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B.E.F. “Music For Strowaways”
B.E.F.と聞いて、ピーンっとくる人は何人位いるのでしょうか? このB.E.F.とはBritish Electric Foundationの略で、初期のHuman Leagueを支えたシンセ奏者Ian Craig MarshとMartyn Wareが、Human League分裂後に作ったバンドであり、レーベルでもあるのが、このB.E.F.であり、ここから2人はHeaven 17の結成に至る訳です。なお、現在は、レーベルとしてはMartyn Ware1人が運営しています。それで、今回、紹介するのは、彼等のファースト・アルバム”Music For Strowaways”です。それで、バイオグラフィーを書いておきますが、この略語は、別名「イギリス海外派遣軍 (British Expeditionary Force)を文字っているのではないかと思います。元々、1977年初頭に、MartynとCraigはMeatwhistleと言うアート・プロジェクトで、コンピュータ操作を担当をしており、その関係で、ポップ・ミュージック以外にも電子音楽とのコラボをやっていました。1970年代中期に、電子楽器の値段が安くなったのを機に、2人はKorg 700Sシンセを共に買います。それで、彼等は、Roland System-100シンセを持っていた友人のAd Newtonを誘って、The Futureを結成し、シンセを使った曲作りとリハとデモテープを作りをしていますが、Newtonは、自分のバンドClock DVAを作る為に直ぐに脱退します。それで、残った2人は3人目のメンバーとして、ヴォーカリストが必要と考え、最初、Glenn Gregoryに声を掛け損ね、古い友人でモテていたPhilip Oakeyがリードヴォーカルとして加入することになります。彼はSheffieldでは見た目が目立つ存在でしたが、音楽をやったことは無かったそうです。それでも、Wareが説得して、Oakeyを加入され、新しいバンド名にしようとなり、ゲームの名前からHuman Leagueとしています。その後、友人のレーベルFast Productよりシングル”Being Boiled”を出したり、テープを使って、ライブをやっていましたが、Oakeyの友人で、写真などをやっていたPhilip Adrian Wrightがおり、バンドの視覚的要素をやった方が良いと言うことで、Wrightは、スライドや映像或いは照明などを担当する為に、Human Leagueに加入します。それでライブ活動も活発になりますが、1979年4月に、Human LeagueはFast Productより、EP”The Dignity of Labour”をリリースしますが、これは実験的なインスト曲を4曲収録したものです。同年5月に、バンドはVirgin Recordsと契約します。同年7月には、The Men名義で、Lisa (Liza) StrikeとKatie KissoonをゲストVoとしてディスコ調の曲”I Don’t Depend On You”をシングルでリリースするもチャートインはしませんでした。同年8月に、Human Leagueとしてのフルのファースト・アルバム”Reproduction (人類零年)”をリリース。その後、1980年4月に、EP”Holiday ‘80”をリリース。これには、メインの”Marianne”の他、David Bowie&Iggy Popの曲”Nightclubbing”とGary Glitterの曲”Rock and Roll Part 2”のカバーを含んでいました。1980年5月に、英国ツアーをしますが、この頃には、Wrightは映像以外にもキーボードも弾くようになり、セカンド・アルバム”Travelogue”をリリース、よりコマーシャルな音楽になっています。しかしなから、商業的成功には恵まれず、また、WareとOakeyの関係も悪化し、1980年にWareは、Marshを引き連れて、脱退してしまいます。それで、WareとMarshが直ぐに作ったのが、このB.E.F.であり、その後のHeaven 17であります。それで、B.E.F.の最初のリリースは、本作品でもあるカセット作品”Music For Strowaways”とLP “Music For Listening To”です。何故、本作品が、カセットのみでリリースされたのかは、Sony Walkmanの見た目で閃いたとのこと。その頃、英国にもWalkmanが店頭に陳列され始めており、最初、Sony Strowawayとして表示されていたのもタイトルに関係しています。その後、1982年に、リードヴォーカルとしてGlenn Gregoryが加入する形で、Heaven 17としての活動が並行して開始されます。B.E.F.としては、その後、”Music of Quality and Distinction Volume One”をVirgin Recordsからリリースしますが、このアルバムは他のアーティストのクラシック・ソングをカバーしたもので、ヒットはしたのですが、B.E.F.名義としてではなく、Various Artistsということになってしまいました。その後、B.E.F.としては、”Music of Quality and Distinction Volume Two”で、Tina TurnerやBilly Mackenzieをヴォーカリストに迎えてアルバム作製を行っています。そして、2013年5月27日にアルバム”Dark”をリリースしており、Wareによると、以前にカバーしていたHaul & Oatsの"You've Lost That Loving Feeling"のような路線に回帰したとのこと。以上が、The Future〜Human League〜B.E.F.の流れです。
それで、本作品の内容を解説していきます。A1 “B.E.F. Ident”とB6 “B.E.F. Ident”の作曲・演奏はMalcolm Vealがやっていますが、この人物については全く不明です。A2 “The Optimum Chant”なんかは初期Human Leagueと言っても良いですが、何となくダルなビート感が違うかな? A3 “Uptown Apocalypse”では、Steven James Turner (B)とAdi Newton (Synth)がゲスト参加しており、Wareの作り出すマシンビートにファンキーなベースか乗っており、時代を先取りしていますね。A4 “Wipe the Board Clean”は懐かしいシンセで作ったスネアとキックの音に自由なシンセのメロか絡むインスト曲です。A5 “Groove Thang”では、John Wilson (G, B)がゲストで参加しており、彼のスラップ奏法のベースやギターのカッティングが飛び跳ねているファンク色の強い曲になっています。A6 “Music to Kill Your Parents By”は重厚なシンセの不協和音による小曲てすか、これはボーナストラックです。B1 “The Old at Rest”は、アンビエント調のノンビートの曲ですが、シンセの音色やアレンジは、当たり前ですが、初期Human League期のそれと類似しています。B2 “Rise Of The East”はシンセとかで作ったタブラ風の音色がエセ・インド調のリズムを奏で、心地良いです。それに対になるB3 “Decline of the West”は、簡素なリズムに、これまた初期Human Leagueを彷彿とさせるシンセのメロとアレンジで泣けます。B4 “A Baby Called Billy”もリズミックな曲で、小気味良い泡のようなシンセ音が鳴っています。B5 “Honeymoon in New York”なんかは今でこそ作れそうですが、アレンジが「シンセ」向きに作られていますね。本作品では、スネアやキックの音はシンセで作っているようですし、また、シンセによるノイズ的な音や不協和音を飛び道具のようにふんだんに使用しており、そこら辺はやはりHuman Leagueの作曲・演奏を担当していた2人だなあと納得してしまいます。正直言うと、この路線で、Heaven 17も行って欲しかったです。しかしながら、この音源が再発されたことは、アナログ・シンセ本来の自由度を再確認できますので、その点で良かったと思います。初期Human Leagueのファンの方はマストです‼️
A1 “B.E.F. Ident” (0:34)
A2 “The Optimum Chant” (4:11)
A3 “Uptown Apocalypse” (3:11)
A4 “Wipe The Board Clean” (3:47)
A5 “Groove Thang” (4:07)
A6 “Music To Kill Your Parents By” (1:26)
B1 “The Old At Rest” (5:37)
B2 “Rise Of The East” (2:53)
B3 “Decline Of The West” (7:11)
B4 “A Baby Called Billy” (4:02)
B5 “Honeymoon In New York” (2:16)
B6 “B.E.F. Ident” (0:36)
直接本作品とは関係ないですが貼っておきます。B.E.F. w/ Boy George “I Wanna Be Your Dog” (カバー)
https://youtu.be/X6riPwiVyto
[partially selected tracks]
https://youtube.com/playlist?list=PLzgzIQgO2GVTf27dT3_xBXo6cJhEUPpPo&si=blWlYxKY6nKAi-Ai
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