-
Esplendor Geométrico “Strepitus Rhythmicus”
またまた、Esplendor Geométrico (以下、EGと表記)です!今回は、彼等の現時点での最新作”Strepitus Rhythmicus”をご紹介します。この時期のEGのメンバーは、Arturo LanzとSaverio Evangelistaです。因みに、Saverioは伊の大学の数学の教授らしいです。また、双子の娘さんもいらっしゃるとか。そう考えると、EGって、Arturoも大使館職員(要するに国家公務員)だし、2人とも本業は、ハイソな仕事をしていますね。このアルバムは、Arturoがイスラマバードに赴任していた時に作成されたものなので、録音はイスラマバードとローマで行われたとクレジットされています。Arturoは、現在は、iPad2台で音作りをやっており、1台は、リズム用、もう1台はサンプリング音用のようです(彼のライブは非常にフィジカルで熱いです!)。Saverioは、ライブ用のアートワーク等を手掛ける一方で、トラックの整理やアートワークや曲名等を担当している模様ですが、TezことMaurizio MartinucciとのデュオM.S.B. (Most Significant Beat)としても活動しています。 それで、本作品なのですが、先ず、第一印象はデジタル色が強く、スッキリとした音になっているなぁと言うことですね。それと、リズムの構造がダンサブルですらある言うことと、各曲が連続していることが、本作品の特徴ですね。それと、多分、以前のように、凶暴なマシンリズムを大々的に前面に押し出すのではなく、サンプリングされた音でリズムを構築しており、かつそれに乗る音もサンプリング音(声やノイズ等)で構成されていると言う手法の変化/進化でしょうね。 ホワイトノイズから始まりドクドク脈打つリズムが特徴のA1, 力強いビートがダンスミュージックのようにもなりますが、バックの電子音やナレーションがそれを異化しているA2, 正に現代の「工場音」を表しているかのようなA3, やや落ち着いたノリながらもラジオ音がEGらしいA4, こちらもシンプルなリズムにサンプリング音が効果的なA5、そうして、地獄のようなシンセに土俗的リズムが絡むB1から始まり、催眠的なポリリズムのような構造にマントラが乗るB2, これぞ!EGとも言うべき「工業リズム」にサンプリングされた複数の声が乗るB3, 比較的モロリズムマシンなダンサブルな音にやはりサンプリングされた声等が乗るB4で、アルバムを締めています。しかしながら、サンプリングだけでリズムも上物も作ってしまう所が、「今風」なのですが、それでも、一聴してEGだと分かるリズムの構成や音色が、彼等の凄い処だと思います!中々、デジタル機材でここまで個性を出せるグループ/アーティストはいないと思いますよ!! ただ、オールドファンが期待している「腐食した電子音」や「ロートルなリズムマシン音」は本作品では希薄ですので、そこら辺を期待されるとちょっと違うかもと思ってしまいますね。工業も進化するので、当然、EGの「音」も進化している訳です!最新型インダストリアルの孤高の存在、それがEGです! A1 “Compensación” (4:37) A2 “Concesión” (4:00) A3 “Nueva Industria” (4:15) A4 “Metro Sur” (4:31) A5 “Revolución” (3:59) B1 “Regreso” (4:23) B2 “Entelequia” (5:46) B3 “Cuántico” (4:15) B4 “Gravitar Alrededor” (4:04) https://youtu.be/mXY22BYzJHQ?si=D_VBFUNSPsmVSH-_ #EsplendorGeométrico #StrepitusRhythmicus #Geometrik #2024年 #Industrial #Technoise #RhythmicNoise #Sampling #Islamabad #Rome #BrandNewAlbum #iPad #TrackMaking #ArturoLanz #SaverioEvangelista
Industrial / Technoise Geometrik ¥3950Dr K2
-
Tolerance “Divin”
Rock Magazineの編集長、故阿木譲氏が主催していたレーベルVanity Recordsから、唯一2枚のアルバムを出していたToleranceのセカンド・アルバムは、阿木氏の死後、CD等で再発されたりしていますが、本作品は、米国Mesh-Key Recordsより、12インチ45rpmで2枚組と言う仕様での再発物件であります。私は、それ程、Toleranceについて詳しい訳ではありませんので、ちょっと調べてみました。元々は、東京在住の丹下順子さんのソロユニットで、1979年に、ファースト・アルバム”Anonym”が、Vanity Recordsからリリースされています。彼女は、Kbdプレーヤー兼Voで、サポートメンバーとして、吉川マサミ氏がGで参加していますが、その活動は殆ど宅録だったようです。その後、1981年に、本作品”Divin”が同じくVanity Recordsよりリリースされますが、それ以降、彼女は音楽の世界から消えてしまいます。噂では、当時は、歯科大の大学生であったらしいです。Toleranceは、阿木氏のお気に入りでもあり、またNurse With WoundのNurseリストにも乗る等、同時代的にも影響を及ぼしていたようです。なお、ミックスは、YLEMに在籍していたバンドBushman-19のCimei氏が行っているようです。その後、2000年代になって、日本のきょうRecordsがToleranceのファーストやセカンド・アルバムの再発以外にも、発掘された音源”Demos”や”Dose” 及びRock Magazine 32号の付録ソノシートの曲”Today’s Thrill”をCD再発しています。今回のリイシューでは、保存状態の良かったオリジナルのアナログ・テープから、サウンド・エンジニアのStephan Mathieuが忠実にリマスタリングして出来た作品となっています。その為か、2023年5月6日のPitchforkでは、Best New Reissueに、またBoomkatでも、2023年のベスト・リイシューに選ばれています。 それで、内容の方ですが、結構、リズムマシンとシンセが前面に出ており、想像していたよりも、躍動的な音楽でした。「早過ぎたダブ・テクノ」と言う形容も強ち間違ってはいないように思います。延々と続くリズムマシンのビートに細かい電子音やテープ操作が滑り込んでくるAで始まり、ビートの効いたマシンリズムのミニマムな繰り返しと不安定なミックスにマントラのような逆回転Voから成るB1, 全てが逆回転から成るB2, ディレイを掛けたマシンリズムが、その後のダブ・テクノを予感させるC1, DR-55とTr-606のHHのリズムに不安定に絡むシンセや微音のVoそしてテープ操作から成るC2, 強靭なマシンリズムとシーケンスとホワイトノイズによるPercに微かに聴こえる逆回転されたVoが特徴のC3, パンされるTR-606のマシンリズムを中心にシンセが裏打ちし、途中からダウンテンポになるD1, DR-55のリズムとシーケンスにシグナル的シンセを不安定にミックスしているD2で締めています。ビートはあるものの、かなり細かいテープ操作や実験的ミックス操作、シンセのSE的使用等のおよそ思い付く実験的な手法が試されており、中々、この時代の録音にしては、先進的な試みが為されていると思いました。それで、Bandcampで、前作”Anonym”も聴いたのですが、かなり印象が変わっています。その過程で何があったのかは定かではないですが、本作品の実験的プレ・テクノな音楽は、この時代ならではの音楽のように思います!リズミックな実験音楽の夜明けを体験したいのであれば、是非とも聴いてみてはどうでしよう? A “Pulse Static (Tranqillia)” (10:25) B1 “1 F Yuragi” (8:37) B2 “Misa (Gig's Tapes In "C")” (3:21) C1 “Sound Round” (3:36) C2 “BokuWa Zurui Robot (Stolen From Kad)” (5:05) C3 “Sacrifice” (2:10) D1 “Motor Fan” (4:50) D2 “Tiez Rekcuz” (5:45) C1 “Sound Round” https://youtu.be/8AgN7Hn4HuE?si=sPhY6U407kU_9Yg1 [Original full album] https://youtube.com/playlist?list=PLuGAvXrEzoIlmSfBfpBWsZzrNoQYHLTZG&si=z9LFi9XAe0EOooEz [BandcampのURLも貼っておきます] https://tolerancejapan.bandcamp.com/album/divin #Tolerance #Divin #Mesh-KeyRecords #Reissue #Remastering #StephanMathieu #2023年 #12inch2枚組 #VanityRecords #1981年 #Abstract #Rhythmic #DubTechno #PreTechno #Experimental #1981年の音楽 #宅録 #Synthesizers #DrumMachine #TapeManipulation #FemaleVoice #JunkoTange #Support #MasamiYoshikawa #Mix #Cimei #Bushman-19 #YLEM #Produce #YuzuruAgi
Experimental Pop, Electronic, Dub-Techno Mesh-Key Records (Vanity Records) ¥4850Dr K2
-
Runhild Gammelsæter & Lasse Marhaug “Higgs Boson”
何故か、突如として、ノイズ・ミュージックが聴きたくなって、購入したままになっていたRunhild Gammelsæterと日本でも有名なLasse Marhaugのコラボ作品を聴いてみました。その前に、この2人について少しバイオグラフィーを書いておきます。 Runhildの方ですが、調べてみて、ちょっとびっくりしました。彼女は、ノルウェー生まれなのですが、1995年〜1996年に米国バンドThorr’s Hammerの、2006年〜2008年にはKhlystのヴォーカリストをやっています。そして、現在は、オスロ大学医学部細胞生理学で博士号を取って、マジの生物学者として働いています。Thorr’s Hammerは、シアトルのBallardにて、Greg Anderson(G)とStephen O’Malley (G)によって結成されたデス・ドゥーム・バンドで、その時に交換留学生で渡米していた、17歳のRunhildがVoで加入し、その後、Jamie Sykes (Drs)とJames Hale (B)が加入して、バンドとして完成しています。ただ、6週間に2回だけライブをやり、デモテープを作成し、1997年に、The AwakeningからEP “Dommedagsnatt”をリリースしただけで、Runhildがノルウェーに帰国したことで、バンドは解散します。また、Runhildは、KhanateのJames PlotkinとのコラボからKhlystを結成し、2006年に、フルアルバム”Chaos Is My Name”を、2008年に、ライブDVD”Chaos Live”をリリースしています。因みに、Thorr’s Hammerは、2009年に再結成されています。 一方、Lasseは、1990年代から、ノルウェーのノイズ・ミュージック/実験音楽シーンで活動を始めた最もアクティブな作曲家/ミュージシャンです。彼が関わったCDやレコード、カセット等は数年の間で300枚以上にも上り、かつライブや世界中でのツアーも持続的に行っています。また、Lasseは、ソロだけでは無く、ノイズ、実験音楽、即興、ジャズ、ロック、エクストリーム・メタル等のフィールドのアーティストとのコラボだけではなく、ダンスや劇場、インスタレーション、映画、ビデオの為の音楽にも関わっています。1990年代に、彼はTWR TapesとJazzassin Recordsの運営を開始しましたが、2000年代には、Pica DiskとPrisma Recordsを始め、更に、2011年には、彼自身の出版社Marhaug Forlagの運営も始めます。そして、彼は、プロデューサー、オーガナイザー、プロモーターとしても活動しています。彼は、ノルウェーの北極圏北部で生まれましたが、現在はオスロ在住です。Lasseについては、書き出すとキリが無いので、ザックリとこの位にしておきますが、彼が出版社している雑誌Personal Bestは旬のアーティスト/グループを取り上げ、大胆なデザインで作り込まれており、見るだけでも楽しい雑誌です。 そんな2人の夢のコラボをキュレートしたのが、Stephen O’Malleyらしく、彼が2011年に作ったレーベルIdeologic Organから、本作品もリリースされています。本作品は、Runhild Gammelsæter (Vo, G, Bells, Digital Organ, Digital Piano, Processing, Lyrics)と Lasse Marhaug (Electronics, Synth, Objects, Mix)によって作曲・録音・プロデュースが為されており、マスタリングは、Stephan Mathieuが行っています。また、迫力あるポートレート写真は、Jo Michael De Figueiredoによるもので、それらを使ったジャケ写等のアートワークはStephen O’Malleyによるものです。内容は、Runhildの天使と悪魔の間を行き来するような変幻自在のヴォーカリゼーションとLasseの絶妙なエレクトロニスクとミックスから成るバックトラックの融合であり、燻し銀のような熟練したサウンドに、時に呟き、時に叫び、時に淡々として、時に喉を掻き切るような、RunhlidのVoが多重的にミックスされています。歌詞カードと英訳が付いているともっと楽しめたようにも思います。A1とA2は連続しており、A3での大太鼓のようなゆったり重いリズムと乗る朗読調或いは地獄からの呻き声のようなVo、そして、不安定な音程のシンセの持続音とディレイを効かせた打撃音に呪いのようなVoが多層化したA4, 歪んだギターの不協和音を中心に、非常にゆっくりとした低音パルスに禍々しいVoや呻き声等が重なるA5でA面を締めています。B面も、極端にスローなディレイを効かせたキックで始まり、細かい電子粒やノーウェーブなギターに、再び、多層化したRunhild の恨めし気なVoと天使のようなVoが重なり、やがて救済のオルガンへと移るドラマチックなB1, ダルなギターのリフと絶妙な電子音のミックスをバックに、囁くようなVoが乗るB2、それに連続して、深い残響を掛けた歪んだ低音の強迫的な繰り返しと天使のハミングで始まり、朗読調のVoと変調Voが絶妙のミックスで乗るB3で、アルバムを締めています。ここに収められている音楽を一言で言えば、「ブラックメタルとエレクトロ化したスラッジ・コアから成るアブストラクトな音楽」と言えば良いのでしようか? 多分、北欧でしか生まれなかったような異様な音楽が詰まっています。女性Voと言うとDiamanda Galasも引き合いに出されるかもしれませんが、Runhildの過去の音源を知っていると、似て非なる背景を感じますが、両者の共通点(非キリスト教国の出自)もあるのかもしれませんね。因みに、33rpmで、なるべく良いオーディオで聴くようにとの注意書きがありますので、やはり、この手の音楽は、良いオーディオ環境で聴くことをお勧めします! A1 “The Stark Effect” (2:52) A2 “The Magus” (4:44) A3 “Static Case” (3:56) A4 “Ondes De Fase” (4:00) A5 “Forces” (5:50) B1 “Propeller Arc” (6:46) B2 “Hadron Collider” (5:35) B3 “These Questions” (9:55) A1 “The Stark Effect” (2:52) https://youtu.be/fvryyAF-lyk?si=k6W2GbtLAjzHmmWM A2 “The Magus” (4:44) https://youtu.be/9eiB-VrUYAU?si=fcG7zHR2aMMPqzqf A3 “Static Case” (3:56) https://youtu.be/5uM2XbWlqf4?si=5NSC3LQGUgAoSSzy A4 “Ondes De Fase” (4:00) https://youtu.be/SS-7RvkXBfA?si=h1NeWWMHnsMxckq1 A5 “Forces” (5:50) https://youtu.be/6aDHDHK0hs8?si=FHCorUeIjbcJ7-Mc B1 “Propeller Arc” (6:46) https://youtu.be/YHxe8BzDpxg?si=eBW5JtV1vewOlu0H B2 “Hadron Collider” (5:35) https://youtu.be/s1d5MAgOoGA?si=7LAlPEIEM1SB3g9T B3 “These Questions” (9:55) https://youtu.be/rojyeWhIWJE?si=NugFeVfLIKUt0iqS [BandcampのURLも貼っておきます] https://ideologicorgan.bandcamp.com/album/higgs-boson #RunhildGammelsæter #LasseMarhaug #HiggsBoson #IdeologicOrgan #LimitedEditions #700枚 #Norway #Experimental #FemaleVocal #AbstractNoise #Collaboration #StephenO’Malley #Thorr’sHammer #Khlyst #Biologist #TWRTapes #JazzassinRecords #PicaDisk #PrismaRecords #MarhaugForlag #Musician #Producer #Organizer #Promoter
Experimental, Electronic Ideologic Organ ¥3200Dr K2
-
Xmal Deutschland “Early Singles (1981 - 1982)”
Xmal Deutschlandは、多分、英語圏で最も成功した独NDW(正確にはそうとは言えないかもしれませんが)バンドの一つだと思います。1980年に、ハンブルクのパンク・シーンから、Anja Huwe (Vo), Manuela Rickers (G), Fiona Sangster (Kbds), Rita Simon (B), Caro May (Drs)と言う全員女性のバンドとして結成されています。翌年に、Alfred Hilsbergのお眼鏡にかなって、ファースト・シングル”Großstadtindianer"を、彼のレーベルZick Zackよりリリース、更に、同レーベルのコンピ・アルバム”Lieber Zuviel Als Zuwenig”にも参加しています。この間に、ベースのRita SimonがWolfgang Ellerbrockに代わっています。1982年には、彼女達の代表曲でもある”Incubus Succubus"シングルを出しますが、同年、ドラムは、Caro MayからManuela Zwingmannに代わっています。独国内ではそんなにウケなかったのですが、UKのゴスバンドCocteau TwinsのUKツアーのオープニング・アクトをやったことがキッカケで、UKレーベル4ADと契約し、デビュー・アルバム”Fetisch”とシングル"Qual"と"Incubus Succubus II"を1983年に出します。独逸語で歌っているにも関わらず、UKインディー・チャートに入ります。その1年後、Manuela Zwingmannが脱退し、Peter Bellendirが加入しますが、このラインナップが最も長続きします。1984年には、セカンド・アルバム”Tocsin”をリリースし、1985年まで、ワールドツアーを敢行しています。1995年に出したEP “Sequenz”は、同年5月13日に、UKのJohn Peel Sessionで放送されていますが、このEPの中の曲”Autumn”は、初めて英語で歌われています。翌年には、The StranglersのHugh Cornwellのプロデュースで、シングル”Matador”をリリースし、The StranglersのロンドンWembley Arenaでのコンサートのオープニング・アクトも努めています。1987年には、サード・アルバム”Viva”をハンブルクで制作、続いてシングル”Sickle Moon”も出しています。しかしがら、”Viva”を出した後、Manuela Rickers, Fiona Sangster, Peter Bellendirが脱退してしまいます。残ったAnja HuweとWolfgang Ellerbrockはバンドを続けるおとを決心し、AbwärtsのFrank Zをギターで、独のスタジオ・ミュージシャンCurt Cressをドラムで、プロデューサーのHenry Starosteをキーボードで協力してもらい、1989年に、ラスト・アルバム”Devils”とシングル"Dreamhouse”と"I'll Be Near You”をリリースしますが、メジャー路線のポップミュージックになってしまい、数回のライブをやったものの、1990年に、バンドは解散してしまいます。 以上が、Xmal Deutschlandのバイオグラフィーとなりますが、本作品は、初期のシングル音源をコンパイルしたセルフ・コンピとなっています。パンクからポストパンク〜ゴス・ロックへと変化しつつある、最もアブラの乗った時期のXmal Deutschlandの音楽が詰まったアルバムとなっています。メンバーは、Anja Huwe (Vo), Manuela Rickers (G), Fiona Sangster (Kbd), Rita Simon (B), Wolfgang Ellerbrock (B), Caro May (Drs)で、A1-A3がZickZackから出た彼女達のファースト・シングル収録曲で、既にポストパンクなサウンドで、A2ではドラムマシンも使用されている所が、如何にも独バンドらしいです。また、ビート感もドカドカしていて、Malaria!っぽいところも。A4はZick Zackのコンピ・アルバムに提供した曲で、段々、テンポアップしていく曲です。シンセがのほほんとした味を出しています。B1-B3は、1982年にZick Zackから出たセカンド・シングル収録曲で、特にB1は、彼女達の代表曲で、歌詞とかは独逸語ながら、題名がゴスっぽくなってきて、めっちゃカッコ良いです。B2もメジャーコードながらもダークな雰囲気で良曲、B3はSioux & The Bansheesっぽい曲ですね。多分、Voスタイルが近いのかな? B4は、多分、ボーナス・トラックとして、今回、収録された彼女達のライブ音源ですが、音質も良く、非常にかっちょ良いです! この時期のX-mal Deutschlandは、ちょっとだけゴスに足を突っ込んだポストパンクな音作りをしていますね。なので、初期Bansheesとかが好きな方にはお勧めします!! 因みに、リリース元のレーベルは米国のレーベルです。 A1 “Schwarze Welt” (2:40) A2 “Die Wolken” (1:29) A3 “Großstadtindianer” (2:02) A4 “Kälbermarsch” (2:37) B1 “Incubus Succubus” (5:20) B2 “Zu Jung Zu Alt” (3:30) B3 “Blut Ist Liebe” (3:02) B4 “Allein (Live)” (2:35) B1 “Incubus Succubus” (5:20) https://youtu.be/BVFscjwD-gU?si=wBOkMr1eiJKYP4un [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nyg5iJeMbf9arUPD9ZkFnw-4GtdzvVEuo&si=nUhQKRc_fMzA6cDi #XmalDeutschland #EarlySingles(1981-1982) #SacredBonesRecords #SelfCompilation #Reissue #Remastering #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #AllGirlsBand #Goth #GothPunk #PostPunk #AnjaHuwe #ManuelaRickers #FionaSangster #RitaSimon #WolfgangEllerbrock #CaroMay
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Goth Rock / Punk Sacred Bones Records ¥5750Dr K2
-
Belfegore “s/t”
またまた、Belfegoreですが、今回は、セルフ・タイトルの彼等のセカンドにしてラスト・アルバムをご紹介します。Belfegoreのバイオグラフィーは大体は前回の12インチ・マキシ・シングルの所で書きましたが、追加で少し書き足したいと思います。 前回は、本アルバムがリリースされた1984年まで書きましたが、その時に、Belfegoreは、英国のバンドU2のThe Unforgettable Fire Tourで、前座を務めています。しかしながら、翌年1985年には、Meikel Claussは、ロックンロールのライフ・スタイルに飽きたと言う理由で、その年にバンドを解散してしまい、彼は医学の道に進みます。Raoul Waltonは、2000年〜2006年の間、独のプログレ・バンドAnyone's Daughterでプレイしています。また、Charlie Terstappenは、独で最も長く活動しているビート・バンドThe Lordsに、1988年に加入しています。そんな中で、Art Of NoiseやPropagandaのMVも手掛けたアカデミー賞受賞経験のある監督Zbigniew Rybczyński (ズビニエフ・リパチェンスキー)が作成した、Belfegoreの最後のシングル”All That I Wanted”のMVは、加のMuchMusicでも放映され、大好評でした。それから随分後の2011年9月30日、ClaussとWaltonとTerstappenは、DüsseldorfのクラブRatingen Hofで、Belfegoreを1回限りの再結成ライブを行っています。また、同年、米国サイコスリラー映画監督David Fincherは、スェーデンの小説家Stieg Larsson (スティーグ・ラーソン)の世界的ベストセラー作品”The Girl with the Dragon Tattoo; 「ドラゴンタトゥーの女」”の映画化の際、Belfegoreのセカンド・アルバム収録曲”All That I Wanted”を使用しています。この曲は、主人公のLisbeth SalanderがMikael Blomkvistのコンピューターをハッキングし、Dirch FrodeとHans-Erik Wennerströmの身元調査を行うシーンのバックの音楽で使用され、物語が進むにつれて、後者は、シリーズのプロットの重要な部分になるそうです(私は未見)。 以上が、Belfegoreの解散後の関係事項なのですが、本作品には、Meikel Claus (Vo, G, Electronics), Raoul Walton (B, Back-Vo), Charly T. CharlesことCharlie Terstappen (Drs, Drum Machine, Back-Vo)が参加しており、また、Conny Plankとバンド自身がプロデュースし、A1, A2, B3-B5に関しては、Conny Plankが直接録音にも携わっています。また、このアルバムでは、今までと異なり、全曲、英語で歌われています。そんなBelfegoreのセカンド・アルバムの各曲をご紹介していきますね。なお、ジャケは国によって2種類あり、日本盤も「シーバード・シーモアン(B1の曲名ですね)」として当時リリースされています。 ★A1 “All That I Wanted” (4:14)では、直線的シーケンスに強靭なリズム隊が絡み、鋭いGと引き攣りながらも艶っぽいVoが乗る曲で、コーラスもバッチリですし、途中のGソロ?もグッときます。名曲ですね! ★A2 “Questions” (5:07)は、ピアノのクラスターからミドルテンポのDrsとB-Synthによるシーケンス及びBから成るリズム隊に、フランジャーを掛けた伸びやかなGと雰囲気たっぷりのVoから成る曲で、最後のGソロも痙攣的な味のあり、グーです! ★A3 “Love” (4:18)では、ドラムマシンとシンセの旋律のイントロから始まり、ドカドカしたリズム隊と引き攣ったVoが特徴的な曲で、間奏のチェーンソーのようなGも聴き物です。 ★A4 “Wake Up With Sirens” (4:20)は、シーケンスとBが絶妙に絡み合い、ウィスパーVoが入ってくる曲で、強烈なDrsや時に弾きまくるフランジャーを掛けたGもカッコ良いです。 ★B1 “Seabird Seamoan” (4:46)は、B-SynthによるシーケンスとミドルテンポのDrsに、シンセのリフから成る曲で、複数のVoが呪文のように繰り返し歌っています。割と淡々とした曲調です。 ★B2 “Don't You Run” (2:52)は、ドカドカしたアップテンポなDrsとB-Synthのシーケンスに、叫び声なんかも混ぜながらClaussが歌う曲で、ちょっとだけAdam & The Antsっぽい曲調です。 ★B3 “Comic With Rats Now” (3:33)は、鋭いGのカッティングと強靭なDrs、それにボトムを支える比較的直線的なBに煽るようなVoが乗る曲ですが、途中のトロピカルなPercソロが時代を感じさせます。 ★B4 “Into The Dungeon” (3:28)は、シンセによる通奏低音に、アップテンポで突っ走るDrsと引き攣ったような/喘ぐようなClaussのVoが乗り、またノイズGのカッティングもカッコ良いです。バックはあくまでもミニマルです。 ★B5 “Belfegore” (4:28)は、前回紹介した12インチ・マキシ・シングルのA面の曲ですが、より淡々としたリズム隊とふんだんに使われているSE的なヴォイス等から、更にダークで落ち込むような曲にアレンジされています。シンセのメロディも拍車を掛けています。 紛らわしいのですが、本作品もセルフ・タイトルなんですが、本作品では、メジャー移籍後の作品で、音の粒までキッチリ録音されていますが、ただ、全体の印象は、それ程、ゴス・ロック的では無いように思います(B5を除いて)。確かに、Gの音色等は、英国ゴス風ポスト・パンクのそれに近いかも知れませんが、Conny Plankが関わってあるせいか、クラウトロックのミニマルさと独逸特有のエレクトロニクスとポストパンクなバンドサウンドが融合したような音楽に仕上がっています。それが良かったかどうかは別として、個人的には、あのおどろおどろしさが希薄な分、このアルバムは楽しめました!先入観を無くして、皆さんも聴いてみましょう!!因みに、この裏ジャケで知ったのですが、BのRaoul WaltonはNDWシーンに珍しく黒人なんですが、Bプレイに「黒っぽさ」は皆無です。 A3 “Love” (4:18) https://youtu.be/FUXiHxMULBU?si=Dx8tNKU7nXc8Yjbh [full album] https://youtube.com/playlist?list=OLAK5uy_nnRlzv2zHvkQzpTehyg2lTJI3It8vJ8mg&si=BBK-StdBd70dWOm7 #Belfegore #self-titled #Elektra #Second&LastAlbum #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #GothRock #NewWave #TwoDifferentCoverVersion #Electronics #DrumMachine #AllEnglishLyrics #MeikelClauss #RaoulWalton #CharlyT.Charles #CharlieTerstappen #Produce #ConnyPlank #1985年 #Disbanded #MedicalStudy #Anyone’sDaughter #TheLords #RatingerHof #OnlyOneReunion #LastSingle #AllThatIWanted #MusicVideo #ZbigniewRybczyński #Novel #MillenniumSeries #TheGirlWithTheDragonTattoo #ドラゴンタトゥーの女 #原作 #StiegLarsson #SwedishNovelist #映画化 #監督 #DavidFincher #AmericanDirector #Soundtrack #Hacking
Neue Deutsche Welle (German New Wave) / Goth Rock Elektra records $10.97Dr K2
-
Belfegore “s/t”
Belfegore (ベルフェゴーレ)って?と多くの方が首を傾げるかも知れませんね。実は、このBelfegoreは、元祖独パンクバンドDer KFC〜NDWバンドNichtsと経験してきたギタリストのMeikel Clauss (G, Vo; マイケル・クラウス)を中心に1982年に結成されたバンドで、この12インチ・マキシ・シングルでは、他にCharly Terstappen (Drs, Vo; チャーリー・テルシュタパッテン)とWalter Jäger (Kbd, Vo; ヴァルター・イェガー)が参加しているとですが、この作品がリリースされた時には、Walter Jägerは脱退しており、代わりに、Raoul Walton (B, Vo; ラオウル・ヴァルトン)が加入しています。しかしながら、ラベルのAとB1には、Walter Jägerの名前がクレジットされています。 それでは、先ず、Belfegoreのバイオグラフィーを簡単に記しておきます。先述のように、結成は1982年のDüsseldorfにて、元Der KFC/元NichtsのMeikel [Michael] David Claussを中心に、Manfred "Charly" Terstappen (Charly T. Charlesとも表記される)と元Die KruppsのWalter Jägerとで結成されています。バンドは直ぐにNDWブームに乗り、独独自のニューウェーヴ・スタイル、つまり、欧州のパンク・ムーヴメントと同時に英国の初期ゴス・ロックの要素を取り入れたスタイルです。それで、彼等は、ファースト・アルバム”A Dog Is Born”をほぼ自費ま制作で録音し、1983年に独のS.Y.P.H.のレーベルPure Freudeから限られた範囲でリリースしたますが、やがて英国ではRough Tradeがディストリビュートするようになります。それに続いて、同年、本作品であるセルフ・タイトルの12インチ・マキシ・シングルと7インチ・シングル”Belfegore In Roma”もPure Freudeからリリース。その年には、バンドは大手Elektraと契約しますが、そのタイミングで、Walter Jägerが脱退し、代わりにRaoul Waltonが加入します。そうして、セルフ・タイトルのセカンド・アルバムが、Conny Plankのプロデュースで作成され、実験的ニューウェーブな音から、よりハードエッジなサウンドになっています。 今回はここら辺までとしておきます。それで、彼等のフィースト・シングルでもある本作品は、先述のメンバーで作成された訳ですが、元Der KFC/ 元Nichtsのメンバーや元Die Kruppsのメンバーがいたからではない新しいサウンドへの追求が既に始まっているようです。それでは本作品の各曲について、ご紹介していきたいと思います。因みに、録音エンジニアは、John Cafferyです。 ★A “Belfegore” (3:50)では、のっけから不思議な音や犬の吠え声のようなイントロから、ボトムのしっかりした、かなりダークな雰囲気の曲調となり、途中に挿入されるコーラスも如何にもゴシック調で中々様になっています。因みに歌詞は無く、ほぼインスト曲に近いです。 ★B1 “Heilige Kriege” (2:35)は、奇声一発で、アップテンポでタム多用のDrsと刻み続けるGに、ClaussのサマになったVoが乗る曲で、サビのコーラスも、最後もカッコ良いです。 ★B2 “Nacht In Sodom” (2:50)は、B1に連続して始まり、力強いビートに鋭いカッティングのGとコーラスも交えたVoが怪しげに歌うミドルテンポの曲で、中々ダークな雰囲気を醸し出しています。 本作品に収められている3曲、特に、グループ名を冠したA面は、既にドップリとゴス・ロックに入っており、彼等が今まで演ってきたグループの音楽性とは一線を画する音楽性を感じます。まだ、B1なんかは、英国ポスト・パンクの影響を受けたジャングル・ビートな部分も感じますが、全体としては、もうゴスへと傾倒しています。その意味では、完成度は中々高く、好きなリスナーさんは好きではないかな?と思いますので、一度、トライしてみて下さい!また、B2ではスラップ奏法のBが聴こえるのですが、これは、Raoul Waltonが弾いているのかな? https://youtu.be/WJzXNWRnx_s?si=p7v3Zo3RqO8R7Dd1 #Belfegore #self-titled #PureFreude #FirstSingle #12-inchMaxi-Single #NeueDeutscheWelle #GermanNewWave #NewWave #GothRock #Belfegore #HeiligeKriege #NachtInSodom #UKDistribution #RoughTrade #Ex-DerKFC #Ex-Nichts #MeikelClauss #MichaelDavidClauss #CharlyTerstappen #CharlyT.Charles #Ex-DieKrupps #WalterJäge #Uncredited #RaoulWalton #Engineer #JohnCaffery
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Pure Freude $7.30Dr K2
-
Kosmonautentraum “Ungehörtes Unerhörtes”
またまた、Kosmonautentraumの作品をご紹介しますが、今回は、独の再発専門レーベルVinyl On DemandからリリースされたKosmonautentraum(或いは中心人物Ziggy XY[本名 Michael Jarick]関係)のセルフ・コンピレーション・アルバム”Ungehörtes Unerhörtes (ウンゲルヘルテス・ウナーヘルテス;「前代未聞」の意)”を紹介します。よって、この作品は、極初期から解散期までの曲を収録していますので、統一感は余り無いかも知れませんが、それでも未発表音源のZiggy & Enoなんかも聴くことが出来ますので、かなり貴重なアルバムだと思います。それでは、先ず、各曲の出典を記しておきます。A1, B6, B7は、1980年に自費出版された150部限定のファースト・シングル“Immer Laut Hören Nachbarn Stören“で、メンバーはZiggy XY (Vo, Synth), E.K.T. ことEckart Kurtz (G, Electronics, Synth), ClaudiことClaudius Hempelmann (Drs)から、A2は、1981年にZickZackからリリースされたセカンド・シングル“Rache!”で、メンバーはZiggy XY (Vo, Kbd), E.K.T. (Drs, G, B), Karl May (G), SüsskindことErhard Schüttpelz(Kbd)から、A3, A5, B1, B2, B4, B5は、1981年にZiggy & Enoとして制作された未発表音源で作曲にはJörg Laubischも参加している音源から、A4とA6は、1982年にZickZackよりリリースされたファーストLP”Juri Gagarin”で、メンバーは、Ziggy XY (Vo, Synth, Melodica), Kai MayことKarl May(G, Harp, E-Piano, Sounds, Perc), Süsskind (B, Synth, B-Effects, Klavier, Trumpet, Melodica, Xylophone, Perc), E.K.T. (Drs, Synth, Mellotron, G, Vo-Effects)から、A7は、1983年にバンド・プロジェクトStatschki Prospekt(シュタツキ・プロスペクト; メンバーはMichael Jarick, Christian Hartje, Hanno Hofmann)として参加したコンピレーション・カセット作品”Intrendent Fansette”から、A8は、1982年のZickZackからリリースされたサード・シングル ”Liebesmühn”で、メンバーはZiggy XY, E.K.T., Karl May, Süsskindから、B3は、1987年に自費出版された50部限定カセット品”Für Freunde”で、メンバーはZiggy XY, Jörg Einicke, Jörn Bender, Lenard Schmidthalsからとなっております。そう考えると、Kosmonautentraumは、Ziggy XYことMichael Jarickのバンドだったんだなぁと言うこと分かります。それでは、各曲について紹介していきたいと思います。 ★A1 “Kosmonautentraum Nr. 3 Der Deutsche” (2:32)は、スモッグのようなホワイトノイズと極めて不鮮明な演奏をバックに、適当なリズムマシン操作とZiggyのアジテーションVoの掛け合いから成る曲で、最初は、こんな事もやっていたんだと感涙。 ★A2 “Kosmonautentraum Nr. 6 Nur Zum Spass - Nur Zum Spiel” (1:13)は、ミニマルなリズムマシンとシーケンスをバックにZiggyのVoが乗る曲で、宅録風の仕上がりです。 ★A3 “Süsser Mond” (2:04)は、落ち着いたBとGの調べをバックにヴォコーダーVoが切々と歌う曲で、何故かほっこりしてしまいます。打楽器は不使用。 ★A4 “Juri Gagarin” (2:27)は、リリカルなピアノと強力なリズム隊に、ZiggyのパンキッシュなVoが乗る曲で、ノリも良く、初期の名曲ですね! ★A5 “Wir Tanzen Tango” (2:35)は、タンゴのリズムとおもちゃの鉄琴とアコーディオンやピアニカをバックに、Ziggyが切々と歌い上げる曲で、如何にも初期NDWを思わせるアレンジです。 ★A6 “Tanz Den Kosmonaut” (3:38)は、強靭なズンドコ・ビートを叩き出すリズム隊とシンセをバックに、Ziggyが投げやり気味に歌う曲で、SE的シンセやGが良いアクセントになっています。これも初期の名曲! ★A7 “Waffenbrüder Für Den Frieden” (6:49)は、何ともカタカタしたドラムマシンにゴリゴリのBとノイジーなG、それにエフェクトを掛けたVoが乗る曲ですが、ドラムマシンはどんどん重くなり、Gは益々ノイジーに、Voは更に混沌となっていきます。ルーズでスラッジーの極みです。 ★A8 “Goldene Nacht” (2:36)は、スカスカなズンドコDrsに、口琴とVoの掛け合いから成る曲で、叫びまくっています。 ★B1 “Bärte Entstellen Wärter” (1:35)は、ドカドカしたDrsとスカスカなオルガンとGに、気の抜けたVoが乗る曲で、脱力感が半端ないです。 ★B2 “Geduld” (3:06)は、銅鑼の一発から、単調なリズムマシンにB-Synthとシンセが乗り、そこにやたらハッキリしたVoが乗る曲で、後半ではアコーディオンも入ってきて、Harmonia等の往年のクラウトロック風にも聴こえます。 ★B3 “Lösch Das Feuer” (5:25)は、断続的な重い打撃音とリズムを刻む木琴に合わせて、ピアノや女性コーラスの断片とZiggyの正気の無いVoが乗る曲で、割とダークな感じです。 ★B4 “Hyperthrommatatronic” (3:22)は、タムを多用したDrsと鉄琴の金属質な調べと唸り声のような低音をバックに、Ziggyが「ハレルヤ!」と歌い上げる曲で、正に初期NDW的なアレンジです。 ★B5 “Husarengebrechen” (4:25)は、欧州の田舎を想起させるようなリコーダーの調べをバックに、Ziggyがシアトリカルに語るように歌う曲で、時々、打楽器やBやGのインプロみたいな音も混在してきます。終わり方も秀逸! ★B6 “Kosmonautentraum Nr. 1” (4:07)は、聴こえ辛い不明瞭なDrsとB?の演奏に、TVのホワイトノイズやシンセによる電子ノイズが暴れ回る曲ですが、段々とバンド演奏(ブギ風?)の方は聴こえてきます。 ★B7 “Kosmonautentraum Nr. 2 Alltag” (1:56)は、単なるシンセによる音遊びのような曲で、バックにはリズムマシンの音も微かに聴こえます。 こうやって聴いてみると、Kosmonautentraumと言うバンド(と言うかZiggy XYことMichael Jarick)の変遷が良く分かります。極初期のオモチャ箱をひっくり返したような電子音とバンド演奏の混合物から、次第にビートの効いたバンド・サウンドになり、その途中でオフビートやスカスカなリズムの実験的な曲調を作りつつ、最後にはダークなコンクレート風音楽まで辿り着いたように思います。それに、Ziggy & Enoも、実際にBrian Enoとコラボしているようには思えず、如何にもBrian Enoとコラボしている風に録音されているとしか思えません(ただし、これは未確認です)。そう言うギミックな所も含めて、如何にもNDWのど真ん中を歩いてきたZiggy XYの歴史に触れることが出来たのは面白かったです。本作品は、NDWファン全員に大推薦です! https://youtu.be/ynxQ14MCW0o?si=NUUOjSzlCQZXi4HY #Kosmonautentraum #UngehörtesUnerhörtes #VinylOnDemand #2005年 #SelfCompilationAlbum #1980年-1987年 #ReissuedTracks #BandProject #StatschkiProspekt #PreviouslyUnreleasedTracks #Ziggy&Eno #ZiggyXY #MichaelJarick #E.K.T. #Claudi #ClaudiusHempelmann #EckartKurtz #KaiMay #Süsskind #ErhardSchüttpelz #JörgLaubisch #ChristianHartje #HannoHoffmann #JörnBender #JörgEinicke #LenardSchmidthals
Neue Deutsche Welle (German New Wave) Vinyl on Demand $71.50Dr K2
-
Grey Factor “1979-1980 A.D. (Complete Studio Recordings)”
Grey Factorって言っても分からない人の方が多いのではないでしょうか?実は私も知りませんでした。それで某DUの通販で購入したのですが、Discogsにも何にも書いてありません出したので、少し調べました。 1978年に、米国LAで、Jeff Jacquin, Joey Cevetello, Jon Pospisil, Paul Fontanaの4人は、ミニマルなシンセを基本にしたバンドの元になるバンドらしきものを結成します。それで、取り敢えず、ヴィンテージな電子機材で、今から必要になるであろう機材を使って、最初のEP “The Perils of Popularity”をEldorado Recordingスタジオで、まだ若いエンジニアのDave Jerdenと一緒に録音しました。Jerdenは、後にThe Talking Heads and Byrne/Enoと一緒に仕事をするようになります。このEPはカセットにダビングされて、LAで有名なライブハウス、Madame Wong’s, The Hong Kong Café, The Masqueで彼等がライブした際に、20数回に渡って配られています。観客の”Too cool to care”と言う反応は瞬く間に口コミで広がり、皆んなが彼等の動向に注意を払ってました。1980年に、Paul Fontanaが脱退し、代わりにAnne BurnsとJoeyの兄弟のJohn Cevetelloが加入し、セカンドEP “The Feel Of Passion”を録音します。このEPでは、ドラムマシンとシンセを先ずセットアップして、それからGとBを録音し、最後に女性VoとSaxを入れると言うやり方で作られています。この手のバンドとしては画期的ではあったのですが、より内部の対立を浮き彫りにしたライブをケーブルTV番組New Wave Theaterで演奏していますが、それに対して、メンバーはもう止めようと言う意見で一致して、バンドは解散しています。 以上がGrey Factorの略歴ですが、まぁ、LAのアート・ダメージ電子音楽シーンの先駆者であったようで、40年以上霧の中の伝説として語られてきました。今回のセルフ・コンピレーション・アルバムは、彼等が出した伝説のEP2枚を合わせたものであり、新録はしていません。16頁のブックレット付きとも書いてありますが、私が購入したモノの中には含まれていませんでした(ちょっと確認不足でしたね)。それでは、本作品について前振りを紹介しておきます、A面は、彼等のファーストEP”The Perils of Popularity”の収録曲と1979年4月にEldoradoスタジオで録音された曲から成り、B面は、セカンドEP”The Feel of Passion”収録曲と、1980年1月にスタジオ9で録音・ミックスされた曲からなっています。 ◼️The Perils Of Popularity ★A1 “You're So Cool”(5:35)は、太いSynth-Bのシーケンスとドラムマシンにシンセのリフ/メロディが絡んできて、そこに不明瞭なシューゲイザーっぽいVoが乗る、所謂「典型的シンセウェーブ」な曲です。 ★A2 “All In A Day's Work” (2:43)は、いきなりVoとドラムマシンとシーケンスで始まる曲ですが、間奏もシンセでしか出来ないポルタメントを掛けた音を入れています。 ★A3 “Guerrilla Warfare” (3:37)は、フェイドインしてくるシンセ持続音とキックにVoが乗る曲で、その持続音にエフェクトが掛けられているようです。盛り上がりではVoは叫び声になります。 ★A4 “Joyful Sounds” (3:48)では、正回転のドラムマシンに逆回転のドラムマシンを同期させ、そこに簡素なシンセのリフとベースを入れ、抑圧したVoを乗せている曲で、シリアスな雰囲気です。 ★A5 “Above The Gun” (3:34)は、ニュースの声で始まり、ノリの良いドラムマシンとSynth-Bとシンセのリフで突っ走る曲で、切羽詰まったVoが印象的です。途中で転調しますが、バックのSE的シンセ音も凄いです。 ★A6 “4 Hours In A Metal Box” (3:18)は、複数のズレた声のループから成る曲で、その背後に不気味な電子ドローンが流れており、時に金属質な音も聞こえます。 ◼️The Feel Of Passion ★B1 “No Emotion Needed” (3:18)は、単調なドラムマシンとミニマルなBラインに、Percのような音が絡み付き、それに焦っているようなVoが乗る曲で、ここではSynth-BではなくBかな? ★B2 “Inhibitions Run Wild” (3:57)は、スローテンポのマシンにBと持続音シンセとGの簡素なリフから成る曲で、Voも緩急を付けていてかなり泣けます。男女のコーラスとか間奏のSaxなんかも良いスパイスです。 ★B3 “Looking For The Hotel” (3:11)は、ダンサブルなリズムマシンにシンセの持続音と男女のVoから成るウキウキしそうな曲で、BなんかもSynth-Bでは無いのも嬉しいですね。 ★B4 “Shoot It Down” (4:50)は、やや複雑でスローなドラムマシンに、GとBで曲の骨組みを作り、時にSE的シンセが入ってくる曲で、雰囲気一杯のVoが歌い上げています。 A面は割とシンセウェーブな面が強調されていますが、B面では、ドラムマシンを使ったニューウェーブと言うかポストパンクな面が強調されていると思いました。どちらが良い悪いではないのですが、好みの問題ですね。しかしながら、40数年前の音源が今になって発掘され、かつその出来映えも良いと言うのは凄いことだと思いますよ!なので、シンセウェーブ好きな人もニューウェーブ好きな人も是非聴いてみて下さい! A3 “Guerrilla Warfare” (3:37) https://youtu.be/X2CD0wvNVtw?si=pjTxImp1ngLPk4u8 [full album] https://youtube.com/playlist?list=PLNXcBtf0QNBDzvc4_F-QY_gZ0WLvg38dz&si=7LGWpNXcnF-YSGMY [BandcampのURLも貼っておきます] https://greyfactor.bandcamp.com/album/grey-factor-1979-1980-a-d-complete-studio-recordings #GreyFactor #1979-1980A.D. #CompleteStudioRecordings #DamagedDisco #SelfCompilationAlbum #US-Underground #ThePerilsOfPopularity #TheFeelOfPassion #SynthWave #NewWave #Minimal #JeffJacquin #JoeyCevetello #JonPospisil #PaulFontana #AnneBurns #JohnCevetello
NEW WAVE / Synth Wave Damaged Disco 2950円Dr K2
-
Moebius & Plank “Material”
またまた、出ました!独逸を代表するエレクトロニクス・デュオClusterのMoebiusことDieter Möbiusと独逸が産んだ最高のエンジニア/プロデューサーConny Plankのコラボ作品第2弾”Material”を、やっと入手しましたので、紹介していきたいと思います。前回は、ファースト・アルバム”Rastakraut Pasta”を紹介しましたので、彼等2人のバイオグラフィーはそちらを読んでみて下さい。ここでは、このデュオのバイオグラフィーは省略しますね(省略しなくても皆んな、知ってますよ!)。本作品の内容はA面2曲/B面3曲となっていますので、各曲についてご紹介していきます。 ★A1 “Conditionierer” (8:49)は、いきなりノリの良いGとDrsのビートに、Bも加わってきて、更にはSlide-Gも、と言う意外過ぎるミニマルな曲です。一体、誰が弾いているの?と思ったら、Saxまで入ってきます。 ★A2 “Infiltration” (7:41)では、スローなリズムマシンとミニマルなリフを引き続けるシンセBで始まりますが、お気楽な電子音やラジオ音等が塗されて、テク無視のGやSaxや変調Vo(?)なんかも混ざってきで、最後は盛り上がります。 ★B1 “Tollkühn” (6:12)は、ちょこまかしたシーケンスとシンセBから成る曲で、時にシンバルやGっぽい音やSE風電子音も入ってきます。頭の中で鼠が走り回るような曲? ★B2 “Osmo-Fantor” (4:27)は、チープなリズムマシンとBとGらしき音から成る曲で、所々で、好き放題のSE電子音やGが混入してきます。 ★B3 “Nordöstliches Gefühl” (7:21)も、割とスローなリズムマシンとシンセBとエレピから成るミニマルな曲ですが、笛の音のようなシンセ音が「通奏高音」になっており、それに絡まるようにシンセのメロディが爪弾かれます。エレピが良い仕事してます。 ジャケ写のイメージから、環境問題とかのもっと重めの音楽を想像していたのですが、やはりMoebiusが関わっているので、そんなシリアスな音楽ではありませんでした(敢えて言うならB3が一番シリアスかな?)。そこら辺は裏切ってくれませんねぇ。A2なんかは、Plankの手腕が遺憾無く発揮されていると思います。そう言った意味で、エンジニアのPlankの名前も冠したのは、やはりエンジニア以上の何かをしたからでしようね。確かにコミカルとも言える曲調はMoebius的ですが、それをPlankが上手くコントロールしているのではないでしょうか?でも、そんな2人ももう他界しているんですよね。合掌!そしてLet’s Listen!l❗️ [full album on 2010 reissue/remastered version] https://youtu.be/76Pj-tijsWA?si=WR9bSRLmRJnmpPN1 #DieterMoebius #ConnyPlank #Material #SkyRecords #SecondAlbum #Collaboration #Krautrock #Experimental #Electronic #Synthesizers #HammerBeat #RhythmMachine #Guitar #Bass
Krautrock / Electronic Sky Records 5750円Dr K2
-
Sadie Sads “Box With Little Doll”
前回、ご紹介しましたSadie Sadsの唯一のアルバム”Box With Little Doll”を早速入手しましたので、ご紹介したいと思います。今回、彼等のバイオグラフィーとは大きな違いはありませんので、本作品に関しての情報だけ加筆しておきます。メンバーは、Sad (Vo), Igarashi (G), Kazumi (B), Kan (Drs)に加えて、Takeshi (Stage Visual)がクレジットされており、更に佐藤薫プロデュースとなっております。また、LP1(甲/乙)は両面とも45回転、LP2 C面(丙)も45回転ですが、D面は33 1/3回転となっており、かなり変則的な仕様です。また、ナンバリングはされていますが、限定品ではないようです(因みに、私が購入したのは、289と印字されています)。と言う訳で、早速、各曲を紹介していきましよう。 ◼️LP1: side A(甲)/side B(乙) ★A1 “Day Dream”は、悲鳴のようなGからメタパーの乱打、そして3拍子のリズムにSadの逆回転と正回転を混ぜたようなVoが呪文のように続き、時にサンプリング音も挿入され、エフェクトの掛け方が佐藤薫らしいなぁと思います。 ★A2 “Japana”は、割とストレートでノリの良い音作りですが、ドライブするBと引き攣るGが凄いです。サビでのDrsもロータム使って大迫力!Voのエフェクトも強烈です。 ★B1 “Junk College”では、エフェクトを掛けたミニマルなBを中心に、6/8拍子のドコドコしたDrsと延ばされたG、更には珍しく朗々と歌うVoが印象的ですね。 ★B2 “W.S.D.G.”では、パルス音から始まり、やがてリズム隊がTGの”Discipline”のように演奏し始め、そこにVoが乗ってきますが、コーラスも入ります。時々、演奏の逆回転も挿入。リズムとこう言うエフェクトは佐藤薫のプロデュース力かな?と。 ◼️LP2: side C(丙)/ side D[33 1/3回転] ★C1 “L.H.O.O.Q.も、メタパーも入れていますが、割と直球勝負なポジ・パン・サウンドに仕上がっています。Voは巧みな表現力はありますが、癖が強いです。後、バックのアフリカンな合いの手も高得点です! ★C2 “Glas Bruch”は、メタパーも入れてややアップテンポで走りますが、途中、拍子とリズム、更にはテンポまで変わってしまう所が、この曲のキモですね。 ★D1 “Psi-Tech House U.N.O.”は、変調VoとDrsとメタパーで始まり、Voと共に盛り上がっていく曲です。不明瞭なノイズも聴取できますが、Bの存在感が凄いです。最後は、かなり実験的で荒涼とした曲調になって終わります。 ★D2 “Holding Easy”は、左右にパンされた電子音に合わせて、曲が始まります。テープ音やメタパーも使われており、ダブ的な要素も伺えます。初期のNeubauten的でもありますね。 ★D3 “Ai Thought”は、逆にGとDrsを使った似非民族音楽らしき小曲です。 ★D4 “Box With Little Doll”は、やや複雑な間を持った曲で、これを演奏出来ると言うスキルも凄いです。曲自体はミニマルっぽいですし、編成も通常の楽器ですが、サビ前にブレイクの入れたりして、曲構成も見事です。 今回、2LPsを聴き通してみて、誤解を承知で言えば、所謂「インテリ・ヤクザ」のような立ち位置ではなかったのかなぁと想像します。と言うのも、特にノリが良いとか、カッコ良いリフがあるとかではなく、平気で実験的な領域に踏み込んでしまえる度胸が凄いです。音作りにも、このことは当てはまりますが、今回も一点だけ付け加えるなら、メタパーの音の録り方ですね。また、今回、プロデュースを佐藤薫がやっていることも、そう言った実験的領域への踏み込みに拍車をかけているようです。まぁそれは別としても、様々なアイデアと力量で曲を作り、完奏するSadie Sadsを応援したくなりました❗️もうNeubauten云々は言わせない! https://youtu.be/C-f_RBOiTHA?si=SHzu0SurOHqctHEr #SadieSads #BoxWithLittleDoll #WechselbalgSyndicate #TelegraphRecords #FirstAndLastAlbum #2LPs #45rpm #331/3rpm #PositivePunk #GothRock #Experimental #MetalPercussions #Sad #Igarashi #Kazumi #Kan #Producer #KaoruSato #StageVisual #Takeshi
Positive Punk / Experimental Wechselbalg Syndicate (Telegraph Records) 3840円Dr K2