リチャード・セラとは?
1938年、アメリカ合衆国カリフォルニア州生まれの彫刻家・映像作家。
サイトスペシフィックかつ、ミニマルな彫刻作品を数多く手がける。
アクションペインティング風の絵画から出発し、1966年ローマで初個展。’60年代後半はAFA「軟らかい彫刻」巡回展、「新しい媒体、新しい方法」巡回展などゴム、鉛、鉄などを素材とした重力バランスによる緊張感のある場を作品化に努める。
初期の代表作品に、「巻くto roll」「持ち上げるto lift」「裂くto tear」「はねかけるto splash」といった彫刻の素材に対し可能と考えられる動作を一覧にした『動詞のリストverb List』(1967-68)およびこれらの動作を実際に鉛やゴムといった可塑性の高い物質に対して及ぼすことによって制作された一連の彫刻作品がある。
このような制作における動作に焦点を当てた作品が大きく変化するきっかけとなったのが、美術評論家の中原佑介がコミッショナーを務めた第10回東京ビエンナーレ「人間と物質」展(1970)に出展された『環で囲む一底板(ヘクサグラム)』で、それまでの制作する作家の身体から「歩きながら観る」観者の身体の動作へと焦点が移行した。
その後、’70〜72年カナダの丘陵に巨大なコンクリート板を埋め込み、また、’80年にはセント・ジョンのローターリーに巨大な半円鉄板を設置するなど芸術的制約の排除、物質の自立表現化を推進した。