マレイ・ペライアとアマデウスSQのアンサンブル/ブラームスピアノ四重奏曲第1番ト短調op.25

0

ブラームス/ピアノ四重奏曲第1番ト短調op.25

ピアノ:マレイ・ペライア
弦楽パート:アマデウス弦楽四重奏団員(Vn:ノーバート・ブレイニン/Va:ピーター・シドロフ/Vc:マーティン・ラヴェット

アマデウスSQ最後の録音です。

ブラームスは御存知のように3曲のピアノ四重奏曲を残しています。プロットが立てられ始めたのは1854から1855年頃で若きブラームスがシューマンを訪問して1年後ですね。シューマンへの音楽家としての敬意、その妻クララへの慕情、シューマンの自殺未遂や3年後の死など、悲劇的な一連の出来事が絡む心の揺れと翳りが一連の作品に影を落としているのだといわれていますね。ホントのところはわからんと思いますよ。

そんな先入観なしにボクは曲を聴くけれど、この第1番ト短調作品25は、仄暗いロマンと悲劇的香りが楽章を経て、徐々に明るく開かれた場所に出て行くような開放感が好きです。
彼のピアノが絡むアンサンブルは彼のピアノ独奏による小品寄りもはるかに、力強く、雄弁で、交響的です。
ですから、まず、ピアノパートに協調性ももちろん必要なのですが、他の弦楽の重層的な響きを貫いて主張できる力のある人が望ましいと感じています。
聴きながら書いていきます。
参考にしたのはマレイ・ペライアのピアノアマデウスSQとルービンシュタインのピアノとガルネリSQの2組です。
古いのはイエルク・デムスがピアノを弾きバリリSQが弦楽を受け持ったもので、これは素晴らしいのですが、ボクのCDはモノーラルの上に、子供が小さかった頃忍者戦隊ジュウレンジャーが流行り、ぴかぴか光る盤面が武器に見えたのかブン投げて遊んでいたので傷だらけで、とても聴けなくなってしまっています。
ちなみにボクのコレクションは相当この頃の長男の遊びで被害を受けています。

第1楽章はアレグロ。ト短調です。ピアノが静かに第1主題を奏で、チェロがそれを調性を変えて引き継ぎます。劇的で仄暗い情熱に支配されたロマンティックな楽章。
第2楽章インテルメッツォ:アレグロ・マ・ノン・トロッポハ短調で始まりハ長調で閉じるまで、ブラームス特有の重く哀しみが腹に来るような歌が奏でられます。チェロの刻むリズムが特徴的でピアノが旋律線を確認するように出入りを繰り返します。
第3楽章変ホ長調の明るい導入で始まる。アンダンテ・コン・モート穏やかで心の安息をえたような表情付けが優しい。中間部はアニマート。細かいリズムの刻みが気分の軽さを醸す。明確な歌が特徴で、大好きな楽章です。
第4楽章 ツゴイナー(ツゴイネル)風(ジプシー風)ロンド:プレスト推進力のあるリズムが形を変え、軽快なピアノからフィナーレまで魅力に溢れる楽章。プレストのリズムにすらブラームスはロマンの香りを練り込んでいる。輝かしく、切ない曲です。

紹介するのは以前ルービンシュタイン盤を先に展示するつもりで、このペライア盤と間違えて展示していたものです。こちらの方は作品25一曲のみですね。
https://youtu.be/OWcgzKViutk?si=hw7WRa_iYEJrrLzL

※ アルゲリッチがクレーメルらとともに録音したCDが出ています。くせ者揃いですが、楽興が自由に羽ばたいていてこの第1番にはよく合っているようです。

Default