ノベルティーコップ「ミュンヘンビール・恵比寿・アサヒ・サッポロ・シトロン」

白色のエナメルで、「ミュンヘンビール・恵比寿・アサヒ・サッポロ・シトロン」と５種のマークをプリントしたノベルティーコップである。商品ロゴを入れず、マークのみとし、透かして見たときに重なり合わない様、互い違いに配している点が面白い。
プリントされた商品は、明治39年に大日本麦酒株式会社が設立されて間もない時期の商品ラインナップである。特にミュンヘンビールは大日本麦酒株式会社設立後の明治43年頃から、大正５年頃までパンフレット等に掲載されている商品であるが、間もなく終売したとされている。ミュンヘンビールについて、昭和11年発行の「大日本麦酒株式会社三十年史」を調べてみたが、販売時期についての詳しい記述はなく、裏付けは取れなかった。しかし、ミュンヘンビールのマークは、他の大日本麦酒株式会社のノベルティーコップを見ても明らかに少ないようで、大日本麦酒設立からほどなくして、主力商品ではなくなったのは確かなようだ。
このコップのガラス生地は明治期にみられる、黒みを帯びてどんよりとしたものである。このことからも、大日本麦酒設立から近い時期、明治から大正初期にかけてのものであろう。