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Hans-Joachim Roedelius “Jardin Au Fou”
独電子系クラウトロックの先駆者でもあるClusterのDieter Moebius の方はソロも結構聴いていましたが、
もう1人の片割れHans-Joachim Roedeliusは、私は何故か聴いてかなったのです。なので、これを良い機会として、Roedeliusのソロも聴いてみようと思って、今回、購入しました。本作品”Jardin Au Fou”は、単独作としてはセカンド・アルバムに当たり、有名な「モアイ像シリーズ」の前にリリースされています。先ずは、Roedeliusのバイオグラフィーを紹介します。
Roedeliusは、1934年10月26日に、独Berlinで生まれ、少年時代にはヒトラー・ユーゲントに入っていたこともあり、戦後、糾弾されるも、西Berlinの端まで逃げて、1961年にはマッサージ師をやっていましたが、その後直ぐに、音楽をやり始めます。1968年に、Roedeliusは、”Human Being”として知られていた音楽コミューンを設立し、また、コンセプチュアル・アーティストのConrad Schnitzlerと共に、Berlinの地下文化センターでもあったZodiak Free Arts Labも設立しています。また、Dieter MoebiusともZodiakで出会い、1969年に、3人でKlusterを結成しています。1971年に、Schnitzlerが脱退し、残った2人は、バンド名をClusterと改名し、最初はPhilipsと契約しています。1973年に、RoedeliusとMoebiusは、Neu!のギタリストMichael Rotherと共に、Harmoniaの名の下にアルバムをリリースしており、更に1975年にはもう1枚アルバム”Deluxe”もリリースしています。この時期に、彼らのファンでもあった英国アーティストBrian Enoと何度かジャム・セッションを行なっており、1997年にアルバム”Tracks And Traces”を出しています。Enoとは、他にもClusterとのコラボ作があります(1977年の”Cluster & Eno”と1978年の”After The Heat”)。それで、漸く、Roedeliusは、ソロアルバムを作製し始めます。そうして、1978年に”Durch die Wüste”と1979年に本作でもある”Jardin Au Fou”をソロとしてリリースしています。そうして、1979年から、漸くSelbstportraitシリーズ(私がモアイ像シリーズと言っていたもの)を続けていきます。このシリーズは、2トラック・レコーダーで録音されており、このシリーズの作品が初期の彼の背景になっています。1982年に、彼はSky Recordsを離れ、よりnew age的な作風になり、2枚のアルバム”Geschenk des Augenblicks”と“Gift Of The Moment”をVirgin Recordsの傘下のVentureから出しています。しかしながら、1989年にはVentureとの契約は切れ、より小さいレーベルから、1996年には、”Sinfonia Contempora No. 2: La Nordica (Salz Des Nordens)”を、同時期に”Selbstportrait VI: The Diary of the Unforgotten, the first of the modern Selbstportraits”を出していますが、1970年代に録音したテープをリマスターしたようなものでした。彼は、更に、ClusterやHarmonia用に録り溜めていた音楽を使ったサウンド・モンタージュ作品”Homage á Forst”もリリースしています。その後、2000年〜2001年に、彼は少なくとも8枚のアルバムを出しており、最も精力的活動をしています。2000年のSelbstportraitシリーズの新作”Selfportrait VII: dem Wind voran – ahead of the wind”では過去音源を使用していません。また若いアーティストとのコラボも始めています。その一方で、Clusterは再結成され、1990年に、アヴァン・テクノとも評された新アルバム”Apropos Cluster”も出してきます。そして、1996年に2度の国際ツアーを敢行、また2007年にも、Clusterは再結成しています。しかしながら、2010年11月にClusterは3度目の解散し、Roedeliusは、Onnen BockとArmin Metzと共に、新プロジェクトQlusterを始め、2011年には、3部作 "Rufen", "Fragen", "Antworten"をリリースしています。2018年に、Roedeliusは自叙伝”The Book – The Autobiography of Hans-Joachim Roedelius”を出版、2021年4月にはYouTubeで、彼のライブを無料配信も行なって、現在に至ります。
それで、今回のソロ・アルバム”Jardin Au Fou (邦題「愚者の庭」)”を紹介していきます。両面5曲ずつ収録されており、参加メンバーは、Hans-Joachim Roedelius (Synth, Kbd)の他に、Schagzeig Greene (Drs [A3]), Ulrike Lau (Cello [B1, B2]), Wolfgang Dunnshede (Flute[B2]), Hans Brandeis (G [B2])がゲスト参加しており、プロデュースはPeter Baumanです。先ず、ジャケが非常に「淡い」ポートレートで、この淡さが本アルバムの音楽を端的に現しています。とにかく、落ち着かせる程、優しい音楽で、休日の朝にピッタリです。ちょっとだけ、初期のKraftwerkの曲との共通点もありそうです。それでは、各曲を紹介していきま★A1 “Fou Fou”では、軽やかなピアノをバックにシンセなどが軽いタッチで次々と柔らかいメロディが爪弾かれています。
★A2 “Toujours”は、6/8拍子で目眩くダンスを踊り出したくなるような軽妙なリズムとメロディから成ります。
★A3 “Rue Fortune”は3拍子の曲で、正にワルツ!オルガンらしき鍵盤が優雅な響きを演出しています。
★A4 “Balsam”は、ややシリアスにピアノの多重録音の上品な響きが心地良い。まさかの逆回転も!
★A5 “Café Central”も6/8拍子のオルガンの上に、優雅なシンセのメロディが踊っています。極上の曲!
★B1 “Le Jardin”は小鳥の囀りと簡素なピアノから成る晴れた日曜日の朝のような曲です。オルガン等のメロディもグーで、重層化していきます。
★B2 “Gloria Dolores”は、やや重めの低音とピアノで始まり、フルートやチェロの柔らかい音色に癒されます。ギターの隠し味が良い!
★B3 “Étoiles”は、B2と連続して始まりますが、通奏低音に、珍しくシーケンスが絡み、色んな電子音等でのメロディが美しくも素晴らしい。
★B4 “Schöne Welt” は、アンビエンスを体現したかのような淡くて、ソフトな感触の曲です。どの音も雲の上のように優しい。
★B5 “Finale”も、またもや3拍子のワルツの小曲で、A3の続きですね。
本作品は、Clusterの相方のMöbiusが、ウニョウニョした自由奔放な電子音楽をソロでやっていたのとは対象的に、Roedeliusは、既成の「音楽」の範疇で、自らの独自性を追求していたことが分かって、聴いていて興味深かったです。そう言う意味では、Clusterは2人の個性がお互いに干渉し合って、更なるコズミックな高みを目指したと言う意味で、特異なデュオであったのだと確信しました。皆さんもHand-Joachim Roedeliusの柔らかいアンビエンスに触れてみて下さい‼️
A5 “Café Central”
https://youtu.be/OhuTJymqyq8?si=fjinVkcOroCbxvp_
[full album]
https://youtu.be/Ga2jtDrtB-E?si=HUudvopD3JywRKzu
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