Matrialschlacht “Kinderfreundlich”

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君は、Materialschlacht (マテリアルシュラハト; 「物量戦」の意)を知っているだろうか?NDWの最初期にDAFやDer Planなどのバンドの溜まり場だったデュッセルドルフGevelsberg地区のパブ Grün In (グリュン・イン)は、いわゆるNDWの代名詞的バンドDAFやDer Planを輩出しましたが、その一方で、シングルを1枚だけ出した裏NDWとも呼ぶべきバンドがMaterialschlachtでした。このバンドは、1978年に、FehlfarbenのUwe Bauer (Drs; ウーヴェ・バウアー), DAFやMau Mauに在籍したWolfgang Spelmanns (Tape; ヴォルフガング・シュペルマンズ)、そしてMona LisaことSylvia James (Vo;シルヴィア・ジェイムス)をコアメンバーとして結成されていますが、他のメンバーは流動的で、DAFのMichael Kemner (B; ミカエル・ケムナー), Justus Falkenroth (G; ユストゥス・ファルケンロス), DAFやDer PlanのKurt Dahlke (Synth; クルト・ダールケ), FehlfarbenやS.Y.P.H.のThomas Schwebel (Kbd; トーマス・シュヴェベル), Stoya MuseumのStoya (G; シュトーヤ)等がその都度出入りしています。そのライブ・サウンドは、DAFのファースト・アルバムのようなカオティックなライブを精力的にこなしていたとのこと。また、彼等の音楽は、アシッド・パンクとか「ノン・システム・ミュージック」とも呼ばれていたらしいです。そんな彼等は、1979年には、唯一のシングル”Kinderfreundlich (キンダーフロインドリッヒ; 「子供に優しい」の意)”をリリースするも、ライブ活動に重きを起いて活動しており、1980年半ば頃に解散しています。今回、日本のSuezan Studioが、2016年に、未発表曲やライブ音源もコンパイルした7インチ・シングル+CDと言う形態で再発しており、今回紹介するのは、こちらの豪華再発盤の方です。
 と言う訳で、シングルとCDへの参加者は、Mona Lisa(Vo [A, B, CD1, CD2], Sax [CD3-CD6]),
Justus Falkenroth (G [A, B, CD1, CD2]), Stoya(G [CD7, CD8]), Kurt Dahlke (Kbd [CD3-CD6]), Thomas Schwebel (Organ [CD7, CD8]), Wolfgang Spelmanns (Tape [A, B, CD1, CD2]), Michael Kemner (B [A, B, CD1, CD2]), Uwe Bauer (Drs)となっております。それではシングルとCDの各曲についてご紹介したいと思います。

◼️7" Vinyl
★A: “Kinderfreundlich”は、タイトなDrsに、うねるようなBと鋭いカッティングのG、更にMona Lisaの吐き捨てるようなVoから成るカッコ良い曲で、その後に、別のライブ演奏が出てきて、そこではフリーキーなGと出鱈目なVoが勢いのあるリズム隊に乗って演奏されており、締めには笑い袋の音も。これはSpelmannsのテープ・コラージュなのかな?
★B: “BKA”は、最初にDrs, B, Gによるフリーな即興から始まり、一旦終わったと思いきや、やがてスローテンポのDrsとGの単音リフに導かれて、Mona LisaのVoが響き渡ります。ただ、一番最初と最後にテープ操作があるようです。

◼️CD
◉Kinderfreundlich, 7" Single (1979) これは7”シングルと同じ内容なので、コメントは省略します。因みに、ライブはGrün Inらしいです
 ★CD1 “Kinderfreundlich”
 ★CD2 “BKA”
◉Live 1979は、Uwe Bauer (Drs), Kurt Dahlke (Kbd), Mona Lisa (Sax)でのライブ録音からセレクトされています。(未発表音源)
 ★CD3 “Materialschlacht 1979-1”は、テンポはキープしていますが、比較的手数の多いDrsに、反復するG(?)と変幻自在なDahlkeのシンセをバックに、Mona LisaのパンキッシュなVoが切り込んでくる曲ですが、とにかくDahlkeのシンセとオルガンの破壊力が凄まじい!
 ★CD4 “Materialschlacht 1979-2”では、Gの特徴的なリフとDrsのビートを中心に、オルガンらしきKbdとグチャグチャのSE的シンセが絡んでいき、更に混迷を極める曲で、後半には男性VoやMona LisaのVoも僅かに聴取できます。ところで、Gは誰だろう?またBも聴こえますが、Kemnerなのかな? 
 ★CD5 “Materialschlacht 1979-3”は、機関車の爆走を思わせる音塊の中に、かろうじてG?シンセ?のリフが聴こえていますが、突進するリズム隊の中でDahlkeのシンセの降下音とGのリフが反復し、段々とテンポも早くなり、演奏も捻れていきます。Mona LisaのSaxも欲しいところです。
 ★CD6 “Materialschlacht 1979-4”は、スカスカの曲で、単音リフを刻むGとシンプルなDrsの間に、Dahlkeのオルガン?シンセ?が持続的に這いずり回っています。リフは執拗に反復されますが、途中で爆竹のような音が入ったりして、只事では無い感が強いです。やがて正体不明の低音が爆発したりしますが、Mona Lisaは、SaxよりもVoを取っていることが多いような気がしますね。なんかBもいるのでは?とするとKemnerなのかな?
◉Geb.swans (1983)は、Uwe Bauer (Drs)とThomas Schwebel (Organ), Stoya (G)でのデモ音源からのセレクトとなっています(未発表音源)
 ★CD7 “Geb.swans No. 1”は、Schwebel のオルガン・ドローンで始まり、DrsとGが入ってくると、オルガンもコードを刻み始めるスローテンポな曲で、執拗に反復されます。Gもそれに合わせているようで、段々と馴染んできます。
 ★CD8 “Geb.swans No. 2”は、シンプルな民族音楽もどきのDrsに、Gの細かい刻みが入ってきますが、やがてオルガンも段々と圧迫感を増してきます。Bと思われたのはシーケンサーですね。それにオルガンのフレーズも合わせていきますが、いつの間にか終わってしまいます。

 それにしても、流石、Suezan Studioと言う、メチャメチャ濃い内容ですね。本来なら、7インチシングルの再発さえ困難なのに、未発表音源まで発掘して、纏めて、CDにまでしてしまうのは、リスナーとしては涙ちょちょ切れますよ。しかも、恐らくは、ライブ音源はカセットでの録音であろうし、デモ音源もそう大した機材では録音されていないだろうし。最早、小柳カヲルさんの熱意だけで再発が出来たブツだと思います。小柳さん、いつも有難うございます!ただ、ちょっとだけ残念なのは、1979年のライブ音源(CD3-CD6)のメンツが聴いた感じとクレジットに何か差異あるようで、またMona Lisa嬢のSaxが今ひとつハッキリと聴けなかった点ですね。でも、Materialschlahtの音源に触れられた私達は幸せです!それからKurt Dahlkeは、あんな風にシンセを破壊的にも弾くことできることを知れたのも嬉しい発見でした!

7" Vinyl
A: “Kinderfreundlich”
https://youtu.be/wgP2gWvGv4w?si=XCU8GI_o_HPpRXPt

7” Vinyl
B: “BKA”
https://youtu.be/GydyKOOg86k?si=F4UA4rjl-TusJw2a

[live 1979 in Der Borse Wuppertal]
https://youtu.be/1tc-11OdTTE?si=g-oSwLqwic_Kb8AQ

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