赤縁脚付アイスクリームコップ

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ベル形の氷コップをそのまま小さくした形のアイスクリームコップ。
アイスクリームは明治時代に「アイスクリン」という名称で売り出されたが、牛乳・砂糖・卵など、当時高級であった材料をふんだんに使い、冷却保存も難しいことから、なかなか庶民の口に入るものではなかったようである。その後、大正から昭和初期にかけて冷蔵技術が発達したことや、砂糖の生産量も増えたことにより、大衆化した。大正頃には牛乳を使用した一杯10銭の高級アイスクリームと、一杯五厘で牛乳を使用しない廉価なアイスクリームがあったようである。

本品は、明治末~大正にかけて作られたアイスクリーム用のコップで、現代のティースプーン山盛り一掬いほどのアイスクリームしか盛ることのできないような、大変小さな器である。高さは約6.7㎝、口径約5.0㎝程度で、小さい上にかなり上げ底されている。前オーナーの話では大正から昭和初期にかけて氷水屋を営んでいた方から纏めて譲っていただいたものとのことで、ガラスの質に共通点が見られることから、同じ工房の作と思われる。
アイオスクリームコップは上げ底であるほど時代は古いとされており、確かにその傾向がある。しかしながら、ここにある数脚を見ても底の厚さは不均一であり、一脚だけを見て時代を判断することは難しいように思う。
アイスクリームコップは数が少なく、その上近年は復刻品や贋作もあり、入手が難しくなっている(氷コップも同様)。
アイスクリームコップにはここに紹介した、脚付のもののほかに、口が開いた筒形のもの、筒形に取っ手が付いたもの、平椀に取っ手が付いたもの等いくつかの種類があり、面白い。

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