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Male “Zensur & Zensur”
Maleと聞いて、ハッとするリスナーさんは、Neue Deutsche Welle (NDW: German New Wave)に詳しいか、Die Kruppsのファンの方ではないでしょうか!そうなんです。Male (メイル)は、Die Kruppsを結成する前に、Jürgen EnglerとBernward Malakaがやっていたパンクバンドなんですよ。そして、「独のThe Clash」であり、独逸で最初のパンクバンドです。
それで、ちょっとMaleのバイオグラフィーを書いておきます。Maleの結成は、1976年12月のDüsseldorfで、彼等はまだ高校生でした。初代ドラマーはFritjof Aurinでしたが、やがてClaus Ritterに代わります。それで、1977年3月にはライブ・デビューしており、1978年には、ベルリンの有名なクラブSO36でのパンク・フェスのオープニング・アクトをこなしています。それで翌年1979年には、本アルバムのオリジナルでもあるファースト・アルバム”Zensur & Zensur (ツェンズール・ウント・ツェンズール)”をリリースしています。これは、歌詞が独逸語のパンクとしては結構早い方でした。その後、1980年5月には、シングル”Clever & Smart”をRondoより出しており、また、その頃、Clashの独逸ツアーのサポートも務めています。1980年8月末には、バンド名をVorsprung (フォルスプルンク)と替えて、一度だけ、Belehrung Und Unterhaltungフェスでライブをやりますが、その後1981年初頭に、2つに分裂し、前述のようにEnglerとMalalaはDie Kruppsとして、残りのSchwaabとRitterは、Freunde Der Nacht (フロインデ・デァ・ナハト)として活動していくことになります(因みに、後者は10㌅Mini-LPを出して終わったようです)。また、Maleは1990年から幾度となく再結成をしており、2005年には”Deutschland Im Herbst"と言う新録アルバムも制作していますが、今のところ、発売はされていません。
以上が、Maleの略歴となりますが、本作品の内容として、LP1は、1979年にModell Musikからリリースされた限定ファーストLP”Zensur & Zensur”を丸っと全曲を、LP2のC1とC2は、1979年にRondoからリリースされた7㌅シングル”Clever & Smart”の2曲を、LP2のC3は、1995年にTeenage Rebel Recordsからリリースされたセルフ・コンピCD”Male”から1曲を、
LP2のC4は、1991年にTeenage Rebel Recordsからリリースされた7㌅シングル”Die Toten Hosen Ihre Party”から1曲を、LP2のD5, D6, D9は、1980年にKonnekschenからリリースされたコンピLP”In Die Zukunft”から3曲を、LP2のD7は、1990年にTeenage Rebel Recordsよりリリースされた7㌅コンピ・シングル”Ein Tausendstel Düsseldorf”から1曲をセレクトして収録されています。しかしながら、LP2自体は、1979年6月29日、Markthalle Hamburgでのライブ音源からなりますので、上記の曲以外は未発表音源かもしれません(特にクレジットに記載は無いです)。そして、本作品に参加しているメンバーは、Jürgen Engler (Lead-Vo [A1-A3, A5-B3, B5-D7, D9-D11], G, Back-Vo [A4, B4, D8]), Stefan Schwaab (Lead-Vo [A4, B4, D8], G, Back-Vo [A1-A3, A5-B3, B5-D7, D9-D11]), Bernward Malaka (B), Claus Ritter (Drs)の4人です。それでは、各曲について紹介していきましょう。LP2D面は、ライブ音源で曲もダブっていますので、まとめて紹介しますね。
◼️LP1: Album “Zensur & Zensur”
★A1 “Bilk 80” (2:02)は、ドラムロールから始まるノリの良いパンキッシュな曲で、EnglerのVoが若々しくて微笑ましい。ちょっとだけラテンっぽい?
★A2 “Risikofaktor 1:X” (1:29)は、キレの良いGで始まるUKパンクな曲ですね。掠れ気味のコーラスが初々しいです。
★A3 “Kontrollabschnitt” (2:13)は、コーラスから始まるパンク曲で、ちょっとだけポストパンク臭がします。
★A4 “Zensur & Zensur” (2:35)では、掻きむしるGが何ともパンクな演奏を想像させる良曲です。途中のインスト・パートが何とも良いです。
★A5 “1 Tag Düsseldorf” (4:08)は、Gの単音弾きからBが入ってくるスローテンポな曲ですが、4人のアンサンブルは段々と加速していき、ミニマルな展開で終始します。
★A6 “Haftbefehl” (1:33)は、2流UKパンクの様な曲ですが、歌詞は独逸語です。
★A7 “Vaterland” (2:31)は、ドコドコしたDrsで始まるパンキッシュな曲で、コーラスワークも微笑ましい。
★B1 “Polizei” (1:59)は、Gのリフで始まるノリは良いが、やや重めのBが効いたパンクソングで、結構カッコ良いです。コーラスパートも絶品です。
★B2 “Ampelstadt” (1:31)は、アルペジオGから始まり、ブレイクの後、疾走するパンクソングで、何となく、The Clashの1stに入っていそうな曲です。
★B3 “Grosseinsatz” (2:40)も、The Clashの1stを想起させるような曲調のパンクソングです。荒い音は録音の性かな?
★B4 “Zensur-Dub” (3:13)は、サイレンと共に、レゲエ調&過剰なエコーの掛かったダブな処理が為されたゆったりした曲です。
★B5 “KH 3” (1:21)は、分厚い音の壁から成るパンクソングです。疾走感も抜群です。
★B6 “Erinnerungen” (2:38)は、Bのリフから始まるラテン調のインスト曲で、2本のGの絡みが秀逸です。
★B7 “Planspiel” (2:49)は、爆発するエナジーをビシバシ感じるパンクソングで、EnglerはやっぱりJoe Strummerを意識していたのかな?
◼️LP2: Singles & Live Tracks
★C1 “Clever & Smart” (2:33)は、The Clashの3rdに入ってそうな、ソフイストケートされたパンクソングですが、最後でダブっぽいミックスになります。
★C2 “Casablanca” (3:59)は、指パッチンのリズムに合わせたスパイ映画のサントラみたいな曲で、Voも抑制的に歌っており、エコーも効いて、雰囲気抜群!
★C3 “Sirenen” (1:59)では、サイレンと共に疾走感のあるパンキッシュな演奏が繰り広げられています。カッコ良いです!
★C4 “Shit Family” (0:35)は、掛け声一発、ハードコア並みの速さで、弾丸のように演奏され、あっと言う間に終わります。
★D1 “Bilk 80 (live)” (2:02)
★D2 “Grosseinsatz (live)” (2:40)
★D3 “KH 3 (live)” (2:18)
★D4 “Ampelstadt (live)” (1:48)
★D5 “Vaterland (live)” (2:28)
★D6 “Sirenen (live)” (2:08)
★D7 “Polizei (live)” (2:05)
★D8 “Zensur Zensur (live)” (2:43)
★D9 “Risikofaktor 1:X (live)” (1:40)
★D10 “Kontrollabschnitt (live)” (2:19)
★D11 “1 Tag Düsseldorf (live)” (3:58)
ラジカセでエア録音なのかな?音の分離がそれ程良くはないですが、寧ろ、1979年のライブ音源を今現在、聴く事が出来ると言うこと自体が凄く貴重だと思いますので、そこは差し引かなきゃと思います。ライブは本当に熱いですね!アレンジもスタジオ録音と大幅には変わっていません。結構、どストレートにぶっ飛ばしているところに好感が持てます。
ここまで聴いてきて、Maleは、UKパンクの影響を強く受けたパンクバンドではなかったのかなと思います。特に、The Clashのファースト・アルバムに影響されているようです。シングル曲は、The Clashの”London Calling”に入っていても違和感の無いような曲もあり、Engler達のルーツを垣間見る事が出来て、興味深かったです(実際、The Clashの独ツアーにはサポート・アクトとして帯同しています)。あと、録音に関しては予算の関係もあったとは思いますが、ちょっとプアで、2流UKパンクバンドのシングル或いはアルバムを聴いているような錯覚もあり、そこはちょっと残念でしたね。しかしながら、Englerが、1976年にして既に英国のパンク・ムーブメントに反応しているところに、彼の嗅覚の良さを感じますね。また、このようなパンクバンドから、Malakaと共にDie Kruppsを作り、更には、EBM〜インダストリアル・メタルと言われる新ジャンルまで進化をするとは、まさか、彼等も思ってはいなかったでしょう(しかしながら、思い返すと、Die Kruppsの”Stahlwerksynfonie”のミニマルさは、A5 “1 Tag Düsseldorf”のミニマルさから来ているのではとも思えます)。兎に角、ジャーマン・パンクに興味のある方はマストですね❗️
[live in Düsseldorf 2018]
https://youtu.be/Gm9h_ECqQ_U?si=e0ZMQfJkJhpwnmb0
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_ni4rNZLvaFEB694vPPiBjMsqjJ9c9kh38&si=Pz2fnB5mDDDEnhmB
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