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Ptôse “Ignobles Limaces”
ここまで来て、何かが足らないなぁと思って、よくよく考えたら、仏地下ポップ界の重鎮Ptôse Production、PPPことPtôseを紹介していないことに気が付きました!そこで、先ず、Ptôseのバイオグラフィーを書いておきます。Ptôseは、1979年に仏の地方都市Niort (二オール)で、Lionel JarlanとBenoît Jarlanが中心となり、Pascal ‘ZZe’ Elineau, Ericka Irganon, Li Khui, Patrick Pichonも巻き込んで結成されています。そうして、1980年代には、国際的カセットカルチャーで活動を拡大していき、コンピ・アルバム1984年作”Three Minute Symphony”、Ding Dongから出た1984年作2本組カセット・コンピ作品” Film noir-American Style”や同年にRecommended Recordsから出たコンピ・アルバム”Voices Notes and Noise”、翌年Auxilio De Cientosから出たコンピ・アルバム”Terra Incognita I”等に曲を提供しており、地下音楽界にその名が知られるようになります。彼等は、一貫して仏語でのミニマルで風変わりなエレ・ポップを作り続けており、仏の「The Residents」とも呼ばれています。また、その一方で、1980-1983年には、DIYで作られた多量のカセットのリリースを自身のレーベルPtôse Production Présente (これを略してPPPと言う)からも行なっております。また、1983年作の名曲”La Nuit des reptiles (The Night Of Reptiles)”をボーナス・トラックに加えたEP” Ignobles limaces”がGazul Recordsから、2005年にはトリビュート・アルバム“Ignobles Vermines - A Tribute to Ptôse”なんかもリリースされています。こう言った活動は、1979年から1987年まで続いていましたが、それ以降は一旦活動を停止します。しかしながら、2000年代になると、独Vinyl On Demandが、彼等の古いカセット作品をコンパイルして、LPとして再発するようになり、その為か、2019年と2021年に一過性に活動を再開しています。2019年には、同国グループPalo Altoとのコラボ・アルバム”Phantom Cosmonauts”をPsychofon Recordsからリリースしています。
まあ、Ptôseの活動は大体上記のようであり、本作品”Ignobles Limaces“も、彼等が1984年にリリースした作品の重量盤での再発です。ここでのメンバーは、Lionel (Lead-Vo, Programming, Xylophone, Balafon, Glockenspiel, Woodblocks, Bells, Gongs, Synth, Noises), Pascal [ZZe] (Programming, G, Synth, Mbira, Vo), Benoit (G, Synth, Vo)で、ゲストとしてPatrick Pichon (Sax [A3, B3])とPhilippe Sabourin (Vo [A4])も参加しています。内容としては、A面5曲/B面4曲となっており、ジャケのイラストは米国人のMark Beyerが描いています。それで、最初、各曲を個別に紹介しようと思っていたのですが、結構、過去曲のアレンジ違い等もあるので、ある程度、まとめて紹介します。
★A1 “Boule (Viens Ici) !” (2:36)
★A2 “Eat Your Fish !” (2:52)
★A3 “Waiting For My Soul” (2:51)
★A4 “Ecraser La Vermine !” (2:22)
A1-A4はどれも良く知られた彼等の曲で、今までもヴァージョン違いが多く発表されてきましたが、今回も、機材の進歩に合わせて、キック強めのマシンリズムと図太いベース・シーケンスに、木琴や独特のメロディを奏でるG等や野卑で芝居がかったVoで、1度聴いた人は皆知っている曲だと思い出させてくれます。このしつこい位のアレンジ力は他に例を見ないですね。
★A5 “In Your Bush” (3:24)は、私は知らない曲です。しかし、似非アフリカンな曲調で、Percと木琴なんかを使って、それらしい雰囲気を出していますが、その実、全くズレているのが興味深いです。
★B1 “La Nuit Des Sauriens” (7:10)は、始めはミニマルで重いマシンリズムとベースラインで始まるのですが、いきなりテンポアップして、明瞭なメロディのシンセも加わり、Voやヴォコーダーも入ってきます。
★B2 “Like A Mouse” (3:24)は、イントロの宇宙電子音から簡素なリズムと太いベースラインにシーケンスに、やる気の無いコーラスワークが光る曲です。
★B3 “Sticky Soul !” (3:46)では、Faustのような反復さるリズムで、Sax、木琴とG、それぞれのメロディが、如何にもPtôse的な似非ポップな曲です。Gの微妙にズレたチューニングがThe Residentsっぽいです。
★B4 “The Big Chief” (2:28)でも、呪文のような卑下たVoとヘンテコなアレンジのGが、これまた上手いのか下手なのか良く分からないバックの演奏に乗ってきます。
聴いて思ったのは、確かに「仏のThe Residents」と言うのは、言い得て妙だ言うことです。そんな柔軟な変態性を持ったPtôseは、もっと評価されるべきではないか❗️と確信しました。この不可思議さと正体不明さが彼等の最大の特徴ですね。また、先述のように、彼等は凄いアレンジ力も持っている訳ですが、それを可能にする演奏技術や機材の進歩も凄い訳ですので、その点も評価されるべきですね。そんな彼等の似非ポップ・ミュージックを是非体験してみて下さい‼️
A2 “Eat Your Fish !”
https://youtu.be/d-qNaQ5fQBw?si=qdhpWwAeiJam30GG
[full album]
https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_mhhOTUn7HfdmlDQLC3Im9pJZ4rDZNPPOE&si=g0SxSJHa5EcSLv01
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