MUUSEO SQUARE
1980年代、主にアメリカで生まれた思想である「Political Correctness(通称PC)」のカタカナ表記。特定の言葉や仕草に差別的な意味や誤解が含まれないよう、適切な用語や言動を使用することで中立的表現を使用しようとする概念のこと。日本におけるポリティカル・コレクトネスの代表例は職業の言い換えで、看護婦や助産婦が看護師や助産師に、スチュワーデスが客室乗務員に名称を変更することでジェンダーギャップを軽減させたことが挙げられる。
理想の滑稽さを求めてテイク40。高田冬彦のストレートな性的表現に潜む不完全性への愛
一度見たら忘れないある意味ショッキングな映像体験。宗教、神話、おとぎ話、ジェンダー、トラウマ、性、BL(ボーイズ・ラブ)など、現代社会が抱えるさまざまなテーマを表現する気鋭の若手アーティスト高田冬彦さん。彼の作品の特徴はストレートな性的表現に潜む鋭い批評性といえるだろう。普遍的なテーマを独自に分析し大胆に表現。どの作品も緻密に構成されながらもウィットに富んでいてユーモアが効いている。そこには間違いなく揺るぎない1本の軸が通っている。インタビュアーはタグチ・アートコレクションの田口美和さん。高田さんの根本に潜む軸に迫っていく。
ブリトニー・スピアーズ
ルッキズム
ポリティカル・コレクトネス
デヴィッド・リンチ
シュルレアリスム
ポール・マッカーシー
マイク・ケリー
マッチョイズム
デレク・ジャーマン
牽強付会
フェンス、あるいは過去と未来の境界線。リム・ソクチャンリナは隆盛著しいカンボジア経済への警鐘を鳴らす
自然の中に唐突に置かれた1枚のフェンスを捉えた写真。作者はカンボジア生まれプノンペン育ちのアーティスト、リム・ソクチャンリナ(Lim Sokchanlina)さん。シンガポール・ビエンナーレをはじめ様々な展覧会からオファーを受ける彼は現代アートシーンにおいて今最も注目を浴びる若手アーティストの1人と言えるだろう。彼の作品の特徴を一言で表すと“シンプルで力強いメッセージ性”だ。カンボジアに焦点を当て、経済問題や環境問題に“アート”という形で切り込んでいく。彼の代表作のひとつである「Wrapped Future」シリーズや、最新の作品「Letter to the Sea」は一体何を提示しているのだろう。インタビュアーはアート・コレクターの宮津大輔さん。リム・ソクチャンリナさんが持つ思想世界に迫っていきたい。
現代アートコレクション400点、すべてが宝物。宮津大輔さんのコレクターとしての矜持
世の中には、さまざまなモノのコレクターがいる。しかし美術品、特に現代アートをコレクションするとなると、どことなく敷居の高さを感じてしまう人も多いようだ。それはひとえに「現代アートってよくわからない」からではないだろうか。そもそも現代アートとは何だろうか。絵画や彫刻ならただの「アート」でよいのに、そこに敢えて「現代」と付くのは何故か。そこで当連載企画では『What Is 現代アート!?』と題して、現代アートを取り巻くプレイヤーたちにお話を伺い、現代アートとは何か、それをコレクションするというのはどういうことか、について解き明かしていきたい。(モデレーター 深野一朗)
父から娘へ。タグチアートコレクションのこれまでとこれから
タグチアートコレクションの名で知られる、ミスミグループ創業者の田口弘さんの現代アート・コレクション。現在、蒐集や管理は長女の田口美和さんに引き継がれ、さらなる広がりをみせている。2018年11月時点で、作品数は約470点。これほどのビッグ・コレクターならば、「いつかはプライベート・ミュージアムを」という思いがあってもおかしくない。しかし弘さんも、美和さんも、特定の箱(スペース)をもつことは考えていないという。かといって、コレクションを自分たちだけの楽しみにすることもない。コレクションの質の高さから、美術館などから出品依頼の声がかかることも多く、むしろ積極的に公開をしている。過去には、タグチコレクションの名を冠した展覧会もたびたび開催され、来年も北海道内の美術館を巡回する予定だ。父から娘に引き継がれるコレクション。インタビューで、弘さんは、しばしば実業家としての顔をみせながらアート購入時のアドバイスや、現代アートが持つ力を語った。美和さんからは、ギャラリー巡りを始めたころの意外なエピソードが明かされた。
羊文学・塩塚モエカと観る近代日本の前衛写真(後編)
東京都写真美術館では、8月21日(日)まで「アヴァンガルド勃興 近代日本の前衛写真」が開催されています。今回はオルタナティブ・ロックバンド「羊文学」のボーカル・ギターの塩塚モエカさんをお招きし、東京都写真美術館学芸員の藤村里美さんと展示を観ながら言葉を交わしました。日本の前衛写真は関西から広がったと言っても過言ではないのですが、その中心はアマチュア写真家が活動していたグループでした。アマチュアと言っても、単なる趣味を超えて海外の情報をいち早く取り入れて、新しく自由な表現を追求していた写真家たちの熱量が感じられたのではないでしょうか。後編では名古屋、福岡、東京の前衛写真を見て回ります。※こちらはTOPMuseum Podcast「#02ゲスト・トーク|塩塚モエカ(ミュージシャン)×藤村里美(学芸員)【アヴァンガルド勃興】(後編)」のトークを編集した記事です。