ノベルティーコップ「清涼飲料パーム・パームレモン」

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昭和の戦前期から戦中・戦後間もない頃、東京にあったパーム飲料合資会社(社長 滝田初太郎)が発売していた清涼飲料「パーム(PALM)」のノベルティーコップ。
ガラス生地やロゴの印刷などからみるに昭和10年代~20年代にかけてのものと考えられる。
胴部に緑のエナメルで清涼飲料パームのロゴが摺られている。裏面には格子状の図案の中に清涼飲料パームレモンとある。

東京清涼飲料協会がまとめた1975年出版の「日本清涼飲料史」によれば、昭和3年に上野公園で開催された大礼記念国産振興博覧会の清涼飲料部門においてパームが出品されており、三ツ矢サイダー・リボンシトロン・金銭サイダーなど大手メーカーが受賞した優良国産賞の次賞である有効賞を受賞している。
当時は数多くのメーカーがサイダーなど清涼飲料を生産していたが、設備不備や製法の未熟さ、使用原料の悪いがゆえに混濁や腐敗したものがあるなど品質の悪いものも少なくなかったようである。
先述の日本清涼飲料史に掲載された昭和3年の記事には、博覧会受賞を受けて新時代の勝利と題し「博覧会受賞者の顔ぶれを見て、特に気付くことは、若手製造家の多いことである。横山、パーム・・・中略・・・等々の諸氏は、何れも東京業界のヤンガー・ジェネレーション-新時代-を代表する人々である。」という文言が見えることからパームというサイダーは大正から昭和に入って発売されたものと考えられる。
また、戦後昭和25年に行われたコーラ飲料の上陸前夜座談会と題した記事では、出席者に「パーム飲料(株)相談役 君塚茂次郎」の名がみえるが昭和29年に復刊された清涼飲料新聞にはパーム飲料の記述はなく、それ以降もパームの名は見られない。
コップロゴの文字が左書きである点、コップの成形処理などをみるにこのコップは戦後のものである可能性も考えられる。

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