石黒だんなが、特に珍重していたのは
「ペルシャ時計」と呼んでいた 木製の分銅時計だった。

さて、その石黒だんなが没して暫らくたったある一日、
同好の友人に誘われて、
新宿のJAZZ喫茶「木馬」や「DIG」を回遊・・・・

そして驚いた、
なんと、叔父が特に珍重していた木製の分銅時計と再会したのだった。
間違いなく、あの「ペルシャ時計」だ・・・

ながい間、この世界に住んでいると、
時々見かける情景ではある。

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